霊夢達が紅魔館へ向かった同時刻。
魔理紗「それじゃ、冥界へ行くぜ」
そう言って魔理紗が箒を手に持つ。
しかしここで、雪泉の挙手が入った。
雪泉「あの、私とジョルノさんは飛べませんよ?」
―江戸っ子気質な死神―
雪泉の意見に、魔理紗はうっかり忘れていた。
彼女とブラン、そしてベールは飛ぶ事が出来る。
しかし、雪泉とジョルノは飛ぶ事が出来ない。
ベール「でしたら、わたくしとブランが雪泉さんを運びますわ」
魔理紗「んじゃ、ジョルノは私が運ぶぜ」
雪泉「そ、そういう事でしたら……」
ジョルノ「それしかないですしね」
ブランとベールは女神化し、魔理紗は箒に跨る。
魔理紗「それじゃ、ジョルノ。 後ろに乗りな」
ジョルノ「はい」
箒に跨ると、魔理紗の体にロープを巻き付けた。
魔理紗「ジョルノ、何だよこれ?」
ジョルノ「命綱です。 落ちないように」
魔理紗「以外に用意周到だな」
ブランとベールも女神化すると、雪泉の手を片方ずつ握る。
ホワイトハート「それじゃ、いくぜ」
グリーンハート「準備は宜しいですか?」
雪泉「はい、お願いします」
一度空へと飛び上がるが、
魔理紗「それじゃジョルノ、振り落とされるなよ!」
ジョルノ「え――」
魔理紗がもの凄い速さで飛んで行った。
これには残された三人も唖然となり、
ホワイトハート「わ、私達はゆっくりで行こうぜ」
グリーンハート「そ、そうですわね」
雪泉「お、お願いします」
安全飛行で向かったのだった。
白玉楼に着き、ゆっくりと着地する三人。
魔理紗「よっ、遅かったな」
ブラン「アナタが速過ぎるだけよ」
ベール「そうですわ。 せめて、わたくし達のペースに合わせて下さいな」
女神化を解いたブランとベールがそう言うと、雪泉はある事に気付いた。
同行していたジョルノの姿が無いのだ。
雪泉「ところで、ジョルノさんは?」
ジョルノ「ここに居ます」
顔を青ざめながらも、ゆっくりと深呼吸をするジョルノ。
雪泉「じょ、ジョルノさん!? 大丈夫ですか!?」
ジョルノ「ええ……」
一度だけ魔理紗を見た後、同行した時の事を思い出したのか、
ジョルノ「二度と……二度と魔理紗とは、一緒に飛ばない」
そう言って、心の中で決心したのだった。
魔理紗「えぇ!? 何でだよ!?」
それを聞いた魔理紗は疑問を覚え、
三人「(そうでしょうね)」
残りの三人も、同意するように呟くのだった。
改めて一同は、白玉楼を見渡す。
正確には、白玉楼へ続く石段を見渡している。
桜の花が満開していて、風で花弁が散っている。
雪泉「綺麗ですね……桜が夏にも咲いてるなんて」
ジョルノ「石段があるという事は、この先の登る必要があるな」
ブラン「とにかく、行くしかなさそうね」
彼等は石段を歩いていくが、
??「おっと、こっから先は一方通行だよ」
癖のある赤い髪をツインテールにした、ロングスカートの様なデザインの青い着物を着た女性であった。
その手には、大きな鎌が握られている。
小町「まだ自己紹介がまだだったね。 あたいの名は『小野塚小町』幻想郷の死神さ」
ジョルノ「ジョルノ・ジョバァーナと申します」
雪泉「雪泉と申します」
ベール「ベールと申します」
ブラン「ブランよ」
軽い挨拶を済ませ、小町は手に持った鎌を構える。
小町「んじゃ、早速だけど……消えて貰うよ?」
突然の台詞と共に、小町から殺気が放たれた。
するとその時であった。
ジョルノ「!?」
突然小町が、いつの間にかジョルノの前に来ていた。
小町「ほらよ!」
豪快に大鎌を横に薙ぎ払う小町。
ジョルノ「くっ!」
