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魂郷学園 第24話:嘘【うそにはうそを】
作者:亀鳥虎龍   2018/07/18(水) 22:51公開   ID:CUGywFsC2NE
 前回のあらすじ。

ノワールから、“ジミー村田の合格の裏を探って欲しい”という依頼を受けた万事部一行。

調査の結果、ジミーのファンの沙耶子が『電波塔の道化師』とよばれる詐欺師に頼んだ不正だと判明。

しかし頃合いを見た『電波塔の道化師』ことライアー・ドーパントは、ジミーを沙耶子やビルド達の元へ呼びだし、

「嘘は、お前の合格の方だ」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」

彼を絶望のどん底へと叩き落としたのだった。







―嘘【うそにはうそを】―







「うっ…うう……」

絶望の涙を流すジミーに対し、

「ククク…いい色だ。 青春挫折の色だ…」

ライアーは紙でその涙を拭き取る。

過去の詐欺で若者達を絶望させ、そして挫折させたライアー・ドーパント。

そして最後にその涙を、紙で拭って記念にする。

この行為こそが、彼の真の目的だった。

「…許せない!」

ドリルクラッシャーを構えるビルドであったが、

「“仮面ライダーWが、ドーパント”だ!」

ライアーが放った針の『ライニードル』が、先に撃ち込まれてしまった。

「おっと、危うくドーパントを逃がすところだったわ」

ビルドはWに切っ先を向け、それを見たライアーは逃げようとする。

「ちょっと待て! 俺は味方だ!」

『無駄ですよ、ジーク君! 今の彼女は、ライアーの“嘘”を信じてますから!』

叫ぶWであったが、Wはライニードルの効果で聞く耳を持たなかった。

「逃がすか!」

クローズがライアーを追うが、再びライアーが攻撃を仕掛ける。

「“私はお前のご主人様だ”!」

ライニードルが放たれ、クローズは反射的に右手で防いだ。

「バカめ! 喰らったな! さあ、行け! 仮面ライダーをやっつけるのだ――」

「誰がテメェの命令なんか聞くかぁ!」

勝利を確信したライアーであったが、クローズの右ストレートパンチを喰らってしまった。

「ぶへぇ!」

ライアーを殴り飛ばし、そのまま捕獲しようとするクローズ。

「よし、このまま--」

だが、偶然バナナの皮を踏んでしまい、

「んが!」

盛大に転んでしまったのである。

「ま、マヌケな奴で助かった……しかし、何で私の能力が効かなかったんだ?」

そう思いながらも、ライアーはそのまま逃走したのだった。

ライアーが姿を消した事により、ライニードルの効力は消え、

「あれ…何で私?」

ビルドは正気に戻ったのである。

一方で当麻は、一枚の紙の切れ端を拾い上げる。

「何だこれ?」

恐らく、ライアーが落としたものだろう。

だがその時、ジミーの姿は見当たらなかった。






 沙耶子を坂本探偵事務所に連れ、彼女を落ち着かせる白野達。

そして沙耶子は、初めてジミーとの出会いを話した。

「何も楽しみのない人生、そんな繰り返しを続けていた私に、元気をくれたのがジミー君だった。 歌は最悪だったけど、それでも必死で歌う彼を見て、何だか元気が出た気がしたの。 それ以降、私はジミー君に惹かれた」

「そうだったんですか」

「今度は私が、ジミー君の為に何かしてあげたいと思った。 彼の夢を叶えてあげたいと思った」

「それで、あのドーパントに不正合格を依頼したんですね?」

ネウロが尋ねると、沙耶子もコクリと頷く。

「突然「力を貸してやる」と声を掛けて……私、何か間違った事したのかな?」

そんな彼女に対し、弥子がこう言ったのである。

「“夢”は自分の力で叶えるからこそ、本当の達成感を得られるものなんです。 応援するのはまだ良い…。 けど、度の過ぎた行為は、その人の心を傷つけてしまう。 あのドーパントにとって、アナタはジミーさんを絶望させるためのどうぐだったかもしれない。 それでもアナタのした事は、ドーパントの犯罪に加担した事と同じなんです」

