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魂郷学園 第40話:見た目で相手を判断するな!
作者:亀鳥虎龍   2018/10/10(水) 15:18公開   ID:iYcaOJsNR36
 それは、電車の中での事である。

法被姿の新八は、同じ服装の仲間たちと席に座っていた。

彼等は人気アイドル『寺門通』のライブからの帰りである。

「新人アイドル『TAMA』ねぇ〜。 最近のアイドルはよ、獣耳で勝負してるみたいだけどよ、気に喰わねぇよな」

そう言って一人の少年が、不満な表情を見せていた。

彼の名は『高屋たかや八兵衛はちべえ』。

新八の幼馴染で、通称は『タカチン』。

元暴走族であったが、現在は親衛隊のメンバーとして活動している。

「タカチン、そういう事は思ってても口にするんもじゃないよ〜」

嗜むように、メンバーの一人『軍曹』がそう言ったが、

「そんなこと言えんのかよ軍曹! 俺、見たんだぜ? オメェがコイツの写真集を買ってるところを!」

「げっ! あ、アレはたまたま――」

タカチンに写真集を買っている場面を見られた事を知られてしまうが、まさにその時であった。

「ぎゃぁぁぁぁ! た、隊長ぉぉぉぉ!?」

新八の指が、軍曹の鼻へフックをかましたのだった。





―見た目で相手を判断するな!―





「軍曹ォォォ! 『寺門通親衛隊隊規第14条』を言ってみろォォォ!」

「はいぃぃぃ! か、“会員はお通ちゃん以外のアイドルを支援してはならぬ”でありますぅぅぅ!」

「そうだ! 親衛隊幹部でありながら、貴様はそれを破った! よって、“鼻フックデストロイヤーの刑”に処すゥゥゥ!」

「ギャァァァァ!」

ファンクラブ『寺門通親衛隊』の隊長を務める新八。

その為お通の事になると、人が変わったかのように豹変する。

そんな中で、少し離れた座席では。

「おい姉ちゃん、もう少しオジサンと付き合ってよ」

「な、何するんですか!」

一人の女性が、酔っ払いに絡まれていた。

「キャァァァ! 助けてぇぇぇ」

するとその時であった。

新八が投げた軍曹が、酔っ払いに命中した。

「ぐへっ!」

そのまま酔っ払いと軍曹は気絶。

「ネコミミなんて、燃えちまえぇぇぇ!」

新八はネコミミに強い怒りを募らせていた。

すると女性は、新八に近付くと、

「あの…助けて頂き、ありがとうございました」

帽子を取って、謝礼の言葉を述べた。

「!?」

その頭には、ネコミミが着いていた。

「(ね……ネコミミなんて……萌えちまえぇぇぇ!)」

コレを見た新八は……、心の中で叫んだのだった。







 アレから翌日、新八の心境が変わった。

例のネコミミ女の事しか頭になく、どうする事も出来なかったのだ。

「(はぁ……どうすればいいんだ)」

すると、当麻が声を掛けて来た。

「よう、新八」

「………」

しかし、新八は反応しなかった。

「新八?」

「え……あ、ゴメン。 おはよう」

「お前、様子が変だぞ? 大丈夫か?」

「え、そんな事ないよ!?」

新八の反応に違和感を覚えた当麻であったが、そのまま二人は靴箱へと到着する。

上履きに履き替えようとしたが、新八の靴箱に何かが入っていた。

「何だコレ?」

「ん?」

思わず手に取り、中を開けてみると、

「へ?」

中にはネコミミ付きのカチューシャと、一通の手紙であった。

手紙には以下の内容が記されていた。

『あの時のお礼を改めてしたいので、明日の午後1時、歌舞伎町にある徳川像の前に来て下さい。 エロメス』

「(デートだぁぁぁ!? これって、明らかにデートの誘いだよぉぉぉ!?)」

「スゲェな新八。 羨ましいぞコノヤロー」

稲妻が落ちるような衝撃を受けた新八は、すぐさま落ち着きを取り戻した。

「(どうしよう……誰かに相談するべきかな!? 銀さんは爛れた恋愛しかしなさそうだし、神楽ちゃんはただの大食い娘。 姉上は無理そうだし……恋人同士で有名なベルベットさんとライフィセットくんなら、こういう事の相談に乗ってくれそうだ。 でも二人はオーストラリアだから、流石に無理だ。 じゃあ、別の人に――って、ちょっと待て?)」

