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魂郷学園 第47話:断ち切れぬB/裏切りられる裏切り者
作者:亀鳥虎龍   2018/12/07(金) 22:21公開   ID:iYcaOJsNR36
 ハードボイルダーに跨り、仮面ライダーWは道を駆ける。

「もうすぐだな」

『ええ』

実は白野から連絡を受け、助太刀に向かうところだった。

「頼む。 俺達が来るまで、持ちこたえてくれ」

既に現場に向かった白野達の無事を願い、Wは速度を上げる。

果たして、間に合うのだろうか!?







―断ち切れぬB/裏切りられる裏切り者―






「土方ぁぁぁ!」

「伊東ぉぉぉ!」

ガキーン!と、すれ違い様に金属音が響く。

伊東は肩から血が出るが、パトカーのタイヤが吹き飛んだのだ。

これが彼の狙いだった。

「タイヤが!」

コントロールを失ったパトカーは、そのまま前方車両へと向かっていく。

「ヤベッ!」

コレを見た土方は、即座に自身の手足で押さえ込む。

「ンギギギギ……」

「神楽、手伝ってやれ!」

踏ん張る土方だが、神楽が助太刀に入った。

「大丈夫アル、トッシー! 私が押さえ込むネ!」

「なんか違うゥゥゥ!」

しかし、土方の上に乗っかっているが…。

だが、横から攘夷志士達が襲いかかって来た。

マズイと感じたが、まさにその時である。

《LUNA・TRIGGER》

何者かが放った弾丸が、浪人達を吹き飛ばしたのだ。

「ようやく来た」

ビルドが安堵すると、隣をWがハードボイルダーで駆けだす。

「すまない、遅れた」

「気にしないで」

すると、前方車両の扉が吹き飛んだ。

「イテテテ…。 近藤さん、こっちに移ってくだせい」

そこには、伊東派の隊士達を殲滅させた沖田が立っていた。






「ちぃ〜と働きすぎました。 残業代でますよね?」

一人で伊東派の隊士達を殲滅した沖田に、土方が何時もの皮肉を口にする。

「へっ。 俺が、勘定方に掛けあってやるよ」

「そいつは良いですね。 ついでに土方さん、伊東の始末も頼みますぜい。 もし弱みを見せたら、俺が副長の座を狙いますぜ」

そう言った沖田であったが、当然のように土方の上に乗っていた。

「って、土方ここぉぉぉ! テメェ等、当たり前のように人を橋みたいに使ってんじゃねぇ!」

「待ってくれ総悟! トシを置いて逃げろというのか!?」

「そこでモメんなぁぁぁぁ!」

何故か近藤も、土方の上に乗っている。

「モタモタしてんな。 はやく――!?」

呆れた銀時であったが、万斉がバイクで向かって来た。

バイクは正確に、銀時を容赦なく吹き飛ばす。

「がっ――」

「銀さん!」

「っ!?」

驚く新八であったが、離れていた後方車両が迫って来たのだ。

「つ、潰れるゥゥゥゥ!」

ゴシャーン!と、パトカーは潰されてしまったのだった。





「皆!」

ビルドが彼らを救わんとするが、前方から重量車両が現れる。

乗っていたのはガーディアンで、背後からも襲いかかって来た。

「くっ!」

「まずはアイツ等だ!」

『彼等を信じるしかありません!』

「……ええ。 マイ、しっかり掴まって!」

「うん!」

こうしてビルドとWは、ガーディアン軍に挑むのだった。






 押し潰されたパトカーは、一つの鉄の塊となる。

これに視線を向けながら、伊東は小さく呟く。

「土方君。 キミは、僕の一番の理解者だった。 惜しむらくは、僕の器を知り、敵に回った事だ。 キミが局長だったら、僕も反逆を企てなかっただろう。 まあ、あくまで仮説だがね。 しかし、一つ勘違いをしている」

眼鏡を上げ、鞘に手を伸ばす伊東。

「キミが僕を理解しているように、僕も君を理解している」

抜いた刀でパトカーの残骸を斬ると、そこには土方が待ち構えている

「来いぃぃぃ! 決着をつけるぞぉぉぉぉ!」

そして二人は、互いに刃を交るだった。






 吹き飛ばした銀時を追撃しようとした万斉。

しかし砂煙の中から放たれた木刀が、容赦なく襲いかかる。

コレを見た万斉も、迷うことなくバイクから飛び降りた。

バイクは粉々に砕かれてしまうが、搭乗者の万斉は表情を変えない。

「ふむ、面白い魂の鼓動リズムでござるな。 でたらめで無作法、気ままでとらえどころのない音はジャズに通ずるか。 いや、それにしては品が無い。 例えるなら、酔っ払いの鼻歌でござるか」

