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魂郷学園 第7話:周りにとっては迷惑でも、本人にとっては重大な事
作者:亀鳥虎龍   2018/06/02(土) 23:08公開   ID:SITQgi7z/cc
 それは、午後20時の夜の事である。

smileの二階にて、ベルベットが誰かと電話をしていた。

「えっ、いいの!?」

『うん。 明日で良かったらけど』

相手はライフィセットで、彼からの誘いを受けていた。

怪我も治り、生活にも支障が無い。

後は店の再開を待つだけ。

「大丈夫。 明日は予定が空いてるから」

『じゃあ、明日』

「ええ、明日ね」

電話を切ると、彼女は嬉しそうな顔になる。

「(怪我も治ったし、たまには何処か出掛けるのも悪くないわね)」

それは今までにない、歓喜の笑みでもあった。





 同時刻、魂郷町のとある料亭。

近藤と土方に沖田、そしてマイの4人が正座している。

彼等の顔は、一人の男を見ていた。

サングラスに強面の中年男性で、見るからに威厳が感じられる。

彼の名は『松平片栗虎』。

真選組の上司で、警察庁の長官を務めている。

近藤や隊士達は、親しみを込めて『とっつぁん』と呼ぶ。

「すまねぇな、急に呼び出しちまって。 実は呼んだのは外でもない。 遂に、奴が動く」

「とっつぁん、そいつはホントかい?」

「ああ。 俺独自のルートで、情報を入手した。 だが、奴はかなり危険だ。 俺一人では止める事は出来ない。 お前等の命、俺に預けちゃくれねぇか?」

「とっつぁん…。 アンタがそう言うなら、俺達はこの命を預けるぜ」

「ふっ…頼りにしてるぜ」

松平が立ち去り、近藤達は一礼する。

彼の姿が見えなくなると、マイは近藤に問いかけた。

「あの、局長。 ちょっといいですか?」

「ん?どうした?」

「長官の言ってた“奴”って、誰ですか?」

「………」

コレを聞いた近藤は、土方と沖田に声をかける。

「トシ、総悟…確認していいか?」

「なんだ?」

「……“奴”って誰かな?」

「知らねぇのかよぉぉぉ!?」

これには土方も、思わず叫んでしまったのだった。





―周りにとっては迷惑でも、本人にとっては重大な事―





 魂郷町でも有名な遊園地『サンライトパーク』。

ベルベットは門の近くで、誰かを待っていた。

青いキャミソ−ルの上に白い上着、青いロングスカート姿。

着飾らない格好を選んだつもりであるが、すれ違う人達は見惚れてしまう。

「ゴメン、待った?」

そんな中、ライフセットが駆け寄った。

白いシャツに黒い上着、そして青いズボン姿。

「遅い。 3分遅刻」

「ゴメンゴメン。 戸締りに時間掛かっちゃって」

「まあ、良いわ。 ちゃんと来てくれたし」

「じゃあ、行こうか」

「ええ」

こうして二人は、門へと向かうのだった。





 ベルベットとライフィセットが、サンライトパークへと向かう中、

「まさか、アイツ等がデートとはな……」

芝生の中から、神裂達4人が出てきたのである。

あの一件以降、最大教主アークビショップからの決定で“ネブラの臨時捜査員兼、喫茶店smileの臨時従業員を行って貰う”処罰を受けたのであった。

smileは復旧中であるため、現在は統制機構の臨時捜査員を行っている。

今日は休日で街中を歩いている最中、偶然ベルベットを見かけた。

そのまま尾行し、彼女がライフィセットとデートであると知る。

因みにステイルは、ネブラの実験――もとい検査に付き合わされていた。

