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混魂 第八話:Ωを名に持つ戦士/神秘の龍と養殖の蜥蜴
作者:亀鳥虎龍   2020/02/18(火) 23:33公開   ID:SITQgi7z/cc
 前回のあらすじ。

ガイアメモリ……それは、地球上のあらゆる『記憶』を宿した謎のUSBメモリ。

このメモリを使った人間は、異形の怪人『ドーパント』へと変貌する。

メモリの使用者に襲われ、ベルベットとジュディスが負傷。

二人から事情を聞き、真選組はすぐに調査を行う。

その頃、万事屋はというと……、

「逃げるんだよぉ〜〜!」

ペット探しの途中で、人を喰らう異形と遭遇。

すぐさま逃げ出したのだった。





―Ωを名に持つ戦士/神秘の龍と養殖の蜥蜴―





 誰もいない、薄暗い檻。

その中には“獣”がいた。

外見は人型で緑色の身体、そして両目が赤く光っている。

両手や両足には枷が付けられ、鎖で背後の壁に繋がれていた。

「グルルル〜〜〜」

低い唸り声を発し、獣は檻の外を眺める。

動こうとしても、鎖で繋がれて動けない。

そして再び、唸り声を発するのだった。





「ぜぇ…ぜぇ……」

草原を離れ、銀時達は息を切らす。

「ま、マジで何だあれ!?」

「こっちが聞きてぇよ」

「そうですね…」

しかしユーリが、ある事に気付いた。

「……ところで、猫はどうした?」

「「…………あっ!!?」」

どうやらシロナの事を忘れてしまい、そのまま逃げ出してしまったようだ。

「どうすんだよ!? 俺等、報酬貰えねぇじゃねぇか!?」

「仕方ないじゃないですか! あんな状況で、頭が働くワケがないですし!」

「まあ、一理あるわな」

しかし、その時であった。

「あの、この子ですか?」

「「「へっ?」」」

「ニャー」

悠が抱きかかえている子猫を見て、三人は大きく見開く。

依頼人のペット、シロナが可愛らしく鳴いていた。

「お前、保護してきたのか?」

「流石に置いていけるワケないですし」

「スゲェ! 助かったぜ悠!」

「一応、動物病院に診て貰いましょう。 それと、飼い主に連絡を」

こうして一行は、シロナを動物病院へと向かったのである。





 時刻は午後16時。

動物病院にて、獣医がシロナを診ていた。

「血だらけであったけど、命に別状はないね。 それに、掠り傷も負ってない」

「よかった」

「しかし、この血は何処で付いたんだろうね?」

「そ、それは……俺等も知らなくて」

「そうか…。 まあ、この血は洗い流す必要があるね」

「お願いします」

「んじゃ、俺等は飼い主に連絡するか」

シロナを獣医に任せ、銀時達は病室を後にした。





 悠が病院の外で電話をしている間、他の三人は状況を整理し合う。

「さっきのアレ、一体なんだよ!?」

「分かりませんよ! 私だって、あんなの初めて見たんですから!!」

「あのバケモン…食ってたのは、人間だよな?」

「どう見ても人間だろ……」

「とりあえず、依頼は完了した。 とりあえず、AGITΩで飯でも食うか」

「そうだな」

三人が賛成し、悠がタイミング良く院内に入った。

「飼い主の方に連絡しました。 今から30分後に来れるそうです」

「そいつは助かったぜ」

その後、シロナの飼い主が病院に到着。

愛猫を抱きかかえた飼い主から、彼等は報酬を受け取ったのだった。





 時刻は午後17時20分。

『CAFE AGITΩ』の店内にて、銀時達は注文したメニューを口に運んでいた。

「あんなもん見たってのに、よくそんなもん食えるな……」

「ウルセェ! 今は腹が減って仕方ねぇんだよ。 全力疾走で逃げたんだからよ」

注文したステーキを口に運び、そのまま咀嚼する銀時。

そんな彼に、タマゴサンドを口に運ぶユーリが唖然とする。

「で、でも…。 銀さんの言う通りですよ。 逃げられただけでも奇跡なんですから」

紅茶を啜りながら、マイは銀時を一応フォロー。

「でも、アレって……。 結局何でしょうかね?」

ハンバーガーを口に運びながら、悠はあの現場の事を考える。

あの現場の異業に対し、誰もが深刻になってしまう。

「と、とにかく、食べましょうか? ね?」

「……そうだな」

だが今は、食事に集中する事にしたのだった。





 時刻は午後18時。

「く…くそ……」

スーツ姿の男は、息を切らしながら呟く。

彼はメモリの売人で、ベルベットとジュディスを襲った豹の怪人である。

謎の人物に邪魔をされ、一度は退却したのだ。

メモリの入ったケースを回収に向かったが、既に真選組に回収されていた。

「このままでは…『組織』に始末される。 こうなったら……」

《ジャガー》

男はメモリを挿入し、怪人へと姿を変えたのである。

ドーパント…ガイアメモリを挿入した人間が、その姿を変貌させた怪人の総称。

なぜこの名前であるかは、由来は未だに不明。

一説では、薬物投与ドーピングをするように、その身体を超人ミュータントに変えるという意味合いがある。

「ウオォォォォォ!」

こうして男は、『豹の記憶』を宿した怪人『ジャガー・ドーパント』へと変身したのだ。





 地獄は午後18時50分。

AGITΩから出た銀時達は、事務所へと戻る途中であった。