ゆっくりと立ち上がった銀時は、彼の顔に見覚えがあった。

紅桜の件で、一瞬だけだが春雨の船に乗っていた姿を覚えている。

「テメェ…。 高杉と一緒にいた野郎か。 オイ、人の話をする時はヘッドホンを取りなさい。 ったく、どんな教育を受けてんだ」

「坂田銀時…いや、白夜叉。 何故おぬしが、真選組の側ににいるでござるか……バカ」

「聞こえてんじゃねぇか! ……あの男、テメー等の息がかかったモンだが、真選組の実権を握らせて、御上の間者にする気か?」

伊東と組んだ理由を問うた銀時に対し、万斉は当然のように答えた。

「背信行為を平然とやってのける者を仲間にするほど、拙者達は寛容ではござらん。 信義に背く者の下に人は集まらぬことは、拙者達がよく知っている」

「じゃあ、あの男は?」

「哀れな男でござる。 己が器量を知る時は、もう遅い」

まさにその時である。

列車が橋の途中を通ったと同時に、ドォォン!という爆発音が起こったのだ。

「なにっ!?」

銀時が爆発音で顔を振り向くが、万斉は冷酷に呟くのだった。

「眠るがいい、伊東。 真選組もろともな」






 今から数日前の夜、とある屋形船にて…、

「天才とは何時も孤独だ。 僕には理解者がいない。 ならば、自分のチカラで天下を示すのみ。 真選組を我がものとし、この伊東鴨太郎の存在を世の人々に刻ませる」

伊東鴨太郎が、二人の男と密会していた。

一人は、鬼兵隊提督の高杉晋助。

もう一人は、ファウストの幹部であるブラッドスターク。

「おいおい、悪名でもでも構わねーのか?」

「その為なら、局長である近藤に対する恩を仇で返すとでも?」

「恩? 恩なら近藤にあるはずだ。 あの無能の下に僕が仕えてやってるんだ、感謝して貰いたいものだ」

決意を固める伊東に、高杉は窓の外を眺めると、

「ククク、伊東よ。 お前さん、自分以外の連中が馬鹿に見えてるのか? 自分以外の連中が無能だと思ってんのか? 誰かに認められたい? 自分の存在を知らしめたい? 違うな、そんな大層なもんじゃねぇだろ? お前はただ、一人だっただけだろ
う」

煙管を一服した後、再び言葉を続ける。

「お前が求めてるのは、自分を認めてくれる理解者なんかじゃねぇ。 お前が欲しいものは……」






「はっ!」

伊東が目を覚ますと、彼は辺りを見渡す。

「こ、ここは…」

爆発で列車が傾いてしまい、車内は酷いありさまになっていた。

窓が割れ、座席は吹き飛び、真下は奈落となっている。

不幸中の幸いか、伊東は座席の金具に制服の裾が引っ掛かり、落ちる事はなかった。

そんな中、彼はある事を思い出す。

先程まで刃を交っていた土方だ。

もしかすると、あの男も生きているかもしれない。

周囲を確認すると、瓦礫の中からあるものを見つける。

それは腕だった。

あの爆発で千切れ飛んだ、真選組の制服に包まれた左腕。

きっとあの腕の持ち主は、既に落ちていたのだろう。

同時に伊東は、さっきまで自身と戦っていた土方だと確信する。

「土方…。 そうか…僕は勝った。 遂に、土方に勝っ――」

どきを上げようと、腕を伸ばそうとした伊東。

しかしここで、彼は目を疑ってしまう。

自身の左肩から下が、無くなっていたのだ。

同時に伊東は、理解してしまった。

あの千切れた左腕は、土方のものではなく、

「う…うわぁぁぁぁぁ!」

爆発で吹き飛んだ、己の腕であることを……。






 万斉と対峙していた銀時は、彼からある事を告げられる。

「晋助とスターク殿は、あの男を看破していたでござる。 自尊心だけ人一倍強い、己の器も知らぬ自己顕示欲の塊。 それを刺激し、利用するのは容易い事でござる。 思惑通り、真選組同士で争い、戦力を削ってくれた」