しかし新八は、ある重大な事に気付いた。

「(あの二人以外で、僕の周りにまともな恋愛してそうな人………一人もいねぇぇぇ!)」

まあ、当然の事である。






 放課後のsmileにて……、

「え〜と、話しは大体分りましたが…」

「なんでこのお店で?」

神裂とアレノアは、新八から相談を受ける事になった。

「すみません。 女性との接し方は、女性に相談した方が良いと思いまして」

「まあ、坂田銀時の様な輩よりは、良い判断だと思いますね?」

「だったら、これで相談を打ち明けてみたらどでしょうか?」

パソコンを開くと、画面には『真剣 侍しゃべり場』と書かれた掲示板が映っていた。

「コレを使うと、相手が見えないから気楽に相談できるらしいですよ?」

「私はパソコンはからきしですので、そういうのは得ではないので……。志村新八、貴方はパソコンの経験は?」

「僕も得意じゃないですけど…確かにこれなら、気楽に相談できそうですね」

新八は『女性にデートの誘いを受けたのですが、そうすればいいのですか?』と書きこむと、すぐさま返事が届いた。

因みに彼のハンドルネームは『電車侍』である。

「あっ、来た。 凄いな、本当に返事が届いたよ」

「え〜と、ハンドルネームは――」

「『フルーツポンチ侍』?」

書き込みの相手『フルーツポンチ侍』は、このような返事を送った。

『電車侍、ここは恋愛を語る女々しき場所ではない。 侍達が、己の信念を語る場だ。 スレ違いだ、即刻立ち去れ』

「うわっ、凄い怒ってますよ」

「フルーツポンチ侍なのに…」

「でも、返事は書いてみた方が良いですね」

「あ、はい」

新八は、すぐさま返事を書きこんだ。

『すみません、フルーツポンチ侍さん。 でも僕、本当に悩んでいるんです。 力になってくれませんか、フルーツポンチ侍さん』

送信後、すぐに返信が来た。

『フルーツポンチ侍じゃない、桂だ!』






 書き込みを見た新八達は、稲妻が走るような衝撃を受けた。

「(ハンドルネームの意味ねぇぇぇ! つーか、思いっきり知ってるヤツだし!)」

「桂って、もしかして……桂小太郎!?」

「何で犯罪者が、普通に掲示板に書き込みしてるんですか!? サラッと本名までバラしてるし!?」

自分で名前をバラした相手に、三人は絶句するしかない。

「なにしてんだよあの人!? こんな掲示板で!? というか、フルーツポンチ侍ってなんだよ!?」

「もうあの人、テロリストじゃないですよね?」

まさかテロリストが、当たり前に様に掲示板に書き込みをしていたとは思わないだろう。

更にフルーツポンチ侍(本名:桂小太郎、職業:テロリスト)は、このような書き込みをした。

『切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ切腹しろ……』

「うわっ! スゲェ敵意むき出しだよ、フルーツポンチ侍」

「なんか嫌な相手ですね」

「ええ、モニター突きぬけて殴りに行きたいですね」

流石の三人も、これには怒り心頭であったが、

「あっ、また新しい書きこみが」

『ちょっと! ここは侍と名乗れば何でも語っていい場所よ! 因みに私は、剣術小町とよばれてる、ちょっとスケベな女よ』

新たな書きこみが来たのである。

ハンドルネームは、『まるで堕天使な侍』である。





 まるで堕天使な侍のお陰で、三人の頭を冷やす事が出来た。

「女性の書きこみみたいだね」

「女性なら、こういう悩みは聞いてくれそうね」

「そうですね。 え〜と……『まるで堕天使な侍さん。 僕は彼女がいない歴16年です。 女性との接し方が分かりませんので、教えてくれませんか?』」

『まあ、可愛い坊やね。 良いわ、お姉さんが手取り足取り教えてあげるわ♪』

相談に乗ってくれそうな雰囲気であるが、ハンドルネームだけで相手が女性とは限らない。

因みに、まるで堕天使な侍の正体は、

「プククク……バカだコイツ! 女だと思ってやがる!」

秘密結社ファウストの幹部、長谷川泰三ことブラッドスタークである。

というか、コイツはコイツで何してるんだ?






