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混魂 第九話:杜王町の“JOJO”
作者:亀鳥虎龍   2020/02/19(水) 23:27公開   ID:SITQgi7z/cc
 空条承太郎は現在、仲間達とある街に来ていた。

町の名前は、『杜王町』。

魂郷町の隣にある地方、S市に存在する町である。

人口は約53000人で、東北地方の中心都市の郊外にある大規模なニュータウン。

「余所見をしてすまない。 この街の地図を見ていてね」

「(デッケェ!? 190センチ以上はあるぞ!?)」

そこで彼は、小柄な体格の少年『広瀬康一』と出会う。

「一つ尋ねたいんだが、この町に『東方』という姓の家を知らないか? 俺は、その家を訪ねにこの町に来たんだ」

「さあ、どうですかね? この町の人口は53000人ですので、同姓の人がいると思いますよ?」

「じゃあ、この住所はどうかな?」

何故承太郎達が、この町に来ているのかというと、

「それならあのバス停で待てば、一時間後に来たバスに乗って5分で着きますよ」

「ありがとう」

それは、昨日の早朝に遡るのであった。





―杜王町の“JOJOジョジョ”―





 それは昨日、しかも朝の事であった。

常城蒼は現在、一軒の建物の前に立つ。

それは空条家――つまり承太郎の実家である。

彼女の背後には、2〜5人の男女がいる。

金髪でヘッドホンを付けた少年、『逆廻十六夜』。

赤髪で緑色の制服姿の少年『花京院典明』。

オレンジの髪をシュシュで纏めた少女『藤丸立花』。

緑色の髪に赤系統のサマーセーターを着た少女『日影』。

黒髪で黒いジャケットにソフト帽を被った少年『左崎翔太』。

彼等は全員、魂郷学園高等部の3年H組の学生である。

「じゃあ、鳴らすよ?」

蒼がインターホンを鳴らすと、一人の女性が玄関を開けた。

「はーい」

彼女の名は、承太郎の母親の空条ホリィ。

とても若々しく、高校生の息子を持つ親とは思えない。

「おはようございます。 あの、承太郎さんはいらっしゃいますか?」

「ええ。 丁度いるわよ」

「よう、来たか」

するとホリィの後ろから、承太郎が現れた。

「とりあえず、上がりな。 話はその後にしてぇからな」

こうして彼等は、空条家にお邪魔したのだった。





 空条家にある茶室。

「それにしても、ホントに広い屋敷やな」

「広過ぎると、逆に人一人を探すのに苦労するがな」

「じゃあ、ゆっくりしてってね」

お茶を出した後、ホリィは茶室を後にした。

「すまねぇな。 イキナリ呼びだしたりしてよ」

「気にすんなって」

「それで、僕等を呼んだ理由は?」

花京院の問いに対し、承太郎は口を開く。

「実はな……ジジィの事なんだがな」

「ジョースターさんが?」

「ジョセフ爺さんがどうしたんだよ?」

ジョセフ・ジョースター……承太郎の祖父でホリィの父親。

アメリカを中心に、世界中で名が知られている不動産王である。

「ああ……まだまだ健在なんだが、万が一ってのもあって一応、遺産分配の調査を行ってたんだ」

「でもジョセフさん、一万回殺しても死な無いと思うぜ。 寧ろ、まだまだ生きられるんじゃないか?」

ジョセフの普段の性格に対し、十六夜がそう言うと、

「いや、流石にジョセフさんでも、病気や寿命には勝てないやろ?」

それを聞いた日影も、無表情でツッコミを入れた。

「ハァ……話を戻すぞ。 それで調査の結果、とんでもねぇ事が判明したんだ」

「とんでもない事?」

次の瞬間、承太郎の口から、信じられない言葉が出て来た。

「ジジィに……隠し子がいた事が分かった」





 承太郎のこの言葉に、

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」

「 ジョ……ジョースターさんに、隠し子が!?」

「……あの爺さん……凄いとは思ってけど、浮気までやっとったのか?」

「えっ、マジで!?」

花京院や十六夜だけでなく、無表情の日影も驚きを隠せなかった。

ジョセフの顔を知らない蒼は、首を軽く傾げるしかない。

「やれやれだぜ。 あのクソジジィ……「ワシは生涯、妻しか愛さない」と聖人ぶった台詞を吐いておいて、テメェが少し若い頃に浮気してやがったんだ」

「いったいあの人、何歳の時に浮気してたの!?」

「因みに隠し子の事は、ジジィ自身も知らなかったらしい。 だが、この真実を知ったスージーばあちゃんの怒りが爆発してな、昨日はそれを止めるのに必死だったぜ」

やれやれと溜息を吐く承太郎であったが、

「(それ、どう考えても……浮気をしたジョセフさんの自業自得だな……)」

ジョセフに対して、一同が自業自得だと呟くのだった。

「それで、その隠し子の名前は分かったのか?」

十六夜が首を傾げると、承太郎はコクリと頷いた。

「仗助……東方ヒガシカタ仗助ジョウスケ。 この町の隣の地方、つまりS市にある『杜王町』に住んでいる」

「聞いたことあるで。 確かあの町、行方不明者の数が異常なまでに多いとか」

「へぇ……尋常じゃないな」

行方不明者の数が尋常ではない――ここにいる者達が背筋を凍らせる。

「………話を戻すぞ」

すぐさま承太郎が、話を切り替えたのだった。





 話の趣旨を元に戻した承太郎であったが、彼は懐から一枚の写真を取りだす。

「写真?」

「ジジィの『隠者の紫ハーミットパープル』で仗助の写真を念写しようとしたんだが、どういうわけかコイツが写った」

その写真には、一人の男と杜旺町の背景に浮かぶ『何か』が写っていた。

「この写真……もしかしてやけどど……」

「察しが良いな、日影。 恐らく、背景に写ってるのはスタンドだろう。 仗助が映せないのはもしかしたら、その仗助よりコイツのスタンドの方がパワーが大きいせいかもしれん」