咄嗟にジョルノは、下へとしゃがむ。
小町「おや、中々な判断力じゃないかい?」
ジョルノ「URYYY!」
『ゴールド・エクスペリエンス』を出し、その拳を放つジョルノ。
小町「速い! だけど!」
しかしその時であった。
今度は小町が、ジョルノから離れたのである。
ジョルノ「何!?」
何時の間にか距離が離れていて、ジョルノですら驚きを隠せなかった。
雪泉「魔理紗さん、あの方の能力は一体!?」
その問いに、魔理紗はすぐさま説明をした。
魔理紗「小町の能力は『距離を操る程度の能力』だ。 空間操作に類する能力で、自身の居る地点と目的地との距離を自由に制御できるんだぜ」
ベール「距離を操る!?」
ブラン「成程、さっきのはジョルノを『目的地』と認識し、自身との距離を操作したということね」
雪泉「そんな! 距離を操られたら、攻撃の使用が無いじゃないですか!? 距離を取ろうとも、近付こうとも、彼女には無意味では!?」
ブラン「どうするのよ」
魔理紗「弾幕ごっこなら、対等のルールで戦えるんだが、コイツは明らかに『殺し合い』だ。 簡単にはいかないぜ」
そんな中でジョルノは、一度しゃがんだ瞬間、
ジョルノ「『ゴールド・E』!!」
『ゴールド・E』の拳を、地面に打ち込んだ。
ジョルノ「いくぞ!」
そしてそのまま、小町へと走り出したのである。
小町「来てくれたとこ悪いけど――ん?」
能力を使おうとした小町であったが、足元に違和感を感じた。
小町「げっ!?」
足元を見ると、突然現れた蔦が足に絡まっていた。
小町「何だいこの蔦は!? 何時の間に生えてたんだい!?」
驚く小町は、能力を使う余裕が無かった。
そしてその瞬間、
ジョルノ「無駄だぁ!」
『ゴールド・E』の拳が、彼女の顔に命中した。
殴られた小町であったが、ここでありえない事が起きた。
小町「!?」
それは何と、周囲のものがゆっくりに見えていたのだ。
小町「(な、何だいコイツは!? 全てがゆっくりに見える!?)」
再びジョルノが攻撃を仕掛けるが、
小町「(ま、まずい! 早く避けないと――!?)」
ゆっくりに見える為、すぐさま回避しようとする。
しかし『ゴールド・E』の拳は、彼女の頬に密着した。
小町「!?」
否、これは密着ではなかった。
メキメキと、徐々に痛みが伝わって来たのだ。
小町「ぐえっ!? す、鋭い痛みがゆっくりやってきてる!? な、何だいコイツの能力は!?」
この時、小町はようやく気付いたのである。
最初の攻撃の時に、既に勝負が決まっていた事に。
小町「ま、まさか!? 周囲が遅く見えたのは、
あたいの勘違い!? あたいの体が……
意識だけが、
暴走してただけだったのか!?」
その凄まじい痛みは、奥歯が折れてしまい、そのまま飛んで行く程のものであった。
小町「がぁぁぁぁ!」
この一撃により、小町は容赦なく吹き飛んだのだった。
ジョルノ「
ベネ! 上手くいった!!」
小町に一撃を叩き込んだジョルノ。
これには魔理紗達も、驚きを隠せなかった。
魔理紗「ジョルノ! お前、小町に何したんだよ!?」
その問いに対し、ジョルノはこう言ったのだった。
ジョルノ「その前に一つだけ言ってきます。 スタンドには、一つ一つによって能力が違うんです」
雪泉「え? どういう意味なんですか?」
ジョルノ「僕の知ってるスタンドの中には、“刺した対象を風船のようにペラペラにするスタンド”や、“鏡を使って異空間を作り出すスタンド”がいました」
ブラン「つまり、ジョルノの『ゴールド・E』にも、特殊な能力が備わってるの?」
