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魂郷学園 第31話:拳【ステゴロ】
作者:亀鳥虎龍   2018/09/18(火) 11:25公開   ID:iYcaOJsNR36
 9月1日、学校は始業式が始まっている。

未だに暑さがあるが、生徒達は元気に教室で騒いでいた。

「ギャーギャーギャーギャー騒がしいんだよ! 発情期ですかコノヤロー!」

扉を開け、銀時は叫びながら入って来る。

「あ〜、始業式が始まって早々、お前等に伝えたい事がある」

首を傾げる生徒達に、銀時はサラリとこう言った。

「今日は終業式の前日にやって貰った国語の小テスト、その珍回答を紹介しようと思う」

「えぇぇぇぇぇ!?」

コレを聞いた一部の生徒達は、驚きを隠せずにいる。






―拳【ステゴロ】―





「ちょっと待って銀ちゃん!」

思わずネプテューヌは、叫びながら椅子から立つ。

「あの小テストって、そう言う理由だったの!?」

「しゃーねーだろ。 この小説、良いネタが思いつかないし、なにより作者が『F○O』に嵌り過ぎて、こっちをほったからしにしたんだからよ」

「メタい!」

「とにかく、今から始めるぞ」

そう言うと銀時は、黒板を隠すようにスクリーンを下ろす。

「そんじゃ、始めてくださ〜い」

「誰に言ってんの!?」

スクリーンに映像が放映され、銀時はゴホンと咳払いをする。

「んじゃ、回答に入るぞ。 ちゃんと授業受けた筈だから、ちゃんと分かるはずだ」

自身の担当科目から珍回答を晒す銀時だが、

「せやけど銀さん、何時も教科書と称してジャンプ持って来るやないか」

日影の台詞に、誰もが「うんうん」と頷く。

「うるせー。 そんじゃ始めるぞ」

スクリーンに映ったのは、漢字の問題。

“問一:このカタカナを漢字で答えなさい。”

その1『ニワトリ()』

その2『カミサマ()』

その3『カメン()』

「これの答えは1が『鶏』、2が『神様』、3が『仮面』だ。 コイツは1以外は全員書けると思う」

「まあ、ニワトリって漢字で書かないもんな」

十六夜が頷くが、銀時が呆れた顔でネプテューヌを観る。

「だが、ネプテューヌ。 お前はこの問題をとんでもない珍回答で間違えた」

「ねぷっ!? 私が!?」

「それがコレだ」

そう言って銀時は、ネプテューヌの回答を見せた。

ネプテューヌの回答:1『庭鳥』、2『紙様』、3『画面』

「ネプテューヌ、ニワトリは書けないのは分かる。 コイツは仕方ない。 だがな、他の問題は普通に間違えるか? 特に3に関しちゃ、なんで濁点のある漢字にした? これの読みがなは、『ガメン』だからね! 断固として『カメン』じゃないからね!」

「えっ、そうだったの!?」

「今頃かよ! まあいい、次はこの問題だ」

“問二:このこのことわざを完成させなさい。”