「森厳から聞いたが、まさかライフィセットが…」

「随分と雰囲気が変わったな、見た目もだが」

「でも、流石に尾行はまずいんじゃないですか? 二人はデートなんですし……」

エレノアがそういうが、アイゼンが不敵な笑みを見せ、

「いいや。 男として、兄貴分として、アイツがどこまで成長したかを見極める必要がある」

「それに、面白そうだしな」

「いや、ロクロウの台詞が本心ですよね!?」

「いくぜ、ロクロウ!」

「おう、楽しくなってきたぜ!」

そのまま実行へと移ろうとしたのである。

「悪ふざけが好きな高校生ですか!?」

マスターである神裂が、ツッコミを入れながら叫ぶ。

「仕方ありません、いきますよランサー」

「あ、はい!」






 同時刻、サンライトパークの近くにて、

「よう、栗子。 待ったか?」

浅黒い肌にサングラス、如何にもチャラチャラした格好の青年が現れる。

青年は少女の元へ歩み寄ると、彼女は笑顔で出迎えてくれた。

「いいえ、七兵衛様。 私も丁度来たところですわ」

「悪いな。 実は電車がさぁ……」

そのまま門の方へと向かう二人であったが、

「ヤロウ…ふざけやがって……。 栗子はお前の為に、一時間も待ってたんだぞ?」

芝生から松平がライフル銃を構え、スコープで七兵衛を狙っていた。

「どうしてくれる。 俺が手塩を掛けて育てた娘の命を、一時間も無駄にしたんだぞ? テメェの命できっちり、償って貰おうか? おい誰か、ちょいと土台になれ――」

「待たんかいぃぃぃぃ!」

そんな彼に、土方ツッコミを入れたのである。






「何だあの三下を絵に描いた様なヤロウは! あれの何処が危険なんだ!?」

「どう見たって危険だろうが! 巧みな話術で、俺の娘を誑かしてデートに誘った! コイツを危険と呼ばずになんて呼ぶんだ!」

それを聞いた土方は、状況を把握できたのである。

松平の言う“奴”とは、彼の娘・栗子の彼氏である事を……。

「つまり“奴”ってアレか!? 娘の彼氏ぃ!?」

「彼氏じゃねぇ! あんなチャラ男、パパは絶対に認めねぇよ!」

「やかましいわ! 俺もアンタが警察庁長官なんて認めねぇよ!」

呆れる土方に対し、沖田が背後から声をかけた。

「土方さん、俺もアンタが真選組副長なんて認めねぇから」

「オメェは黙ってろ総悟!」

困惑しながらも、マイは松平に問いかける。

「あの長官…。 あの時、独自のルートで情報を得たって言いましたけど……」

「勿論得たぞ。 栗子がヤロウと電話してるところをこっそりとな」

「それ、ただの盗み聞きじゃないですか!?」

「冗談じゃねぇ! こっちは仕事休んでまで来たってのに、“娘のデートを邪魔しろ”だぁ!? やってらんねぇ、帰る」

「わ、私も失礼します」

呆れた土方とマイは、その場から立ち去ろうとする。

「おい待て、誰がそんな事頼んだ?」

「「はっ?」」

「俺はただ、あの男を抹殺して欲しいだけだ」

「もっとできるかぁ!」

「大体、どうして抹殺に繋がるんですか!?」

とんでもない台詞を吐いた松平に、二人はすぐさまツッコミを入れた。

「あんなチャラ男が、栗子を幸せにできると思うか? 俺だって、娘が好きになった奴は認めてやりてぇよ? だから色々悩んで考えた、そして抹殺という結論に……」

「色々考え過ぎだろ!? マフィアかテメェは!?」

「なに言ってんだトシ? 警察もマフィアも似たようなもんだろうがよ?」

「長官がとんでもない事言った!?」

「アンタ絶対ぇ、全国の警察組織を敵に回しましたぞ」

