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魂郷学園 第38話:爆【キラークイーン】
作者:亀鳥虎龍   2018/10/09(火) 15:20公開   ID:iYcaOJsNR36
 エコーズACT3の能力で、康一はシアーハートアタックの動きを封じた。

その頃、本体の吉良吉彰はというと…、

「シアーハートアタックが、何らかの理由で…『重く』させられている」

左手の異状を憶え、シアーハートアタックに何かがあった事に気付く。

「まずい…『回収』しにいかなくては…シアーハートアタックを…直接『取り』に行かなくては……!!」

そしてすぐさま、シアーハートアタックを回収しに向かう。

だが左手の異常な重さで、取りに行くのに時間がかかるのであった。






―第38話:爆【キラークイーン】―






 シアーハートアタックを重くし、行動停止に成功した康一。

するとACT3は、康一にこう言ったのだった。

「5メートルデス」

「え?」

「私ノ射程距離デス。 ACT2ヨリパワートスピードガ上ガッタノハ喜バシイデスガ、射程距離ガ5メートルニ縮ミマシタ。 コレハ仕方ナイ事デス」

自身の射程距離の長さを伝えると、ACT3は更にこう言った。

「5メートル以内カラ離レルト、アノスタンドハ攻撃ヲ開始シマス。 デスガ後30センチ近付ケバ、アノスタンドハ完全ニ止マリマス」

「良いよ、この距離で。 仗助くん、早く来ないかな?」

電話で呼んだ仗助を待ちながら、康一は辺りを見渡す。

しかし、その時であった。

「ハァ……ハァ……ここまで3分も掛かった。 自分の体力の無さを思い知ったよ」

スーツ姿の男が、彼の前に現れたのである。

怪我をしているのか、左手からは血が流れ出ている。

康一は男のスーツに見覚えがあった。

「ところで、東方仗助と虹村億泰が来るまで残り5分。 山岸由花子かエステ『シンデレラ』の女を助けに呼ばないだろうからね。 ボタンの着いた上着は、置いて来たよ。 後で取りに行くつもりだ。 キミを始末してからね」

この台詞を聞いた康一は、すぐに確信出来た。

目の前の男が、杉本鈴美と重ちーを殺した殺人鬼だと!






「うおおおおお! ACT3、奴を攻撃しろ!」

命令を受けたACT3は、すぐさま攻撃を開始する。

放たれた拳をぶつけようとするが、

「キラークイーン!」

男――吉良吉影もスタンドで攻撃を防ぐ。

「なっ!?」

「フン!」

反撃を喰らったACT3は吹き飛ばされ、シアーハートアタックが身軽になった。

これにより吉良の左腕も、元の重さに戻った。

「おお!」

しかし康一の目には、納得の出来ないモノが映った。

この男が、スタンドを二つ持っている事に。

「ば、バカな!? スタンドは一人に一体のハズじゃ!?」

「シアーハートアタックは、私のキラークイーンの左手から放たれる。 だから、ダメージは私の左手だけに受ける」

そして吉良はシアーハートアタックと供に、康一に接近する。

「マズイデス。 射程距離ノ外ニ出テシマイマシタ。 アノ男カ爆弾スタンド、ドチラカニ『THREE FREEZE』ヲ」

「えっ!?」

「『THREE FREEZE』は、一度ニ二ツハ重ク出来マセン!」

「どっちって言われも……」

スタンドか本体か、どちらかを迷ってしまった康一。

本体を狙えば、シアーハートアタックが攻撃してくる。

しかしシアーハートアタックを重くすれば、本体が攻撃してくる。

悩んだ末、康一が選んだ結論は、

「ば、爆弾スタンドを狙え!」

「THREE FREEZE!」

シアーハートアタックを攻撃する事だった。






「THREE FREEZE!」

『THREE FREEZE』で重くしたが、キラークイーンにACT3を踏みつけられてしまう。

「ぐあっ!」

「ぐっ!」

これによって康一も地に伏せてしまうが、吉良の左腕も重くなる。

「初めてだよ。 ここまで追い込まれたのは。 しかし、どちらを選んでも、キミは敗北する運命にあるわけだ」

「くっ!」

「しかし、キミは大したヤツだ。 おかげで私はカフェでカップを弁償する羽目になるし、ゴロツキに絡まれるなどの赤っ恥をかく破目になったんだ。 まさに『してやられた』よ」