「!?」

「ジミーさんはアナタの玩具じゃない、一人の人間なんです」

「う…うぅっ……」

この言葉に自分の過ちを思い知った沙耶子は、再び泣き崩れたのだった。






 隣の部屋では、ジークが初めてライアーと戦った時の事を思い出す。

「最初の戦いで、俺はあの針を二度刺された。 だから攻撃は当たらず、メモリも偽物だった」

「恐らく身体能力自体は高くないが、能力自体は相当厄介なタイプだね」

既にライニードルの恐ろしさを思い知っている為、白野も背筋を凍らせてしまう。

「ジミーっち、大丈夫か? あの落ち込みよう…自殺とかしねぇよな?」

姿を消したジミーを案じるうずめであったが、

「それはないな。 ああいう奴は、形から入るタイプだからな。 そう言うヤツに限って、挫折したら小波海岸か川辺が基本だろうよ」

それだけ言うと、十六夜は自分で納得していた。






 翌日、とある海辺にて、

「サヨナラ、僕の青春……」

ギターを手にしながら、小さく呟くジミー。

「飲む?」

「えっ?」

すると白野が現れ、缶コーヒーを差し出してくる。

「どうしてここが?」

「街の人に聞きこみしたら、此処に辿りついた」

コーヒーを受け取ったジミーであったが、とても暗い顔をしていた。

「コレからどうするの?」

「え?」

「オーディション。 まさか出ないつもりじゃないでしょうね?」

「…歌は、やめます」

「何で?」

「必死で得た合格も、全部ウソだった。 それどころか、支えてくれたファンにも裏切られた……」

全てが嘘だと知り、絶望を味わったジミー。

そんな彼に対し、白野は渋った顔を見せる。

「…確かに沙耶子さんのした事は、本来なら許せない事だと思う」

「………」

「けど…彼女も彼女なりに、アナタの為を思ってやったことなのよ」

「………」

「アナタの合格は嘘だった。 コレだけは否定できない。 だけど、沙耶子さんがアナタのファンとして、必死で支えていた。 コレだけは嘘じゃない筈」

「………」

最後に彼女は、ゆっくりと立ち上がり、

「“全てを捨てて現実から逃げる”か、“夢を諦めずに前を突き進む”か……、それはあなた次第よ」

そう言って立ち去るのだった。







「それにしても、敵の正体が判明したのに、ここまで手こずるのは初めてだな」

ライアーの正体を推理するネウロであるが、手掛かりが一つも出なかった。

すると当麻が、あるものを取り出す。

「じゃあ、和紙はどうだ?」

「ほう、何故こんなモノが?」

「あのドーパントが、ジミーさんの涙を紙で拭ったのを思い出したんだ。 コレと同じ材質の和紙って、見つかるか?」

「フム…和紙を使った職業は限られてる。 特にそれは色紙に使われるものだ」

「和紙…特に色紙を使った職業……あっ!」

その瞬間、日影の脳裏にある人物の顔が浮かんだ。

「詩人の澤田サチオさん。 あの人、職業柄で色紙を使ってるで。 公園で一回会っとる」

遂にライアーの正体に辿りつき、十六夜は白野に連絡するのであった。







 十六夜からの連絡を受け、白野は西公園に向う。

「しまった、逃げられた!」

しかし既に遅く、彼の姿は見当たらなかい。

因みに彼が良くいた場所には、『お疲れさまでした』と書かれた色紙が置かれていた。

「もしもし、十六夜。 ゴメン、逃げられた!」






 白野からの連絡を受け、十六夜はそれをみんなに伝える。

「逃げられた」

「そんな…折角辿りついたのに……」

悔しがる当麻であったが、ジークが思わず呟く。

「“がんばレールガン”……」

「えっ?」

その言葉を聞き、当麻はすぐさま反応した。

「それ、ライアーが言った台詞か?」

「ああ、最初の戦いの時に…」

「その台詞…確か……」

手掛かりを得た当麻は、すぐさま電話を取る。







 学園都市にあるテレビスタジオ。

「お疲れさまでーす」

「お疲れ様」

短めの茶髪に、制服姿の少女。

彼女の名は『御坂美琴』。

学園都市に7人しかいない『超能力者レベル5』の第3位。

彼女は現在、ある計画に参加していた。

その名は、“絶対偶像進化ミラクルアイドリゼーション計画”。

超能力者レベル5を始め、アイドルや歌手…そしてモデル志望の若者達をデビューさせ、ファンの力で更なる進化を促す計画である。

