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魂郷学園 第41話:海外旅行は意外と面倒
作者:亀鳥虎龍   2018/10/19(金) 23:39公開   ID:iYcaOJsNR36
 魂郷学園では現在、文化祭の準備が行われていた。

生徒達は現在、出店や催し物の準備に勤しんでいる。

中には校舎に泊まり込む者達もいるのだ。

そんな彼等に、喫茶店smileの従業員達が助っ人に来ている。

泊まり込みの生徒達に、美味しい食事を作る為だ。

こうして生徒達は、文化祭の準備に勤しむのである。






―海外旅行は意外と面倒―





 魂郷学園の食堂にて、鬼灯が食事を摂っていた。

「隣、良いですか?」

「どうぞ」

神裂やエレノア達が、彼と同じ席に腰かける。

そんな中、鬼灯はテレビを見ていた。

番組名は、『世界で不思議発見』。

「この番組、よく見るんですか?」

「ええ。 この番組、司会者の存在感が良くて好きです」

「へぇ〜……」

すると当麻がこんな事を言い出す。

「そういや、先生の机に人形が置いてあったんだけど……あれって、まさか『クリスタルひ●し君』か!?」

「以前に二度、この番組の応募で当てちゃったんですよね」

「スゲェな、地味に……」

番組を見ると、ミステリーハンターの女性がエアーズロックを解説していた。

どうやら取材先は、オーストラリアのようである。

「エアーズロックか……。 俺もあの岩に登って旗立てて、「チキンライス!」って叫びたいぜ」

「何故に!?」

アイゼンの発言に、当麻がツッコミを入れてしまうが、

「およしなさい!」

金棒を握った鬼灯が叫んだ。

「エアーズロックは『地球のヘソ』。 突いてお腹が痛くなったら知りませんよ!」

お腹を痛める地球を想像してしまい、当麻は「なんかお母さんみたいな台詞だ」と呟く。

「お腹をいたわるように、地球にも優しくなさい!」

「あ、ああ……気を付けよう」

オカン全開の鬼灯の気迫に、アイゼンも引き気味になってしまった。





 番組を見ながら鬼灯は、コップの水を飲み干す。

「それにしても、オーストラリアですか。 私も旅行で行った事がありますね」

「えっ、そうなんスか?」

「写真もありますよ。 見ますか?」

「見る見る!」

袖から出した写真を、当麻は即座に受け取る。

写真に写っているのはコアラ――ではなく、タスマニアデビルを抱く鬼灯であった。

「……先生、普通はコアラじゃねッスか?」

「あ、間違えた。 でも、タスマニアデビルも良かったですよ」

「…いやコレ、明らかに手懐けてるよね!? タスマニアデビルって、どう見ても危険な動物ですよね!?」

タスマニアデビルですら手懐ける鬼灯に、当麻達はドン引きしてしまう。





「あ、先生」

すると、白野もやって来た。

「この間の金魚草、ありがとう。 今も元気に育ってるよ」

「それは良かったです」

「金魚草?」

「うん、先生が品種改良を施した金魚草。 今でも、裏庭の花壇で育ってるの」

「最近は愛好者も増えていましてね。 私としては嬉しい方です」

「へぇー、どんなのだ?」

ロクロウが尋ねると、鬼灯が「これです」と写真を見せる。

「どれどれ?」と、彼等が写真を覗きこむ。

通常の金魚草とは、花の部分が金魚の形をしている。

しかし写真に写ったの金魚草は、茎の先端に本物の金魚が実って(?)いたのだ。







「え〜と……なにコレ?」

「金魚草です」

「金魚草ってこんなのだっけ!?」

写真を見て当麻は、思わず声を上げてしまう。

確かに彼の言う事も最もである。

「因みに、この金魚草を競った大会もあるんですよ」

「大会まであるのかよ!?」

「因みに、どうやって競うんです?」

エレノアが尋ねると、鬼灯がそれに応えた。

「え〜とですね。 まずは色と大きさ、それに目のくすみ具合……。 他の内容は説明書を見れば良いと思います。 ――あっ、あと“なき声”も」

「鳴き声!? これって鳴くの!?」

「ええ。 丁度、その時の映像を撮ってますよ。 見ますか?」

スマホを見せると、金魚草がなく光景が写っていた。

『お…ぎゃ……おぎゃぁぁぁぁ! おぎゃぁぁぁぁ! おぎゃぁぁぁぁ!』

「「「………」」」

この映像を観て、当麻達は沈黙するしかない。

「まさか先生、大会に出ました?」

「はい。 正確には去年の大会で殿堂入りさせてもらったので、審査員をしています」

「あ…そうなんだ……」

「因みに私、今年の夏の大会で4位を取った。 冬の大会は、必ず勝つ」

