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運命戦記リリカルEXTRA.AC改 無印編10、管理局と暗躍する影
作者:起源くん   2012/09/21(金) 00:20公開   ID:L0gu7.dO5Yw
突然現れた少年。クロノ・ハラオウンは、その場にいた者達に戦闘行為の中止を呼び掛けた。

「直ちに戦闘行為をやめて、こちらに投降して貰おう」

突然の事に、事態が上手く飲み込めないなのは。
とりあえず、クロノの言う通りにした方が良いと思った優人。
管理局が来てくれた事に安堵したユーノ。
そして―――。

「フォトンランサー!」

突然アルフが、クロノに目掛けて魔法を放った。

「くっ!」

「今だよフェイト!」

クロノはシールド魔法でそれを防ぐ、その隙にフェイトは離脱しようとした。

「逃がすか!」

クロノはフェイト達に狙いを付け、魔法を放った。

「ブレイズカノン!」

放たれた砲撃は、フェイト達に迫る。
先程の戦闘で体力を失っていた二人には、クロノの砲撃をかわす事は出来なかった。
そして、爆煙が立ち込める。

「フェイトちゃん!」

なのははフェイトの名を叫んだが、返事は返って来なかった。
誰もが、直撃を予想していた。
爆煙が晴れると、そこにいたのは―――。

「まったく、厄介な事になってしまったな・・・・・」

「レ、レイヴン?・・・・・」

そこにはレイヴンが居た。
クロノの魔法が当たる直前に、魔法で防いだのだ。

「ここは俺に任せろ」

「で、でも・・・・・」

「いいから、さっさと行け。俺は大丈夫だ」

「フェイト。今はレイヴンの言う通りにしよ」

「う、うん・・・・・」

フェイトは戸惑ったが、言う通りに、アルフと共にその場を離脱した。

「逃がすか!」

クロノはフェイト達の追跡をしようとしたが、レイヴンによって阻まれた。

「貴様! 公務執行妨害で逮捕するぞ!」

「残念だが俺はミグラントだ。公務執行妨害なんて怖くないんだな」

「ミグラントだと? 所属は何処だ?」

「生憎フリーだ」

ミグラントは通常、何処かしらの管理局に登録されているチームに所属している物である。
未登録及び無所属のミグラントははぐれミグラントと呼ばれ、大抵の者は犯罪者とされている。

「なら、逮捕させて貰うぞ」

「お前に出来るかな?」

二人はお互いのデバイスを構えた。
一触即発の状態に、優人達は黙って見ているしかなかった。
そんな状況を打ち破るように、一人の女性の声が聞こえた。

《待ちなさいクロノ。彼とは戦わないで》

「艦長!? それは一体どういう―――」

《彼と話をさせて》

どうやら、女性はレイヴンの事を知っているらしい。
そしてレイヴンも、女性の声に聞き覚えがあった。

「久しいなリンディ。十年振りか?」

《十五年振りよ。相変わらず、時間に無頓着ね》

「余計なお世話だ。お前が居たとはな、知っていたら、フェイトと共々投降していたのに・・・・・」

《私が悪いって言うの? そういう貴方はどうしてここに?》

「色々あってな・・・・・。悪いが行かせて貰うぞ。詳しい事はアイツらに聞いてくれ」

そう言って、レイヴンはその場を立ち去った。
離脱したフェイト達の後を追ったのだろう。

「待て! 逃がす―――」

《行かせてあげなさいクロノ》

「艦長!? どうしてですか!?」

《もし、彼と戦う事になれば、貴方も無事ではすまないわ。それよりも、彼らから事情を聞く事の方が大事よ》

「・・・・・分かりました。三名の魔導師をアースラに収容します。君達もそれで良いか?」

「え、えっと・・・・・」

「とりあえず言う通りにしよう」

「うん、こちらの事情も伝えた方が良いしね」

三人は、クロノの誘導の元、アースラに乗船する事になった。




アースラに乗船した三人は、執務官のクロノと艦長のリンディ・ハラオウンに、これまでの経緯を話した。

「なるほどね・・・・・事情はだいたい分かったわ。後は、私達に任せてくれないかしら?」

「え?」

「それはどういう・・・・・」

「簡単な話だ。君達はこの件に関して手を引けって事だよ」

「どうしてですか!!」

「それは君達が一般人だからだよ」

クロノは指摘する。
確かに優人となのはは魔術、魔法をそれぞれ使え、これまでのジュエルシードを封印して来た。
しかし、魔法、魔術を使えると言っても、管理局から見れば一般人にしかならない。

