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魂郷学園 第1話:兎と戦車のベストマッチ
作者:亀鳥虎龍   2018/05/03(木) 18:57公開   ID:SITQgi7z/cc
 今から10年前、魔術師と英霊による7組の戦い『聖杯戦争』が行われた。

最後の一組になるまで殺し合い、勝者には聖杯が授けられたのである。

そして終結から数日後、火星から『パンドラボックス』と呼ばれるものが運ばれた。

このパンドラボックスは後に、政府の元によって厳重に保管される。

しかしコレをキッカケに、反政府組織やテロリストによる過激な事件が勃発した。

その中には、社会の裏で暗躍する組織も出るようになったのだ。

これは、そんなパンドラボックスを巡る物語である。





―兎と戦車のベストマッチ!―





 日本の何処かにある街、魂郷町。

カラ〜ンと、一軒の喫茶店に誰かが入ってくる。

金髪でヘッドホンを付けた少年だ。

彼の名は逆廻さかまき十六夜いざよい

魂郷町にある学校の学生である。

「お〜っす」

注文したコーヒーを飲むと、彼は一息ついた。

スマートフォンを操作し、画面に映し出されたニュースを見る。

「……最近、事件が酷くなってるな。 ヤハハハハ。 相変わらずこの街は、面白いかしいぜ」

そう言うと彼は、再び息を吐いてしまう。

この街では、奇妙な事件が起こっている。

『スマッシュ』や『ドーパント』といった、未確認生命体が人々に襲いかかる事件が勃発していたのだ。

「その事件、何度も起こってるけど…この街の治安、大丈夫なの?」

そう言って、一人の少女が声をかけた。

腰まで長い黒髪で、左腕には黒い長手袋を着けている。

彼女の名はベルベット・クラウ。

この喫茶店『bright』の従業員。

元々は『ネブラ』という研究所の医療施設で入院していたのだが、所長・岸谷森厳の計らいで、この店で住み込みで働いている。

「あっ、おかわりは?」

「ん? ああ、貰うぜ」

ベルベットからおかわりのコーヒーを淹れて貰い、十六夜は再びカップに口をつけた。





 魂郷学園…それは多彩な種族の学生が通う、世にも奇妙な学校なのだ。

その学生寮に、一人の生徒が住んでいる。

「ふぅ〜……」

長い茶髪で整った顔立ちの少女。

彼女の名は、岸波白野。

“学園でも三番目に美人”と言われ、女子にも好意を寄せる生徒もいる。

実は彼女は魔術師で、サーヴァントと呼ばれる存在と契約しているのだ。

「奏者よ、そろそろ時間であるぞ」

紅いドレスを纏った金髪の少女が、そう言って姿を現す。

彼女は白野が契約するサーヴァントで、クラスは『セイバー』である。

「うん。 行ってきます」

「うむ、気を付けるのだぞ」

扉を開け、彼女は部屋を後にした。





 魂郷学園高等部のとある教室。

そこに、一人の人物が入って来る。

白衣姿で銀髪の天然パーマ、更に死んだ魚の様な目をした男。

彼の名は坂田銀時。

甘党で気だらくな雰囲気を纏っており、教室内でも煙草を咥えている。

どう見ても教師らしくない教師である。

「おーい、お前等。 今日から転入生を紹介するぞ。 それも学園都市からやって来た」

そんな彼が、転入生について説明した。

「え〜と、確か学園都市ってところから来たそうだ」

東京西部の4分の1を占める巨大都市が、日本に存在している。

その名は『学園都市』。

この街では科学技術による超能力開発が進んでおり、住人の8割が学生である。

その学園都市から、一人の生徒が転入してきたのだ。

「つーワケで、入って来い」

扉が開き、一人の学生が入って来る。

黒髪のツンツン頭が印象的な特徴の少年。

「上条当麻です。 宜しくお願いします」






 場所は変わり、魂郷町へと移る。

「ふぅ〜。 コレだけ買えば良いわね」

「いや、介抱して貰ったんだ。 礼の一つはしないと」

