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魂郷学園 第37話:3【アクトスリー】
作者:亀鳥虎龍   2018/10/07(日) 21:48公開   ID:iYcaOJsNR36
 吉良キラ吉影ヨシカゲ、普段はあまり目立った印象を持たない会社員の独身男性。

しかしその正体は、15年間も殺人を犯し続けた殺人鬼である。

杉本家を初め、後に彼はスタンド能力で殺人の証拠を消してきた。

スタンドの名前は『キラークイーン』、触れたモノを爆弾に変えるという能力を持つ。

能力の一つである『第一の爆弾』は、右手の人さし指にあるスイッチで、好きなタイミングで爆発させる事が出来るのである。

これによって彼に殺害された被害者は消滅、そして行方不明として扱われてきたのだ。

そして、吉良が靴のムカデ屋で放ったのは、キラークイーンの『第二の爆弾』である。

名は『シアーハートアタック』。

中央部に髑髏の意匠が付いた小さなキャタピラの自動追跡爆弾で、キラークイーンの左手から放たれる。

その頑丈さは、最強クラスのスタンドであるスタープラチナのパワーでも破壊できない。

さらに本人曰く、「シアーハートアタックに、“弱点”はない!」





―3【アクトスリー】―





「オラオラオラオラオラオラオラァ!」

スタープラチナの連打が、爆弾スタンド『シアーハートアタック』を吹き飛ばす。

しかし、シアーハートアタックは倒れるどころか、

『コッチヲ見ロ!』

再び突っ込んできたのである。

「また来たぁ!」

「マギルゥを連れて離れてろ、康一くん!」

接近してきたシアーハートアタックを、スタープラチナは一度掴むと、

「オラァ!」

店外へと投げ飛ばしたのだった。

同時に、爆発で窓が吹っ飛ばされる。

『コッチヲ見ロ!』

しかしシアーハートアタックは、攻撃を止めようともしない。

「くっ! 初めてだぜ、こんな頑丈なスタンドは。 逆に俺の“自信”って奴が、ぶっ壊れちまいそうだぜ」

これには承太郎も、動揺を隠しきれなかった。

なにせ自慢のスタープラチナでも破壊できないスタンドと遭遇するのは、初めての経験だったからだ。

それも殴った反動で、両手の皮膚が裂けて血が流れ出る程に――。





「承太郎さん!」

「キミはもっと離れてろ、康一くん。 マギルゥ、お前もだ! 今度こそバラバラに分解してやるぜ!」

分解する気満々の承太郎であったが、康一が自分の意見を唱えた。

「い、意見を言いたいんです。 遠くから操作するスタンドは、決して強力なパワーを持たない。 でも、こいつの『パワー』と『破壊衝撃』は、本体が近くいなくっちゃあ納得できない破壊力です。 せいぜい、15……いや、10メートル以内に本体がいないと、これ程のパワーは出ない筈です!」