それは鬼兵隊が、伊東と手を組んだ理由であった。

伊東の反乱を手引きし、協力するというのは表向き。

仲間割れで消耗した真選組の壊滅こそが、鬼兵隊の本当の目的であったのだ。

「テメー等、ハナから真選組を潰す為に、伊東アイツを利用したってのか!」

怒る銀時とは対照的に、万斉は冷酷に呟く。

「あの男らしい最期でござろう。 裏切り者は、裏切りで消される」






 左腕の損失で混乱した伊東だが、耳元から何かの音が聞こえる。

音の聞こえた方へと顔を向けると、そこには鬼兵隊のヘリコプターが飛んでいた。

しかし機関銃の銃口を、伊東へと向ける。

コレを見た伊東は、ようやく気付いたのだ。

あの爆発が、鬼兵隊の仕業によるものであると。

そして用済みとして、自分を始末する気であると。

「やめろ、やめてくれ……」

自分が見捨てられると知り、伊東は思わず呟いてしまう。

しかし機関銃からは、弾丸が容赦なく襲いかかった。

そんな中、伊東の脳裏には幼き頃の記憶がよみがえる。

伊東鴨太郎には、鷹久という双子の兄がいた。

自分とは対照的に、病弱だった兄。

学問所の試験で成績を残しても、剣術で強くなっても、母親は兄の看病に付きっきりであった。

しかし、彼は信じ続けた。

必死に努力すれば、家族も自分を見てくれると――。

ある夜、トイレから自室へと戻る途中、

――しかし、どうしたものか。

茶の間で両親の声が聞こえたので、それを聞いてしまう。

――双子で生まれたのに、跡取りである兄の鷹久が病弱では、これでは宝の持ち腐れだぞ。

――鷹久は鴨太郎に全てを奪われて生まれたのよ。 私のお腹にいるとき、鴨太郎が鷹久の全てを奪ってしまったんだわ。

そして、母親の次の言葉が、彼の心に大きな一撃を与えてしまった。

――あんな子、生まれて来なければ良かったのに。

コレを聞いた伊東は、今までの努力を無駄にされた気持ちになってしまう。

――これ! なんて事を言うんだ! 鴨太郎が聞いたらどうする気なんだ!

父親は己が妻を咎めるが、既にそれは遅かったのだ。

過去の記憶が過った伊東であったが、弾丸が金具に引っ掛かった裾を破く。

「(嫌だ…。 もう、一人は嫌なんだ! 誰でも良い、僕を一人にしないでくれ――)」

残った右腕を上げた瞬間、その手を強く掴んだものがいた。






 自身の手を掴んだ人物に、伊東は驚きを隠せなかった。

「!?」

掴んだのは近藤で、沖田や新八達が彼を引き上げようとしていたのだ。

「近藤、何をしている。 自分のしたことが分かってるのか? 僕はキミを殺そうと――」

「謀反を起こされるのは大将の罪だ。 だから、それを斬るのは罪じゃねぇ」

「な……」

「元々俺ぁ、大将の器なんざ、性に合わねぇんだ。 俺なんかより、アンタの方が一番向いてるよ。 すまねぇな、先生。 俺はアンタの事は兵隊としてじゃなく、肩を並べて酒を飲み交わすダチでいて欲しかったんだ」

しかし鬼兵隊のヘリから、機関銃の弾丸が襲いかかる。

「うおっ!」

危機的状況であったが、ぶら下がった車両から、

「何してやがる! さっさと、逃げやがれぇぇぇ!」

土方がヘリへと跳び下り、プロペラを来たのだった。

嘗て伊東は、高杉に言われた事を思い出す。

――お前が求めてるのは、自分を認めてくれる理解者なんかじゃねぇ。

この言葉に、彼はようやく気付いたのだ。

自分が一番、欲していたものを…。

「(そうだ…。 僕が欲しかったのは……)」







 幼き頃から、家族に愛されず、友人もいなかった。

人から拒絶する事を恐れ、人を傷つける事を恐れ、孤独が好きな己を演じた伊東。

だが彼を、そんな孤独という闇から救いあげた者達がいた。

それこそが、真選組の者達だ。

「(そうだ…僕は…僕はただ……なかまが欲しかった……)」

仲間との繋がり――それこそが、伊東鴨太郎が欲していたものであった。

正面から受け止めてくれる者。

正面からぶつかってくれる者。

真選組の門を叩いた時から、既に彼は手に入れていた。

自分の本当に欲しかったものが。

「「うおぉぉぉぉぉぉ!」」

ヘリから飛び降りた土方の手を、伊東は自身の手で掴む。

「土方君…。 僕はキミに、言いたい事がある」

「奇遇だな、俺もだ」

「僕はキミが……」

「俺はお前が……」

「「嫌いだ」」

そう、彼が欲しかったいとは、

「「いずれ殺してやる」」

「だから…」

「こんなところで…」

「「死ぬな」」

ずっと前から、繋がっていたのだ。

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■作者からのメッセージ
 長く待たせてしまいました。

次回で、この長編を終わらせます。
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