店の食材を買いだしていたベルベット。

「さて、そろそろ帰ろうかしらね」

しかし、その時である。

「キャァァァァァ!」

「うわぁぁぁぁ!」

「「!?」」

突然の叫び声に、彼女は思わず反応した。

「えっ?」

人々が逃げていく中、騒ぎの元凶が姿を現す。

「ウオォォォォォ!」

上半身が青とオレンジで彩られ、下半身が灰色の怪人だ。






「嘘でしょ!? 何で『スマッシュ』が!?」

コレを見たベルベットは、驚愕を隠せなかった。

スマッシュ……無差別に破壊を行う謎の生命体で、意思疎通も不可能である。

「今は逃げるのが先決ね」

逃げようとするベルベットであったが、その時であった。

「キャッ!」

一人の少女が、逃げ遅れて転んでしまう。

「ひっ!」

スマッシュが少女へと近付き、少女は恐怖で動けない。

「マズイ!」

思わず駆け寄ろうとしたが、まさにその時である。

「やめろぉぉぉ!」

一人の少年が拳を突き出し、スマッシュを殴りつける。

「早く逃げろ!」

「こっち!」

隙をつき、ベルベットが少女を逃がす。

「午前中に学校が終わって、早く帰れると思ったのによう…。 来いよ、俺が相手だ!」

そう言って彼、上条当麻が立ち向かった。





 場所は変わって、魂郷学園の校庭。

「ふぁ〜……」

授業が午前中で終わり、帰宅する途中であった白野。

しかしスマホが鳴り、すぐに電話にでた。

「もしもし」

『あっ、白野!?』

「ベルベット? どうした、そんなに慌てて?」

『スマッシュが現れたのよ! お願い、急いで!』

「!?」

それを聞いた白野は、すぐさま電話を切ると、

「急がないと!」

スマホにライオンの絵柄が描かれたボトルを挿し込む。

彼がスマホを投げた瞬間、その場でバイク変形したのである。

「頼んだよ」

アクセルを踏み、彼はバイク『マシンビルダー』を走らせたのだった。






 場所は再び、魂郷町の街中にて、

「がはっ!」

上条当麻はボロボロになりながらも、たった一人でスマッシュに立ち向かっていた。

「くそっ!」

拳で殴りつける彼であったが、スマッシュの装甲の前では全くの無意味。

「うおぉぉぉぉ!」

再び殴りかかるが、それも無意味に等しかった。

ドガァ!と、スマッシュの一撃が、彼の腹部を直撃したのだ。

「がはっ――」

口から多量の血を吐き、地面に膝を吐く当麻。

「くそ…ちくしょう……」

今にも泣きそうな気持であったが、まさにその時であった。

ブロォォォン!と、何者かがバイクで駆け寄って来たのだ。

バイクを止めると、搭乗者はヘルメットを脱ぎ取る。

「よかった、間に合った」

そう言って彼女――岸波白野が、マシンビルダーから降りたのだ。






 当麻を庇うように、自らスマッシュの前に立つ白野。

「生身でスマッシュに立ち向かうって、アナタも根性あるよね」

腰に奇妙なベルトを巻きつけると、懐からボトルを手に取る。

右手には兎の絵柄が描かれた赤、左手には戦車の絵柄が描かれた青。

この二つをシャカシャカと振り始め、カシャッとキャップの部分を回す。

「さあ、実験を始めようか…」

《ラビット! タンク!》

赤いボトルを右のスロットに、青いボトルを左のスロットに挿し込むと、

《ベストマッチ!》

白野はその場で、右端のレバーを回し始める。

すると周囲に、小型ファクトリーが出現し、

《Are you ready?》

「変身!」

同時に出現した装甲が、彼女を挟み込むように結合した。

《鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イェーイ!》

黒のアンダースーツに装甲を纏った姿であるが、この姿が奇抜である。

左頭部・右上半身・左下半身が赤、右頭部・左上半身・右下半身が青。

右目は戦車で、左目が兎の横顔を模しており、砲身や耳の部分がアンテナのように伸びている。