「でも―――」

「悪いけど、これ以上は巻き込めないわ。後は私達に任せて、元の生活に戻りなさい」

なのはは困惑していた。
このまま彼らの言う通りにすれば、前の生活に戻れるが、フェイトとは二度と会えない気がした。

「それじゃ、話は決まったこと―――」

「待って下さい。勝手に話を進めないで下さい」

リンディの言葉を遮りながら、優人は言った。
突然の言葉に、誰もが驚いたが、リンディは優人の話を聞く事にした。

「何かしら?」

「ジュエルシードの収集を、俺達に手伝わせてくれませんか?」

「君は何を言っているんだ。一般人が出る幕じゃない。大人しく―――」

「拒否するならそれでも構いません。自分達だけで、勝手にやりますから」

その言葉に、流石の二人も唖然とした。
一般人である彼が、強引にでも、事件に関わるつもりでいたからである。

「分かっているのか? 遊びでやるんじゃないんだぞ?」

「遊びでやっていないから、俺達はジュエルシードを六つも集める事が出来たんだ。そうだよな、なのは?」

「え!? は、はい! 私達は遊びでやっていません! だから、手伝わせて下さい!」

「だがしかし・・・・・」

「あの、僕からもお願いしても良いでしょうか? 二人はとても頼りになりますから」

ユーノも、二人の協力を申し出た。
クロノは少し困惑していた。秀才である彼が言うのなら、実力は確かなのであろう。しかし、一般人である彼らを危険な目に合わせて良いのかと。
クロノはどう判断して良いか迷っていると、リンディが口を開いた。