キラークイーンにACT3を踏みつけさせた状態で、吉良は康一に接近する。

「ところでキミ、ハンカチかティッシュを持ってるかね?」

「……? 持ってない、何の事だ?」

「そうか、では私のを貸してやろう」

そう言うと吉良は、自身のポケットティッシュを康一の傍に投げ落とした。

「?」

何がなんなのかが分からない康一であったが、まさにその時であった。

バギィ!と、吉良は康一の顔面を殴ったのだ。

「うげぇ〜!」

「鼻血がいっぱい出るだろ? それを拭く為だよ」

更に吉良は、康一の手をバキバキと折れるまで踏みつけた。

「ぐあぁぁぁ!」

「おいおい、そんな声を出すんじゃあない。 私も今のキミと同じ状態になったが、悲鳴の一つも上げなかったぞ?」

更に髪を引っぱり、彼の顔面を何度も地面に叩き付けたのだ。

「私を見習うんだぁぁぁ! ああーっ!」

しかし、その時であった。

「お、お前の名前……吉良……吉影……」

「!?」

「吉良…吉影…それが…お前の本名……だな?」

名前がバレた吉良は、まさかという顔で康一を退かした。

そこには、財布と免許証が地面に置かれている。

「わ、私の免許証を何時の間に!?」

「さっき…カフェで弁償したって…言ってたから…身分証が…入ってると…ひらめいたんだ」

「まさかあの時、私の財布を抜き取ったのか!? こんなちっぽけなクソガキが!?」

「僕は今から、お前に殺されて死ぬ。 けど、お前は僕の様なちっぽけなクソガキに、自分の正体を見破られたんだぜ。 もう一度言うぞ、アンタは『ちっぽけなクソガキ』に……ばれたんだ」

自身の最期を覚悟しながらも、康一は吉良に叫んだのだった。

「お前はバカ丸出しだぁ! あの世でお前が来るのを楽しみにしてるぞ!」

この言葉を聞いた吉良は、ピキリと何かが切れ、

「やろぉー!」

キラークイーンで、康一の腹部を貫いたのだった。






 その頃、仗助と億泰は、

「そっちじゃあねーぞ、億泰! 道はこっちだ!」

「『靴のムカデ屋』はこっちだぜ!?」

「表通りを行くと3分は掛かるんだよッ! こっち行くと1分で着く。 早く来い!」

今だムカデ屋に向かっている最中であった。

果たして、彼等は間に合うのであろうか!?






 その頃のムカデ屋では、

「くそっ! むかつく小僧だ」

キラークイーンが康一を地面に落とし、その拍子で彼の靴が脱げてしまう。

「………」

靴下が裏返しの状態になっており、コレを見た吉良は気になってしまった。

「ええい! ちゃんと履き直せ! 靴も!」

そう言って靴下をはき直し、更に靴を履かせる。

「……これで落ち着く」

そして遂に、キラークイーンの能力を解放したのだった。

「それじゃあ、木っ端微塵に消し飛ばしてやる!」

だが、その時だったのだ。

「康一くん……キミは精神的に……その男に勝っていたぞ」

「!!」

背後からの攻撃を防ぎながら、吉良は振り返った。

「なにぃ!?」

そこには、血だらけの承太郎が立っていたのだ。






「康一くん…キミがいなかったら…俺とマギルゥは……死んでいたな」

驚きを隠せなかった吉良であったが、すぐに冷静さを取り戻した。

「驚いたな。 まさか、その傷で立ち上がるとは……だが、もう少し寝てた方が幸せだったかも知れなかったな?」

一度腕時計を目にする吉良に対し、承太郎はこう言った。

「良い時計だな。 だが、もう時間が見れないようにしてやるぜ。 ……貴様の顔面をな」

「………」

それを聞いた吉良は、思わずこう言ったのである。

「面白いヤツだな。 キミの名前を聞いておきたいところだが、こちらはすぐに立ち去らなければならないのだよ。 あと20秒で……。 だから、無駄話をしてる暇はないんのだよ」

すると、その時であった。

出血が酷過ぎたのか、承太郎は地面に膝を着いてしまう。

「ところでキミのスタンドなのだが、パワーが凄く弱かったぞ? ピッチャーフライを取れるくらいに受け止められたぞ? そんなに弱ってて、私のキラークイーンにパワーで勝てると思ったのかい?」

勝利を確信した笑みで、吉良はスタンドを発動させた。

「キラークイーン!」

確かに今の承太郎では、パワーでの勝負が確実に負けてしまう。

しかし、吉良は全く知らなかった。

スタープラチナの本領を!

