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魂郷学園 第20話:蒼き竜王のブレス
作者:亀鳥虎龍   2018/07/04(水) 23:21公開   ID:9BsFvYo5HnA
 魂郷町にある一軒の施設『カナリアホーム』。

逆廻十六夜が育った施設で、彼の実家的存在でもある。

「焔〜、いるか〜?」

「イザ兄、帰ったんなら「ただいま」って言えよ」

そう言って、金髪でネコミミのヘッドホンを着けた少年が呆れた。

彼の名は西郷焔。

十六夜と同じく、この施設の育ちで、彼にとっては弟分でもある。

「頼んでたもん、完成したか?」

「ああ。 ようやく出来たぞ」

「そんじゃ、アイツに届けるか」

焔が作った『ソレ』を手に取り、十六夜はニヤリと笑う。

果たして、焔が作ったモノとは?





―蒼き竜王のブレス―





 放課後の魂郷学園。

万事部の教室は、何時もメンバーが集まっていた。

但し、十六夜だけは来ていない。

「十六夜、来るのが遅い」

「逆廻さんの事や。 なんかドッキリでもするんちゃう?」

日影が無表情でそう言うと、その時であった。

「オーーーッス!」

「うおぉ!?」

いきなり十六夜が現れたのだ。

扉からではなく、当麻の背後の窓から。

「おまっ!? ここ3階だぞ!?」

因みに魂郷学園の校舎は、A舎とB舎の二つが渡り廊下でつながっている。

そして万事部の教室は、B舎の3階にあるのだ。

なのにも拘らず、十六夜は3階の窓から入って来ている。

恐るべき身体能力であった。







 メンバー全員がそろった万事部。

「てなワケで当麻、お前にプレゼント」

「はっ?」

首を傾げる当麻であったが、十六夜はバックを大きく開く。

すると何かが飛び出して来たのだ。

『クワー!』

それはドラゴンをモチーフにした、青い小型の自立行動メカであった。

「クローズドラゴンだ。 お前のお付け目役」

「いや、何で俺のお付け目役?」

「お前、結構危なっかしいからな」

「勝手に決めつけないで」

「あっ、そうだ」

「ん?」

何かを思い出したかのように、白野がこう言ったのだ。

「明日、予定ある?」






 ネブラの研究所には、地下にシュミレーションルームが設置されている。

そこには白野と神裂が立っていた。

「(どうして、こんな事に……)」

復旧したsmileで営業中でだったが、そんな彼女の元に森厳が現れたのだ。

曰く「ちょっと実験に手伝って欲しい」と言われたのである。

その内容が、岸波白野=仮面ライダービルドの鍛練であった。

「(しかし、彼女の実力はよく知っています。 手加減が出来るほどではない事も……)」

神裂は以前の戦いで、ハザードフォームの恐ろしさを肌で感じている。

だからこそ、自身に『殺し』を禁じている彼女でも、手加減できないと理解しているのだ。

『では、始めよう!』

控室からマイク越しで叫ぶ森厳。

彼の合図とともに、白野の強化特訓が始まった。

《ラビット! タンク! ベストマッチ!》

ボトルを装填し、レバーを回す白野。

《Are you ready?》

「変身」

そしてその場で、仮面ライダービルドへと変身したのだった。






 ビルドと神裂が駆け出し、二人は正面からぶつかり合う。

七天七刀とドリルクラッシャーが、激しく火花を散らす。

「くっ!」

しかし身体能力では、聖人である神裂の方が上。

ビルドは一度、後ろへと下がりながらボトルを装填する。

《ロック!》

レバーを回し、スナップライドビルダーを出現させ、

《Are you ready?》

「ビルドアップ!」

ハーフボディが変わったのであった。

右頭部と左上半身、そして右下半身が金色。

右目が南京錠を模しており、掛け金がアンテナになっている。

トライアルフォームのキーラビットにチェンジし、思いっきり左腕を突き出した。

すると鎖が出現し、神裂へと向かっていく。

「七閃」

しかし彼女も、簡単に鎖を切り払った。

「(ハザードトリガーとやらが無ければ、十分に私でも対応できる。 これなら……)」

勝利を確信した神裂であるが、ビルドは再びボトルを装填する。

《ドラゴン!》

次に挿し込んだのは、ドラゴンのボトルで、

《ドラゴン! ロック! ベストマッチ!》

その場でベストマッチになったのだ。

「当たった! よし!」