再び呆れた土方は、近藤の助け船を借りようとする。

「なあ、近藤さん。 この親バカに何か言ってやってくれ」

しかしここで、彼の期待は大きく裏切られてしまう。

「誰が近藤だ? 殺し屋ゴリラ13サーティーンと呼べ」

サングラスを掛けた近藤が、ライフル銃を構えていたのだ。

「何してんだよアンタ? つーか、13サーティーンってなんだよ?」

土方のツッコミを無視し、近藤は松平の隣に立つ。

「とつぁん、俺も手伝うぜ! 俺は男のクセして、チャラチャラした軟弱野郎が大っ嫌いなんだ!」

「近藤……」

「実の妹のように可愛がっていた栗子ちゃんを、あんな男にやれん! いくぜ、とっつぁん!」

「おう!」

「って、おい!」

土方が制止を聞かず、近藤と松平はすぐに出動した。

「ヤベェな。 マジでやりかねねぇぞ……マイ、先に帰ってくれ。 あの二人は俺がシバいておく」

「あ…はい(上司相手にも厳しいな、この人)」

マイに帰るように促し、土方は沖田の方へと視線を向けたが、

「総悟、止めにいくぞ」

「誰が総悟でぇ」

「え?」

「俺は殺し屋“総悟13サーティーン”」

そう言って彼も、すぐさま出動したのである。

「うおぉぉぉぉい!」

「面白そうだから行ってきやぁ〜す」

「「………」」

コレを見た土方とマイは、思わず沈黙してしまうが、

「……人手、必要ですか?」

「……ああ、頼む」

二人はすぐさま、後を追うのであった。






 サンライトパークの園内。

栗子と七兵衛は、楽しそうにメリーゴーランドに乗っている。

そんな二人の少し後ろの木馬で、三バカ13サーティーンがライフルを構えていた。

しかしメリーゴーランドの構造上、距離が全く縮まらない。

「ヤロウ、やりやがるな。 コレを選ぶとは…」

「狙いが定まらねぇ。 なんか気持ち悪くなってきた」

「それより近藤。 コイツは何時になったら近付けるんだ? 距離は一向に縮まらねぇぞ?」

「縮まるかぁ! これメリーゴーランドなんだぞ!? この土台ごと回ってんだよ! 永遠に回り続けろ!」

「す、凄いシュールだ……」

外から見ていたマイは、この光景に苦笑してしまう。





 
 ベルベットとライフィセットは現在、園内を見渡していた。

「どれも面白そうだけど、どこが良い?」

「そうね、出来るだけ静かなところが良いわ」

「じゃあ、観覧車辺りが――」

観覧車に向かおうとするが、その時である。

ベルベットの肩が、すれ違った相手の肩にぶつかったのだ。

「イテテテ!」

「おい、大丈夫か!?」

「ちくしょう、肩を折っちまったぜ」

「おい、ゴラァ! 相棒の肩が折れちまったぞ!」

片方は金髪リーゼントの男で、もう一人は黒髪アフロの男だ。

どちらもサングラスをかけていた。

その正体は、アイゼンとロクロウの二人だ。

因みに二人はカツラを被っている。

一方、茂みの方から、

「なにやってるんですか、あの二人は!?」

「というか、何故に不良学生!?」

エレノアと神裂が、その光景を覗いていた。

「あのね、ぶつかっただけで方が折れるワケないでしょ?」

「あ〜ん? なに言うとんじゃわれぇ!」

「ちょっ!」

アフロの男(ロクロウ)がベルベットの胸倉を掴むが、ライフィセットがその手を掴む。

「ちょっと、離して下さい!」

「ウルセェ! 邪魔すんなや!」

だがリーゼントの男(アイゼン)が、容赦なく殴り飛ばす。

「フィー!」

「「(なにやってるんですかあの二人はぁぁぁ!?)」」

