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魂郷学園 第33話:Sの正体/新たなるビルド
作者:亀鳥虎龍   2018/09/30(日) 20:32公開   ID:BymBLCyvz/o
 魔森島の古城での激戦。

「オラァ!」

「フン!」

一階ではクローズとゲンムが激突し、

「いくぞ!」

「来い、JOJOォ!」

二階ではジョセフ達とワムウが激突。

「いくぞ、英雄王!」

オレに命令するな、贋作者フェイカー!」

アーチャーとギルガメッシュ達がガーディアン軍団に立ち向かい、

「そんじゃ、いくぜ!」

「スタークゥゥゥゥ!」

ビルドとブラッドスタークが、屋上で激突したのだった。






―Sの正体/新たなるビルド―






〜クローズvsゲンム〜

「うおぉぉぉぉぉ!」

クローズは炎を纏った拳を、ゲンムへと真っ直ぐに放つ。

それを見たゲンムも、即座に受け止める。

「この!」

すぐさま蹴りを繰り出すクローズであったが、ゲンムの蹴りの方が早い。

脇腹に喰らい、クローズはその場で怯んでしまう。

「うぐっ!」

「無駄だ!」

《ギュ・イーン!》

ガシャコンバグヴァイザーを接近戦用モードに切り替え、ゲンムはその場で容赦なく振るった。

その刃はチェーンソーになっている為、相手の装甲を一方的に削り出していく。

「がああああああああ!」

装甲の上から受けたダメージは、クローズに激痛の叫びを上げてしまう。

《シャカリキスポーツ》

ゲンムは左腰部のホルダーにガシャットを挿し込むと、一台の自転車が出現する。

「じ、自転車?」

「正確な呼び名は、スポーツゲーマだ」

スポーツゲーマに跨り、同時にホルダーのボタンを押す。

《キメワザ! カシャキリ! クリティカルストライク!》

ペダルを漕ぎ、全速力で走りだし、

「トドメだ!」

クローズへと体当たりを叩き込んだのだ。

「ぐあぁぁぁぁ!」

ゲンムの必殺技『クリティカルストライク』を喰らい、クローズは吹き飛ばされてしまった。






 変身が解け、その場で動かない当麻。

同じく変身を解除したアルキメデスも、彼を見下ろしながら呟く。

「しかし、スタークも分かりませんね。 なぜこんな少年を気に入っていたのか。 分からない、実に分からないものだ」

踵を返し、階段へと向かおうとするが、

「待ち…や…がれ……」

「っ!?」

突然の声に、再び踵を返してしまう。

そこには、倒れていた筈の当麻が立っていた。

「バカな!? 何故だ! 確かに手応えはあった!? なのに何故立てる!? 何のために戦うんだ!?」

「そんなもん、決まってんだろ……」

拳を握り、当麻は強く叫んだ。

「仲間の為に戦うと決めた……俺自身の誇りの為にだ!」

「あり得ない…実にあり得ない! そんな理由で、そんな理由で私を阻む気か小僧ぉぉぉぉ!」

激昂したアルキメデスは、ガシャコンバグヴァイザーを腰に当てる。

そのままベルト『バグルドライバー』となり、彼は一本のガシャットを構える。

《デンジャラスゾンビ!》

「変身!」

《ガシャット! ガチョーン! バグルアップ!》

ガシャットを装填し、黒い霧とともに巨大なパネルが出現。

《デンジャー! デンジャー! (ジェノサイド!)デス・ザ・クライシス! デンジャラスゾンビ!》

それをぶり破る事で、変身が完了された。

白と黒を基調とした骨を思わせるスーツと左右非対称の装甲、左目の部分が破損された赤いバイザー。

その姿は、死霊を思わせる禍々しさを見せる。

仮面ライダーゲンムの強化形態『ゾンビゲーマーレベルXテン』が降臨したのだ。

「どうだ! これが英霊とライダーシステムを利用したファウストの計画の一つ! 『ライダーサーヴァントプロジェクト』の一つだ!」

「知らねぇよ」

「なに?」

「俺はただ、仲間の為に戦うだけだ」