『どう、今度オフで会わない?』

「何か僕、誘いを受けたんですけど」

「あ〜…やめたほうが良と思いますね」

すると、次の書きこみが送られた。

『待ち合わせは何処にします?』

「喰いついたよ、フルーツポンチ侍! ここは侍が語り合う場所じゃなかったのかよ!?」

驚く新八であったが、エレノアがある事に気付く。

「待って下さい! これ、ハンドルネームが!」

「え? え〜と……」

指摘された新八は、送り主の名を良く見る。

そこには、ハンドルネームが『フルーツポンチ侍』ではなく、『フルーツパンチ侍』になっていた。

因みに、フルーツパンチ侍の正体は、

「局長、大変です! 松平のとっつぁんが、痴漢の容疑で捕まりました!」

「今、仕事中だ! 後にしろ!」

武装警察真選組の局長、近藤勲であった。






『何だ貴様は! 俺とほぼ同じ名を使うとは、不届き者め!』

『紛らわしいんだよ、改名しろ!』

フルーツポンチ侍こと桂小太郎と、フルーツパンチ侍こと近藤勲。

攘夷志士と真選組局長が、ネットで口論となった。

しかも、互いの正体を知らないまま。

ハッキリ言おう、バカだろ!

「なんか、不毛な争いが始まったんですけど!?」

「ハァ……遠くの誰かに相談に乗って貰おうと思ったのに……ん?」

すると、新たな書き込みが送信されていた。

『電車侍。 お前は一体、何が怖いんだ? デートが失敗するのが怖いのか? 彼女にフラれるのが怖いのか? 傷つくのがそんなに怖いかコノヤロー』

送り主は、『銀色の侍』である。

このハンドルネームを見た三人は、ある人物の顔が思い浮かんだ。

「まさか、銀さん!?」

「でも、何処で!?」

『人間が恐れるものは二つある。 それは死か恥だ。 死を乗り越えようとするのはバカのやる事だが、恥を乗り越えようとするバカは俺は嫌いじゃねぇ。 思いっきりぶつかって、恥をかいて来い! 恥をかいた分だけ、お前は強くなれる!』

書きこみに目を通した新八は、すぐさまその場を後にしたのだった。

「どうやら、今の書きこみが効いたようですね」

「そうでSねね」

神裂とエレノアも、少しだけ安心したのだった。

パソコンを閉じると、二人は一旦外へと出る。

何度も言うが、ハンドルネームだけで相手の性別は分からない。

銀色の侍の正体は――、

『ちなみに、この書き込みを見た人は3日以内に「さっちゃんと銀さんは付き合っている」という書き込み一万件書きこまないと、四日後の夜12時、さっかんに始末されます。 これは本当です』

銀時をストーキングする殺し屋の忍者、猿飛あやめである。

『実際、私の友人はコレを見た4日後に、行方不明になりました』

「「マジでかぁぁぁ!?」」

この書きこみを呼んだ近藤と桂は、バカ正直に信じてしまった。

『あの、フルーツポンチ侍さん! 見ていますか!? もし見ていたら、五千件ずつで分けあいませんか!?』

『御意。 色々打ち合わせも必要だろうから、一度実際にお会いしましょう。 明日の午後1時に、第6学区にある銅像の前でお待ちしています』

『分かりました。 では僕は左手にフルーツポンチを持って立ってますんで、フルーツポンチ侍さんは右手にフルーツポンチを持って立っていてください』

『御意!』

もう一度言おう、バカだろ!






