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魂郷学園 第8話:杜王町の“JOJO”
作者:亀鳥虎龍   2018/06/10(日) 22:50公開   ID:LCeDFnbaz/k
 空条承太郎は現在、仲間達とある街に来ていた。

町の名前は、『杜王町』。

魂郷町の隣にある地方、S市に存在する町である。

人口は約53000人で、東北地方の中心都市の郊外にある大規模なニュータウン。

「余所見をしてすまない。 この街の地図を見ていてね」

「(デッケェ!? 190センチ以上はあるぞ!?)」

そこで彼は、小柄な体格の少年『広瀬康一』と出会う。

「一つ尋ねたいんだが、この町に『東方』という姓の家を知らないか? 俺は、その家を訪ねにこの町に来たんだ」

「さあ、どうですかね? この町の人口は53000人ですので、同姓の人がいると思いますよ?」

「じゃあ、この住所はどうかな?」

何故承太郎達が、この町に来ているのかというと、

「それならあのバス停で待てば、一時間後に来たバスに乗って5分で着きますよ」

「ありがとう」

それは、昨日の早朝に遡るのであった。





―杜王町の“JOジョJOジョ”―





 それは昨日、しかも朝の事であった。

白野と十六夜達、ある建物の前に立つ。

それは空条家――つまり承太郎の実家である。

「じゃあ、鳴らすよ?」

白野がインターホンを鳴らすと、

「はーい」

一人の女性が、玄関を開けた。

彼女の名は、承太郎の母親の空条ホリィ。

見た目は若々しいが、実年齢は45歳である。

「おはようございます。 あの、承太郎さんはいらっしゃいますか?」

「ええ。 丁度いるわよ」

「よう、来たか」

するとホリィの後ろから、承太郎が現れた。

「とりあえず、上がりな。 話はその後にしてぇからな」

こうして彼等は、空条家にお邪魔したのだった。





 空条家にある茶室。

「それにしても、ホントに広い屋敷やな」

「広過ぎると、逆に人一人を探すのに苦労するがな」

辺りを見渡しながら、緑色の紙で無表情の少女が口を開く。

彼女の名は日影。

魂郷学園の三年生で、承太郎と同じH組である。。

「じゃあ、ゆっくりしてってね」

お茶を出した後、ホリィは茶室を後にした。

「すまねぇな。 イキナリ呼びだしたりしてよ」

「気にすんなって」

「それで、私達を呼んだ理由は?」

白野の問いに対し、承太郎は口を開く。

「実はな……ジジィの事なんだがな」

「ジョセフさんが?」

ジョセフ・ジョースター……承太郎の祖父でホリィの父親。

アメリカを中心に、世界中で名が知られている不動産王である。

「ああ……まだまだ健在なんだが、万が一ってのもあって一応、遺産分配の調査を行ってたんだ」

「でもジョセフさん、一万回殺しても死な無いと思うぜ。 寧ろ、まだまだ生きられるんじゃないか?」

ジョセフの普段の性格に対し、十六夜がそう言うと、

「あの……流石にジョセフさんでも、病気や寿命には勝てないよ?」

それを聞いた白野は、冷静にツッコミを入れた。

「ハァ……話を戻すぞ。 それで調査の結果、とんでもねぇ事が判明したんだ」

「とんでもない事?」

次の瞬間、承太郎の口から、信じられない言葉が出て来た。

「ジジィに……隠し子がいた事が分かった」





 承太郎のこの言葉に、

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? ジョ……ジョセフさんに、隠し子が!?」

「……あの人……凄いとは思ってけど、浮気までやっとったのか?」

「えっ、マジで!?」

白野や十六夜だけでなく、無表情の日影も驚きを隠せなかった。

「やれやれだぜ。 あのクソジジィ……「ワシは生涯、妻しか愛さない」と聖人ぶった台詞を吐いておいて、テメェが少し若い頃に浮気してやがったんだ」

「いったいあの人、何歳の時に浮気してたの!?」

「因みに隠し子の事は、ジジィ自身も知らなかったらしい。 だが、この真実を知ったスージーばあちゃんの怒りが爆発してな、昨日はそれを止めるのに必死だったぜ」

やれやれと溜息を吐く承太郎であったが、

「(それ、どう考えても……浮気をしたジョセフさんの自業自得だな……)」

ジョセフに対して、一同が自業自得だと呟くのだった。

「それで、その隠し子の名前は分かったのか?」

十六夜が首を傾げると、承太郎はコクリと頷いた。

「仗助……東方ヒガシカタ仗助ジョウスケ。 この町の隣の地方、つまりS市にある『杜王町』に住んでいる」

「聞いたことあるで。 確かあの町、行方不明者の数が異常なまでに多いとか」

「へぇ……尋常じゃないな」

行方不明者の数が尋常ではない――ここにいる者達が背筋を凍らせる。

「………話を戻すぞ」

すぐさま承太郎が、話を切り替えたのだった。





 話の趣旨を元に戻した承太郎であったが、彼は懐から一枚の写真を取りだす。

「写真?」

「ジジィの『隠者の紫ハーミットパープル』で仗助の写真を念写しようとしたんだが、どういうわけかコイツが写った」

その写真には、一人の男と杜旺町の背景に浮かぶ『何か』が写っていた。

「この写真……もしかしてやけどど……」

「察しが良いな、日影。 恐らく、背景に写ってるのはスタンドだろう。 仗助が映せないのはもしかしたら、その仗助よりコイツのスタンドの方がパワーが大きいせいかもしれん」