「出場したんかい!」

サラリと出場した事を話した白野に、当麻はツッコミを入れてしまう。

「因みに十六夜が準優勝、日影が第3位」

「アイツも愛好者かよ!?」

「では、私はこれで。 校長をしばきに行きますので」

「サラッとヤバイ事言ったぞ!!?」

当然の事にように席を立った鬼灯に、誰もが顔を引きつるのであった。

常に見慣れている白野を除くが……。





 鬼灯が立ち去ると、承太郎や十六夜達が現れる。

「今いいか?」

「うん」

席に着くと、承太郎はコーヒーを啜りだす。

「なんかあったのか?」

「ああ。 実は、魔森島の事なんだが……」

「あの島がどうしたんだよ?」

「実は、スタークの手掛かりはないかと思い、スピードワゴン財団に調査を頼んでいたんだ」

「「スピードワゴン財団!?」」

この言葉を聞いて、真っ先に驚いたのは神裂と当麻である。

スピードワゴン財団とは、経済において世界規模の影響力を有し、世界中に支部が存在する巨大な組織。

学園都市の関係者にも、SPW財団の支援を受けている施設が存在するのだ。

その名は広く、魔術側にもSPD財団の名を知らぬ者はいないのである。

「えっ、うそっ!? スピードワゴン財団にそんな事頼めんの!?」

「ああ。 元々、創始者のロバート・E・O・スピードワゴンが、俺のご先祖様が生前の時からの付き合いだったらしくてな。 スピードワゴン自身の死後も、その関係は続いているんだ」

「ジョースター家って、ホントにどんな一族!?」

「………話しを戻すぞ?」

「あ、ああ」

「あの古城を調査して貰った結果、あるものが無くなっていた」

「あるもの?」

「『左腕』だ」

「左腕?」

「スタークが斬り落としたハズの、ベルベットの『左腕』だ」

「あっ!」

それを聞いた当麻達は、スタークがベルベットの左腕を斬り落とした事を思い出す。

「アイツは岸波と戦った時は、自分の目の届く距離まで投げ捨てた。 だがアイツは、脱出用ボートで逃げた際は、『左腕』を持っていかなかった」

「それは、勝ち目がないと知って、回収を忘れたのでは?」

神裂が首を傾げたが、承太郎は「やれやれだぜ」と呟く。

「じゃあ聞くが、お前等の中に、あの『左腕』を回収できた奴がいたか?」

「な、何を言ってるんですか!? ベルベットが多量出血の瀕死だったから、誰もそんな余裕は――」

「そういう事だ」

「へ?」

「あの時、誰もがベルベットの治療を優先させた為に、誰も『左腕』を回収しようという考えを出していない」

「ま、まさか……」

「そのまさかだ。 スタークはそこまで計算に入れていたんだ。 俺達がベルベットの搬送であの島を出た後、再び島に戻って来たんだよ。 『左腕』を回収する為にな」

「でもよ、何でそんな事を?」

「そこまでは、まだ分かっていない」

それだけ言うと、承太郎は再びコーヒーを啜るのであった。




 上条当麻は深く考えた。

承太郎の推測通りなら、スタークが『左腕』を回収した理由はなんだ?

それが全く分からなかった。

すると白野は、十六夜にこんな事を聞く。

「ところで十六夜。 金魚草は、元気に育ってる?」

「ヤハハハハ! 勿論、元気に育ってるぜ!」

金魚草の話をした二人であったが、当麻がある事に気付く。

それは、白野が言っていた夏の大会である。

もの好きな十六夜ですら準優勝、日影が3位だったのだ。

じゃあ1位……、つまり『優勝者』は誰だったのか。

「なあ、十六夜。 一つ聞いて良いか?」

「ん、なんだ?」

「お前、金魚草コンテストで準優勝だったんだよな」

「そうだぜ。 そんで、日影が3位」

「じゃあ、優勝者は誰だ?」

それを聞いた神裂やエレノア達が食い付いた。

金魚草に興味はないが、それを競った大会の勝者が気になってしまう。

そして十六夜の口から、意外な人物の名前が出たのだ。

「……ベルベット」

「…………へっ?」

「だから、ベルベットなんだけど」

「…………」

暫く沈黙した当麻であったが、その場で叫んでしまったのである。

「アイツも愛好者だったのかよぉぉぉぉぉ!!?」

因みにsmileの二階にあるベルベットの寝室。

棚の上には優勝トロフィーと、それを抱えながら笑顔を見せる彼女の写真が、写真立てに飾られていた。

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 今回はちょっと短めでした。
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