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魂郷学園 第42話:Hな特訓/ビルド対クローズ、他一本
作者:亀鳥虎龍   2018/10/26(金) 21:21公開   ID:iYcaOJsNR36
 統制機構……世界中で名の知れた組織で、科学と魔術の双方からの信頼は厚い。

そのトップを務める男、カグラ=ムツキ。

彼は頭を掻き、苛立ちが表情に出ている。

仕事のデスクワークが原因ではない。

勿論、秘書官のコハク=ヒビキの厳しい視線でもない。

彼の頭を悩ませているのは、ただ一つであった。

「元入国管理局局長、長谷川泰三。 まさかあのオッサンが、スタークの正体だったとはな」

ファウストの幹部、ブラッドスタークの事である。

カグラ自身は、直接会った事はない。

しかし協定関係であるSPW財団からの報告で、その残忍さを知ることが出来た。

「鬼兵隊やDIOって吸血鬼だけでも手が一杯だってのによ……」

茶を啜り、椅子の背もたれに体重を預けるカグラ。

「――ったく、面倒な事になったぜ」





―Hな特訓/ビルド対クローズ―





 人の気配が無い森の中。

そこに、岸波白野と上条当麻が向かい合う。

何故二人なのかというと、それは先日に遡る。

学校の放課後、万事部の部室に着いた当麻。

しかし中に入ると、白野だけしかいなかった。

「あれ、当麻だけ?」

「みたいだな」

「じゃあ、丁度良いや」

「へ?」

白野はゆっくりと当麻に近付き、ニコリと笑う。

彼女の見せる笑みに、思わず当麻はドキッとした。

「(や、ヤバイヤバイヤバイヤバイ! こんなかわいい子が至近距離で迫って来るんですけどォ!? どうすればいいの!? 流石の上条さんも、この状況にはあらがえませんんんん!!)」

