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魂郷学園 第9話:水の首飾り・その@
作者:亀鳥虎龍   2018/06/13(水) 15:41公開   ID:LCeDFnbaz/k
 それは、学校の放課後の事である。

承太郎は現在、白野に声をかけていた。

「岸波、今いいか?」

「え? 大丈夫だけど」

すると承太郎は、あるものを彼女に渡した。

それは、ジョセフが念写した写真の男に関する資料であった。






水の首飾りアクアネックレス・その@―





 早朝の東方家にて、電話が鳴っていた。

「ごめん、仗助。 電話に出といて」

「ハイハイっと……もしもーし」

受話器を取った仗助は、すぐに耳に当てる。

『承太郎だ。 今、自分の家から電話してる』

電話の相手は承太郎であった。

「承太郎さん? どうしたんスか、こんなに朝早く」

『スマンな。 昨日話した、ジジイの遺産相続の話しがゆっくりできなかったからな』

「あ、そうだ」

『ん?』

「実は俺、承太郎さんに会ったら伝えようと思ったんスよ」

そう言って仗助は、すぐさまそれを伝えた。





 それは昨日の事であった。

学校から杜旺町に戻った時の事である。

同級生の広瀬康一と一緒に帰っていたのだが、途中でパトカーが走るのを見つけ、すぐにそれを追った。

着いた先のコンビニで、強盗事件が起こっており、男がナイフで女性店員を人質に取っていたのだ。

仗助の活躍により(この時彼は、強盗に髪を貶された怒りを露わにしていたが)、強盗はその場で確保された。

その際、強盗の口の中から、写真のスタンドが現れたのである。

『仗助、俺はずっとお前の事を観てるからな!』

スタンドはそう言って、排水溝へと逃げたのだった。





 仗助が電話に出ている最中の事である。

一人の牛乳屋が、自転車から降りようとしていた。

すると仗助の母・東方朋子は、すぐさま叫んだのだった。

「あ、牛乳屋さん! ちょっと待って――」

「え?」

しかし既に遅く、牛乳屋は何かを踏んだ様である。

「あちゃ〜、やっちゃった?」

「……みたいですね。 どうしたんですか?」

「それがね、たまに犬の散歩で此処の近くを通るオヤジがいんのよ。 そいつが犬のウンチを片付けずにこのまま放って置いてんのよ。 むかつくったらありゃしない」

「そうでしたか」

「靴、洗ってく?」

「お気遣いなく。 牛乳は此処に置いときますね、では」

それだけ言って牛乳屋は、自転車の方へと向かうが、

「ところでアナタ、何時もの牛乳屋さんじゃないわね?」

朋子のその問いに、途中で立ち止まる。

「……ええ、今日だけの臨時なんです」

「そう。 ところで、細かい事言うけど……この牛乳、蓋が破けてるわよ」

「あ、本当ですね。 すみません、気付かなくて」

新しい牛乳に取り替え、朋子に手渡す。

「では、失礼します」

「御苦労さま」

その後、彼は自転車で走り去るのだった。





 髪型をセットしながら、仗助は昨日の出来事を承太郎に話した。

「ですからね、そのスタンドは周りの人を襲わずに行っちまったんスよ」

『近くにアンジェロ――写真の男はいなかったか?』

「いや、いなかったッスね。 少なくても、俺の視界の中には」

『そうか……だが気を付けろ。 そのスタンドはパワーは低いが、遠隔操作が可能だ。 俺が来るまで無闇に蛇口の水を使った物は、絶対に喰ったり飲んだりするな。 勿論、シャワーにも便所にもな』

承太郎がそう言うと、思わず仗助が驚いてしまう。

「え!? 今からウチに来るんスか!? 拙いッスよ! まだお袋に、承太郎さんの事を話してないんスよ!」

『何ッ!?』

「実はウチのお袋、気の強い女なんスけど、ジョセフ・ジョースターの事は今でも愛してるみたいで、名前を聞くだけでも泣くんですよ。 だから、承太郎さんの顔を見たら、一発で孫だってバレますよ?」

そう言って恐る恐る、仗助は母の姿を窺う。

コーヒーを啜りながら、朋子はテーブルの上の写真を見る。

「仗助、この写真どうしたの?」

「え?」

それは昨日、仗助が承太郎から渡された写真である。

写真を見た瞬間、朋子はこんな事を言ったのだ。

だわ、知り合いだったの?」

「!?」

それを聞いた仗助は、母の口に目を向けた。

そこには……、

「ニヒヒヒ……」

昨日のスタンドが、口の中へと入る姿が目撃された。

すぐさま仗助は、整髪料の瓶を空にすると、

『もしもし。 仗助、どうした!?』

「遅かった。 今、コーヒーからお袋の口ん中に入ってくところが見えた!」

『何っ!? おい、仗助! 仗助!』

承太郎の声も無視し、母の元へと向かった。





「あ、仗助。 アンタもコーヒー飲む?」

「そうだな……ミルクと砂糖も入れてくんない?」

「えーと、ミルクと砂糖ね……」

朋子がミルクと砂糖を探そうと、背中を仗助に向けた。

まさにその時であった。

――ドンッ!

