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魂郷学園 第28話:狩【ハンティング】
作者:亀鳥虎龍   2018/07/22(日) 15:24公開   ID:CUGywFsC2NE
「仗助、コレから狩りハンティングに行く」

「はぁ?」

「一緒に来てくれ」

杜王町にて、承太郎から突然の誘いを受けた仗助。

「ま、待って下さい承太郎さん! それって……」

「ん?」

「ナイスバディのお姉ちゃんを捕まえるハンティングっスか? 俺、けっこう純愛タイプだから、得意じゃないんスよぉ〜」

どうやらナンパと思い込んでいる様子であるが、神裂は内心で呟く。

「(いや……明らかにそれは無いですね)」

承太郎の真意が分からない、たまにそう思う彼女であった。





―狩【ハンティング】―





 皆を誘った理由について、承太郎は遂に口を開いた。

音石おといしあきらが、自白した」

「音石?」

音石明…電気をエネルギーにする『レッド・ホット・チリペッパー』のスタンド使い。

彼は自身をスタンド使いにした虹村形兆を殺害し、彼から『弓と矢』を奪い去る。

更に仗助達がジョセフを助っ人にしようとすると、即座にジョセフの暗殺を実行。

しかし彼等の活躍により、音石は倒されてしまう。

スタンド能力による殺人は裁判では有罪に出来なかったが、窃盗罪で警察に捕まる事となった。

その音石が、スピードワゴン財団の尋問で白状したのだ。

「奴は自分の正体が我々に気付かれるのを恐れ、例の『弓と矢』で一匹のネズミを射抜いたそうだ」

「えっ!?」

「鼠ですか!?」

「ああ。 しかもそのネズミは……体を射られても死なず、もがきながら自力で『矢』から脱出し……逃げ去ったそうだ」

「ま、待って下さい! 『矢』を射られても死ななかったって事は…その鼠は……」

「そうだ。 間違いなくその鼠は、スタンド使いになった可能性が高い。 どんなスタンドであるかは分からんが、『食う』・『寝る』・『子を産む』の3つしかない鼠だ。 何かが起こる前に『狩ら』なきゃならない」

狩りハンティングって事は…その鼠、殺すって事ですか!?」

神裂が問うと、承太郎は迷わずに首を縦に振る。

「出来れば生け捕りにしたいが、相手は人間じゃないからな。 出方次第…どうなるかは分からん」

こうして仗助達は、承太郎とともに狩りに行くのであった。






 杜王町の南側にある農業用水路。

音石明は、そこで鼠を射ぬいたそうである。

現場へ向かい途中、承太郎は園田地帯で止まると、

「狩りをする前に仗助、お前にはコイツをやって貰う」

ショルダーバックの中から、空き缶とベアリング弾の入った箱を取り出す。

柵の上に空き缶を置き、役2メートル以上離れると、ベアリング弾を二つほど手に持つ。

そして星の白金スタープラチナでベアリングを弾くと、空き缶は撃ち抜かれながら吹き飛んだ。

「凄い……」

「カッピョイイー!」

「コイツを飛ばせば、拳銃やライフル弾までとは行かないが、距離20メートルまでなら穴をあけられる。 当然だが、ベアリングではスタンドは攻撃できない。 あくまで『本体』を倒す時だけだ」

すると承太郎は、ベアリングを仗助に手渡す。

「次はお前だ」

「えっ、俺もッスか? でも俺、自信が無いっスよ。 ボールを投げる時、邪念が入るタイプなんで…」

ベアリングを構え、仗助もクレイジー・ダイヤモンドで2発飛ばした。

一発目は確実に当たったが、二発目は柵に当たってしまう。

「おお〜、二発目惜しい!」

「ふむ、まあまってところだ。 85点だな。 だが二人とも、追跡前に忠告しておく」

「何でしょう?」

そして承太郎は、このような忠告をしたのである。

「生き物相手の場合、『早さ』より『落ち着くこと』を第一に考えろ。 もし、その鼠が射程内に見つけておきながらはずしたら……鼠は二度と、俺達の射程内に入ってこないからな。 命中すると確信するまで発射するな。 別にプレッシャーをかけるわけじゃあないが……いいな?」