この写真を見た一同は、ゴクリと唾を飲み込む。

「とにかく俺は、遺産と写真の事で仗助に会う必要がある。 奇妙な話だが、俺の『叔父』にあたるしな」

「確かに……年上で先輩の承太郎が『甥』っていうのも奇妙だと思う……。 ところで、ジョセフさんは何処に?」

白野が問うと、それを聞いた承太郎は溜息を吐く。

「離れの部屋にいる。 因みに言うと、先にニューヨークに帰ったスージーばあちゃんから、「暫く帰ってくんな!」って怒鳴られてな……ウチに厄介になってる」

「……自業自得やな」

「だな」

「そうだね」

「そういうワケだ、明日はオメェ等も協力して貰うぜ」

「了解した」

こうして彼等は、空条家を後にした。





 そして現在、承太郎達は仗助の捜索をしていた。

康一に言われたバス停に向かおうとしたが、そこであるモノを目撃する。

「おい! テメェ、何見てんだよ? アァン!?」

「み、見てないですよ!」

「嘘つくんじゃねぇ! 今、アニキの顔を睨んだろうが!」

「シバくぞゴラァ!」

三人の不良が、少女を脅していたのだ。

「なんか、ヤバそうやな」

「そうだね。 今から助けに――」

この光景を見た白野と日影が助けに行こうとするが、まさにその時であった。

「あの〜……その辺にしてやってくれませんか?」

独特のリーゼントヘアーの少年が、不良達に声を掛けたのである。





 身長は180cmくらいの長身で、明らかに不良という印象を見せる。

しかし外見とは裏腹に、性格は優しい雰囲気を見せていた。

「その人、困ってるんで、見逃してあげてほしいス」

「何だ、テメェ! 俺たちに逆らうってぇのか?」

「今にも泣きそうですよ? それに、相手は女の子ですし――」

「生意気言うじゃねぇ!!」

少年は頬を殴られ、口が切れて血が出てくる。

しかし、少年はそれを気にしなかった。

「分かったか、俺達に逆らうとこうなるんじゃ!!」

「す、すみませんでしたぁ! 俺、そういうの知らなくて!!」

「そう言って、気付いたときには病院でしたっていう奴は何人もおんねんぞ。でないと、お前も」

不良の一人が、先程の少女を殴り、彼女もその場で倒れてしまう。

「こうなりたくなかったら、俺達に逆らうな! 良いな、分かったか!」

「わ、分かりましたから! だから、その子に乱暴をしないでください!!」

「よっしゃ、その心がけに免じて今日は見逃したろう。だが、この女の代わりにお前が金を払え!」

「分かりました」






 その一部始終を見ていた承太郎達達。

「……俺も流石に、アイツ等にはカチンと来たぜ」

「だが、あの男もだ。 女が殴られた事には怒りを見せねぇ、逆にこっちが頭に来るぜ」

そんな中、不良が少年の名前を聞いた。

「よし、腰抜け! テメェの名前を教えて貰おうか?」

その問いに少年は、自身の名前を教えた。

「ぶどうが丘高校1年B組……東方仗助です」

それを聞いた承太郎達は、一瞬だけ驚いた。

「え?」

「今……何て……」

「マジか!?」

「何ぃ!? 東方仗助だとォ!?」

特に承太郎は、探し人が簡単に見つかって一番驚いている。

「仗助ェ?」

「はい、人偏に丈夫の『丈』で『助』けると書いて『仗助』です」

「けっ! これから仗助、テメェを『ジョジョ』って呼んでやるぜ!」

「はぁ、どうもありがとうございます」