この写真を見た一同は、ゴクリと唾を飲み込む。

「とにかく俺は、遺産と写真の事で仗助に会う必要がある。 奇妙な話だが、俺の『叔父』にあたるしな」

「確かに……年上で先輩の承太郎が『甥』っていうのも奇妙だと思う……。 ところで、ジョセフさんは何処に?」

翔太が問うと、それを聞いた承太郎は溜息を吐く。

「離れの部屋にいる。 因みに言うと、先にニューヨークに帰ったスージーばあちゃんから、「暫く帰ってくんな!」って怒鳴られてな……ウチに厄介になってる」

「……自業自得やな」

「だな」

「そうだね」

「そういうワケだ、明日はオメェ等も協力して貰うぜ」

「了解した」

こうして彼等は、空条家を後にした。





 そして現在、承太郎達は仗助の捜索をしていた。

康一に言われたバス停に向かおうとしたが、そこであるモノを目撃する。

「おい! テメェ、何見てんだよ? アァン!?」

「み、見てないですよ!」

「嘘つくんじゃねぇ! 今、アニキの顔を睨んだろうが!」

「シバくぞゴラァ!」

三人の不良が、少女を脅していたのだ。

「なんか、ヤバそうやな」

「そうだね。 今から助けに――」

この光景を見た立花と日影が助けに行こうとするが、まさにその時であった。

「あの〜……その辺にしてやってくれませんか?」

独特のリーゼントヘアーの少年が、不良達に声を掛けたのである。





 身長は180cmくらいの長身で、明らかに不良という印象を見せる。

しかし外見とは裏腹に、性格は優しい雰囲気を見せていた。

「その人、困ってるんで、見逃してあげてほしいス」

「何だ、テメェ! 俺たちに逆らうってぇのか?」

「今にも泣きそうですよ? それに、相手は女の子ですし――」

「生意気言うじゃねぇ!!」

少年は頬を殴られ、口が切れて血が出てくる。

しかし、少年はそれを気にしなかった。

「分かったか、俺達に逆らうとこうなるんじゃ!!」

「す、すみませんでしたぁ! 俺、そういうの知らなくて!!」

「そう言って、気付いたときには病院でしたっていう奴は何人もおんねんぞ。でないと、お前も」

不良の一人が、先程の少女を殴り、彼女もその場で倒れてしまう。

「こうなりたくなかったら、俺達に逆らうな! 良いな、分かったか!」

「わ、分かりましたから! だから、その子に乱暴をしないでください!!」

「よっしゃ、その心がけに免じて今日は見逃したろう。だが、この女の代わりにお前が金を払え!」

「分かりました」






 その一部始終を見ていた承太郎達。

「……俺も流石に、アイツ等にはカチンと来たぜ」

「だが、あの男もだ。 女が殴られた事には怒りを見せねぇ、逆にこっちが頭に来るぜ」

そんな中、不良が少年の名前を聞いた。

「よし、腰抜け! テメェの名前を教えて貰おうか?」

その問いに少年は、自身の名前を教えた。

「ぶどうが丘高校1年B組……東方仗助です」

それを聞いた承太郎達は、一瞬だけ驚いた。

「え?」

「今……何て……」

「マジか!?」

「何ぃ!? 東方仗助だとォ!?」

特に承太郎は、探し人が簡単に見つかって一番驚いている。

「仗助ェ?」

「はい、人偏に丈夫の『丈』で『助』けると書いて『仗助』です」

「けっ! これから仗助、テメェを『ジョジョ』って呼んでやるぜ!」

「はぁ、どうもありがとうございます」

「それよりもさっさとせんかい! 金を出せって言ってるだろうが! チンタラしてると、そのアトムみてーな頭刈り上げるぞ!!」

苛立った不良がそう言った瞬間、まさにこの瞬間だった。