 翌日、魂郷町のとある公園の銅像前にて、

「こぉぉぉ……」

今にも波紋呼吸が出来そうな気合いを見せる新八。

親衛隊の法被姿で、木刀を構えている。

「戦争にでも行く気か?」

「最近、様子がおかしいのは、こういう事ね」

神裂とエレノアは様子を見る為、お妙と銀時に神楽と張り込みをしていた。

「手紙によると、相手が来るのはもう少しみたいですね」

「とりあえず、邪魔になるから、俺等は帰るか」

「そうですね」

銀時達は立ち去ろうとするが、お妙がそれを拒否した。

「ダメです。 志村家の跡取りを生んでくれる相手かもしれません。 この目で見定めます」

「うぜ〜んだよ。 とっくに小姑になってんぞ」

すると、その時であった。

「あ、来たアル!」

「「「「え!?」」」」

遂に相手が来たようで、全員の目に映った。

「新八さ〜ん! ごめんなさい、待ってました?」

それは、ネコミミの少女であった。

彼女こそ、新八が痴漢から助けた『エロメス』である。

「ネコミミ!? 何ですかアレは! 私はどっちかというと、犬好きなんです! 犬はなんです!」

今にも飛びだしそうなお妙を嗜めながら、銀時は気だるい口調で言った。

「待て待て。 犬も猫も似たようなもんだろ、アレもホントは犬の耳かもしんないよ?」

「犬だったら犬で、志村家に嫁いだ犬『志村しむらけん』の誕生だろうが!」

「「どんな遺伝子革命!?」」

最後の台詞に対し、思わず神裂とエレノアはツッコミを入れてしまう。

「大体オメェは、弟離れが出来てねぇんだよ! 俺は新八の方がシスコンだと思ったけど、とんでもねぇ! ブラコンはお前だったよ!」

「誰がよ! 私はで操作できるほど、都合のいい女ではありません!」

「そりゃだろうが!」

「いや、微妙にダジャレにません?」

銀時とお妙のやり取りに、神裂は再びツッコミを入れてしまった。







 新八の背後の銅像の方では、

「あの、フルーツポンチ侍さん?」

「え?」

フルーポンチ侍(本名は桂小太郎)と、フルーツパンチ侍(本名は近藤勲)が邂逅していた。

「何だ、いるならそう言って下さいよ」

「いや、左手と聞いたものだから」

「失礼。 似た者の気持ちで考えてました」

「いえ、電脳空間では失礼した。 私がフルーツポンチ侍です」

「しかし、この書き込みをどうさばきましょう? あ、私がフルーツパン――」

互いにフルーポンチを持った器をガシャンと落とし、

「「ああああああああああ!」」

近藤と桂は、互いの相手の顔を知ったのだった。

コイツ等、マジでバカである。






 その頃の新八は、エロメスとのデートに夢中であった。

銀時達がサングラスで顔を隠しながら、尾行している事も知らずに。

彼女を助けたあの日、新八は軍曹を罰した自分を恥じていた。

「(軍曹! お前の言うとおりだった。 僕は大バカ野郎だ! ネコミミ、最高じゃねぇか!)」

路上を歩いていく中、エロメスはある場所に連れてきた。

「あの、新八さん。 私、汗かいたので……あそこで休んでいきませんか?」

その先は、なんとラブホテルであった。

「!?」

コレを見た新八は、稲妻が落ちるような衝撃を受ける。

この時彼は、頭の中が混乱していた。

「(ちょっと待てよ! コレは流石にないだろ! 大体この小説を読んでる読者もいるんだぞ!? こんなことしたら、この小説が18禁指定になってしまう! 僕の行為が、この小説の存在を18禁指定に――)」

しかしいつの間にか、部屋の中へと入っていた。

「アレ?」

すると、シャワーからバスタオル一枚姿のエロメスが出てくる。

「あの……私、待ってますから――永遠に」

この言葉を聞いた新八は、すぐさまシャワーを浴びに向かった。

「(18禁指定なんて知るかァァァァ!)」

シャワーを浴びながら、新八は先の事を考えていた。

「(どうせこの小説は、挿絵が全く無いんだ! 作者が上手くやってくれるはずだ!)」

完全なメタ発言であるが、今の新八にはそんな余裕はなかった。

「(志村新八! 今、本物の男になります!)」

そして新八は、大人の階段を登ろうとしていた!