レバーを回し、ドライバーから『Are you ready?』の音声が鳴る。

「ビルドアップ!」

それによって、新たなベストマッチが誕生した。

左頭部と右上半身、左下半身が紺色。

左目はドラゴンの横顔で、角がアンテナになっている。

《封印のファンタジスタ! キードラゴン! イェーイ!》

「さあ、実験を始めようか」

ドラゴンと錠前のベストマッチ、キードラゴンへとチェンジしたのだった。






 新たなベストマッチを手に入れ、ビルドは一気に駆けだした。

「七閃!」

神裂は七閃を放つが、ビルドは左手から蒼い炎を放つ。

鋼線は焼き払われ、コレを見た神裂は驚く。

「なっ!?」

その一瞬を突き、ビルドの反撃が始まった。

「ウオォォォォ!」

蒼い炎を纏った拳が、神裂の腹部に直撃したのだ。

ドガァ!という衝撃音が、彼女の全身に伝わっていく。

「うぐっ――」

勿論、ビルドの猛攻は止まらない。

そのままパンチの連打を、何度も叩き込んだ。

「はぁぁぁぁぁ……ハァ!」

最後の一撃が決まり、神裂はそのまま吹き飛ばされてしまう。

「がはっ!」

立ちあがった神裂であったが、立っているのが精一杯だった。

「勝利の法則は、決まった!」

レバーを回し、ビルドは必殺技を発動させる。

《Ready Go! ボルテックフィニッシュ!》

左腕から射出した鎖が、神裂の体を拘束。

「でやぁぁぁぁ!」

そして左手から、蒼い火炎弾を放ったのだ。

「ぐあぁぁぁぁ!」

コレを喰らった神裂は、そのまま吹き飛ばされてしまった。

神裂は見誤っていたのだ。

ハザードフォームに気を付ければ勝てる……そう考えたのが、彼女の最大の敗因だった。

仮面ライダービルドの本領は、ハザードフォームの恐ろしさではない。

ベストマッチフォームとトライアルフォームを使い分け、そこから勝機を見出す汎用性の高さなのである。






 神裂は深くため息を吐いてしまう。

「まさか、あんな奥の手がったなんて」

特訓とはいえ、一方的に追い詰められてしまうとは思ってもみなかったのだ。

そんな中、白野のビルドフォンが鳴りだす。

「もしもし?」

電話に出ると、聞き覚えのある声が聞こえた。

『よう、元気か?』

「っ!? スターク!?」

「!?」

『驚くなよ。 今から面白い話をしてやろうと思ってんだぜ』

「なんなの?」

『お前等が特訓中の間、ドーパントが暴れてるぜ』

「なっ!? 何で私が特訓してるのを知ってるの!?」

『じゃあ、頑張れよ。 チャオ♪』

プツンと電話が切れ、スタークの声は途切れる。

「くっ!」

すぐさま白野は、研究所を後にしたのだった。







 魂郷町の街中、人々が逃げ回っていた。

「うあァァァァ!」

「きゃぁぁぁ!」

そこには軍服を着た人型ロボットが、人々を襲っていたのだ。

彼等(?)はガーディアンと呼ばれ、ファウストが操るアンドロイドである。

街に着いた白野は、すぐさまドライバーへとボトルを装填し、

《タカ! ガトリング! ベストマッチ!》

仮面ライダービルドへと変身したのだった。

《Are you ready?》

「変身!」

《天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェーイ!》

「はぁっ!」

ホークガトリンガーとドリルクラッシャー・ガンモードの二丁拳銃で、ガーディアン達を一掃する。

「くっ! 数が減らない!」

すると、その時だった。

「流石はビルドだ」

「!?」

黒いスーツの男が、不敵な笑みを見せたのだ。

男はガイアメモリを手に取ると、それを手の甲に挿しこむ。

《コックローチ》

すると男の体は、ゴキブリを人型にした様な姿の怪人へと変貌した。

『ゴキブリの記憶』を宿す、コックローチ・ドーパントである。

「文字通り、害虫退治ね」

そう言ってビルドは、銃口を向けたのだった。






 無数の弾丸を放つビルドであったが、コックローチは高速で走り出す。

「うそっ!?」

メモリの名の通り、ゴキブリの素早さを体現させた動きだ。

コックローチは懐に飛び込むと、その場で一撃を叩き込む。

「おらっ!」

「ぐっ! だったら!」

《ドラゴン! ロック! ベストマッチ!》

不利を感じたビルドは、ボトルを装填し、

《Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《封印のファンタジスタ! キードラゴン! イェーイ!》