《クローズドラゴン!》

「ベルベットを利用するのが、スタークの計画だってんなら…。 その幻想を……俺がぶち殺す!」

《Are you ready?》

「変身!」

《ウェイクアップバーニング! ゲット クローズドラゴン! イェーイ!》

当麻は再び仮面ライダークローズへと変身し、再び立ち向かったのだった。






 クローズは何度も拳を放つが、ゲンムは攻撃を受けた様子は見られない。

「無駄だ。 そんな攻撃は、私には効かない!」

ゾンビゲーマーの名の通り“常に死んでいる状態”なので、どんな攻撃にも怯まない。

しかもサーヴァントが変身者になる事で、戦闘力が向上している。

「うおぉぉぉぉ!」

それでも、クローズは攻撃を止めなかった。

「全く、無駄だと言っているのに。 聞き分けのない少年だ」

ゲンムの攻撃を受けてしまうも、再び攻撃を止めない。

「まだ…まだぁ!」

「だから、無駄だと言うのが分からないのですか? 滑稽過ぎる、実に滑稽過ぎだ。 だから、この場で終わらせて――」

呆れたゲンムであったが、まさにその時だ。

「うおぉぉぉぉ!」

ドガァァ!という一撃が、顔面に直撃した。

「あがっ!?」

これには流石に、ゲンムも驚愕を隠せない。

「なん…だと!?」

どんな攻撃も通用しないゾンビゲーマーに、初めてダメージが通ったからだ。

そんな事も知らず、クローズは再び攻撃を放つ。

「うおぉぉぉぉ!」

拳を振るい、ゲンムを何度も殴りつける。

「うおりゃぁぁぁ!」

「うぐっ!」

「アンタがどんな姿になろうと、関係ねぇ! 今の俺は、負ける気がしねぇ……。 いや、負けるワケにはいかねぇんだぁぁぁ!」

《Ready GO!》

右手の拳を握り、蒼い炎を纏いながら放つ。

その蒼炎はまるで、牙を向けた龍の頭部と化していた。

《ドラゴニックフィニッシュ!》

「うおりゃぁぁぁ!」

この一撃が、ゲンムに決定的なダメージを与えたのだ。

「ぐがぁぁぁぁぁぁ!」

吹き飛ばされたゲンムは吹き飛び、壁に激突してしまう。

変身が解け、アルキメデスの姿へと戻り、

「悪いな、俺の勝ちだ」

変身を解除した当麻も、すぐさま階段へと歩き出したのだった。






〜JOJOvsワムウ〜

 クローズとゲンムが戦っていた同時刻、ジョセフ達はワムウと激突していた。

隠者の紫ハーミットパープル!」

茨状のスタンド『ハーミットパープル』を伸ばしたジョセフだが、ワムウに避けられてしまう。

スタンドは本来、“同じスタンド使いにしか見えない”というルールが存在する。

その為、スタンド使いでないワムウにも見えない。

しかしワムウは、コレまでの戦いで経験した“勘”だけで回避しているのだ。

「ほう……衰えるどころか、ますます強くなった様だな。 JOJO、波紋の他にも更なる力を身に付けたか」

「流石は戦いの天才。 勘だけでスタンド攻撃を回避したか」

すると今度は、承太郎が攻撃を仕掛ける。

星の白金スタープラチナ!」

スタープラチナの鉄拳が、ワムウへと向かっていく。

しかしワムウは、またもや勘で回避した。

「こいつぁ、思ったより厄介だぜ」

「ほう。 孫だけあって、JOJOに似ているな。 性格の方ではなく、主に雰囲気が」

「そいつはどうも」

「ならばこのワムウも、その実力に敬意を評し、我が切札を使わせて貰う」

両腕を突き出したワムウを見て、ジョセフは背筋を凍らせる。

「(マズイ! あの構えは! 来る、が!)」

嘗て経験した事がある彼だからこそ、その正体を知っていたのだ。

「承太郎! みんな! 後ろへ跳ぶんじゃぁぁ!」

ジョセフが叫ぶが、それは既に遅かった。

「闘技! 神砂嵐!!」





「闘技! 神砂嵐!!」

前に突き出した状態で、関節ごと高速回転された両腕。

そこから作り出された巨大な竜巻は、標的をその場で容赦なく粉砕する。

これぞワムウの得意とする必殺技、その名は『神砂嵐』!