そんな彼に対し、白野はこう言ったのである。

「当麻、今度暇?」






 そして現在、二人は森にいるのである。

「なあ、岸波。 どうしてこんな人の気配のない場所に?」

首を傾げる当麻であったが、白野の腰にはビルドドライバーが巻かれていた。

「当麻、構えて」

「っ!?」

反射的にビルドドライバーを装着し、クローズドラゴンを握り締める。

「岸波、どういうつもりだ?」

「分からない? 特訓だよ」

「特訓?」

「あの古城で、私はスパークリングの力でスタークに勝てた。 けど、次はスパークリング対策を練るに違いない」

「………」

「だから、スパークリングに頼らずに戦えるようにならなきゃいけないの」

「……つーか、俺を呼んだ理由は?」

「えっ、一人でやるより二人の方が良いと思って」

「さいですか……」

「ほら、やるよ」

《ラビット! タンク! ベストマッチ!》

「くそっ! こうなりゃ、やけくそだ!」

《クローズドラゴン!》

レバーを回し、スナップライドビルダーを出現させ、

《Are you ready?》

「「変身!」」

《鋼のムーンサルト! ラビットタンク! イェーイ!》

《ウェイクアップバーニング! ゲット クローズドラゴン! イェーイ!》

白野は仮面ライダービルド、当麻は仮面ライダークローズへと変身したのだった。






「ふう…気持ちいいですね」

神裂達はとある森の中で、束の間の休息をとっていた。

smileでの仕事に、統制機構やネブラの仕事で忙しかった為、疲れた体をリフレッシュさせるために来たのである。

「いや〜、自然に囲まれるのも、悪くないですね」

「まあ、たまにはこういうのも悪くないな」

「そうだな。 仕事詰めってのも、返って良くないしな」

エレノアやロクロウ、アイゼンも堪能したようで、神裂も若干来た甲斐があったと思ったが、

「ん?」

「マスター? どうかしましたか?」

「今、物音が聞こえたような」

「え?」

遠くから物音が聞こえたので、彼女達は音がした方へと向かう。

「ここですね――」

そこで、あるものを目撃したのだ。

「「「「っ!?」」」」

そこには、ビルドとクローズが激しい攻防戦を繰り広げていた。






 ビルドとクローズ、二人の拳がぶつかり合う。

戦闘の状況は、クローズの方が若干上。

しかし、ビルドもボトルを即座に挿し替える。

《ハリネズミ! タンク!》

「ビルドアップ」

トライアルフォームのハリネズミタンクにチェンジし、右腕のグローブで殴りかかった。

「あぶねっ!」

喰らうとマズイと察し、クローズは咄嗟に回避、

「おらっ!」

そのまま回し蹴りを喰らわせたのだ。

「くっ! 流石に強い。 でも、これなら特訓のし甲斐がある。 それじゃあ……」

一度は吹き飛ばされたビルドだが、手に取ったボトルを振ると、

「さあ、実験を始めようか」

《オクトパス! ライト! ベストマッチ!》

その場でドライバーに挿し込んだのだった。

《Are you ready?》

「ビルドアップ!」

そしてその場で、新たな姿へと変わる。

左頭部・右上半身・左下半身が桃色、右頭部・左上半身・右下半身が薄黄色。

複眼は左目が蛸で右目が電球、足の部分と光のエフェクトがアンテナになっている。

《稲妻テクニシャン! オクトパスライト! イェーイ!》

蛸の成分と電球の成分を用いたベストマッチ、『オクトパスライトフォーム』へとチェンジしたのだ。






 初めて見る姿に、クローズはすぐさま警戒するが、

「いくよ、当麻。 触手プレイはお好きかな?」

マスクの奥でニヤリと笑うビルド。

「……えっ?」

すると同時に、肩の蛸足が伸びたのだ。

「えぇぇぇぇぇ!?」

蛸足はクローズの四肢に絡みつき、そのまま拘束する。

「うおりゃぁぁぁぁ!」

「ノォォォォォ!」

上空へと持ち上げられ、一気に地面へと叩きつけられたクローズ。

「あ…が……」

変身の強制解除と共に、ピクピクと動かなくなってしまった。






「……ゴメン、やり過ぎた」

気絶した当麻に、頬を掻きながら謝罪する白野。

「きゅ〜……」

「うわぁ〜。 完全に気絶してるよ…」

そう言いながら、彼女は茂みの方へと目を向ける。

「それで、何時まで覗いてるつもり?」

「「「「ギクッ!」」」」

覗いていたのがバレ、神裂達は姿を見せた。

「なにやってるの?」

「いえ…息抜きに、この森に来てたんですが、凄いもの音がしたので……」

「ああ、特訓の衝撃音か」

「あの凄まじい攻防戦が特訓……ですか?」

「うん。 スタークに勝つには、強くなる必要があるから」

不敵な笑みを浮かべるが、白野の目は決意を固めている。

魔森島での戦いで、神裂は既に思い知っていた。

自分達を欺き、圧倒したスターク。

そんな彼に初めて、敗北を与えたのは白野だ。

ビルドの新たな姿・ラビットタンクスパーキングフォームの強さには、驚愕を隠す事が出来なかった。

スタークの正体が判明した時、彼女はハッキリと答えたのだ。

――これで私の中で、長谷川泰三は死んだ。

あの台詞は、彼女なりの決別の現れであるのだと。

「それじゃ、私は帰るから」

そう言うと白野は、気絶中の当麻を背負う。

当然のように立ち去った彼女に、神裂は心から呟いた。

「(本当に、勝てる気がしませんね)」






―似た者同士は喧嘩する―






 魂郷町の離れにある小さな小屋。

そこには、三人の男達が会談をしていた。

この三人は『バルゴ』三兄弟。

彼等はある計画を進めていた。

「兄者! 今の政府は腑抜けている! 早くそれを思いしらさねば!」

「分かっている。 そこでだ、真選組なぞというにわか侍を暗殺しようではないか」

「おお、流石は兄者!」

長男の提案に、次男と三男はそれを受け入れる。

「それで、誰を狙うのだ?」

三男が問うと、長男は一枚の写真を出す。

「この男だ。 真選組の頭脳――『鬼の副長』、土方十四郎」

そして三兄弟は、土方暗殺を企てたのだった。