1:さるも木からオ()ちる。

2:豚にシンジュ()。

3:鬼にカナボウ()。

「この問題の答えは、1が『落ちる』で2が『真珠』、3が『金棒』だ。 そしてコレの珍回答、コイツを作ったのもネプテューヌだ」

「ねぷ!?」

「それがコレだ」

スクリーンには、珍回答が映し出された。

ネプテューヌの珍回答:1『堕ちる』、2『真実』、3『空振り』

「どうしてこうなったぁぁぁ!?」

その場で銀時は、思わず叫んでしまう。

「まず1だが! 猿に何があった!? どこへ堕ちたんだよ!? あと2と3は、完全に漢字が違うし、読み方も違い過ぎじゃねぇか!」

「いや〜」

「褒めてねぇよ!」

こうして、楽しい珍回答が出て来たのであった。






 smileの店内。

「ご注文は?」

「コーヒーを一杯」

商売は繁盛しており、店内は賑やか。

「こっち、パンケーキ」

「クリームソーダ」

とても忙しく、ベルベットは接客に務めていた。

「ホント、この店は繁盛してますよね」

「そうですね」

神裂とエレノアが、見えないところから様子を眺めている。

「ところで、長谷川さんは?」

「アルバイトだそうですよ」

「またですか!?」







 その頃、とある森にて、

「こんなところに呼び出して、何のつもりだ?」

ブラッドスタークは目の前の相手に対し、首を傾げながら問う。

「今更とぼける気か?」

そう言って、漆黒の衣の男が立っていた。

彼の名はユリウス・ベルキスク・ハーウェイ。

巨大財閥『ハーウェイ』の人間で、腹違いの弟がいる。

「お前は気付いていた筈だ。 俺が弟のめいを受け、ファウストに乗り込んだ工作員である事を」

「クククク……」

それを聞いたスタークは、いきなり笑いだしたのだ。

「まったく、ハーウェイ財閥には敵わなかったか」

「それはお互い様だ。 俺の潜入を知っていながら、わざと知らないふりをしていたんだろ?」

「ああ。 その方が面白そうだと思ってな」

「つくづくお前には、何度も裏をかかれた気分だ」

《バット!》

ユリウスは一丁の拳銃を手に取り、銃身にボトルを装填した。

この銃は『トランスチームガン』と呼ばれ、仮面ライダーとは非なる姿へと変身できるアイテムだ。

「…蒸血」

《ミストマッチ!》

引き金を引くと同時に、銃口から煙幕が放たれる。

煙幕がユリウスを隠し、彼の姿を変えた。

《 バット…バッ…バット! ファイヤー!》

漆黒のボディに煙突状の突起が着いた装甲、そして蝙蝠の形をした黄色いバイザー。

スタークに続くファアストの戦士、『ナイトローグ』へと変身したのである。






 地を蹴るとともに、ナイトローグはスタークへと飛び掛かる。

拳や蹴りによる打撃と、トランスチームガンを用いた射撃。

この二つの攻撃を繰り出すが、スタークは飄々と避けていく。

しかし足払いを行い、ナイトローグはスタークのバランスを崩す。

「うおっ!」

盛大に仰向けに倒れたスタークに、トランスチームガンの銃口が向けられた。

「ビルドやクローズと違い、俺達のハザードレベルは固定されている。 つまり、暗殺者としての死線を潜りぬけた俺の方が、戦闘力が上という事になる」

「確かに、俺達のハザードレベルは同じだ。 なら後は――」

しかしスタークは、姿をコブラへと変化させ、

「経験の差がものを言うんだ!」

「っ!?」

ナイトローグの股ぐらから抜け出した。

まさにそれは、地を這うコブラそのものだ。

「そらよっ!」

ナイトローグが振り返るが、スタークの猛攻が襲いかかる。

スチームブレードによる連続攻撃で無数の傷を負わされ、

「チェックメイト…」

トドメにトランスチームガンの至近距離発射を喰らってしまった。

「がはっ!」

吹き飛ばされたナイトローグは、そのままユリウスの姿へと強制的に戻り、

「悪いなユリウス。 俺はこれで失礼するぜ」

するとスタークは、彼の前で変身を解く。

「!!?」

その姿に驚いたユリウスであったが、ダメージの所為で意識が薄れてしまう。

スタークの変身者は、不敵な笑みを見せながら、

「じゃあ、俺は失礼するぜ。 チャオ♪」

その場を立ち去ったのだった。







 翌日、smileの玄関にて…、

「ん?」

郵便ポストの中に、小包が入っていた。

「何これ?」

首を傾げるベルベットは、すぐさま小包を開ける。

「差し出し人は不明……」

中に入っていたのは、一枚のDVD。

「(そういえば店長も、昨日から帰ってきてない気が…)」

内心で呟きながら、プレーヤーにDVDを入れる。

そして画面には、あるものが映されていた。

『おいぃぃぃぃ! ベルベットぉぉぉぉ! 誰か助けを呼んでぇぇぇぇ!』

『俺等、殺されそうなんだよぉぉぉ! 早く助けてェェェェ!』

それは黒服の男達に銃や刀を向けられた、銀時と長谷川の恐怖している姿である。

『コイツ等を助けたければ、魂郷町の666番地の路地に来な』

「………えっ!?」







 DVDを見終えたベルベットは、すぐさま行動を開始した。

「――ったく、なにやってるのよあの二人は!」

赤いタンクトップの上に黒いジャケットを羽織ると、裏のガレージに向かう。

そこには一台のオートバイクがあり、彼女は即座に股がる。

エンジンを噴かし、グリップを捻った。

「よし、調子は良いみたいね」

アクセルを全開にし、走り出したのである。

果たして、どこへ向かうというのか?