二つの拳の間に生じる、真空状態の圧倒的破壊空間は……まさに歯車的砂嵐の小宇宙コスモ

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

「がぁぁぁぁぁ!」

神砂嵐を喰らったジョセフ達は、容赦なく吹き飛ばされてしまう。

その威力は、殆どが致命傷を負うほどだった。

「な、なんて威力だ…」

「う、動くだけで、出血が酷くなる……」

「立つのも、難しそうだ…」

スタープラチナの精密動作ですら見切れず、承太郎ですらも負傷を負ってしまう。

唯一助かったのは、この技を二度も経験していたジョセフだけだ。

「(あ、危なかった…。 ワシはあの技を二度喰らった経験のお陰で、なんとか避ける方法を見つけたが、承太郎達の方は無理じゃったか)」

だが、その時だった。

「ジョースターさん、危ねぇ!」

ポルナレフの叫びに、ジョセフが振り向くと、

「っ!?」

ワムウが駆け寄り、距離を詰めて来たのだ。

凄まじい剛腕が、ジョセフへと迫って来る。

誰もが「間に合わない…」と呟くが、その時だった。

ピタッと、ワムウが拳を止めたのである。

それも丁度、ジョセフに当たるギリギリの位置に――。

拳を引き戻すと、ワムウは思いっきり後ろへと跳んだのだ。






 後ろへと跳んだワムウに、ジョセフは挑発を仕掛けた。

「どうした、ワムウ? ワシを攻撃するんじゃあなかったのか?」

「……波紋を流し、ガードしているな? ハーミットパープルとやらを体に巻き付けたまま、波紋を高圧電流のように流し込んでいる。 相変わらずの策士だな。 気付かなければ、俺の拳は波紋で消滅していた」