 その頃の真選組屯所では、松平の取り調べが行われていた。

取り調べには土方と沖田、そしてマイの三人が担当する。

沖田がテーブルに拳銃を置くと、それを見た松平は首を傾けた。

「何だコイツは?」

「奥さんが「痴漢の旦那なんかいらねぇ」だとよ」

「「あの人は切腹なんて臆病で出来ないだろうから、コイツで潔く頭をブチ抜け」との事だ」

「長官、正直に話した方が良いですよ?」

マイから自白を進められ、妻の言伝を沖田と土方から聞いたが、松平はテーブルに足を置きながら答える。

「あの女も分かっちゃいねぇな。 俺ァ微かな物音にさえ飛びあがっちまうくらい、臆病な男だ。 痴漢をする度胸もねぇよ」

堂々と言い張る彼に対し、沖田は銃口を眉間に向ける。

「見苦しいぜ、とっつぁん。 汚名を着たままオメオメ生きてくくらいなら、潔く逝きな」

「オメェみたいな奴には分かんねぇか? 良いか、生きるっていうのはそんなにカッコイイもんじゃあねぇ。 本当にカッコイイのは、恥かいても泥啜っても――」

だが、その時だった。

パァン!と弾丸が放たれ、松平の眉間を撃ち抜いた。

「「「………」」」

記録を取っていた隊士と土方は、そしてマイが顔を青ざめてしまう。

「普通、撃ちますか!?」

「これ以上、とっつぁんの苦しむ姿を……見ていられなかったんでぇ」

泣きながら土方に近付く沖田。

「土方さん……人間ってやつは、どうしてこう……」

「――って、アレ?」

「副長、その銃…もしかして……」

しかし土方の手には、何故か拳銃が握られていた。

「ふ……普通、撃つか?」

犯人は勿論、沖田である。

「何で副長がが撃った事に編集してるんですか!?」

「なに、その汗! スゲェ、ムカつくんだけど!」

「みんな、聞いてくれぇ〜! 土方さんが、土方さんが乱心起こして、俺どうしたらいいか分からねぇよぉ〜」

「違う違う! 違うからね! テメェ、いい加減しろ!」

自分に罪を被せた沖田にマジギレする土方。

その二人を見て、マイも困惑してしまう。

しかし、その時だった。

「手帳がよぉ〜、見つからねぇんだ」

「「「へ?」」」

間一髪で死を免れた松平が、ゆっくりと頭を上げた。

前髪の一部が、少しハゲてしまったが……。

「痴漢騒ぎのあった時から、警察手帳が財布ごとドロンよ。 どう思う?」






 その頃、神裂とエレノア達は、

「遅いですね……」

「そうですね」

新八の様子を確認する為、銀時とお妙がホテルに入ったのを見送る。

しかし、その時であった。

「あれ? あれって……」

「「へっ?」」

エロメスだけが、ホテルの外へと出て来たのだ。

「志村新八は?」

そんな中、新八はというと、

「あれ……エロメスさん? アレ?」

衣服の入った籠の中から、一枚のカードを見つける。

カードには、このような内容が記されていた。

『貴方の愛は、お金として頂きます。 怪盗キャッツイヤー』






「「ギャハハハハハ!」」

「なんでぇ、このカード!」

「うわぁ〜……」

パトカーに乗りながら、土方と沖田はカードを見ながら爆笑する。

マイもカードを見て、苦笑せざる負えない。

「笑い事じゃねぇんだよそいつは! 俺はそいつの所為で、痴漢に仕立て上げられちまったんだぞ!」

そう言って松平は、捕まる前の出来事を話した。

「居酒屋で一人で飲んでたら、女に声を掛けれてな。 それが聞き上手でよ〜、娘の事とか聞いてくれたんだ。 電車まで乗せてくた途端に、その女が一人で騒ぎやがって」

そう、松平は女の計画に利用されたのだ。

「まあ、オジサンの心は既に母ちゃんに盗まれちまったけどな」

因みに新八はというと、騙された事に気付き、

「ああああああああああ!」

部屋中に響くほどの叫びを上げてしまったのだった。







「待ちやがれぇぇぇ!」

走るエロメスを、銀時達は全力で追いかける。