収録を終えた御坂は一人、控室で休んでいた。

「ん?」

すると携帯電話が鳴り始めたので、すぐさま自身の耳に当てる。

「もしもし」

『あっ、御坂か?』

「っ!? アンタは!?」

電話の相手は、上条当麻。

「どうしたの、急に電話なんて!? 『外』の学校に転校したって聞いたから!」

『あの〜、御坂さん。 言いたい事は聞きますんで、頼んでも良いですか?』








 その頃、魂郷町のどこか。

「クククク……いい仕事だった。 “電波塔の道化師”は、暫く休業だな」

そう言ってサチオは、あるものを眺める。

ジミーを始め、今まで絶望させた若者達の涙を拭い取った和紙のコレクション。

これが、電波塔の道化師の本性である。

そんな彼であったが、ひそかに楽しみにしているラジオ番組があった。

『こんにちは! 今日も、がんばレールガン! 御坂美琴のラジオdeトーク!』

それは人気アイドル、御坂美琴がパーソナリティを務める番組である。

『実は皆さんに、重要なお話があります! 実は私、今度の月曜日に……』

だがここで、サチオはとんでもない話を聞く事になる。

『あの“電波塔の道化師”さんに、会う事が決まりましたぁ! 場所は学園都市第7学区のインサルトビルです!』

「そうかそうか――って、何ィィィ!?」

それは御坂が、“電波塔の道化師”に会うという情報であった。

しかしサチオは、絶対あり得ないと感じる。

何故なら、彼自身が“電波塔の道化師”なのだから。








 そして当日の月曜日。

御坂と思いしき女性が、マネージャーと車に乗る。

それを目にしたサチオは……、

「ええい! 何処のどいつかは知らんが、私の呼び名を騙って美琴ちゃんに会うとは、不届き者め!」

苛立ちを感じながら、自家用車で尾行を開始する。

その最中、手の生体コネクタにメモリを挿入し、

「見てろよ偽物めぇ〜」

《ライアー》

ライアー・ドーパントへと変身した。

ルカが車から降りると、ライアーもコッソリと後をつける。

そしてビルの中へと入ると、ルカは舞台会場に足を運んでいた。

すると舞台袖から……、

「ハロー!美琴ちゃん!電波塔の道化師だよ〜ん!」

自称『電波塔の道化師』が現れたのである。

「なんだあのアホみたいな恰好は?」

しかしそれは、どうみてもアホじゃないかと言いたくなるような格好だ。

ピエロ云々も敵わないくらいの間抜け極まる服装とメイク。

しかも歩く度にギャグ漫画みたいな足音までする始末。

「叶えたい夢は、なにかな?教えてよ〜!」

自称電波塔の道化師に、美琴は少し口元を笑わせる。

「ポエムも書いてあげるよ!…いまいち、街の皆には、評判悪いんだけどね」

「こ、この野郎…!」

自分のことをバカにされ、ライアーは腹を煮えくりかえらせる。

「詩集も出てるんだ。 全ッ然、売れなかったけどね」

「いい加減にしろ! あんなもんでもな、一生懸命書いたんだよ! 美琴ちゃん、聞いてくれ。俺が、俺が本物の――」

偽物に対して苛立ちを隠しきれず、ライアーは直に反論に向かうが、

「うわっ!」

その時彼に、スポットライトが浴びせられた。







 舞台裏から足音が聞こえ、

「ようやく来たわね…電波塔の道化師!」

「見事に騙されたな」

そのまま、白野とジークが姿を見せる。

「お疲れ、見事な演技だったわよ」

当麻が肩に手を置くと、偽電波塔の道化師はメイクを拭い取った。

「全くじゃ。 何で儂がこんな恰好を…」

その正体はマギルゥで、彼女は先程までの自身の演技でヘトヘトになっている。

更にそのまま弥子とネウロ、そしてうずめやジャンヌ達も現れた。

しかも全員、スーツにサングラス姿である。

コレを見たライアーはようやく、自分が罠に嵌められた事に気付いたのだ。

「貴様等、まさか罠を!?」

「その通り。アナタがうっかり、御坂美琴さんのリスナーである証拠を残したお蔭よ。 ライアー・ドーパント…いえ、澤田サチオ!」

「目には目を、歯に歯を……そして嘘には嘘って事だね」

不敵な笑みを見せる龍馬に、ライアーは奥歯を噛み締める。

「そんな罠に、美琴ちゃんが協力を? おのれェ…!」

ライアーは怒って御坂に襲いかかろうとするも、彼女は足を引っかけた後に回し蹴りを喰らわせた。

「アンタは馬鹿か? 本物にこんな危ない橋、渡らせるわけないやろ?」