「………」

策を見抜かれたジョセフの体には、波紋を流しこまれたハーミットパープルが巻かれている。

これには全員が驚くしかない。

「相変わらずか…。 それはお互い様じゃ。 波紋に気付いて、即座に拳を止めたんじゃからな」

波紋使いと柱の男――この戦いを目にし、誰もが唾を飲み込む。

すると、カーズが叫んだのである。

「ワムウ、その辺でいいだろう」

「カーズ様!」

不敵な笑みを見せるカーズは、ジョセフに視線を向けながら叫んだ。

「JOJO、やはりお前は大した男よ。 老いぼれとなってなお、ワムウと互角に渡り合ったのだからな」

「なぁ〜〜〜に言っておるんじゃ。 復活したばかりで、まだ本調子のじゃあないくせにのう。 今のワムウじゃって、本来の数分の一しか力を出し切れておらんじゃろうが」

「ふん、言ってくれる」

それを聞いた承太郎達は、驚愕を隠せない。

先程の攻撃が本領ではない――、それだけでも恐怖をせざる負えなかったのだ。

するとカーズは壁を蹴りで破壊すると、外の景色が見えてきた。

外はすっかり夜を迎えており、柱の男達にとっては活動しやすい時間帯である。

「この勝負、ひとまず預けるぞ! いくぞ、エシディシ! ワムウ!」

「おう」

「はっ!」

カーズが飛び下り、エシディシとワムウも後を追う。

「さらばだ、JOJO! 再び戦える事を願っているぞ!」

「一旦のお別れだ、JOJO。 お前との決着、楽しみにしているぞ」

三人が古城から飛び降りると、ジョセフはその場で座り込んでしまう。

「ハァ…ハァ……。 た、助かった……」

「ジョースターさん! 御無事ですか!?」

「なんとかな」

「追わなくても良いのか?」

承太郎が問うが、ジョセフは首を横に振った。

「それだけは止めておけ。 あのまま追えば、返り討ちに遭うのが目に見えておる」

すると、階段のほうから声が聞こえた。

「お〜〜〜い」

現れたのは、上条当麻である。

「当麻、無事か!?」

「なんとかな…。 そっちも、無事……だよな?」

「まあな」

「それじゃ、階段へと向かうかのう」

当麻と合流できた承太郎達は、三階へと登るのであった。






〜アーチャー&ギルガメッシュvsガーディアン軍団〜

 無数のガーディアン達が、一斉に攻めていく。

しかしアーチャーは弓に射撃、ギルガメッシュは宝物庫からの射出で狙撃する。

「所詮はアンドロイド。 頭部を狙えば、容易い事だ」

「フハハハハハ! どうした鉄屑共! それで全力か?」

二人の『アーチャー』の狙撃は、ガーディアンの群れを撃ち抜いていく。

これを見た新八は、思わず呟いてしまう。

「銀さん、コレ僕等の必要ないんじゃないですか?」

「新八、それは言うな」

「しかし、コレはコレで味気が無いな」

「慢心するな英雄王。 敵も馬鹿ではない。 何かを仕掛けるハズだ」

すると、その時であった。

無数のガーディアン達が集まり、姿を変えていったのだ、

身長は7.44m、体重は14.5t。

ライフルや無数の重火器が搭載された、二本脚の巨大ロボへと合体したのである。





 合体し、巨大ロボへと変形したガーディアン。

「合体による巨大ロボだとぉぉぉ!? おのれファウストめ! 男児の心を掴む方法を知っていたというのか!? やるではないか! 天晴れと言わざるおえん!」

「男なら、誰もが少年の頃に憧れていたものだぞ!? 敵ながら、ロマンというものが分かっているだと!?」

コレを見たアーチャーとギルガメッシュは、思わず感想をこぼしてしまう。

「いや、それは良いですので! 早く倒してください!」

エレノアが叫ぶが、二人は何故か沈黙してしまう。

「「………」」

「えっ!?」

「聞いたか、贋作者フェイカー。 あの女、「早く倒せ」と言ったぞ?」

「全くだ。 男のロマンを分かっていない証拠だ。 なぜ女というのは、ロボの良さを分かっていないんだ」

「何で私が悪いような言い方になるんですか!?」

「いいやエレノア、今のはお前が悪いぞ」

「ああ。 男にとって、ロボットはロマンだからな」

「アイゼン!? ロクロウ!?」

すっかりロボ談義に花を咲かせる男性陣に、エレノアは困惑してしまう。