「「………」」

それを聞いた二人は、内心で呟くのだった。

「「(十分かかりました、プレッシャー……)」」






 世界中に1000種ある鼠のうち、人間の生活内で活動するのは、たったの3種類である。

一匹目はハツカネズミ。

二匹目はクマネズミ。

そして三匹目はドブネズミ。

音石明が用水路で射った鼠は、この3種類の中で水を好むドブネズミだ。

大きいもので、体長は20〜30センチ。

体重は1キログラムに達するものであり、ジャンプ力は2メートル以上。

よく泳ぎ、何処にでも住み、何でも食う……それがドブネズミだ。

目的地に着いた承太郎達は、まず地面に注目していた。

「足跡だ。 前足の指が4本、後足が5本。 S字に引きずっているのは、尻尾の跡だろう。 この大きさからみて、鼠は体長20センチだ。 因みに鼠やリスの様な“げっ歯類”は、人間や猿以外で唯一、物が持てる動物だ」

足跡を追うと、奥の排水口へと辿りつく。

「間違いない。 あの排水口の奥に巣がある。 此処にとりあえず、何個か罠を仕掛ける。 カバンから出してくれ」

指示を受けた仗助達は、承太郎のバックから罠を取り出す。

「ついでにビデオカメラで録画しておく。 もしスタンド使いなら、罠に対して何かをするところが見れるかもしれん」

「それ、撮ったらその場で見れるヤツっスね」

そんな中、神裂は罠についている『餌』に注目する。

「あの、 この罠に付けてる『餌』はなんですか? 見たところ、チーズじゃなさそうですが」

「そいつは天ぷらの破片だ。 鼠にチーズは贅沢過ぎるぜ」

黙々と準備をする中、仗助は背後から何かをの音を聞き取る。

「ん?」

それは虫の羽音で、振り返るとハエが何匹も飛んでいた。

「なんだ? あそこだけやたら、ハエが飛んでいる様な……」

ハエが飛んでいる場所へと向かうと、

「!?」

彼はそこで、とんでもないものを目にしてしまう。

「じょ、承太郎さん! 神裂さん! これ見て下さい!」

「ん?」

仗助の叫びに、承太郎達はすぐに歩み寄る。

「「!?」」

そして彼等は、驚愕を隠しきれなかった。







 承太郎達が見たモノは、決してあり得ないものであった。

四角いゼリー状の何かに、数匹の鼠が埋め着くされていたのである。

「な、なんですかコレ!?」

「鼠の死体か!?」

「見たとおーりっスよっ! 鼠が何十匹と何かで固められているッス! 煮込んだ魚の、にこごりって感じで!」

すると承太郎は、近くあった木の棒で死体を突いた。

死体からは、ゼリー状のものが流れ出ている。

「ちょっ、何してんスか!?」

「……肉だ」

「へっ?」

「このネズミ達の肉が、溶けて固まっている。 しかも、皮膚の内側から溶かされてな…」

「まさか…私達の追っている鼠の仕業!?」