「つまり…攻撃の射程距離が決まっておる――ということか…」

康一の台詞に、マギルゥはスタンド能力の『ルール』を知る。

「………だから?」

「だから!? 10メートルですよ!? 僕の『エコーズ』は約50メートル。 犯人を見つける事は出来るハズです!」

これに対し、承太郎はこう答えた。

「いや、キミは『エコーズ』で自分の身を守ることだけを考えろ。 余計な事はするな。 マギルゥ、お前もだ」

「何故ですか!?」

「そうじゃぞ! 理由を教えてくれんか!?」

「コイツは『遠隔操作』のスタンドだ。 本体はもういない。 何度もいろんなスタンドを見てきた経験で分かる」

すると、その言葉にムッとなったマギルゥ。

「儂はスタンドが見えないから、意見できる立場ではないが……その『遠隔操作』とやらだと言いきれる理由はあるのか?」

「簡単だ。 近くで操作するには、動作が単純過ぎる。 向かってくる動きしかしないからだ」

「成程な……」

経験で『遠隔操作』だと答えた承太郎に、マギルゥは納得出来たが、康一は納得できなかった。

「(しかし、経験で分かるとはな……。 犯人を追わない事も納得がいく。 しかしこやつ、相当な修羅場を潜っておるようじゃな…)」

「(あのパワーで遠隔操作!? あり得ないぞ! やっぱり承太郎さんは、僕の事を軽く見てる! 僕だって成長してるんだ!)」

康一は自身のスタンド『エコーズ』を飛ばし、すぐに犯人を追跡した。





 店の外へ出たエコーズは、すぐに捜索を始める。

「10メートル……20……30……」

徐々に距離を広めるエコーズ。

「いた、ヤツだ!」

そして遂に、殺人鬼を見つける事が出来た。

しかしここで、思わぬ出来事が起きた。

「でも、おかしいぞ!? 50メートル以上も離れてる!?」

既に殺人鬼との距離は、50メートル以上を越えていたのだ。

「(ば、バカな!? ありえない! あのパワーで遠隔操作だなんて!?)」

遠隔操作でありながら、スタープラチナと渡り合えるパワー。

この事実に康一は、息が荒くなるほど驚愕してしまう。

しかし、その時であった。

『コッチヲ見ロ!』

なんとシアーハートアタックは、康一へと標的を切り替えたのだ。

「バカな!? 僕の方へと!?」

「そういう事か! 奴は体温の高い方を優先して襲ってくる! 獲物を探すヘビのように!」

「なっ!?」

このままでは、康一がシアーハートアタックに殺されてしまう。

「康一くん、エコーズを出して身を守れ! この距離じゃ、時を止めても間に合わん!」

承太郎が叫ぶが、エコーズは追跡に出している。

「ダメですぅぅ! ごめんなさいぃぃぃ!」

まさに絶体絶命であったが、その時だった。

「こっちじゃ!」

「えっ!?」

マギルゥが襟元を掴んで、自分の方へと引き寄せたのだった。

これによりシアーハートアタックは、そのまま壁に突っ込んでしまう。

「た、助かったぁ〜」

「何言ってるんじyぁ。 私は見えないから、どう対処出来るか分からん。 ぬしが指示をお願いしろ!」

「え、指示って!?」

だが、その時であった。

「康一くん、エコーズを早く戻すんだ! マギルゥ、それまでに康一くんを守ってくれ!」

「分かった――って、言えると思うたか! 見えないにどうやって守れと言うんじゃ!?」

シアーハートアタックが、再び襲いかかって来たのだ。

「うわぁぁぁ!」

「やれやれ……『スタープラチナ・ザ・ワールド』!」

コレにより承太郎は、再び時を止めたのだった。






 スタープラチナは足元の木片を使い、

「オラオラオラオラオラオラオラ!」

その場で火を点け始めた。

「コイツが店の主人を先に襲ったのは、手に熱い飲み物を持っていたからだ。 そして康一くんを狙ったのも、興奮で体温が上がったから……。 ならば、体温以上の高熱を狙わせればいいだけだ」