仗助の中で、何かがプッツーンと切れたのだ。





 ゴゴゴゴゴ……と怒気の籠った雰囲気を見せる仗助。

「おい、先輩。 アンタ、俺のこの頭が何だってぇ?」

「へっ――」

まさにその時だった。

何かが不良の顔を殴ったのだった。

「フゲッ!」

不良の鼻は裂け、横に折れ曲がり、そこから血が出てくる。

「な、何!?」

「不良が吹っ飛んだ!?」

立花や翔太は驚くが、その正体を承太郎や花京院には見えていた。

仗助の背後から『腕』の様なものが出現し、不良を殴った瞬間を。

「承太郎、今のはまさか!?」

「ああ、間違いねぇ! アレはスタンドだ!!」

幽波紋スタンド』……使用者の生命エネルギーが生み出す、パワーある虚像ヴィジョンの総称。。

Stand by me傍に立つ”が名の由来の通り、その人の傍に現れる。

そして個人個人によって、姿や形が異なるのだ。

仗助はゆっくりと近づき、倒れている不良を見下ろす。

「俺のヘアースタイルにケチつけてムカつかせた奴ぁ、何もんだろうと許さねぇ! この髪型の何処が、サザエさんみてぇだとォ?」

「え? そ、そんなこと誰も言って――」

「確かに聞いたぞ、コラァ!」

「ねェ!?」

仗助は倒れている不良の頭を踏み、顔面を床に叩き付ける。

「な、何だコイツァ!?」

「ヒィー!!」

他の不良達もそれに怯え、仗助から離れるのだった。

だが、この光景を見た承太郎と花京院は、

「(今、アイツの体からスタンドの腕が見えた)」

「(しかも、何てパワーだ)」

仗助がスタンド使いだと知った。





 仗助が少女の方へと近づき、彼女の肩に触れた瞬間だった。

コレを見た承太郎達が、驚きを隠せなかった。

「な、何だ!?」

それは少女の顔が、綺麗さっぱりと治っていたのである。

「き、傷が……綺麗に治ってやがる!?」

そんな中、仗助は少女に声を掛ける。

「スマネェな。 俺のせいで大怪我負わせちまって、大丈夫か?」

「え……あぁ、ありがとう。 大丈夫だよ」

「そうか、良かった」

すると、起き上がった不良の顔に皆が驚く。

なぜなら、殴られたハズの顔がみるみる治っていくのだ。

「なんだぁぁぁ!?」

「今、殴られた顔に傷がどんどん治っていく!」

「鼻が裂けて、血がダボダボ出てたのに」

「もう治っちまったぞ! で……でもなんか、変な感じに治ってないか? 前の顔と違うぞ!?」

それはその不良の鼻が広がって、顔の中心で目立っているのだ。

「オイ、さっき女の子を殴ったよな。どうしてほしい?」

「う、うあああああああ!?」

流石の不良達も、仗助から逃げたのだった。

「何というか……恐ろしい奴やな……」

日影の一言に、全員がは内心呆れてしまい、

「やれやれ……コイツが探していたジジィの身内とはな」

仗助に対して承太郎は、小さくそう言ったのだった。





 不良達が逃げ去った後、承太郎達は仗助の方へと歩み寄った。

「ん?」

仗助もすぐに振り返り、

「「………」」

自分と近い印象を見せる承太郎と、顔を合わせたのだった。

ゴゴゴゴゴ……と殺伐とした雰囲気が漂ったが、

「あっ、どうも。 初めまして」

「何か、調子が狂うなぁ…」

そんな中、承太郎が仗助に声をかける。

「東方仗助……杜王町で生まれ育ち、ぶどうが丘高校に入学。 実家には母親と祖父の三人暮らし。 母親の名前は朋子。 当時は女子大生で、現在は高校教師。 祖父の名前は良平。 駐在所の警察官で、階級は巡査。 そして父親の名は、ジョセフ・ジョースター」