「オラァ!」

キラークイーンの攻撃が来るよりも速く、スタープラチナの拳が顔面を直撃した。

「うぐっ! なん……だと!?」

そしてダメージは、本体の吉良へと返って来る。

「は、速い!? なんだ、その速さは!?」

「やれやれ。 良く見たら趣味の悪い時計だったな…だが、気にする必要はないか……」

驚きを隠せない吉良に対し、こう言ったのだった。

「もっと趣味が悪くなるんだ……顔面の形の方がな」

このセリフが合図となり、スタープラチナが渾身の連打を叩き込んだ。

「オラオラオラオラオラオラオラ……」

確かに今の承太郎なら、キラークイーンでも倒せる。

しかしスタープラチナは驚異的なパワーとスピード、そして精密性を誇るスタンド。

ただ殺人を犯し続けた吉良と、数多のスタンド使いとの戦いを経験した承太郎では、その実力の差は圧倒的に承太郎が上なのだ。

「――オラァ!」

「ぐがぁぁぁ!」

吹き飛ばされた吉良は、心の底から驚く。

「(な、何だ…コイツのスタンドは、速い! まるで時間を止められたかのように速過ぎる!?)」

そのまま地面へとぶつかり、ガクリと気を失う。

吉良が気絶した事を確認した承太郎は、康一の方に視線を向ける。

「よく一人で……ここまで戦ったな……康一くん……尊敬するぜ」

最後に小さく笑うと、彼も気を失うのだった。






 遂にムカデ屋に到着した仗助と億泰。

「み、店がメチャクチャだ!?」

「ど、どうなってんだこりゃ!?」

驚きを隠せない二人であった、億泰が指を差す。

「おい! アレを見ろ!」

そこには康一と承太郎、そしてマギルゥが倒れていた。

「康一! 承太郎さん!」

「あと誰だ!?!」

三人の状態を目にし、すぐに駆け寄ったのである。

「億泰! 三人の脈を確認してくれ! 生きてたら、俺のクレイジー・ダイヤモンドで治せる!」

「三人とも、まだ生きてるぜ! 承太郎さんと女の人は辛うじてだけどよ、康一は息をしてねぇ!」

脈を確認し、まだ三人が生きていると確信。

「よし! クレイジー・ダイヤモンド!!」

仗助はクレイジー・ダイヤモンドで、すぐに傷を治したのだった。






「う……うん……」

吉良が目を覚ますと、仗助達が承太郎や康一の傷を治していた。

「(不味い……仗助と億泰が来た……何故に今日は、こんな目に遭うんだ)」

「しかし、承太郎さんがやられるほどの敵がいるなんて」

「(早く…早くここから逃げなければ――)」

見つかる前に、吉良はその場から去ろうとするが、

「おい、動くんじゃあねぇぞ!」

「余計な事をすんなよ!」

仗助と億泰が、背後から阻んできた。

「(くっ! マズイ……どうする……)」

危機的状況であったが、吉良はある事を思い出す。

仗助のスタンドは、治す能力に長けている事を。

「うわあぁぁぁぁ! き、キミ達! すぐにムカデ屋から離れるんだぁぁ! ワケの分からない爆発がおこるぞ!」

「え?」

「わ、私は! 私は靴を買おうとしてたんだ! そしたら、店の主人が何故か吹き飛んだんだ! あそこの三人も吹き飛ばされたんだ! そして私も!」

一般人のフリをして、仗助に治して貰おうと考えたのだ。

「おい、アンタ通行人か? 巻き込まれたのか!?」

「爆発だと?」

「い、痛い! 凄く痛いよぉ〜」

「おい、落ち着きなよ。 もう大丈夫だ! 安心しなよ、傷は俺が治してやるよ」

それを聞いた吉良は、「しめた!」という顔をする

「どこをやられたんだ? どこを治して欲しいんだ?」

「あ、肋骨が肺に突き刺さったかもしれない。 し、死にそうだぁ〜」

承太郎や康一が目覚めるのを恐れ、吉良は思わず叫んだ。