 魂郷町のとある飲食店。

「おや、土方さんじゃないか? 制服はどうした?」

「今日はオフだ。 親父、何時ものヤツ頼むわ」

「はいよ」

土方は店主に注文をしている中、彼の隣の席では、

「(フフフフ……余りにも隙があり過ぎるぞ)」

バルコ三兄弟の三男・三郎が、手に持ったナイフを構え、

「(一瞬で終わらせる)」

暗殺を試みようとするが、まさにその時であった。

「へい! 土方スペシャル一丁!」

米が見えないほどのマヨネーズてんこ盛りの丼が、土方の前に置かれたのだ。

「(エェェェェェェェェェェ!?)」

これには三郎も驚きを隠せず、土方は嬉しそうな顔で食べ始めた。





 マヨネーズたっぷりの丼をガツガツと食す土方に、三郎の顔は恐怖で真っ青になる。

「(オイィィィィィィィ!! 何つーモン食ってんだこの男!? ウエッ、見てるだけで気持ち悪ッ!!)」

吐き気を催しそうになった彼であったが、更なる追い撃ちが襲いかかった。

「ヘイ、宇治銀時丼一丁!」

隣の席に、米が見えないほどの小豆てんこ盛りの丼が置かれていたのだ。

注文したのは、銀髪の男――坂田銀時であった。

「「ん?」」

二人はすぐに相手を認識するが、三郎は銀時の丼に恐怖した。

「(エェェェェェェェ! 今度は小豆ぃ!? 何だこの店、変なモンばっかし!!)」

一方で二人は、そのまま言い争いを始めた。

「おいおい其方さん、そこを退いてくんない? そんなもん見せられたら、食欲が失せちまうだろうが」

「だったらテメェが退けば良いだろうが。 そんなもん見せてんじゃねぇよ! ね、おじさん」

「え、俺?」

「ふざけやがって……良いぜ、お前の犬の餌と俺の宇治銀時丼、どっちが上手いか比べようじゃねぇか。 ね、おじさん」

「え、もしかして、俺が食うの!?」

「上等だぜ。 ね、おじさん!」

「オイィィィィィィ! マジで言ってんの!?」

遂には三郎は、食べ比べをさせられそうになる。

「当たり前だろ。 ね、おじさん」

「頼むわ、ネオジサン」

「ネオジサンて何!? 名前みたいになっちゃったんだけど―――んぐ!?」

そして三郎は、二人の料理を無理やり口に入れられてしまい、

「どうだ、上手いだろネオジサン?」

「ん? ネオジサン?」

「ネオジサン?」

口から泡を吹きながら気絶したのだった。

「「ネオジサンンンンンンンンンンンン!!」」






 銀時と土方が店を後にした後、バルコ三兄弟が店を出る。

二人は気絶した三郎を抱え、若干冷や汗を流してしまう。

「兄者、今の銀髪は?」

「分からん。 だが、用心するべきだな」

知らない間に、攘夷志士に警戒しまった銀時。

「二郎、次はお前の番だ。 しくじるなよ」

「分かった」

銀時を警戒しつつも、再び土方暗殺を始めたのだった。






 その頃の土方は、銀時と遭遇した事に苛立ちを覚えた。

「――ったく、折角の休みに嫌な奴のツラを拝んじまったぜ」

すると彼は、偶然通りかかった映画館に目を向けると、

「(映画でも見てスッキリするか)」

そう思いながら足を運んだ。







 土方は現在、映画を観て静かに泣いていた

因みに映画のタイトルは、『となりのペドロ2』である。

『お願いペドロ! 強盗からお静を助けて』

『いや〜、そんな事言われてもぉ〜』

『いいから、行けペドロ!!』

『このガキ!』

「グズッ……やられたよ。 まさに大人にないと欲しい映画だ」

「(何処で泣いてんだ!?)」

感動の場面で泣く彼に、後ろの席に座っていた二郎が内心でツッコむ。

しかし同時に、彼はニヤリと笑う。

「(ククク……だが、この暗闇なら仕事が楽だな)」

ナイフを構えるが、彼の後ろの席から声が聞こえた。

「おぉ〜い、そこのキミ! さっきからウルセェんだよ!」

「あぁ、すまねぇ―――」

土方は振り返ると、そこにはポップコーンを貪る銀時が座っていた。






 再び遭遇した銀時と土方は、再びいがみ合いを始めた。

「またテメェかァァァァァァァァ!! 来るトコ来るトコ、俺の前に現れやがって!!」

「何だテメェ? まさかアレか? 友達になりたいのか? 友達になりたいのかぁ!?」

「上等だァ! 墓前に何を供えたい!! 小豆か!? ポップコーンか!?」

恐ろしい剣幕でいがみ合う二人であったが、他の客が怒り出す。

「いい加減にしろぉ! 映画が見れねェだろ!」

「喧嘩なら外でやれぇ!!」

それを聞いた二人はこう言った。

「昼間っから映画だァ? いい加減にするのはお前らだ暇人共が! ――って、この人が言ってました」

「喧嘩なら買ってやるぜ――とも言ってました」

しかも、二郎を指差しながら。

「ハァ!? 俺!?」

「上等だァ!」

「やってやらぁ!!」

こうして、映画館は乱闘となった。

しかし二郎は、コレが勝機と感じる。

「(しめた! 乱闘の中なら――)」

ナイフを構え、土方へと突っ込もうとしたが、

「!?」

何者かが後頭部を掴み、彼はスクリーンへと投げ飛ばされた。

「皆さァ〜ん」

全員が振り返ると、

「映画は、静かに見ましょうね」

ライオンのような鬣に左右の側頭部から生えた角、怪獣以上の凶悪さのある顔をした天人が口元に指を添えていた。

彼は万事屋事務所の御近所で、花屋を営んでいる『屁怒呂』。

一言で言うと、めっさ怖い人。






 映画が終わり、席の方では――、

「泣けるね、この映画」

そう言って屁怒呂以外は全員、正座で座っていた。

泣けると言うが、これは映画に感動したという事で、決して屁怒呂が怖いというワケではない。

因みにこう何の一郎が弟を介抱した時には、銀時は映画館を出ていた。

コレを見た一郎は呟く。

「もう、暗殺は止めよう」

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 今回は二本立てでした。
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