「それよりもさっさとせんかい! 金を出せって言ってるだろうが! チンタラしてると、そのアトムみてーな頭刈り上げるぞ!!」

苛立った不良がそう言った瞬間、まさにこの瞬間だった。

仗助の中で、何かがプッツーンと切れたのだ。





 ゴゴゴゴゴ……と怒気の籠った雰囲気を見せる仗助。

「おい、先輩。 アンタ、俺のこの頭が何だってぇ?」

「へっ――」

まさにその時だった。

何かが不良の顔を殴ったのだった。

「フゲッ!」

不良の鼻は裂け、横に折れ曲がり、そこから血が出てくる。

「な、何!?」

「不良が吹っ飛んだ!?」

白野や十六夜は驚くが、その正体を承太郎には見えていた。

仗助の背後から『腕』の様なものが出現し、不良を殴った瞬間を。

「間違いねぇ! アレはスタンドだ!!」

仗助はゆっくりと近づき、倒れている不良を見下ろす。

「俺のヘアースタイルにケチつけてムカつかせた奴ぁ、何もんだろうと許さねぇ! この髪型の何処が、サザエさんみてぇだとォ?」

「え? そ、そんなこと誰も言って――」

「確かに聞いたぞ、コラァ!」

「ねェ!?」

仗助は倒れている不良の頭を踏み、顔面を床に叩き付ける。

「な、何だコイツァ!?」

「ヒィー!!」

他の不良達もそれに怯え、仗助から離れるのだった。

だが、この光景を見た承太郎は、

「(今、アイツの体からスタンドの腕が見えた)」

仗助がスタンド使いだと知った。





 仗助が少女の方へと近づき、彼女の肩に触れた瞬間だった。

コレを見た承太郎達が、驚きを隠せなかった。

「な、何だ!?」

それは少女の顔が、綺麗さっぱりと治っていたのである。

「き、傷が……綺麗に治ってやがる!?」

そんな中、仗助は少女に声を掛ける。

「スマネェな。 俺のせいで大怪我負わせちまって、大丈夫か?」

「え……あぁ、ありがとう。 大丈夫だよ」

「そうか、良かった」

すると、起き上がった不良の顔に皆が驚く。

なぜなら、殴られたハズの顔がみるみる治っていくのだ。

「なんだぁぁぁ!?」

「今、殴られた顔に傷がどんどん治っていく!」

「鼻が裂けて、血がダボダボ出てたのに」

「もう治っちまったぞ! で……でもなんか、変な感じに治ってないか? 前の顔と違うぞ!?」

それはその不良の鼻が広がって、顔の中心で目立っているのだ。

「オイ、さっき女の子を殴ったよな。どうしてほしい?」

「う、うあああああああ!?」

流石の不良達も、仗助から逃げたのだった。

「何というか……恐ろしい奴やな……」

日影の一言に、全員がは内心呆れてしまい、

「やれやれ……コイツが探していたジジィの身内とはな」

仗助に対して承太郎は、小さくそう言ったのだった。





 不良達が逃げ去った後、承太郎達は仗助の方へと歩み寄った。

「ん?」

仗助もすぐに振り返り、

「「………」」

自分と近い印象を見せる承太郎と、顔を合わせたのだった。

ゴゴゴゴゴ……と殺伐とした雰囲気が漂ったが、

「あっ、どうも」

「初めまして」

「何か、調子が狂いますね」

そんな中、承太郎が仗助に声をかける。

「東方仗助……杜王町で生まれ育ち、ぶどうが丘高校に入学。 実家には母親と祖父の三人暮らし。 母親の名前は朋子。 当時は女子大生で、現在は高校教師。 祖父の名前は良平。 駐在所の警察官で、階級は巡査。 そして父親の名は、ジョセフ・ジョースター」