「………」

「おっと、自己紹介がまだだったな。 俺は空条承太郎。 まあ、なんだ……血縁上、俺はお前の『甥』にあたるんだ。 奇妙な話だがな」

「甥? はぁ、どうも」

「それと、オメェの事は『仗助』と呼ばせて貰うぜ」

「それで、承太郎さんは俺に何か?」

「ああ、実はな……」

こうして、二人の『ジョジョ』は出会ったのだった。





 ジョセフの浮気騒動の話を聞いた仗助は、驚きを隠せなかったが、

「そ、そんな事が!? す、すいませんですぅ!! 俺のせいで大騒ぎになって!!」

なんと意外!その場で頭を下げたのである。

それに対し、一同が驚きを隠せなかった。

「ま、待って! 何故、アナタが謝るの!?」

「だってマズイですよ。 家族で問題が起きるのは! 俺の母は、真剣に恋をして俺を産んだって言ってるんで、俺もそれで納得してるんです。 ですから、俺達に気を遣わなくても良いって、お父さん――ジョースターさんに伝えといて下さい」

「…………」

それを聞いた承太郎は、驚きのあまりに声が出なかった。

「承太郎、どうした?」

「いや、悪い。 実を言うと俺は、ジジィの代わりに殴られる覚悟で会いに来てたからな」

「そっか、フェイントを喰らった気分になったんだ」

それを聞いた仗助も、頬を掻きながらこう言った。

「じ、実を言うと……俺も親父の話を聞いて、どう受け止めるべきか分かんない気分なんスよ」

「まあ、無理もないな。 家族を長年ほったからしにした男を『父親』って言われて、誰だって納得できないさ」

「まあ、文句の一つや二つは言いたくなるわな」

溜息を吐く承太郎であったが、昨日の写真を彼に見せた。

「それと仗助、コイツを見てくれ」

「ん? コイツ、誰っすか?」

承太郎は仗助に写真を見せると、仗助は興味深そうに見る。

「ジジィが念写したら映った奴だ。そいつが杜旺町に潜んでいる」

「俺の住む町に……」

「なぜ映ったかは知らんが、一応見せておいた。気を付けろと言うことでな」

「わ、分かりました……」

すると承太郎は、自分達と一緒にいた康一の方へと目を向ける。

「それと康一くん」

「は、はい…」

「俺の言ってる事が分からないかもしれないが、キミにも一応忠告しておく。 この写真の男に会ったら、絶対に近付こうなどと考えるな。 警察に行っても無駄だ」

「分かりました」

すると十六夜達が、小言でこんな会話をしていた。

「(承太郎が相手を『くん』付けで呼ぶなんて……)」

「(珍しい事もあるんやな)」

「(どうやら康一くんには、何か信頼を得てるようだね)」

知らない内に、承太郎の信頼を得た康一であった。






 写真の男に対する警告をした後、承太郎がこんな事を言った。

「そういや仗助。 オメェのスタンド、見せてくれないか?」

「へ? 良いッスよ」

そう言って仗助は、自身のスタンドを彼等の前に見せた。

勿論、十六夜達は見えない。

見えるのは、同じスタンド使いであるだけである。

デザイン上の特徴としては、体のいたる所にハートマークがあしらわれており、頚部に数本のパイプの様なものが見られる。

「成程な。 ところで、スタンドの名前は?」

「え、まだ無いッス。 そこまで考えてなかったんで」

それを聞いた承太郎は、仗助のスタンドをこう名付けたのだった。

「『クレイジー・ダイヤモンド』ってのはどうだ?」

それを聞いた一同は、「おお〜」という顔をしたのである。

「良いッスね! グレートでカッケェっスよ!!」

「ヤハハハハ。 確かにいかした名前だぜ」

仗助と十六夜は納得したようであるが、

「(まあ、確かに……あの性格を考えたら……」

翔太は内心で呟くのであった。

「……ホッ」

因みに日影だけは、持参していた烏龍茶を啜っていたである。


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■作者からのメッセージ
 今回からは蒼メインのストーリー。

ジョジョ第4部の序盤を基準にした『アンジェロ編』を書きます。

銀時「え? じゃあ、俺の出番は!?」

ユーリ「いや、ないだろ。 どう見たって」
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