「わかりました。それなら、貴方達にも手伝って貰います」

「艦長!? 良いんですか!?」

「勝手に動かれてしまったら、こちらが困るもの。なら、目が見える所に居てもらった方が良いわ」

その言葉に、三人は喜んだ。
これで少なくとも、フェイトと接触する機会を望めるからである。
しかしリンディは、ある条件を突きつけた。

「ただし! 最低でも、親御さんの許可を取ってからです。それがない限り、貴方を今回の事件に関与させません。これはこちらの最大譲歩です」

こう言われてしまうと、三人は何も言えなかった。

「ど、どうしょう優くん・・・・・」

「・・・・・ど、どうしょうか?」

「ふ、二人とも頑張って!」

こうして二人は、親の許可を得るという、ジュエルシード集めより難関な試練を受ける事になった。

その後、親の了承を得るため、優人となのは一度帰宅することになった。
ユーノは元々捜索願いが出されて居たので、アースラに残る事になった。

「ユーノ・スクライア。君に聞きたい事がある」

部屋を出ようとしたユーノをクロノが呼び止めた。

「何でしょう?」

「高町なのはについてだ。彼女は、ジュエルシード以外のロストロギアを所有していたか?」

クロノの問いに、ユーノは?を浮かべた。
魔法すら知らなかった少女に、そんな物を所有している訳が無い。
何故そんな事を聞くのか疑問を浮かべながら、ユーノは答えた。

「いえ、そんな気配はありませんでしたが?」

それを聞いたリンディとクロノは、顔見合わせて、再びユーノに質問した。

「衛宮優人についてだが、君から見て彼はどう思う?」

再び、意味が分からない質問が来た。
ユーノは困惑しながら、その質問に答えた。

「どうって・・・・・。彼は良い人だと思いますけど・・・・・見知らずの僕を助けてくれましたし、いろいろと良くしてくれました」

そう答えると、今度はクロノとリンディは困惑していた。
あり得ないと言わんばかりである。

「あの、彼が何か?・・・・・」

少しの不安を感じながら、ユーノは二人に問いただした。
二人は、言うか言うまいが悩んだが、ユーノにある事実を告げた。

「落ち着いて聞いて頂戴。衛宮優人という少年は“人間ではじゃないの”」

「・・・・・・・・・・・・・・・え?」

リンディの言葉に、ユーノの思考は凍り付いた。
無理もない、今まで一緒に過ごしていた友人が、人間では無いと告げられたのだから。
リンディは説明を続けた。

「彼は俗にいう、魔法生命体
プログラム
と呼ばれている物で。人間でも、使い魔でも無い存在。古代魔法文明の技術の一つに当たる物よ」

ユーノは考古学者の端くれである為、リンディの言う魔法生命体に関しては知っていた。
しかし、だからと言って、優人が魔法生命体だとは思えなかった。

「ちょっと待って下さい! 魔法生命体の事は文献で読んだから知っています! けれど、彼には自我があるじゃないですか!」

ユーノの言っている事はもっともだった。
魔法生命体は人の形を取ってはいるが、所詮はプログラムに過ぎず、与えられた命令を遂行するだけの存在なのだから。

「私達も最初は驚いたわ。会って話したら、本当に人間その物なんだから。でも、解析結果は魔法生命体として出たわ」

「元からああなのか、もしくはバグでそうなったかは分からないが、少なくともロストロギアが関わっているのは間違いでは無い。君は何か知らないか?」

「・・・・・・・・・・」

ユーノは何も答えられなかった。
いきなりの事実に、ついていけなかったからである。
それを見かねた二人は、これ以上の尋問をする事はしなかった。

「流石にこれ以上は酷だな。今日はもう休んだ方が良い」

「そうね。しばらくは、考える時間がいるものね」

そう言って二人は部屋を出たが、ユーノはただ立ち尽くしていた。




一方フェイト達は、隠れ家のマンションに着いていた。
しかし、その表情に安堵は無く、不安に埋め尽くされていた。

「レイヴン・・・・大丈夫かな?・・・・」

「レイヴンなら大丈夫だって! アイツの強さは、あたし達が良く知ってる」

「うん・・・・そうだね・・・・」

「それよりも、これからどうするんだい? ジュエルシード集め。管理局の奴らが来たんじゃ――――」

「うん、分かってる。それでも、私は最後まで諦めない」

「フェイト・・・・・」

フェイトが持っているジュエルシードの数は、僅かに二つしか無い。
当初はもっと早く集めるつもりが、なのは達との争奪戦で、思いの他集まらなかったのだ。

「ごめんねアルフ。こんな事に巻き込んじゃて・・・・・」

「何言ってのさ、あたしはフェイトの使い魔だよ。フェイトを守るのがあたしの役目さ!」

「うん・・・・・ありがとうアルフ」

フェイトは笑顔で、アルフに感謝した。
アルフは、フェイトを絶対に守ろうと決意するのだった。




高町家では、緊急家族会議が開かれていた。
優人となのはは、これまでの経緯を家族に話し、管理局の手伝いをすると告げたからである。

「・・・・・なるほどな、それが今まで隠していた事か・・・・・」

「「ご、ごめんなさい・・・・・」」

優人となのはは、頭を下げて謝った。

「隠し事くらいは一つや二つはあっても良いけど、問題はそこじゃない」

四人の目は険しくなった。
やはり、管理局の手伝いをする事を了承してくれないらしい。

「その管理局って人達がいるなら、なのはや優人がやる必要がないじゃないか? 」

「そうだよ。優人やなのはが危険な目にあう必要ないよ」

「そうね、任せられる人がいるなら、任せた方が良いと思うわ」

恭也、美由紀、桃子はそれぞれ二人を説得しようとした。しかし、二人の答えは決まっていた。

「恭也兄さん、美由紀姉さん、桃子さん、心配してくれてありがとう。でも、俺達はここで降りるつもりはない」

「どうして? 管理局って人達はプロなんでしょ? なら・・・・・」

「確かに、管理局の人達に任せれば、事件を解決してくれるかも知れない。でも、俺達は納得出来ないと思う」

「納得出来ない?」

「はい、途中で降りるのは、何か間違っていると思うんです。自分でも分からないけど、間違っていると感じるんです」

優人は真っ直ぐな眼で答えた。
その眼には迷いは一切無かった。

「・・・・・なのはも、同じ気持ちか?」

「うん、このままフェイトちゃんと、お話出来ないまま終わるなんて嫌だよ」

なのはも、覚悟を決めた眼をしていた。
それはとても固い決意を固めている眼であった。

「・・・・・分かった。二人の好きなようにしなさい」

「貴方!?」

「父さん何を言っているんだよ!」

「そうだよ! 二人が大怪我しちゃうかも知れないんだよ!」

士郎の了承の一言に、三人は反発した。
しかし、士郎は意見を変えるつもりはなかった。

「二人は一度決めた事は、絶対に曲げないのは知っているだろ? それなら、二人を見守ろう」

そう言って、士郎は再度二人を見て、ある事を約束させた。

「いいか二人とも、無事に帰って来る事。約束出来るか?」

「はい!」

「うん!」

その後、桃子と美由紀は士郎の説得で、何とか了承してくれ、恭也も渋々了承し、見事に管理局の手伝いをする事になった。




ユーノは一人悩んでいた。
先程のクロノ達の会話が頭に離れないせいである。
しかし、いくら考えても、優人を魔法生命体だと思えなかったのだ。

(はぁ・・・・・僕は一体どうすれば・・・・・)

そんな事を考えていると、通信が入って来た。

(一体誰だろう?)