ジョルノ「そうです。 僕の『ゴールド・E』の能力は、『生命を操る能力』です。 殴ったモノや触れたモノに『生命』を与えてね」
四人「!?」
ジョルノのスタンド能力を聞いた魔理紗達は、驚きを隠すしかなかった。
まさか、生命を操る能力を使う者がいるとは思わなかったのだ。
ジョルノ「論より証拠ですよ」
そう言うとジョルノは、胸に着いているテントウムシのブローチを取ると、ブローチは本物のテントウムシに生まれ変わった。
これには、魔理紗達も驚愕するしかなかった。
ベール「生命を操るなんて……まさに神に等しい能力ですわ」
ブラン「女神の私達よりも、余程神らしいわね」
雪泉「では、小町さんの足元の蔦も?」
ジョルノ「ええ。 一度殴って生み出し、彼女の足に絡ませました。 逃走できないように」
魔理紗「でもさ、前に『ゴールド・E』のパワーは高くないって言ったよな? でも、小町をふっ飛ばすほどのパワーはあったんだな」
魔理紗がそう言うと、ジョルノは更に補足説明をした。
ジョルノ「『ゴールド・E』の能力に殴られた者は、過剰な『生命』を与えられ、感覚が暴走するんだ。 鋭い痛みが、ゆっくりやって来るほどね」
ベール「何ですのそれは!?」
ブラン「じゃあ、さっき小町が吹っ飛んだのも」
魔理紗「過剰に与えられた『生命』のせいだって事か…」
雪泉「敵に回し無くない能力ですね」
この時魔理紗達は、ジョルノを敵にしたくないと感じたのだった。
小町が目を覚ますと、体はロープで拘束されていた。
小町「あの〜……これってなんだい?」
ジョルノ「見ての通り、拘束させて貰いますよ? あと、保険の為に武器は没収します」
魔理紗「さあ、知ってる事を喋って貰うぜ!」
ジョルノ「言っておきますが、質問は既に拷問に変わっていますからね?」
小町「え?」
この瞬間、ジョルノの口から重みの掛った台詞が出てきた。
ジョルノ「アナタ、覚悟してる人ですよね? 人を始末するって事は、逆に自分が始末される……そういう危険を、既に『覚悟』してる人ってわけですよね?」
それを聞いた小町や魔理紗達は、背筋が凍ってしまった。
雪泉「(まさかジョルノさんは……本気で……)」
ブラン「(小町を始末するだった!!)」
ベール「(この方には……)」
魔理紗「(
殺る言ったらやるという……)」
「「「「『凄味』がある!!」」」
これには小町も涙目になり、
小町「分かった分かった! 喋るから、喋るから殺気を放たないでおくれ!!」
知ってる事を洗いざらい喋るのであった。
果たして、その内容とは!?
続く...
〜オマケ〜
ブランは、雪泉の胸をじ〜っと見ていた。
雪泉「あの、ブランさん?」
ブラン「(大きい……一体何を食べれば、こんなに大きくなるのかしら?)」
秘訣があると察し、彼女は雪泉にこんな質問をした。
ブラン「ねえ、雪泉。 アナタの胸って、サイズはどのくらいなの?」
雪泉「え? 確か、92センチですね」
ベール「あら、わたくしと同じですわね」
雪泉「でも、私よりも大きい人もいますよ?」
それを聞いたブランは、恐る恐る聞いてみた。
ブラン「因みに……最大で何センチの人がいるの?」
雪泉「確か……105センチくらい……ですかね」
ドゴォーンと、背後に稲妻が走るような衝撃を受け、
ベール「わ、わたくしのアイデンティティが……」
ブラン「何だよ105センチって!? 何を食えばそんなデケェ乳になるんだよぉ!? もはや『爆乳』じゃねぇ! 『魔乳』じゃねぇか!!」
ベールは敗北感を感じ、ブランはブチ切れたのだった。