 魂郷学園の学生寮にて、

「う〜ん」

白野は休日を使い、何処かに出掛けようと考える。

しかし、行き先が思いつかない。

するとドア越しに、バイクの爆音が聞こえた。

「ん?」

扉を開けると、そこにはベルベットがバイクに跨っている。

「白野、ちょっと付き合って!」

「デートですか!?」

「そうそう、バイクに乗ってデート――じゃないわよ!」

「見事なツッコミだな」

「そうですね」

白野のボケに、見事なノリツッコミを入れたベルベット。

コレを見たセイバーとキャスターも、思わず感心を示した。

「念の為聞くけど、今日は学校に銀さんは? もしかして来てない?」

「え、そうだけど」

「やっぱり……」

「どうかしたのか?」

「銀さんとウチの店長が、さらわれた」






 魂郷町666番地にある路地。

そこに一軒の建物がある。

明らかにそこのは、ガラの悪い男が立っていた。

ベルベットと白野、セイバーにキャスターはその前に立つ。

「どうする気?」

「入るしかないわね」

バイクから降り、ベルベットは男へと近づく。

「ねえ、ちょっと聞きたいんだけど」

マシンビルダーをビルドフォンに戻し、白野達はその様子を窺う。

「どうそ、こちらへ」

「ありがとう」

話しは着いたようで、すんなり入れたようだ。

中へと入るベルベットの背中を、三人はすぐさま追いかけた。






 エレベーターで下へと向かうと、そこには闘技場があった。

「これって……」

「地下格闘の賭博……ですかね」

「ホントに此処に、銀時と長谷川が居るのか?」

しかし、その時である。

『レディース&ジェントルメン! さあさあ、始まった! 地下格闘大会『鉄拳のエデン』!』

視界の男がマイクを持って叫び、観客達が叫び出す。

『そして、今日の挑戦者は〜……この人だァ!』

スポットライトはベルベットを照らし、彼女本人もギョッとしてしまう。

「えっ、アタシ!?」

戸惑いながらもリングへと上がると、目の前には金髪の男が立っていた。

『ルールは1対1のタイマン勝負! 武器は使用不可! 己の肉体のみで戦え! 第一戦は、ビリー・ロック!』

「さあ、始めようぜ!」

『試合、開始――』

試合が始まろうとしたが、まさにその時であった。

横から受けた衝撃で、ビリーが吹っ飛ばされてしまう。

リングの外まで飛ばされ、代りに大柄な男が立った。

「何で男だけの闘技場に、女がつっ立ってんだ! 俺がここの怖さを教え込んでやる!」






 闘技場のVIPルームでは、二人の男が覗きこんでいた。

「おいおいおい……ありゃ、ヤバいんじゃねぇか!?」

「グルジの奴、いきなりなにやってんだよ!?」

ガラス越しにリングの様子を見ていたのは、銀時と長谷川。

何故か、捕まっていた筈の二人が観戦している。

実は二人は闘技場賭博の常連だったのだが、有り金が底をついてしまい、遂には借金までもしてしまった。

すると闘技場のオーナーから、「今回の試合に最高のゲストを紹介したら、借金をチャラにする」と言われ、狂言誘拐作戦を実行したのだ。

つまりベルベットは、この試合のゲストとしておびき出されたのである。

ビリーを吹き飛ばしたゲルジに対し、二人は青ざめてしまう。

そんな二人に、オーナーの『バラスナ』は口を開く。

「安心しろ、お前等。 アイツもプロだ、殺しやしねぇよ」

そんな中、銀時と長谷川は小言で会話する。

「(オイィィィ! どうすんだよ長谷川さん! ベルベットをゲストにしようって言ったのはアンタだよ!? 分かってんの!?)」

「(あ、安心しな銀さん! ああ見えて、ベルベットは強ぇんだぜ?)」

「(何故に疑問形いいいいいいいい!?)」

不安を募らせながら、リングの方を覗きこむ。

そこには身軽さを活かし、蹴り技でゲルジを叩き伏せるベルベットの姿があった。

「よし!」

彼女の勝利に、観客達が「うおぉぉぉぉぉ!」と叫ぶ。

「やるじゃねぇか、あの嬢ちゃん!」