「待てって、言ってんだろうが!」

銀時はすかさず木刀をブーメランの如く投げ飛ばしたが、エロメスは華麗に飛び上がり、ビルの看板の上へと座り込んだ。

「アハハハハ! 貴方達、あの子の家族ですか? あ、お兄さん?」

「いえ、担任教師です」

「私はしがない喫茶店の店員です」

「同じく!」

とりあえず、訂正の言葉を返した一行。

「アンタ、一体何が目的なんだよ?」

「別に、私は愛を盗む怪盗。 でも、愛は目に見えない。 だから、代わりにお金を頂戴するの」

そう言ってエロメスは、懐から取り出した財布にキスをする。

「それ、新八の財布か?」

「つまり貴方、ただの物盗りじゃないですか」

「そうやって、多くの男性を利用してきたんでうすね?」

「あの眼鏡の子、凄い傑作だったわ。 今時、あんな純情な子がいたなんて思わなかったわ。 おふざけであげたネコミミも着けちゃってさぁ、こっちも初恋の気分になったわ。 これだからやめられないのよね」

「貴方……」

「新八さんが、どんな気持ちで接していたか……」

男の恋心を弄ぶような言葉を吐くエロメスに、神裂とエレノアは怒りを募らせる。

同じ女として、彼女の卑劣が許せなかったのだ。

「ところでよ、ぶりっ子キャラは止めたのかい? 俺、結構好きだったんだけどな」

「男ってホントにバカよね、表層でしか判断できない奴等ばっかでさぁ」

遂に本性を見せたエロメスであったが、自らボロを出した事にすぐに気付く。

「あっ、本音言っちゃった。 私ったらドジ。 テヘッ!」

しかし、その時であった。

「ブリブリブリブリうるせーな! ウ○コでもたれてんのかテメェは!」

「たれてんのかテメェは!」

ビルの屋上から、お妙と神楽が参上した。

すると二人は、屋上から飛び降りると、

「テヘッ!なんて真顔で言える女に、ロクな女はいないのよ」

「テヘッ!」

「「オラァァァァ」」

神楽が真顔で「テヘッ!」と言った後、強力な蹴りを放ったのである

これを見たエロメスは回避するが、二人の蹴りは看板を破壊した。

「あっ、ホントだ」

「というか、あの二人は何者なんですか!?」

「蹴りで看板を破壊してますよ!?」

エロメスは既に着地していたが、看板が頭上に降って来たのだ。

ガシャァンと看板が落ちるが、まさにその時であった。

「ングググ……」

「新八!」

新八が、彼女を護ろうと看板を受け止めたのだ。

「みんな、もうやめてよ!」

看板をその場に落とすと、落ち着いた表情で言ったのだった。

「恋愛は、惚れた方が負けっていうだろ? もう良いよ、僕……別にエロメスさんの事は恨んでないし、むしろ感謝してる方なんだ。 短い間だったけど、ホントに彼女が出来たみたいに、楽しい時間が過ごせたし、ホントに楽しかったんだ」

エロメスの方へと振り向く新八、そんな彼の優しさにトキメキかけたエロメス。

「だから、一つ言わせて下さい」







「だから、一つ言わせて下さい」

新八がそう言った、次の瞬間だった。

「ウソじゃボケェェェェ!」

ドゴォォォォン!と、木刀でエロメスを容赦なく倒したのだ。

優しく接した後から、怒りの一閃を与え、

「うぅ………」

この一撃を喰らったエロメスは、その場で成敗されてしまった。

弟の成長ぶりに、お妙もパチパチと拍手を送り、

「カッコイイ!」

これには神楽も感心したのである。

ただし銀時とエレノア、そして神裂の三人は、

「………」

「弄んだ相手に倒されるとは……自業自得とはこの事ですね」

「ですが、あの少年は怒らせるのは控えるとしましょう」

改めて新八の恐ろしさを、その身で思い知ったのであった。

こうして怪盗キャッツイヤーことエロメスは、警察に逮捕されたのである。

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