何故承太郎は、シアーハートアタックが遠隔操作だと判断で来たのか。

それは、ある一人のスタンド使いの存在であった。

DIOの部下である『ンドゥール』。

彼は全盲で目が見えないが、研ぎ澄まされた聴覚でスタンドを操る事が出来る。

スタンドの『ゲプ神』は、高い攻撃力を持つ半面、本体が全盲ゆえに音の出るものしか攻撃できない。

しかしその実力は、承太郎ですら追い詰められる程であった。

だからこそ、承太郎はシアーハートアタックが遠隔操作のスタンドだと見抜いたのだ。

「時は動き出す」

時動き出した瞬間、火が一気に燃え上がった。

これによりシアーハートアタックは、標的を康一から炎へと向かった。

「だが、コイツが炎の近くに寄ると言う事は……」

承太郎はすぐさま、爆発前に横へと跳んだ。

カチリと音が聞こえ、シアーハートアタックがチュドォォォォン!と爆発を起こす。

「ぬっ! このパワー!?」

しかし、今度の爆発衝撃は強過ぎた。

「グォォォォォ!」

これにより承太郎は、壁へと激突する。

「そんな……まさか……」

しかし、ダメージが大き過ぎた為、

「承太郎さあぁぁぁぁぁぁん!」

承太郎はその場で気絶したのだった。






「うわぁぁぁぁ!」

「康一!」

思わず駆け寄る康一、それを追いかけるマギルゥ。

「僕のせいだ! 僕が忠告を無視して、奴を追わなければ!」

そう言って康一は、今の状況を後悔した。

彼はコレまでの戦いの中で、精神的に成長していく。

しかし、その成長が過信へと繋がってしまった。

「落ち着け康一! それだけ興奮すれば、奴に気付かれるぞ!」

マギルゥが叫ぶが、シアーハートアタックは、

『今ノ爆発ハ、人間ジャアネェ!』

標的が人間でないと察し、再び襲いかかって来たのだ。

「うわぁぁぁぁ! マズイ、トドメをさす気だぁぁぁ!」

絶体絶命に陥った康一であったが、

「コレは!」

壁のスイッチを見つけたマギルゥは、すぐに電源入れたのだ。

すると照明ライトの熱に反応し、シアーハートアタックは標的を照明に切り替えた。

「よし、これで時間稼ぎが出来る。 今の内に承太郎を運ぶぞ」

「あ、はい!」

すぐさま二人は、必死で承太郎を運び出す。

台所に向かうと、そこでガスコンロに目を付けた。

「やった! ここなら火がいっぱい使えるぞ」

「よし!」

スイッチを入れるが、ここで大きなハプニングが起きた。

「あれ……これって、ガスコンロじゃない!? 電気式だ!」

「ちょい待て!? オーブンまで電気式じゃぞ!」

まさにその時であった。

『コッチヲ見ロ!』

シアーハートアタックが、全ての照明ライトを破壊したのである。

「き、来たぁぁぁ!」

すると康一は、ポットに目を付けたのである。

「やった! これなら! あっちに行け!」

ポットを投げ飛ばすが、中身は空っぽであった。

「そ、そんな!?」

「万事休すか!?」

『コッチヲ見ロ!』

シアーハートアタックが突進してくる。

「うわぁぁぁ! もう駄目だぁぁぁ!」

「くっ! 見えんから、全然状況が分からん!」

今度こそ終わりだと思ったが、その時であった。

「ま、待てよ? 良く見たらコイツ、『弱点』があるぞ」

「何じゃと?」

「承太郎さんの言うとおりだ。 よく観察したら、弱点があるぞ」

瞬間、エコーズがシアーハートアタックに接触した。

「熱のあるものへの攻撃を止めない……それが、おまえの弱点だな!」

さっきまでと雰囲気が変わった康一。

「何故僕がビクビク震えて、お願い神様助けてなんて感じにならなきゃあいけないんだ? 逆のハズだ! ビクビク震えるのはお前の方だ、殺人鬼!」






「これで、奴の視線は僕等から外れた」

「そうなん……か?」

康一はエコーズの能力で、『ドジュ〜』と書かれたシッポ文字をシアーハートアタックに取り付けた。

これにより、シアーハートアタックはシッポ文字を追いかけている。

「このまま電話で、仗助くんに知らせよう」

「ソイツは今、家にいるんか?」

「多分……」

「え〜と、本当に大丈夫なんじゃろうな?」

「マギルゥさんは見えないので分からないかもしれませんが、大丈夫です。 今のアイツは“前にぶら下がったニンジンを追い掛けるロバ”のような状態ですから」