「………」

「おっと、自己紹介がまだだったな。 俺は空条承太郎。 まあ、なんだ……血縁上、俺はお前の『甥』にあたるんだ。 奇妙な話だがな」

「甥? はぁ、どうも」

「それと、オメェの事は『仗助』と呼ばせて貰うぜ」

「それで、承太郎さんは俺に何か?」

「ああ、実はな……」

こうして、二人の『ジョジョ』は出会ったのだった。







 ジョセフの浮気騒動の話を聞いた仗助は、驚きを隠せなかったが、

「そ、そんな事が!? す、すいませんですぅ!! 俺のせいで大騒ぎになって!!」

なんと意外!その場で頭を下げたのである。

それに対し、一同が驚きを隠せなかった。

「ま、待って下さい! 何故、アナタが謝るんですか!?」

「だってマズイですよ。 家族で問題が起きるのは! 俺の母は、真剣に恋をして俺を産んだって言ってるんで、俺もそれで納得してるんです。 ですから、俺達に気を遣わなくても良いって、お父さん――ジョースターさんに伝えといて下さい」

「…………」

それを聞いた承太郎は、驚きのあまりに声が出なかった。

「承太郎、どうした?」

「いや、悪い。 実を言うと俺は、ジジィの代わりに殴られる覚悟で会いに来てたからな」

「そっか、フェイントを喰らった気分になったんだ」

それを聞いた仗助も、頬を掻きながらこう言った。

「じ、実を言うと……俺も親父の話を聞いて、どう受け止めるべきか分かんない気分なんスよ」

「まあ、無理もないな。 家族を長年ほったからしにした男を『父親』って言われて、誰だって納得できないさ」

「まあ、文句の一つや二つは言いたくなるわな」

溜息を吐く承太郎であったが、昨日の写真を彼に見せた。

「それと仗助、コイツを見てくれ」

「ん? コイツ、誰っすか?」

承太郎は仗助に写真を見せると、仗助は興味深そうに見る。

「ジジィが念写したら映った奴だ。そいつが杜旺町に潜んでいる」

「俺の住む町に……」

「なぜ映ったかは知らんが、一応見せておいた。気を付けろと言うことでな」

「わ、分かりました……」

すると承太郎は、自分達と一緒にいた康一の方へと目を向ける。

「それと康一くん」

「は、はい…」

「俺の言ってる事が分からないかもしれないが、キミにも一応忠告しておく。 この写真の男に会ったら、絶対に近付こうなどと考えるな。 警察に行っても無駄だ」

「分かりました」

すると志貴達が、小言でこんな会話をしていた。

「(承太郎が相手を『くん』付けで呼ぶなんて……)」

「(珍しい事もあるんやな)」

「(どうやら康一くんには、何か信頼を得てるようだね)」

知らない内に、承太郎の信頼を得た康一であった。






 写真の男に対する警告をした後、承太郎がこんな事を言った。

「そういや仗助。 オメェのスタンド、見せてくれないか?」

「へ? 良いッスよ」

そう言って仗助は、自身のスタンドを彼等の前に見せた。

勿論十六夜と日影、そして白野は見えない。

見えるのは、同じスタンド使いであるだけである。

デザイン上の特徴としては、体のいたる所にハートマークがあしらわれており、頚部に数本のパイプの様なものが見られる。

「成程な。 ところで、スタンドの名前は?」

「え、まだ無いッス。 そこまで考えてなかったんで」

それを聞いた承太郎は、仗助のスタンドをこう名付けたのだった。

「『クレイジー・ダイヤモンド』ってのはどうだ?」

それを聞いた一同は、「おお〜」という顔をしたのである。

「良いッスね! グレートでカッケェっスよ!!」

「ヤハハハハ。 確かにいかした名前だぜ」

仗助と十六夜は納得したようであるが、

「(まあ、確かに……あの性格を考えたら……」

日影は内心で呟くのであった。

「……ホッ」

因みに白野だけは、持参していた烏龍茶を啜っていたである。

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 今回は仗助が登場しました。
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