この光景に、神裂とエレノアが驚愕を隠せない。

しかし、その時であった。

「何してるの?」

6人の男女が現れ、声をかけて来た。

「アンタ達!?」

そこには十六夜、白野、セイバー、当麻、インデックス、更に狐耳の少女とがいたのだ。

狐耳の少女はキャスター。

白野と契約したサーヴァントの一人である。

「貴様等、その手を離したらどうだ?」

「何だとゴラァ!」

完全に不良そのもののアイゼンであったが、十六夜が当然のように投げた。

「んがっ!」

「おやぁ? それだけ動かせるって事は、肩の骨折は嘘か?」

「ぐっ!?」

更に十六夜はロクロウの腕を掴むと、その場で捻ったのである。

「アンタもその手、離してやんなよ」

「うぐっ!?」

「ベルベット、今の内に」

「え、ええ…」

ベルベットはライフィセットの元へと駆け寄ると、すぐさま手を伸ばす。

「立てる?」

「う、うん」

二人は逃げ出すのを確認し、十六夜達は戦闘態勢に入った。

「そんじゃ、行くとしますか!」






 十六夜は準備運動を始め、アイゼンも拳を構える。

「いくぜ、オッサン。 ボコられる覚悟はいいか?」

「倒されるのはテメェだ!」

「当麻!」

すると十六夜は、当麻にある物を渡した。

反射的に受け取った当麻は、すぐさまそれを見る。

それはドラゴンの絵柄が描かれたフルボトルであった。

「生身でスマッシュに挑むわけにはいかねぇだろ。 そいつで戦えって事だ」

「成程、そいつは助かるぜ!」

当麻は左手で握ったボトルを振り、そのままロクロウに立ち向かう。

「ほう、お前の相手は俺か。 いくぞ!」

拳を放つ彼であったが、当麻はそれを紙一重でかわし、

「そこだぁ!」

迷いなく左手で殴りつけた。

その瞬間、ドガァという衝撃音が響く。

聞こえたのは、ロクロウの腹部からだ。

「うぐっ!」

ドラゴンフルボトルの影響により、当麻の攻撃力が上昇したのである。

「もう一丁!」

再び殴りつけ、凄まじい衝撃がロクロウを襲う。

「オラァ!」

トドメの一撃が顎にヒットし、遂に彼は打ち上げられ、

「がはっ!」

その場で倒れてしまったのである。

「確かに、スゲェな……」

見事にロクロウを撃破した当麻なのであった。






 一方で十六夜は、アイゼンを容赦なく圧倒していた。

「お〜い、そんなもんか?」

「テメェ、どんだけ強ぇんだよ!?」

「ヤハハハハ! これでも手ぇ抜いてる方だけどな」

「何だと……」

手加減された事を知ったアイゼンは、ピクと眉を動かす。

男として、手加減をされたのが気に食わないと感じたのだ。

「ふざけんじゃねぇぞ、本気で掛かって来やがれ!」

「そうか? んじゃ、お言葉に甘えて!」

そう言うと十六夜は、真っ向からタックルを叩き込んだ。

「えっ――」

コレを喰らったアイゼンは、そのまま吹き飛ばされ、

「いや…強過ぎだろ……」

その場で気を失ってしまった。

この光景に神裂とエレノアは、顔を青ざめてしまい、

「「(絶対に喧嘩を売らないようにしよう…)」」

本気でそう思ったのである。






 その頃、ジェットコースターの方では、

「動くとケツの貴方が二つになるぜ」

「っ!?」

沖田が七兵衛を脅し、彼が栗子と共に乗るように誘導した。

その光景を見届けながら、土方達もすこし後ろの席へと座る。

「なあ、ホントに大丈夫なの?」

「大丈夫だよ。 総悟は人を追い詰めて虐めんのが趣味の超ドSだぞ?」

「副長、大丈夫じゃないですよ」

そして遂に、ジェットコースターが発進した。