「放っておきましょう、ランサー」

そんな彼女に、神裂は肩に手を置いた。

「仕方ない、この場で破壊するか。 壊すのは名残惜しいが」

「同感だ。 こちらも白野の元へ行かねばならん。 鉄屑にするのは少々おしいが…」

投影開始トレース・オン!」

アーチャーが唱えると、手には螺旋状の剣が出現する。

弓の弦を引き、標的を合体ガーディアンに向け、

偽・螺旋剣Uカラドボルグ!」

その場で発射したのだ。






 凄まじい破壊音と共に、合体ガーディアンは粉々に砕ける。

「ああ、合体ロボ……。 もっと拝みたかった」

「泣くな、贋作者フェイカー。 その悲しみと怒りを、スタークの奴へとぶつけるぞ」

「そうだな。 いくぞ!」

「俺達も手を貸すぜ!」

「男のロマンを殺しの道具にした事、絶対に後悔させてやるぞ!」

男性陣はそう言って、互いに頷き合う。

「マスター。 何故男性というのは、“ロマン”というものに憧れるんでしょうか?」

「……問わないでください」

呆れるエレノアと神裂であったが、階段を登って来た当麻や承太郎達と合流。

そのまま屋上を目指したのだった。






〜ビルドvsスターク〜

 遂に始まった、ビルドとスタークの一騎打ち。

満月の光が照らされた屋上で、二人は拳と拳をぶつけ合う。

ビルドが拳を放つと、スタークはそれを防ぐ。

スタークが蹴りを放つと、ビルドはそれを避ける。

文字通り、激しい攻防戦が行われたのだ。

「ビルドアップ!」

《忍のエンターテイナー! ニンニンコミック! イェーイ!》

ニンニンコミックフォームに変身すると、ビルドは四コマ忍法刀を振るいだす。

対してスタークも、スチームブレードで対抗。

刃と刃のぶつかり合いで、火花が散らされる。

「ビルドアップ!」

《天空の暴れん坊! ホークガトリング! イェーイ!》

一度後ろへ跳ぶと、ビルドはホークガトリングフォームへとチェンジ。

ホークガトリンガーを構え、その場で引き金を引いた。

銃口から放たれた無数の弾丸は、スタークへと向かっていく。

しかしスタークは、スチームブレードで弾き落とした。

「ビルドアップ!」

《輝きのデストロイヤー! ゴリラモンド! イェーイ!》

そのままゴリラモンドフォームにチェンジし、接近戦に持ち込む。

「はぁぁぁぁ!」

豪快に振るわれた右腕であるが、スタークはその隙を利用し、

「無駄だぜ」

トランスチームガンの至近距離射撃を喰らわせた。

「ぐあっ!」

ビルドだ怯んだ隙を突き、スチームブレードを振るう。

容赦なの無い斬撃を受けてしまい、ビルドは引き飛んでしまった。






「くっ……」

倒れたビルドは、その場で白野の姿に変身が強制解除される。

「奏者!」

「ダメ!」

セイバーが駆け寄ろうとしたが、白野から制止の声を掛けられた。

「さて、これで終わりだな。 何か言いたい事は?」

「……貴方の正体を…分析してみた」

「ほう、聞かせて貰おうか?」

自身の正体を知られて尚、興味深そうに笑うスターク。

そんな彼に、白野はゆっくり口を開く。

「貴方の正体を知ったのは、ユリウスからの電話だった。 彼はナイトローグとして、ファウストの内情を調べていた」

「やっぱり情報源はアイツか…」

「最初は、貴方の正体を知って驚いた。 確信が無かったし、信じられないのも事実。 けど、それに繋がる状況は揃ってた」

「ほう、言ってみな?」

「一つ目は…“貴方がビルドの攻撃に対応できる”こと。 貴方は何らかの手腕で、私がビルドである事を知っていた。 そのお陰で、貴方はビルドへの対策を編み出してる」

それを聞いたセイバー達も、「確かに」という顔をする。

コレまでスタークは、ビルドの攻撃をことごとく回避していた。

まるで知っていたかのように……。

しかし事前に情報を得ていたのなら、対策を練られてもおかしくない。

「次に二つ目は…“ベルベットの周囲に起きた事件”のこと。 最初は神裂達が、貴方に騙されて起こした誘拐事件だけだと思った。 けど闘技場の件でも、貴方は動いた。 今度は、銀さんを利用したかのように。 実はあれ、ちゃんと裏があるんでしょ?」