「き、貴様は?」

「彼女の協力は、ラジオだけや」

そう言って日影が、本来の姿を見せたのである。






 完全に騙された事を知り、ライアーは怒りを爆発させる。

「よくも騙したなぁ〜……許さぁぁぁん!」

「それはこっちの台詞だよ。 騙される側の気持ちにもなりなさい」

しかし怒りが爆発なのは、白野達も同じである。

白野と当麻、ジークとジャンヌ、そしてうずめが舞台に並ぶと、

「そんじゃ、行くわよ。 準備は良い?」

「おう!」

「勿論だ」

「ええ」

「今度こそ、カタをつけるぜ!」

《ラビット! タンク! ベストマッチ!》

《クローズドラゴン!》

《CYCLONE》

《JOKER》

《ACCEL》

《Are you ready?》

「「「「変身!」」」」

「変……身!」

《ACCEL》

《ウェイクアップバーニング! ゲットクローズドラゴン! イェーイ!》

うずめは仮面ライダーアクセル、当麻は仮面ライダークローズ、

《CYCLONE・JOKER》

《鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イェーイ!》

ジークとジャンヌは仮面ライダーW、そして白野は仮面ライダービルドへと変身する。

「さあ、振り切るぜ!」

「負ける気がしねぇぜ!」

「『さあ、お前の罪を数えろ!』」

「さあ、実験を始めようか」

4人の仮面ライダーが今ここに、ライアーと激突するのだった。

「くそっ!」

ライアーはすぐさま外へ逃げるが、ライダー達はもすぐに追いかける。

そんな中、日影はある事に気付く。

「あれ、ネウロさんは?」

それは、一緒にいた筈のネウロがいない事である。

しかしそれを知っているのは、相棒の弥子だけだった。







 ミュージックアイドルの収録現場では、ジミーが来ない事に戸惑う人達がいた。

「さあ、どうしたのでしょう? 話題のジミー村田が姿を見せません。 審査員達は困惑しております」

司会がそう述べている間にも、観客達からはジミーへの不満の声がでている。

観客席に居た沙耶子は、

「(私…なんで来ちゃったんだろう…)」

そんな自問自答に答えなど出るわけもなく、帰ろうとしたときに他の観客達の騒ぎ始めた。

「現れました、ジミー中田!」

ジミーは急いできたためか、荒息をついていた。

「ジミー村田です。 …愛を籠めて、歌います。 僕を信じてくれた…たった一人の為に…」

ジミーの視線は間違いなく、一人のファンに向かっていた。








 一方ビルの屋上で、ライダー達がライアーとの戦いを繰り広げていた。

《METAL》

戦いの最中、Wは銀色のメモリをドライバーの左スロットに挿入。

《CYCLONE・METAL》

『闘士の記憶』を宿したメタルメモリを使い、左半身を銀色に変える。

サイクロンメタルに姿を変えたWは、武器の『メタルシャフト』にあるものを合体させた。

それは自身が持つメモリガジェットの一つで、腕時計にもなるクモ型ガジェット『スパイダーショック』である。

《SPIDER》

Wがその状態でメタルシャフトを振ると、鋼のワイヤーが風に乗ってライアーの口に巻きついた。

これで嘘の針を飛ばす、ライニードルを封じたのだ。

「これで、自慢の針は使えない」

「このままジミーさんの怒りも、たっぷりお見舞いしてやる!」

ライダーを4人も相手にし、その猛攻を喰らうライアーであったが、

「こうなったら、無敵の必殺技!」

「「なっ!?」」

この言葉にWとアクセルも、すぐさまそれに警戒する。

「な〜んてね、嘘だよォ〜ん!」

そう言ってライアーは、手に持った『ライスピークス』という武器から光弾を発射。

「しまっ――うわぁぁ!」

光弾を喰らったWは、そのまま屋上から落ちてしまったが、

「マズイっ!」

アクセルがバイクフォームになり、そのまま垂直に走り出す。

そして追い付いたと同時に、Wを背中に乗せた。

「よしっ! このまま振り切るぜ!」

「ああ! いくぞ!」

「くっ! おのれ!」

ライアーはすぐさま撃ち落とそうとしたが、

「俺達を……」

「忘れないでよね」

「へっ?」

後ろからビルドとクローズが、左右から肩を掴んだのである。

「おらっ!」

「てや!」

「ぐげっ!?」