「うおっ、思ったよりキツっ!」

「どうだ、様子は――」

様子を見ようとした土方であったが、まさにその時である。

「うわぁぁぁぁ!」

「「んが!」」

沖田が突然、彼と松平の顔面に直撃した。

「テメェ、何してんだ!」

「ベルト締めんの忘れたベルト締めんの忘れた!」

どうやら七兵衛を脅す事に夢中になり、シートベルトを締め忘れたようだ。

「あああああああ!」

「オイィィィ! コイツ、なんかキャラが違くねぇか!?」

「Sだから打たれ弱いの! ガラスの剣なのぉ!」





 ジェットコースターが元の位置に到着し、客達はゆっくり降りていく。

「あら、どうしました七兵衛様? 座高が高く……」

「へへ…。 栗子…コレ聞いたら、絶対ぇに引くぜ。 俺、漏らしちまった」

「っ!?」

脱糞してしまった七兵衛に、栗子は驚愕を隠せない。

「(ごめんなさい、七兵衛さん……)」

「(お前に恨みはねぇが、これもとっつぁんの為だ。 この詫びは必ず……)」

その光景を眺めながら、土方とマイは内心で詫びの言葉を告げる。

しかしここで、予想外の事が起こったのだ。

「よかったですわ。 実は私もなんですの。 一人だけだとどうしようかと思ってましたわ」

「「「(えぇぇぇぇぇぇぇ!?)」」」

コレを聞いた土方とマイ、そして松平は驚愕を隠せない。

因みに土方と松平は、二人で気絶した沖田の腕を肩にかけている。

「オイィ、どうなってんだトシぃ! ますます仲良くなってんじゃねぇか!?」

「オメェの娘こそどうなってんだ!? 普通、漏らすか!? 一体どういう教育してんだ!」

沖田を担ぎながら、土方と松平は口論を始めた。

しかし、マイが二人に叫んだ。

「副長、あの二人が次のアトラクションに行きますよ!」

「えぇ!? あの状態で!?」

両手でお尻を隠しようにしながら、栗子と七兵衛は次のアトラクションへと向かう。

勿論、土方達も追いかけようとする。

「近藤さん、早く行くぞ! 近藤さん!」

「局長、早く!」

未だにジェットコースターから降りない近藤に、土方とマイは何度も呼びかけた。

だがここで、二人はある事に気付く。

それは、近藤の座高が高くなってるという事だ。

「(あれ…座高が高く……)」

「(ま、まさか局長……)」

顔を青ざめながらも、嫌な予感を感じてしまう。

そしてそれは、見事に的中したのだ。

「トシ…マイちゃん……誰にも言うなで……ございまする」

一粒の涙を流しながら、近藤は静かに呟くのであった。

「「(えぇぇぇぇぇぇ!?)」」





 その後、松平と土方達はベンチに腰を降ろしていた。

彼氏の脱糞にも動じない娘に、松平は深くため息をする。

無論、娘の脱糞までは予想外であったが――。

「いやぁ〜、驚いたぁ。 まさかアレで引かねぇたぁ、我が娘ながらなんて恐ろしい…」

「いや、本当に恐ろしいよ」

「オメェ、この事誰かに話したら殺すからな」

「大丈夫ですよ、長官。 見て下さい」

そう言ってマイは、栗子と七兵衛の姿を目にする。

七兵衛は着替えているが、栗子は着替えた形跡が無い。

「栗子さんだけは着替えていません。 どういう事かは、分かりますね?」

「ケツ挟んでんじゃねぇのか?」

「違いますよ! 栗子さんは、あの人に恥をかかせないように、嘘をついたんです!」

「なにっ!?」

「つまり何かマイちゃん? 栗子ちゃんは脱糞なんかでは、簡単には引かねぇと? 俺が脱糞して皆は引いたってのに、栗子ちゃんは奴の汚いところも受け止められるってのか?」