クレイジー・ダイヤモンドが瓶を持った拳で、彼女の体を貫いたのである。

同時に瓶を割り、そのまま拳を引っ込める。

勿論、能力で瓶も朋子の体も元通りになる。

「え〜と……仗助、ミルクと砂糖だっけ?」

「うん、ミルクと砂糖ね」

再び電話の方へと向かい、承太郎にこう伝えた。

「もしもし、承太郎さん? スタンド、捕まえたんスけど……コイツどうします?」

『何だと?』

これには承太郎も、電話越しで驚いたのだった。





『もしもし、承太郎さん? スタンド、捕まえたんスけど……コイツどうします?』

「何だと?」

仗助から写真のスタンドを捕まえたという報告を受け、承太郎は驚きを隠せなかった。

たった短時間で、相手のスタンドを捕獲したのである。

驚かないワケがない。

仗助の予想を越えた行動と判断力に、流石の承太郎も脱帽しそうであった。

「それでスタンドは?」

『瓶に閉じ込めてます』

「分かった。 俺が来るまでは、その瓶に目を放すなよ」

『了解ッス』

電話を切り、承太郎はすぐに準備を始める。

「やれやれ、とんでもねぇヤツだぜ」

準備を終え、玄関を開けると、

「やあ、承太郎」

赤い髪に緑の学ラン姿の少年が待っていた。

嘗て、エジプトを旅した仲間の一人『花京院典明』である。

「悪いな、突然呼びだして」

「構わないさ。 それで、アヴゥドゥルとポルナレフは?」

「写真の一件を話したら、早めの便でこっちに来るそうだ」

「そうか」

「問題はジジイなんだがな……」

「ジョースターさんも来るのかい?」

「浮気の件もあるからな」

「……聞かない事にするよ」

「そうしてくれ」

こうして二人は、スピードワゴン財団の車に乗り込んだのだった。





 魂郷町のとある図書館。

白野は現在、ある人物の資料を見ていた。

一緒に調べていたセイバーやキャスターも、資料に目を通している。

「(先輩の依頼とはいえ、この男の犯歴……調べるだけでも吐き気が湧いてくる)」

そう思いながら、写真の男に関する情報を思い出す。

男の名は片桐安十郎、別名は『アンジェロ』。

日本で最も凄まじい犯歴を持った、史上最低の殺人鬼である。

IQは160、最初に起こした事件は12歳の時であった。

12歳の時に強姦と強盗を犯して投獄。

それからも罪を犯し続け、青春の大半を獄中で過ごしてきた。

最後に逮捕されたのは、5年前の事である。

偶々出会った14歳の三人の少年を、その内二人を強姦殺人。

更に三人目が資産家の子供だとすると、すぐさま身代誘拐に変更する。

しかしそれがきっかけとなり、身代金を受け取る際に逮捕された。

この際に警官を一人刺殺している。

誘拐された少年は、局部を切り取られて殺害され、更に柱に張り付けられる形で発見された。

裁判による判決は死刑、後に絞首刑が執行された。

しかし、どういうワケか彼は生きていた為、死刑は延期となった。

そしてその直後、アンジェロは脱獄した。

アンジェロは投獄生活を34歳で約20年も過ごしている。

資料を呼んだ雪泉は、思わず背筋を震わせてしまう。

だが同時に、唯一の疑問が残った。

何故彼に、今頃になってスタンド能力が身についたのか?