そう思いながら繋げてみると、思いがけない人物からの通信であった。

《やっほー、ユーノくん聞こえる?》

「なのは!? 優人!? 一体どうやって!?」

《レイジングハートにお願いして、通信を繋げて貰ったんだ》

【これくらい、朝飯前です】

「ははは・・・・・そうなんだ・・・・・」

この二人には驚からされてばっかだなと、ユーノは思った。

《? どうしたのユーノくん? 何か元気無いみたいだけど・・・・・》

「!? い、いや、何でも無いよ。ただ疲れているだけだから・・・・・」

ユーノは、クロノの話を隠す事にした。
1ヶ月、一緒に過ごした自分でもショックだったのだから、兄妹同然に育ったなのはが聞いたら、どんなにショックを受けるか、考えたら怖くなったからだ。

「それで? 士郎さん達を説得出来たの?」

《うん、ちゃんと許可を貰ったよ。だからまた一緒にジュエルシードを集める事が出来るね》

「良かったね二人とも」

《ああ、これからもよろしく》

「え?」

《え? じゃないだろ。これからも、ユーノには魔法を教えて貰うんだから》

「僕で良いの?」

《当たり前だろ。友達に教わるのが一番だ》

「あ―――」

優人の一言で、ユーノはある答えに辿り着いた。
そう、魔法生命体や人間以前に、衛宮優人は自分の友人なのだと。

「・・・・・うん、そうだね。まだ教える事があったね」

《そう言う訳で、まだまだ教えて貰うよ。ユーノ》

《よろしくなの!》

「うん! こちらこそ、よろしくね!」

こうしてユーノは、優人との友情を再度確認する事が出来たのであった。




地球に近い、とある辺境世界に立っている城にアルバートがいた。
そこに、一人の人間がやって来た。
顔はフードで隠してはいるが、男性だと分かる。
男はアルバートに膝まずいた。

「マスター。管理局が地球にやって来ました。如何なさいます?」

「予想以上に来てしまったか・・・・・。原因はあの次元震か・・・・・」

次元震が起きてしまったのは、アルバートにとっては予想外であったが、彼にとっては許容範囲内であった。

「・・・・・いささか強引な手だが、例のプランを実行するしかあるまい」

「では私が―――」

「待てアサシン。貴様は引き続き、闇の書の主と、例のサーヴァントの監視を続けるがよい。あれは私がやる」

そう言って、アルバートは椅子から立ち上がり。愛用の剣を持ち出した。

「では、ご武運を」

「貴様こそ、しくじるなよ?」

「アルバート・アサシンに名に懸けて、任務を遂行致します」

そう言って、アルバート・アサシンと名乗った男は、その場から消えた。

「さて、私も行くとするか」

そしてアルバートも、闇の中に消えて行ったのである。

____________________________
キャラステータス

クロノ・ハラオウン

使用魔法 ミッド式

得意魔法 射撃全般

デバイス S2U

ステータス

筋力 B+

耐久 B+

敏捷 C+

魔力 A

幸運 D

スキル

統率力(A)
集団戦闘において、味方の戦闘力を上げるスキル

心眼・真(B)
修行、鍛練により培った、戦術論理。

練達(A)
クロノが厳しい修練と努力によって得たスキル。
このスキルを所持していると、筋力、耐久、敏捷のステータスが上がる。

アースラに乗船していた執務官。
若いながらも、最年少で執務官になった少年。
魔力量はなのは、フェイト共に劣るが、戦闘技術は二人を凌駕する物である。
現在、なのは、優人、ユーノを引き連れ、ジュエルシード回収を行っている。


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■作者からのメッセージ
ブロッサムルームの書くネタが無かったので、クロノのステータスをここに載せました。
それにしても、もうすぐ回覧数が二万になります。
これほど読んでくださる人がいて、嬉しいと思います。
文才が無い私ですけど、今後ともよろしくお願いいたします。
テキストサイズ:12k

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