「近藤さん、俺も引いてますぜ」

推測するマイの横で、近藤は真剣な顔を見せる。

しかし脱糞後の着替えの所為で、真剣さが台無しだった。

すると、沖田が叫んだのだ。

「あっ、とっつぁん! 二人が観覧車に向かっていきますぜ! 観覧車っつったら、“チュー”が定番ですぜい!」

「なにぃ!? 栗子ちゃんが危なぁぁぁい!」

「おい、俺だ! すぐにアレを用意しろ!」

こうして三バカ13サーティーンは、すぐさま観覧車へと向かうのだった。

すると土方は、ようやくベンチから立ち上がる。

「マイ、先に観覧車の方へ行ってくれ」

「えっ、副長は?」

「ちょっとトイレだ。 何かあったら電話してくれ」

「わ、分かりました」

こうして土方はトイレに向かい、マイは急いで近藤達の後を追ったのであった。






 その頃、観覧車の方では、

「大丈夫?」

「うん、痛いけど…大した怪我じゃないから」

殴られたライフィセットの顔に、ベルベットが優しく手を添える。

「本当に、大丈夫なの?」

「心配ないよ」

「それなら良いけど……無茶はしないで」

「うん、気を付けるよ」

自身を心配するベルベットに、ライフセットは笑顔で答えた。

「ホント、変わったわね」

「なにが?」

「10歳だったアンタが、今は20代の青年になったんだから」

「そりゃ、聖主として長年生きてれば、身長だって伸びるよ」

「そうね」

「「………」」

会話が続かず、見つめ合ってしまった二人。

トクン…トクン…と、鼓動音が鳴りだす。

そして互いの唇が、ゆっくりと近づこうとした。

だがその時、予想外の事が起こったのだ。

ブロロロ!と、大きな音が聞こえたのだった。

「えっ?」

「な、何っ!?」

音に反応し、思わず外を覗きこむ。

そこには、一機のヘリコプターが飛んでいたのだ。






 時を同じくして、観覧車の外では、

「我等…」

「殺し屋…」

「『侍13サーティーン』……」

「「「お命頂戴!」」」

栗子と七兵衛が乗っているゴンドラの前に、ヘリコプターが姿を現す。

そこには近藤と松平、そして沖田の三人が乗っていた。

三人はサングラスをかけ、ライフル銃を構えている。

「なにやってるんですか、あの三人んんんんん!?」

地上からそれを双眼鏡で見たマイは、驚愕を隠しきれなかった。

まさか長官の娘の彼氏を抹殺するために、此処までするとは思わなかったのだ。

「完全に職務乱用ですよ!? 始末書どころの問題じゃないですよ!?」

この光景に、流石のマイも混乱する。

「ん?」

しかし別のゴンドラの上に、誰かが立っているのを確認した。

「アレって、副長?」

そこに立っていたのは、トイレに行ったハズの土方である。





「と、トシぃ!?」

ゴンドラの屋根に立つ土方に、近藤達も驚きを隠せない。

「トシ? 誰だそいつは?」

すると土方は、マヨネーズボトルを模したバズーカ砲を構える。

「俺は愛の戦士『マヨラ13サーティーン』。 人の恋路を邪魔するバカは、消えされぇ!」

放たれた砲撃は見事、ヘリコプターのプロペラに命中し、

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」

そのままヘリは、巨大プールへと墜落したのだった。

「じゃあな、お二人さん。 いつまでも幸せにな」

こうして松平片栗虎による、『七兵衛暗殺事件』は未遂に終わる。

この事件を解決した土方十四郎も、クールに去る――ハズだった。

「待って下さい、マヨラ13サーティーン様! こんな脱糞野郎とはおさらばしますので、どうか私とお付き合いして下さい!」

「エェェェェェ!?」

新たな問題が出来たようである。

最後にこの光景を見たマイは、深く深呼吸をすると、

「ス〜…ハ〜……。 よし、明日の仕事も頑張ろう!」

すぐさま現実逃避をしたのであった。


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■作者からのメッセージ
 銀魂キャラで遊園地と言ったら、13(サーティーン)ネタですね。
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