それを聞いて、一番驚いたのはベルベット。

自身の誘拐と闘技場の一件。

どれも自身が関わっている事で、誘拐の事は分かっていた。

しかし闘技場の方も、スタークが意図があったとは思いもしなかったのだ。

「そして三つ目……。 最初の二つに共通できるもの……それは……」

「それは?」

「喫茶選『smile』――あの店を中心に起きている」






 衝撃の真実を聞き、セイバーやベルベット達は驚きを隠せない。

「smileが最初の二つに共通できるもの? まさか俺が、あの店にスパイでも放ったのか?」

冗談まじりに呟くスタークに、白野は首を振る。

「そんなことしなくても、もっと簡単な方法がある」

「というと?」

「店の営業者スタッフとして、貴方自身があの店で動けばいい。 そうすればお客の会話から情報を得られるし、そこから私がビルドである事も知る事が出来る」

「フム、確かにな」

「それにベルベットの行動も、好きな時間帯で監視下に置く事も出来る」

「成程なぁ〜。 そこまで推理で来たのか……」

「そして、バイトを理由に店を抜けだせば、何時でもスタークとして私達の前に現れる事も出来る」

コレを聞いた瞬間、セイバー達は「まさか」という顔になってしまう。

そして彼女の口から、衝撃の言葉が出てきた。

「皆を欺き、利用し、ファウストとして動く理由は何なの!? 答えて、スターク! いや………長谷川さん!」

――奴の正体は…。 元入国管理局局長の、長谷川泰三。

これが、ユリウスからの電話で聞いた、スタークの正体であった。

「クククク…。 遂に、正体がバレちまったか」

そう言うとスタークは、遂に正体を見せたのである。

見た目は30代後半で、サングラスをかけた中年男性。

そこに立っていたのは、間違いなく長谷川泰三。

スタークの正体を知り、セイバー達は驚愕を隠せない。

既に知っていた白野も、目の前に真実に奥歯を噛み締める。

しかも銀時達も、屋上へ辿り着いたと同時に知ったのであった。






「はせ…がわ……さん?」

思わず口を開いた新八。

「よう、銀さん達もきたんだな」

当然のように声をかけた長谷川であったが、銀時は木刀を強く握る。

「ホントに、アンタがスタークなのか?」

「あっ、そうか。 ちゃんと見せてなかったな」

《コブラ!》

そう言うと彼はトランスチームガンにボトルを装填し、引き金を引いたのだ。

「蒸血」

《ミストマッチ……》

銃口から煙が出現し、それが長谷川の体を隠す。

《コブラ…コッ…コブラ……ファイヤー》

煙が晴れると同時に、ブラッドスタークが立っている。

「これで、分かっただろ?」

目の前の真実に、銀時達は何も言えなかった。

「何故俺がこんな事をしたのか、理由を知りたいか?」

そう言ってスタークが、コレまでの経緯を説明したのだ。

「ベルベットの正体を知ったのは、俺があの店を始めた時からじゃない。 ファウストとして、ネブラにスパイを送り込んだ時からだ」

「っ!?」

「俺の壮大なる野望を達成するために、利用できると考えたんだ。 『幻想殺し』の能力を持つ上条当麻、聖杯戦争の勝者の証『レガリア』を持つ岸波白野。 この二人を魂郷町に呼ぶ為のな」

それを聞いて当麻は驚き、インデックスが叫んだのである。

「待って! 聖杯戦争は10年前に終わったんだよ!? だとすれば、はくのはとうまよりも年上なんだよ!?」

魔術側である神裂は、「確かに」という顔になる。

しかしスタークは、クスリと笑う。

「知らなかったのか? 10年前の聖杯戦争は一度は終わった。 その数日後、パンドラボックスが地球へと運ばれた。 これは事実だ。 だが10年後、聖杯戦争が密かに行われた事は知らなかったのか?」

「っ!?」

「聖杯戦争が行われるのは、基本的に夜だからな。 知ってる方がおかしいしな。 まあ、この事は魔術教会が隠蔽してるから知らないのも無理もない。 だが、その聖杯戦争で勝利した魔術師が、岸波白野だった。 それだけの事だ」

「はくのが、聖杯戦争の勝者……」

「まあ、聖杯自体も魔術教会と統制機構が厳重管理しちまったから、迂闊に手は出せないけどな。 話を戻すぞ?」

そう言ってスタークは、再び真実を話す。

「この二人を引き合わせるには、シナリオが必要だ。 そこで俺は、ある方法を実行した。 まず、ある理由で上条を学園都市の『外』へ出し、白野と接触させる」

「それが、当麻が魂郷学園に転校してきた…あの日だったのか」

「その通り! ベルベットの行き先にスマッシュを放ち、お前がそれを目撃し、ベルベットが白野を呼ぶ。 そうすれば、お前達二人は出会いを果たすワケだ。 分かるだろ? ベルベットはお前達を呼び出す為、俺が用意した『餌』だったんだよ! フハハハハハ!」