神裂が驚愕すると、承太郎はコクリと頷く。

「恐らくその通りだ。 仲間をバラし、“縄張りは自分のモノ”だと主張しているんだろう」

「ど…どんなことすれば、こんな死体が!?」

「わからん。 スタンドの正体は分からんが、排水口の続く奥にヤツがいる事は確実だ」

「グレート……。 やっぱりオゾましくなってきた」

ゴクリと唾を飲み、冷や汗が流れ出てしまう仗助。

勿論それは、神裂も同じである。

「やれやれだぜ。 どうやらコイツは、殺す事を前提に追跡しなきゃあならねぇな」

帽子を深く被り、承太郎は深くため息を吐いた。






 排水路から追跡を行った承太郎達は、一軒の農家のある地帯へと辿りつく。

「“何かが起こる前に鼠を狩る”を言ったが…マズイな、この排水路……あの農家の下水に続いている。 既に遅かったかもしれない」

承太郎のこの一言に、全員がゴクリと唾を飲む。

双眼鏡で民家を覗く承太郎に、神裂は恐る恐る尋ねる。

「な…なにか分かったんですか?」

「ああ。 鶏小屋があるが、鶏が一羽もいない。 餌箱もカラだ」

「住人の方は?」

「ガレージに車が2台ある事から、外出はしていない。 玄関の鍵も掛かっていない。 ドアのすき間で分かる」

「じゃあ、あの家の人達は…」

「……不安が的中した。 住人は既に、殺されたと考えて良いだろう。 鼠は見つけたら、迷わず俺が撃つ。 だが念の為仗助、お前も何発かもっておけ」

こうして承太郎達は、民家へと向かうのであった。






 ピンポーン!とインターホンを鳴らし、ゆっくりと扉を開ける。

だが予想通り、住人の気配はなかった。

中に入ると、全員が警戒しながら見渡す。

「あったぞ」

何かを発見した承太郎は、しゃがみながら床を観る。

「鼠の糞だ。 色からして草や穀物じゃない、肉だ」

糞の色から内容物を察知した承太郎。

「次は隣の部屋だな」

そのまま別の部屋へと向かうが、その時だった。

「!!」

ウィィィンと、仗助が奇妙な音を聞いたのだ。

「……どうしました?」

神裂も音の聞こえた方へと目を向けると、その先は台所であった。

「なんだ、冷蔵庫のコンプレッサーの音か……」

しかし冷蔵庫の扉は、独りでに開いている。

「!? ……何だ? この家の冷蔵庫は、独りでに開くのか?」

扉に向けていた視線を床まで移すと、そこで小さな何かが動いていた。

「!!!」

それはなんと、仗助達が追跡していた鼠である。

「(いたぁ〜! ちくしょー! いやがった!! だが待てよ? 今、冷蔵庫を開けたのはコイツか? 鼠が冷蔵庫を開けられるもんなんか? まさかな…きっと最初から開けっぱなしだったんだ。 住人が閉め忘れたんだ――つ都合のいい方に考える俺はオメデタイ男か…? この鼠はスタンド使いなんだぜ〜〜)」