「マジでか!? アイツってあんなに強かったの!?」

「だろ! 俺の目に狂いはなかったぜ」

「冷静で的確な判断力、そして身軽さと蹴り技で相手の急所を最小限の力のみで打ち込む。 気に入ったぜ!」






 ゲルジをKOし、一度深呼吸をしたベルベット。

「やるねぇ、お嬢ちゃん。 あれでもアイツ、ウチの看板選手だよ?」

「知らないわよ。 こっちは人探しに来てんのよ。 銀さんと長谷川店長は知らない? 銀髪天然パーマのアホ面と、サングラス掛けた中年男」

「教えてやってもいいが、条件があるぜ」

「条件?」

「アンタは今、ここの観客達の心を掴んじまった。 居場所を知りたいなら、残りの選手を8人倒して貰うよ」

「でも、そんな暇は……」

「勝てばいいんだよ勝てば。 さあ、どうする?」

「……はぁ」

何時の間にか注目の的になってしまい、一度は悩んでしまう。

「仕方ないわね」

条件を飲む事にしたベルベットは、羽織っていたジャケットとブーツを脱ぎ、

「次、掛かって来な!」

戦闘体勢に入ったのであった。

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

「うっしゃぁぁぁぁ!」

「あの姉ちゃんに、2万! いや、4万だぁぁぁ」

「俺は全財産!」

観客が盛り上がっている中、白野達は捜索を開始するが、

「ちょっと、キミ達。 ここは関係者以外は立ち入り禁止だよ」

「あっ」

先程突き飛ばされた男、ビリーに阻まれてしまう。

「大丈夫なんですか? その怪我」

「ん? ああ、コレかい? 医者もいるから、問題ないよ」

折れた右腕を包帯で巻き、健在の左腕でジュースを飲むビリー。

「ところでキミ達、あのお嬢さんのツレだよね?」

「はい、そうです」

「じゃあ、銀さんと長谷川さんの知り合い?」

「知ってるんですか?」

「知ってるもなにも、VIPルームでここのオーナーと茶菓子食ってたけど?」

「「「………え?」」」

この一言で、3人は驚きを隠せない。

「ちょっと待てェェェ!」

「まさかあの二人、誘拐されてなかったんですか!?」

「…なんて手の込んだ狂言誘拐」

「あっ、しまった。 アハハハ…スマンスマン」

うっかりボロを出したビリーは、苦笑で謝罪する。

「まあ、心配する事はないよ。 あの子も強い方だしね」

「そうだね」

「確かに」

「寧ろ、勝ち残れそう」

「あっ、納得するのね……」

試合の様子を眺めながら、セイバーが呟いてしまう。

「しかし、何故このような場所で行うのだ? 幾ら賭博が禁じられているからと言っても、プロ同士の試合の方が盛り上がらるのではないか?」

「そうでもないよ」

「ん?」

「確かにプロの格闘家同士の試合も面白い。 けど、それはスポーツでの話だ。 男ってのは、思わず憧れてしまうものがあるんだ。 それが一種の病気となって……」

「病気?」

「そう……“拳士ステゴロ最強”という病気にね」

「ステゴロ最強……」

そんな中、ベルベットは9人目の選手を倒していた。

「スゲェ、スゲェよ!」

「現チャンプまで倒しやがった!」

「俺オケラだけど、此処に来て良かった!」

コレを見た観客達は、更に盛り上がったのである。






 予想以上に盛り上がり、成功を感じた銀時と長谷川。

「うっしゃぁぁぁ! やったぜ長谷川さん!」

「ああ! これで、俺達の借金はチャラにできるぜ!」

嬉しそうに笑う二人であったが、まさにその時である。

「――って、アレ? オーナーは?」

「へ?」

バラスナがいない事に気付き、一度は固まってしまう。

すると外から、凄まじい音が聞こえた。

二人は覗きこむと、バラスナがベルベットの前に立っている。

スーツ姿で身長2メートルの巨漢。

「お、オーナー!?」

これには審判の男も驚く。

「よく来てくれた、戦士よ。 いや、驚いたよ。 アンタみたいな美しい獣――いや、失礼。 戦乙女は見た事なかったぜ。 最近は適当な食事ばかりで飽きてたところだったんだ」