有機物と無機物を組み合わせる戦士『仮面ライダービルド』が、此処に参上したのだ。





 飛びかかったビルドが、敵『ストロングスマッシュ』に殴りかかった。

ドガァ!と、その一撃はストロングを怯ませる。

「すげぇ……」

コレを見た当麻は、驚きを隠しきれなかった。

あれだけ攻撃しても怯まなかったストロングが、ビルドの攻撃でダメージを負ったのだ。

驚かない方がおかしい。

「間に合ったようね」

するとベルベットが、当麻の方へと駆け寄る。

「アイツは?」

「あ〜…あの子は岸波白野。 この街の学校に通う学生で、またの名を『仮面ライダービルド』」

「仮面ライダー……ビルド」

「まあ…ビルドがどうゆうのかは、アタシもよく分からないのよね」

深くため息をしながら、彼女はビルドの戦いを眺めていた。

そんな中、ビルドはストロングを追い詰めている。

「ウオォォォォォ!」

反撃に出ようとするストロングであったが、ビルドはベルトのボトルを差し替えた。

《ゴリラ!》

右のスロットには、ゴリラの絵柄の描かれたボトルを挿し込み、

《ダイヤモンド!》

左のスロットには、ダイヤモンドの絵柄が描かれたボトルを挿し込んだ。

《ベストマッチ!》

レバーをその場で回転させると、再び小型ファクトリーが出現し、

《Are you ready?》

「ビルドアップ」

再び装甲が、彼女を挟み込むように結合した。

《輝きのデストロイヤー! ゴリラモンド! イェイ!》

左頭部・右上半身・左下半身が茶色、右頭部・左上半身・右下半身が水色。

右目はダイヤモンドで、左目がゴリラの頭部を模しており、光のエフェクトと左腕がアンテナのようになっている。

基本形態の『ラビットタンクフォーム』から、剛力形態の『ゴリラモンドフォーム』へとチェンジしたのであった。





「ハッ!」

巨大なナックルと化した右腕の拳が、ストロングに叩きこまれる。

その威力、なんとラビットタンクフォームの2倍。

「もう一発!」

豪快な一撃がドガァ!と、ストロングを容赦なく吹き飛ばす。

「うぐぅぅ〜」

徐々に弱ってきたストロングを目にしたビルドは、再びボトルを挿し替え、

《ラビット! タンク! ベストマッチ!Are you ready?》

「ビルドアップ!」

《鋼のムーンサルト! ラビットタンク!イェーイ!》

再びラビットタンクフォームへと戻った。

ベルト『ビルドドライバー』のレバーを回し、右目のアンテナを軽く擦る。

「勝利の法則は、決まった」

《Ready go!》

助走をつけたビルドは、左足の脚力で跳躍し、

《ボルテックフィニッシュ!》

同時に出現したグラフを模したエネルギーの滑走路に沿って、右足のキックを叩き込んだ。

「グガァァァァァ!」

ボカーン!と、必殺技『ボルティックフィニッシュ』を喰らったストロングスマッシュは爆発し、

「ふう、上手くいった」

ビルドはすぐさま変身を解いたのだった。





 変身を解いた白野は、一本のボトルをストロングスマッシュに向ける。

すると身体が粒子と化し、人間の姿が見えたのであった。

「なっ、何したんだ!?」

「このボトルで、スマッシュの『成分』を抜き取った。 元々スマッシュは、私達と同じ人間だから」

ボトルの栓を閉めると、焔はスマートホン型ツール『ビルホフォン』を耳に当てる。

「救急車の手配はしとかないと」

こうして、上条当麻の不幸な転入生活が、幕を開けたのであった。


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■作者からのメッセージ
 以前書いた『Three City RIDER』の内容が、自分の納得出来ない部分があったので、一から書き直しました。

タイトルも、『魂郷学園』に変えています。
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