「は、早く治してくれぇ〜」

しかし、その時だったのだ。

「早く? ほぉ〜、どっから誰が見ても『高校生』にしか見えない俺に、なぜ『治してくれ』と頼む? アンタにゃ俺が『医者』に見えたってワケか?」

「!?」

「………はっ」

仗助のこの言葉に、億泰は「え?」という顔をし、吉良も思わず声を漏らしてしまう。

「こんなナリじゃ、パチンコ屋にも入れねぇ〜んで苦労してるっつ〜のによぉ〜。 テメーはこの俺が、『医学部卒のお医者さん』に見えたのか? あ? ひっかかりやがって…テメー、俺のクレイジー・ダイヤモンドが見えてるな?」

「あっ!」

「(し、しまった! 焦り過ぎた!)」

それを聞いた億泰もすぐに気付き、吉良も自分の失敗に気付いた。

「つまりテメーが『敵』だ……。 『相討ち』になったんだ!」





「こ、コイツが……『殺人鬼』!」

探していた敵を目にし、思わず億泰が叫んだ。

「………」

正体を見られた吉良は、奥歯を強く噛み締めた。

「私の『敗北』……というワケか。 そうだ、キミ達が探していたのは私さ。 私の『素顔』も『本名』も……そして『スタンド』もバレた。 どうやら、安心して熟睡できないようだ」

だが、次の瞬間だった。

「しかし、今夜だけは! キラークイーン!」

なんと吉良は、キラークイーンで自身の左手首を切り落としたのだ。

「なにっ!?」

意識を取り戻した承太郎を始め、まだ目が覚めない康一とマギルゥ以外が驚いた。

「なにやってんだ、テメーーーっ!?」

驚きを隠せない仗助に対し、吉良は涙を流しながら答えた。

「見ての通り、切り離した。 痛いよ…何て痛いんだ。 血も出るし涙も流れる。 だが、私には勝ち負けは問題だはない…。 私は『生きのびる』…。 平和に『生きのびて』みせる。 私は人を殺さずにはいられない『サガ』を持っているが…『幸福に生きてみせるぞ!』」

切り離された左手から、シアーハートアタックが出現する。

「シアーハートアタック、これでお前は自由だ。 あとは任せたぞ!」

そう言って吉良は、その場から逃げ去ったのだった。

「なんだぁ? この弱そうなのはぁー!!」

「仗助! そいつは相手の体温に反応して爆発する『爆弾スタンド』だ! しかも、スタープラチナのパワーでも破壊できない! お前の体温に反応して『爆発』するぞ!」

承太郎が叫んだが、既にクレイジー・ダイヤモンドは、

「ドララララララァ!」

拳のラッシュを叩きこんでいた。

「ぶっ壊れねぇ〜だと!」

このままシアーハートアタックは、仗助へと近づこうとする。

「ブッ壊す? 承太郎さん、俺はそんなつもりはサラサラないッスよ」

しかし途中で、急停止したのだ。

「逆っスよ…『治し』たんスよ。 あの野郎が『切り離した』つーんならね……」

同時にシアーハートアタックは、そのまま『左手』へと戻った。

「このスタンドはっ! ヤツ本体へと治りに戻る!」

クレイジー・ダイヤモンドの能力で、持ち主吉良吉影の元へと飛んで行った『左手』。

「ちと気味の悪い図だが……これで『左手』はやつのところへと治りに戻るッス」

本体へと飛んで行く『左手』を見ながら、

「そう簡単に逃がすかよ〜ッ! ボゲェッ! みんな、あの『手』を追うぜッ! あの『手』の行き先が殺人鬼だっ!」

「オーッ」

こうして仗助達の、追跡劇が始まった!




TO BE CONTINUED...

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 次回で、『吉良吉影・追跡編』が終わります。
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