「いや、その例え方はどうかと思うが……」

電話を手に取り、東方家へ連絡を取る。

『はい、こちら東方』

「あ、仗助くん! 康一だけど!」

『康一? どうしたんだ?』

「承太郎さんが重傷なんだ! 僕のせいでそうなったんだけど、兎に角来て!」

『お、おい! 話しが見えねぇぞ! どういう事なんだ!?』

「いよいよなんだ! 殺人鬼のスタンドを、捕まえたところなんだ!」

『何だって!?』

するとその時、マギルゥが叫んだのである。

「康一! ヒーターの熱が上がっておる!?」

「え!?」

「さっきスイッチを切ったばかりじゃぞ!? どうして今頃!?」

『おい、誰かいるのか!?』

すると、その時であった。

『コッチヲ見ロ!』

シアーハートアタックが、ヒーターの熱に反応したのだ。

「し、しまった!」

『康一、今だ何処だ!!』

「靴のムカデ屋だよ! 早く来て!!」

それだけ伝えると、康一は必死で承太郎を外まで運んだ。

しかし同時に、シアーハートアタックが爆発したのだ。

「どわぁぁぁぁ!」

「うわぁぁぁ!」






 破壊衝撃で背中が裂けてしまった康一。

「ぐっ! ま、マギルゥさ――」

マギルゥの安否を確認するが、

「うっ……」

「マギルゥさん!?」

爆風の衝撃を喰らい、その場で倒れてしまったのである。

「そ、そんな!」

『コッチヲ見ロ!』

シアーハートアタックは、再び突進してくる。

「あ、ACT2!」

エコーズを呼ぼうとするが、反応が無い。

「ど、どこだ! ACT2!」

辺りを見渡す康一であったが、そこであるものを見てしまったのである。

「うわぁぁぁ! ACT2がぁぁぁ!」

エコーズの体が、虫の脱皮のようにボロボロとなったのである。

しかし、ここで康一がある事に気が付く。

「って、おかしいぞ? エコーズがやられたら、本体の僕も死ぬはず。 でも僕が生きてるって事は……まさか!?」

康一は思い出した。

エコーズが最初のACT1から、現在のACT2へと成長した時の時を。

まさにその瞬間だった。

「あ、アレは!?」

何かが、康一の方へと跳び上がったのである。

外見は人間型で、ズボンを履いたスタンド。

エコーズの新たなる姿、その名も『ACT3』である。

「ま、まさか!? エコーズ『ACT3』!――さん…でしょうか、貴方は?」

「命令シテクダサイ」

「も、もしかして! 成長したんですか僕ぅ〜!?」

「命令シテクダサイ」

「め、命令って……じゃあ、アイツから僕達を守って」

命令を受けたACT3は、瞬時に康一の方へと立つ。

「は、速い!」

そしてACT3は、シアーハートアタックに攻撃を開始した。

「必殺! 『エコーズTHREEFREEZE』!」

高速のパンチをお見舞いし、

「や、やった!」

攻撃が決まったかのように思えた。

「アダッ!」

「へ?」

そのまま激突し、吹き飛ばされてしまった。

「予想以上ノパワーデスネ。 S・H・I・T、押シ負ケテシマイマシタ」

「なに言ってるんだよ!? 僕達を守ってよ」

「ソノ命令ハ、既ニ完了シマシタ」

まさにその時である。

ドゴォ!と、シアーハートアタックが、急激に重くなったのである。

あまりの重さに、シアーハートアタックも動きが鈍くなる。

「ねえ、ACT3。 これ、何をしたの?」

「『THREE FREEZE』。 “THREE”ト“FREE”ヲ掛ケテイマス」

「だから、何をしたの?」

「ドウモコウモ言ワレマシテモ」

これぞ、ACT3の能力。

必殺技の『THREE FREEZE』を受けたモノを、急激に重くするのだ。






 その頃、仗助と億泰はというと、

「おい、仗助! 靴のムカデ屋で、何が起きてるって!?」

「俺も分からねぇが、兎に角向かうぞ!」

すぐさまムカデ屋へと向かったのだった。

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■作者からのメッセージ
 桂木探偵事務所にて……、

「今頃マギルゥは、面白い状況に遭遇しているはずだ」

新たな『謎』を前に、ペロリと唇を舐めるネウロであった。
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