自分に言い聞かせ、仗助は承太郎を呼ぼうとする。

「承……」

しかし既に、承太郎の姿はなかった。

「(じょ、承太郎さん達がいない! 別に部屋に行っちまったのか!)」

仗助と神裂は、鼠の方へと視線を向けるが、

「げっ!」

「っ!?」

鼠と目が合ってしまったのだ。

「(グレート。 目と目が合っちまったぜ)」

更に扉がゆっくりと開き、二人はとんでもないものを目にしてしまう。

「なっ!?」

「これは!?」

「うぅ……」

「あ……」

家の住人らしき老夫婦が、ドロドロに解かされて固められていたのだ。

「(まさかコイツ! この家の住人をドロドロにして、食料にしてたのですか!?)」

「(そして承太郎さんがいない今、俺がコイツを殺るってことか!)」

“生き物相手は『早さ』より『落ち着く』こと”……。

承太郎の教えを思い出し、仗助はポケットからベアリングを構える。

しかしテーブルが邪魔で、狙いが定まらない。

左から3歩移動するが、鼠は食事を止める。

「(くそっ!こうなったら冒険だ!この位置から叩きこむしかねぇ!)」

鼠が動いた瞬間、仗助はそれを見逃さなかった。

「(動く! 今だ!)」

クレイジー・ダイヤモンドがベアリングを弾き、ボゴォと鼠に命中する。

「やった!」






 仗助の飛ばしたベアリングは鼠に命中したが、

「ギャース!」

当たったのは左肩である。

「いや、当たったのは左肩です! 致命傷じゃないです!」

すると鼠は自身の体から、機械的なものを出現させた。

それは明らかにスタンドで、対する仗助は鼠を睨む。

神裂にスタンドは見えないが、鼠が“何かをする”事は察する事は出来た。

「そいつがテメェのスタンドか〜〜! 舐めんじゃねぇぜ!」

しかし鼠は、すぐさまテーブルの下へと逃げ込んだが、

「させるか!」

仗助もクレイジー・ダイヤモンドでテーブルを蹴り飛ばす。

「承太郎さん! 何してんスか! 鼠がいますぜ!」

再び逃げた鼠は、今度は倒れた椅子へと隠れる。

そしてそのまま、攻撃態勢に入ったのだ。

その際にスタンドは、ガシャンと砲台のような形状へと変わる。

「(何だか、分かって来たぞ…コイツのスタンドは……)」

コレを見た仗助は、スタンドの仕組みに気付いた。

「何かを飛ばすスタンドだ!」

「ドラッ!」とクレイジー・Dがベアリングを飛ばすが、鼠のスタンドもドン!と針を飛ばす。

向かって来る針に対し、仗助が取った行動は、

「(針だ! コイツに刺されたら溶けるんだ。 どうする…俺が避けたら神裂さんが……。 なら、素手で弾くか! いや、気持ち悪ぃからやめとこ)」

流し台のフライパンを盾にし、その場でガードした。

「(どっちだ!? 当たったのか!?)」

すると鼠が、自分から姿を見せたのである。

「ま、また!」

「や、ヤロォ!」

すぐさま仗助は、ベアリングを構えるが、

「ギャ〜〜〜ス…」

鼠はその場で息絶えたのだった。






 鼠を仕留められ、仗助は一息ついてしまう。

勝負が着いた事で、神裂も緊張が解けてしまう。

「良かったぁ〜。 眉間には当たらなかったけど、やっつけたぜぇ〜。 危なかったぁ〜」

「全く…。 ヒヤヒヤしましたよ」

「これで、事件解決ッスね」

「ですが、あの冷蔵庫の中の方々が……」

神裂はドロドロにされた老夫婦を見て悲しむが、

「大丈夫っス。 息があるんなら、俺のクレイジー・Dで助けられますよ」

「っ! ……そうですか…良かった!」

仗助がそう言うと、少しだけ安心したのである。

すると少し後に、承太郎も入って来たのだ。

「あっ、承太郎さん!」

「………」

しかし承太郎の表情は、どこか晴れないものであった。

「あの…空条承太郎?」

「どうかしたんスか?」

「…どうやら日没までに追跡しないと、マズイ事になる」

「「へ?」」

二人が首を傾げる中、承太郎はポケットに入れていた右手を見せる。

「もう一匹いるぜ。 ついさっき、攻撃をされた」

しかし右手は、ドロドロに溶けていた。

「「!?」」

これには仗助だけでなく、神裂も驚きを隠せない。

「なっ!? どうしたんスか、その手!?」

「2階の部屋を調べた時、窓の所からいきなり撃たれた。 かわすべきだったが、スタープラチナでその針を掴んで調べようとしたのが間違いだった。 針に触れただけでスタンドの毒がまわるようになっている。 その鼠は攻撃したあと逃げ去った。 恐らく、お前が一匹目を始末したのを悟ったんだろう」

「(あ…危ねぇ〜…俺はフライパンで防いで良かったぜ)」

それを聞いた仗助は、内心で驚きながらも安堵する。

「私にスタンドは見えませんが、その鼠の攻撃は、非常に危険なのが分かります。 もし、この攻撃を何度も喰らえば……」

「ああ。 あと5〜6発以上も喰らえば、人間ひとりはドロドロだな。 スマンが、すぐに治してくれるのを期待してるんだが……」

「あ、そうでしたね」

そして承太郎は、クレイジー・Dの能力で右手を完治させたのであった。

果たして、承太郎を襲った鼠は何のか?

さらなる謎が、彼等の前に現れた。



TO BE CONTINUED...

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神裂「あの、私を連れてきた意味はないのでは?」
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