「………」

「俺と付き合って貰うぜ、最高の試合ディナーを!」

宣言と共に、観客が「イエェェェイ!」と叫ぶ。

「いや、アタシは――」

「いや、「アタシは」じゃねぇよ! 受けろ、受けてくれ姐さん! オーナーが出場するってことは、この闘技場の権利を懸けた決闘なんだ」

すると、バラスナが豪快に拳を振るい、

「っ!!」

反応したベルベットも、即座に後ろへと跳んだ。

「し、試合開始!」

そのまま二人は、試合を開始したのである。







 バラスナの猛攻に対し、ベルベットは紙一重で回避していく。

「おいおい、マジでヤバイじゃあねぇか!?」

VIP席から覗きこんでいた銀時は、顔を青ざめていた。

バラスナは元々、異種格闘技大会の王者である。

しかし彼自身は『王者』という称号に執着が無く、自ら格闘技界を去った。

その頃に稼いだ金や同じ『渇き』を知った者達を集め、この闘技場を設けたのである。

彼自身は今までは眺める側であったが、ベルベットの試合を見て、格闘者としての血が騒いだのであった。

「あ、銀さん」

「んあ、どうした?」

「悪い。 俺、ウ○コ」

「え? あ、うん。 言って来て」

長谷川がトイレに行っている間、銀時は試合を眺める。

どちらが勝つのか、そう思いながら唾を飲む。







 バラスナの拳打とベルベットの蹴り、互いの攻撃がぶつかり合う。

「(こうなったら……)」

するとベルベットは、ゆっくりと姿勢を低くする。

陸上競技のクラウチングスタートのような構えをとり、そのまま地を蹴りだす。

更に途中で側転を行い、そのままドロップキックを放った。

「(真っ向勝負か……。 面白い!)」

バラスナも構えを取るが、まさにその時だ。

ベルベットは脚を開き、彼の脇腹を挟み込む。

「なにっ!?」

驚くバラスナであったが、両肩を両手で掴まれてしまう。

しかも、彼女は頭を後ろに引いている。

コレを見た瞬間、誰もが「まさかっ!?」という顔をした。

「(頭突き!? まさか、コイツが狙いか――)」

気付いた時には遅く、ベルベットの頭突きはバラスナの頭に叩き込まれたのだ。

彼女はバラスナから離れ、再び構えを取る。

一方の本人は、その場で倒れてしまう。

「……負けたよ。 完敗だ。 アンタの勝ちだぜ、嬢ちゃん」

それを聞いた男が、マイクを持って叫んだ。

「勝者、ベルベット・クラウぅぅぅ!」

「ハァ…ハァ……」

辛くも得た勝利に、ベルベットは息を切らすが、

「イエェェェェイ!」

「スゲェ!」

「良い試合だったぜ!」

「姉ちゃん、アンタ最高だぁ!」

観客達からの評判は良かったようである。

こうして彼女に、一つの伝説が生まれたのだった。

だが、その時である。

「次は、俺も楽しませてくれないか?」

「っ!?」

突然の声に、思わず振り向く。

同時に腹部に、凄まじい一撃を入れられたのだ。

「がっ――」

「悪いな。 暫く付き合って貰うぜ?」

「スターク!」

そこにいたのは、紛れもなくブラッドスタークであった。






「スターク!」

気絶したベルベットを抱え、視線を白野へと向けるスターク。

「コイツは俺が預けるぜ。 返して欲しかったら、魔森島に来な。 チャオ♪」

トランスチームガンの蒸気で自身を覆い、スタークはベルベットとも消え去った。

周りは沈黙だけとなり、白野は奥歯を噛み締める。

「スターク……」

果たして白野は、ベルベットを救う事が出来るのか!?

次回へと続く――。

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■作者からのメッセージ
 元ネタは、『血界戦線』のエピソードの一つ『拳客のエデン』からです。
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