真実を語り、最後に笑いだすスターク。

「テメェ…」

当麻は奥歯を噛み締め、拳を強く握る。

それは誰もが同じだった。

ベルベットに至っては、自身が当麻と白野を引き会わせる為に利用されたと知り、ライフィセットの胸の中で涙を流す。

しかし、その時である。

「最悪だ……それだけの為に利用されるなんて」

ゆっくりと立ち上がり、白野がスタークを睨む。

「スターク、私は貴方を許さない。 私は、自分が正しいと思った道を行き、私が信じる人々の為に―――貴方を倒す!」

懐から取り出した一本の缶を振ると、栓を開けてビルドドライバーに装填した。

《ラビットタンクスパークリング!》

そしてレバーを回転させると、スナップライドビルダーが出現し、

Are you ready覚悟は出来たか?》

「……できてるよ」

ハーフボディが挟みこむように結合したのだ。

《シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング! イェイ! イェーイ!!》

ラビットタンクフォームに白い模様が追加され、さらに装甲が鋭利なものになっている。

勿論右目も発砲のエフェクトが付いた戦車で、左目が刺激を受けた兎の横顔。

仮面ライダービルドが新たなる形態、『ラビットタンクスパークリングフォーム』へと進化したのである。





「び、ビルドがパワーアップしたぁぁぁ!?」

「スゲェ!?」

「コイツは……」

「やるじゃあねぇか、岸波」

ビルドの新形態を目にし、承太郎や銀時達がお驚きを隠せない。

しかし、一番驚いたのはスタークだった。

「新形態だと!? そんな切り札を何時の間に!?」

すると左足の跳躍で、ビルドはスタークへと接近してきたのだ。

「ハッ!」

思いっきり殴り、スタークはその場で怯んでしまう。

反撃に拳を放とうとするが、ビルドの蹴りが早く出た。

その一撃が重く、先程まで強かったスタークが膝をついてしまう。

「ぐっ! やるな…。 なら俺も、本気で相手をしなくちゃなぁ!」

胸部からなんと、巨大なコブラを二匹出現させたのだ。

「シャァァァァ!」

「巨大コブラを呼び出すだと!?」

「分かってはいましたが、あの方やっぱり、本気を出していなかったのですね」

コブラは襲いかかるが、尻尾を掴んで上空へと投げ飛ばす。

「勝利の法則は決まった!」

左足の跳躍力を活かし、上空へと跳び上がった。

レバーを回し、必殺技を発動させる。

《Ready Go!》

ワームホールの様な図形を出現させ、その中に敵を拘束、

《スパークリングフィニッシュ!》

無数の泡と共に急降下のキックを叩き込んだのだ。

「ぐあぁぁぁぁぁ!」

この一撃で2体のコブラは倒され、キックの余波がスタークに大ダメージを与えたのだった。






 ビルドの必殺技『スパークリングフィニッシュ』を喰らい、変身が解除された長谷川。

変身を解除し、白野は決意を固めた目で呟く。

「これで私の中で、『長谷川泰三』は死んだ」

「ハハハハ! 言ってくれるじゃねぇか。 今回は俺の負けだ。 smileはお前等にくれてやる。 もうあの店にいる理由もないしな。 チャオ♪」

そう言うと長谷川は、その場から跳び降りたのだ。

「なっ!?」

その先は海岸、幾ら彼でも落ちたら命はない。

下を見下ろすと、そこには一隻のボートがあった。

そのボートには長谷川が乗っており、彼はそのまま去ったのである。

こうして、魔森島の古城での戦いは終わったのであった。







 翌日、ベルベットは病院のベッドにいた。

あの日は重傷で、スピードワゴン財団のドクターヘリで病院へと緊急搬送されたのだ。

出血の所為で危篤状態なっていたが、緊急手術で無事に死の淵から生還したのである。

しかし様子見の為、3日間は入院となったのだ。

ベルベットは失った左腕を眺め、現実を受け入れざる負えなかった。

災禍の顕主と呼ばれた頃も、彼女は似たような状況を経験している。

目に見えぬ真実を目にし、身近な人間に裏切られた絶望。

1000年後の世界でも、味わう羽目になってしまったのだ。