白野は承太郎から、最初の事件から脱獄に至るまでのアンジェロの経緯を調べて欲しいと頼まれていたのである。

「(話しから推測すると、片桐安十郎アンジェロはがスタンド使いになったのは、恐らく最後の事件の逮捕から死刑の前日の間……)」

アンジェロの起こした事件の資料を一つずつ調べる彼女であったが、キャスターがある一枚の資料に目が映った。

「ん?」

それは、アンジェロが最初に捕まった事件である。

「えっ!? お主人様、コレを!」

「えっ?」

資料に目を通した瞬間、彼女達は驚きを隠せなかった。

「ま、まさか……そんな!?」





 その頃の東方家では、

「動くな、仗助」

「えっ!?」

「貴様、学校はどうした?」

TVゲームをする仗助の背後から、初老の男が銃口をこめかみに近付けた。

「じいちゃん! 拳銃を持ちこんでもいいのかよ!?」

男の名は東方良平、仗助の祖父で警察官である。

「良いから答えろ! 貴様、学校はどうした?」

「い、行くよ! コレから人が来るのを待ってんだよ!」

それを聞いた良平は、ニヤニヤと笑いだす。

「ニヒヒヒ……バカめ、引っ掛かったな? これ、モデルガンだよぉ〜ん。 見事に騙されたな? これで、今日の“ビビらせ賞”は貰ったな」

「ったく……」

ゲームを止め、テレビのチャンネルを切り替えると、

『次のニュースです。 今朝の6時頃、杜旺町公園にて、耳や目から血を流して死亡している遺体が発見されました。 この事件は、今回で7件目になっており……』

「何っ!?」

ニュースを観た仗助は、思わず瓶の中のスタンドに目を向ける。

すると良平の顔は、先程のお茶目さから真剣な表情に変わっていた。

「このニュースは、わしも既に知っておる。 わしにはどうも、犯罪のニオイがするんじゃ。 この町の何処かに、ヤバイ奴が潜んでおる気がするんじゃ」

「……じいちゃん」

警察官としての祖父の顔を見た仗助であったが、

「仗助、いるか?」

「あ、来た」

承太郎の声がしたので、すぐに窓の方へと向かった。






 承太郎と花京院が待っていると、窓から仗助が顔を出す。

「仗助、すぐに瓶を持って来てくれ。 人気が無い場所に運ぶぞ」

「了解ッス」

そう言って仗助は、すぐに瓶を取りに向かったのだった。

すると、承太郎の携帯電話が鳴り始め、

「もしもし」

彼はすぐに電話に出る。

『先輩、岸波です! 今、大丈夫!? 』

「どうした?」

電話の相手は白野で、何か慌てたような声であった。

『アンジェロがスタンド使いなった経緯は掴めなかったんですが、その代わりに大変な事が分かったの』

「大変な事?」

『彼が12歳の時に起こした最初の事件なんだけど……』

「ん?」

『その時に、彼を捕まえた警察官の名前が……東方良平――仗助のお爺さんだった!』

「!?」

この真実を聞いた承太郎は、驚愕を隠しきれなかった。

アンジェロとは無関係と思っていた仗助が、祖父の職業上で間接的に関わっていたのだ。

『私も今、仗助の自宅に向かってる! それと良平さんは、今日は夜勤明けで既に帰宅したって』

「くっ!」

「承太郎!?」

思わず承太郎と花京院は、すぐさま家の中へと入った。







 承太郎と花京院がリビングに入ると、

「「!?」」

そこには仗助と、耳や目から血を流す良平の姿があった。

「悪ィ、承太郎さん。 ウチのじいちゃんが、瓶の栓を開けちまった。 でも、心配ないッスよ! 俺のスタンドなら!!」

そう言って仗助は、クレイジー・ダイヤモンドで良平の体に手を添えた。

「よし、コレで大丈夫だ」

傷は治ったが、良平は目を覚まさなかった。

「!? お、おかしい……確かに傷は治ったはずだ! 俺のスタンドは傷を治せる! 子供の頃から何度もやってきた! ダチの骨折も治した事がある!」

思わず仗助は、祖父の胸倉を掴みだす。

「おい、じいちゃん! ふざけるとホントに怒るよ! 夜勤明けでホントに寝ちまったのか!? ビビらせ賞はもう良いって! じいちゃん、じいちゃん!」

そんな彼に対し、承太郎は優しく肩に手を置いた。

「……仗助」

「き、傷は完璧に――」

「………」

「っ!」

取り乱していた仗助であったが、承太郎の目を見て正気に戻る。

「人間は……何かを破壊して生きていると言っても良い生物だ。 その中でもお前のスタンドは、この世のどんな事よりも優しい。 だが……一度生命が終わったものは、二度と戻る事はない」

「……」

一度は沈黙した仗助であったが、ゆっくりと口を開いた。

「じいちゃんは警察官として、この町の平和を守っていた。 アンジェロの事件らしきニュースが流れた時、じいちゃんの顔は“町を守ってる男の顔”をしていた」

「アンジェロの殺しに動機はない。 ヤツにとって殺しは趣味みたいなもんだ。 だから必ず、この家を狙いに来るはずだ。 お前や、お前のオフクロさんを狙って…」

承太郎のその言葉に、仗助は決意を固めた顔で答える。

「俺がこの町とオフクロを護りますよ。 これ以上、ヤツの好きにはさせませんよ」

その目には、ジョースターの血統が見せる『黄金の精神』が宿っていた。






TO BE CONTINUED...

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