二人の鉄拳によって、体勢を崩されたライアー。

《TRIGGER》

《CYCLONE・TRIGGER》

そのままWは、サイクロントリガーへとチェンジする。

「喰らえ!」

トリガーマグナムから風の弾丸が放たれ、ライアーは更にダメージを負わされた。

《JOKER》

《CYCLONE・JOKER》

再びサイクロンジョーカーにチェンジしたWは、

『メモリブレイクです、ジーク君!』

「ああ、コレで決まりだ」

「いくぜ!」

アクセルの車輪の回転を利用し、空高く跳躍する。

《JOKER・MAXIMUM DRIVE》

「『ジョーカーエクストリーム!』」

「しまっ――グアァァァァァァァ!」

Wとアクセルの合体技『ジョーカーエクストリーム・ダブル』を喰らったライアーは、大きくふっとばされてメモリブレイクされたのだった。








 ライダー達が地上に来た時には、

「う…うあぁぁぁ……」

サチオが自身の涙で、地面に落ちた和紙を濡らしていた姿が見えた。

夢を追う若者の理想を挫折させ、流させて得た涙を収集してきた“電波塔の道化師”。

最後は自身の涙をコレクションに加えるという、自業自得と呼べる光景を見せたである。

すると、彼等の背後からネウロが現れた。

「脳噛さん?」

「御苦労、見事な戦いぶりだった。」

今までとは違う雰囲気を見せるネウロに、思わずゴクリと唾を飲む。

「その戦いぶりに敬意を表し、我が輩の正体を見せてやろう」

魔人としての姿となったネウロに、遂に驚きを隠せなかった。

「『謎』が敗北感によって挫けた時、高密度のエネルギーが宿主から放出される。 これこそが…魔界からやってきた我が輩にとって、何物にも代え難い食糧なのだ。 …では、いただきますッ!」

そしてネウロは、この『謎』を喰らったのである。







 その頃、ミュージックアイドルの収録現場では、

「正直に言って、酷いの一言だよ。 工事現場の音の方が、遥かに心地良い。 …人生最悪の歌だ!」

「私も今まで、これが良いと思っていた理由が分からない」

審査員達はジミーの歌に酷評を下すも…、

「でも…ハートは感じたよ」

「同感。 そこはイケてた!」

「気持ちのある若者を、我々は見捨てない。 また会おう、ジミー」

最後に意外な評価を付けたしたのだ。

「ん〜、残念。 しかしね、私にも伝わってきましたよ。 ジミーの熱い気持ちが。 今回はね、逃してしまいましたが、また次回ね。 トンデモないスティックを引っさげてやってくることを、私は期待満々で待っております…」

疎らな拍手の中、ジミーはたった一人のファンの姿を客席にないかを見渡す。

しかし見つけることができず、セットの裏に入って行った。

「ジミー君!」

するとたった一人のファン…沙耶子は客席ではなく、舞台裏にいた。

「今日、初めて気づいたわ。これって…ラブソングだったのね」

「…遅いよ。 …ファンのくせに」

CDデビューは叶わなかったが、彼はそれ以上に大切なものを手に入れたのだった。








 こうして、事件は無事に解決した。

ネウロの正体を知った一行は、無言で顔を青ざめる。

対照的に十六夜や白野は、好奇心で興味を示していた。

そんな彼女達に、複雑な顔をしたマギルゥ。

「(うわぁ〜…何だか、カオスな光景だな)」

見慣れている為、弥子は呆れた顔をしたのだった。

因みに番組関係者の口利きがきっかけで、ノワールはCDデビューを果たすのである。

一方でsmileの方では、店内が大騒ぎになっていた。

「見て下さい、これ!」

エレノアが一冊の週刊誌のページを広げ、それをアイゼンや神裂達に見せる。

そのページには『謎の美女シンガー現る!』という記事が書かれており、熱唱するベルベットの写真が載せられていた。

あの一件の事を知られ、ベルベット本人は顔を真っ赤にしてしまう。

「もう、十六夜の誘いなんか乗るか……」

この記事が載せられて以降、smileは大繁盛したとの事である。

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■作者からのメッセージ
セイバー「そういえば、我らの出番がないような……」

アーチャー「言うな、セイバー」
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