そんな彼女の元に、ライフィセットが訪ねてきた。

「今、良いかな?」

「………ええ」

椅子に腰かけ、ライフィセットは優しく語りかける。

「ちゃんと、ご飯は食べてる?」

「……ええ」

「実は、話しがあるんだ」

「なに?」

「実はね……ある専門家に連絡したんだ」

「専門家?」

「その人に頼んで、左腕の義手を作って貰おうと思ってる」

「どうして…アタシの為にそこまで……」

問いかけるベルベットに、彼は優しい笑みを見せながら答えた。

「ベルベットが好きだから。 誰よりも、一番大切な人だから」

「………」

それを聞いた瞬間、彼女の目から涙が零れる。

「ホントに…それだけ?」

「それ以外に、理由はないよ」

優しく右手を握るライフィセットに、ベルベットは笑顔を見せた。

「……ありがとう、フィー」

「いいですよ。 入って」

「失礼する」

扉が開き、一人の人物が現れる。

赤い髪で眼鏡をかけた妙齢の女性。

「私は人形師の蒼崎橙子だ。 ベルベット・クラウ、キミの義手を作りに来た者だ」

そう言って彼女、蒼崎橙子は笑みを浮かべたのだった。







 3日後、とある空港にて、

「それじゃあ、アタシ達はこれで」

「おう、楽しんで来いよ」

無事に退院できたベルベットは、ライフィセットと日本を離れる事になった。

理由はライフィセットがネブラの仕事で、オーストラリアに行く事になったからだ。

白野達もそれが良いと思った。

日本を離れていれば、ベルベットもスタークに狙われる事はないと感じたからである。

「じゃあ、行ってきます」

「7日間は店を空けるから、それまでは頼んだわよ」

「おうよ」

「いってらっしゃい」

二人はオーストラリア行きの飛行機に乗り、白野達もそれを見送った。

別れの際にベルベットは、橙子が作ってくれた左腕の義手を振ったのである。

その顔は絶望に染まったものではない、希望を見出した本当の笑顔であった。







 その後、smileの方では……、

「そういう事だから、新店長のベルベットが留守の間、この店をきりもみしましょう」

神裂達に向けて、白野がそう言ったのだ。

「ちょっと待って下さい!」

「何、神裂」

「元々この店は、スターク――いや、長谷川泰三がベルベット・クラウの監視用に用意したんですよね!? なら、私達が此処にいる理由は――」

「あるよ、理由は」

「えっ?」

「ここは一応、ベルベットの家でもある。 だから、彼女がいない間は、この家を守ってあげたい」

「………」

白野の偽りのない答えに、神裂は笑みを浮かべてしまう。

「……分かりました。 私達も、出来るだけの事はします」

「でも私、学校があるから毎日は来れないよ」

「え、まあ…そうですね」

「というワケで、アーチャー」

「了解した、マスター」

そう言うとアーチャーは、戦闘服の上からエプロンを着ける。

「コレから私が、“店長代理”として、キミ達を厳しく指導する! 掃除に洗濯、料理に食器洗い! 全てコマ目にチェックさせて貰うから、そのつもりでな」

ヒニルな笑みを見せる彼に、神裂達はゾッと背筋を凍らせてしまう。

「(な、何でしょう!? この悪寒は!?)」

「(ベルベットの方が、まだマシに感じる気が……)」

ベルベットは料理や掃除に対しては、徹底的な拘りを持っていた。

恐らくアーチャーも、似たような拘りを持っているはずだ。

「では早速、店の掃除を始めて貰う! すぐに取り掛かれ!」

「「「「えぇぇぇぇ!?」」」」

こうして神裂達は、店の掃除を行うハメになったのである。


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■作者からのメッセージ
 というワケで、長谷川さんがスタークでした。

銀時「オィィィ! 重大な役じゃねぇか!? “マジでダメなオッサン”の“マダオ”から、“マジでダークなオッサン”の“マダオ”に昇格じゃねぇか!?」

神裂「どちらにせよ、“マダオ”になるんですね……」
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