キードラゴンフォームへと姿を変えたのだ。

ドラゴンフルボトルの強大な力で、ロックローチを追い詰める。

「くっ!」

「よし、これなら!」

勝利を確信したビルドであったが、まさにその時だった。

バチィ!と、スパークが奔りだしたのだ。

「ぐあぁぁぁぁ!」

あまりの激痛に、変身が強制解除してしまう。

「まさか…変身が解けるなんて……」

ベストマッチの中で、強力なスペックを持つキードラゴンフォーム。

しかしドラゴンフルボトルのパワーが強過ぎてしまい、ロックフルボトルでも制御しきれなかったのだ。

神裂との特訓の際は、彼女の油断と短時間の戦闘で勝負を決する事が出来た。

だが今度は、制御できる時間が短くなっていたのだ。

「ハッ! 仮面ライダーも変身できなきゃ、ただのガキだな!」

そう言ってコックローチは、白野の顔を蹴り飛ばす。

「うぐっ!」

「どうした! 俺を倒すんじゃなかったのかよ!」

何度も踏みつけるコックローチに、白野は抵抗できなかった。

まさにその時である。

「岸波ぃ!」

後から駆けつけた上条当麻が、息を切らしながら現れたのだ。

「テメェ、岸波から離れやがれ!」






 地を蹴り、コックローチに殴りかかった当麻。

「おっと」

だが素早く避けられ、空振りになってしまう。

「このっ!」

再び殴りかかったが、今度は拳を受け止められ、

「遅ぇんだよ!」

「ぐっ!」

そのまま殴り返されてしまう。

「くそっ!」

「はっ! テメェがどんなに強かろうが、俺達ファウストには勝てねぇんだよ!」

嘲笑うコックローチに対し、当麻は立ちあがりながら叫んだ。

「だったら…その幻想を、俺がぶち殺す!」

すると、クローズドラゴンが現れ、

『クワー』

何かを伝えるかのように鳴いた。

そんな中、十六夜達が現れる。

「岸波ぃ! ドラゴンボトルを当麻に渡せ!」

「っ!?」

十六夜の叫びに、白野はドラゴンフルボトルを当麻に投げた。

受け止めた当麻は、反射的に受けとったのである。

「ついでにコイツもだ!」

更に十六夜が、あるものを当麻に投げた。

「んが!」

顔面に当たり、それは地面に落ちる。

落ちたのはなんと、ビルドドライバーだった。





 困惑した当麻であったが、再び十六夜が叫ぶ。

「ボトルをクローズドラゴンに付けて、ドライバーに装填しろ!」

「……ああ!」

当麻は言われた通り、変形させたクローズドラゴンにボトルを装填させ、

《クローズドラゴン!》

腰に着けたビルドドライバーに装填したのだ。

レバーを回すと、スナップライドビルダーが出現し、

《Are you ready?》

「変身!」

前後のハーフボディが、彼を挟みこむように接合した。

見た目の一瞬は、全体がドラゴンハーフボディのビルド。

だがここから、大きく変わりだした。

《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON! Yeah!》

胸部・左腕・右太腿には金色のファイヤーパターンが刻まれた装甲、頭部には龍の顔を模った意匠が施されている。

コレを見た十六夜は、とても嬉しそうに笑う。

「やっぱ天才だぜ、ウチの弟分ブラザーは」

ドラゴンフルボトルのみで、二本分の装甲ハーフボディ交差クロスさせて纏った姿。

蒼き龍戦士、『仮面ライダークローズ』が誕生したのだ。





 飛び掛かったクローズは、コックローチを殴りつける。

蒼い炎を纏った拳が、凄まじい爆発力を見せ、

「おらぁ!」

コックローチを容赦なく吹き飛ばした。

「ぐぎゃぁぁぁぁ! なんだ、この火力はぁぁぁ!?」

先程まで余裕を見せていたコックローチであったが、クローズの強さを前に焦りを見せてしまう。

「くそっ!」

得意の素早さで翻弄しようとしたが、クローズからあるものが召喚される。

それは蒼い炎で構成された、龍の姿のエネルギー体『クローズドラゴン・ブレイズ』だった。

「ぐがああああ!」

ブレイズの攻撃を喰らい、コックローチは再び吹き飛ばされてしまう。

「言っただろ、「お前の幻想をブチ殺す」って。 今の俺は……」

レバーを回し、クローズは必殺技を発動させた。

負ける気がしねぇ!

《Ready Go!ドラゴニックフィニッシュ!》

背後に出現したクローズドラゴン・ブレイズの吐く炎に乗り、蒼炎を纏った右脚でボレーキックを叩き込んだ。

「おりゃぁぁぁぁ!」

必殺技『ドラゴニックフィニッシュ』が決まり、コックローチはその場で爆散した。

「ギャァァァァ!」

男は元の姿に戻り、メモリもその場で砕けたのである。

「よっしゃ!」

こうして、新たな仮面ライダーが誕生したのであった。





 後日談――というよりは、今回のオチ。

「と言うワケで当麻。 仮面ライダーの変身デビュー、おめでとう!」

パーンとクラッカーを鳴らす十六夜に、当麻はジト目で彼を見る。

「いや、「おめでとう!」じゃないでしょ!?」

「まあまあ、気にすんなよ。 ほれ、俺の奢りだ。 たらふく食おうぜ」

「やれやれ。 十六夜のペースに巻き込まれたって感じだぜ」

「せやな」

「同感」

こうして万事部メンバーは、smileで当麻のライダーデビューを祝ったのであった。






 時は過ぎ、深夜の警察病院では、

「くそっ……」

コックローチの変身者だった男は、ベッドの上で奥歯を噛み締めていた。

「あのガキ、必ずぶっ殺してやろる」

クローズ……当麻への恨みを晴らそうと誓うのだが、その時である。

「悪いが、それは無理な話だ」

「っ!? スタークの旦那!」

どこから入って来たのか、ブラッドスタークが現れたのだ。

「悪いが、お前はここで終わり……ゲームセットだ」

「えっ?」

スタークは蛇の尾の様な触手を腕から伸ばすと、男の首筋に突き刺す。

「!!?」

その瞬間、男が苦しみ始めたのだ。

「あ――がぁぁぁぁ!」

「それじゃ、俺は失礼するぜ。 チャオ♪」

スタークが姿を消すと、男は数分後に消滅したのだった。

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■作者からのメッセージ
 というワケで、クローズは当麻が変身することになりました。

理由はこんな感じです。

上条当麻→竜王の顎(ドラゴンストライク)→ドラゴン→ドラゴンフルボトル→クローズ

銀時「どんな連想ゲーム!?」
テキストサイズ:10k

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