「はぁ、食った食った」

「早く帰って寝るか」

「そうですね――ん?」

しかし、マイが何かに気付く。

「どうした?」

「いえ、何かが前に…」

「え?」

全員が前方に目を向けると、一人の男が現れた。

「見つけた……」

《クロコダイル》

USBメモリを胸に挿し込んだ瞬間、その姿が変貌したのだ。

ワニのような頭部に鋭い爪、そして鱗のの様な身体をした怪物。

銀時達が遭遇した、あの異形である。

「ギャァァァァア!!」

「マジかよ!?」

「っ!?」

「くっ!」

銀時が叫び、他三人が驚愕した。

「このクロコダイルメモリは強力だが、人の肉を欲する飢えが治まらねぇんだ。 食わせてもらうぞ、お前等の肉をぉ!」

『鰐の記憶』を宿した怪人、『クロコダイル・ドーパント』が襲いかかって来たのだ。





 同時刻、真選組の屯所。

「局長、大変です!」

「どうした!」

「怪物が、怪物が屯所に!」

「怪物だぁ?」

隊士の言葉に、近藤と土方が耳を疑ってしまう。

同席していた沖田も、首を軽く傾げる。

「と、とにかく! 外に来て下さい!」

三人はすぐさま外へと向かうと、そこには目を疑った。

「うおぉぉぉぉぉ!」

そこには豹の姿をした怪人が、隊士達を襲いかかって来たのだ。

「マジかよ!?」

「まさか、くだんのドーパントか!?」

「メモリを取り戻しに来たってことか」

「自分から来てくれるたぁ、手間が省けましたね」

近藤と土方、そして沖田が刀を抜く。

「真選組出動! 賊を捕えろぉ!」

そして真選組は、怪人――ジャガー・ドーパントに立ち向かった。





 午後19時10分のAGITOにて、

「〜〜♪」

早めに店を閉め、翔一は店の掃除をしていた。

しかしその時である。

「っ!!」

何かの気配を察知し、すぐさま外へと出た。

ガレージに停めているバイクに跨り、アクセルを噴かす。

そしてグリップを捻り、夜の道を駆けたのだった。

夜道を駆ける中、彼は力強く叫んだ。

「変身!」





 その頃、銀時達はというと、

「うおっ!」

クロコダイル・ドーパントの攻撃に、悪戦苦闘していた。

「くそっ! どうなってやがんだ!」

「マジでなんだよアレ!?」

「まさか人が、怪物に変貌するなんて!?」

「………」

誰もが困惑する中、クロコダイルは容赦なく襲いかかる。

「うおぉぉぉぉぉ!」

豪快に振るわれた爪は、アスファルトの地面すらも斬り裂く。

この攻撃に、悠は咄嗟に避けたが、

「がっ!?」

尻尾による追い撃ちを受けてしまう。

吹き飛ばされた彼に、クロコダイルは再び襲いかかる。

「うおぉぉぉぉぉ!」

豪快に爪を振るおうとしたが、まさにその時だ。

「悠さん!」

マイが悠を庇おうと背中を見せ、クロコダイルの爪が彼女の背を裂く。

「あっ……」

「「マイ!!?」」

「ナツメさん!」

倒れていくマイを抱き、悠はその顔を見る。

口からは血を吐き、背中の傷口からは大量の血が流れていた。

「ナツメさん、何故!?」

自分を庇った事に疑問を持った悠であったが、マイは苦し紛れの声で呟く。

「何故って…仲間……だから……当然…だよ」

ニッと笑い、サムズアップをしてみせた。

「フン、女に護られるなんざ、腑抜けたヤツだ。 だが、死ね!」

クロコダイルが再び襲いかかるが、まさにその時だ。

「うおぉぉぉぉぉ!」

ドガァ!と、悠がクロコダイルの腹部に拳を叩きこんだのである。

「がっ!?」

仰け反ってしまったクロコダイルであったが、悠の顔つきが変わっていた。

「は、悠?」

「何だ……空気が変わった?」

彼の雰囲気に、銀時やユーリもゴクリと唾を飲む。

ショルダーバックを開け、中から一本のベルトを取りだしたのだ。





 ベルトを腰に巻き、悠は力強く叫ぶ。

「うおぉぉぉぉぉ!」

同時に彼の脳裏には、檻の中の獣が咆哮を上げていた。

『ウオォォォォォ!』

そして獣が枷の鎖を引き千切り、鉄格子を容赦なく蹴破ったのだ。

獣の虚像ヴィジョンと同化するように、悠はベルトの左グリップを捻る。

《オメガ!》

「アァァマァァァゾォォォォン!」

《エボル・エボ・エボリューション!》

緑色の爆炎が彼の身体を包みこみ、凄まじい爆風が発せられたのだ。

炎が消えた瞬間、水澤悠の姿はなく、

「……え?」

「何だよ…アレ?」

その場には、一人の獣が立っていた。

蜥蜴の様なフォルムで緑色の身体、鋭い刃が付いたグローブとブーツ。

そしておもては、両目が赤く光っている。

「悠…だよな?」

「恐らくな……」

これには銀時もユーリも驚きを隠せない。

“養殖”を体現した緑の戦士『仮面ライダーアマゾンオメガ』が、ここに爆誕した。





 午後19時30分。

真選組の屯所では、隊士達がジャガーに立ち向かう。

しかし圧倒的な強さを前に、苦戦を強いられてしまう。

「くそ! 強ェ!」

「何て強さだ。 これが、ドーパント」

近藤も土方も、地面に膝をついてしまう。

自分達の敗北を覚悟したが、まさにその時であった。

「っ!?」

背後から気配を感じ取り、ジャガーは振り返る。

何者かが現れ、バイクからゆっくりと降りたのだ。

カツン…カツン…と歩いて行き、その姿を現した。

全身が黒く、上半身には金色の装甲。

仮面には龍の様な金色の角と赤い両目、腰にはベルトが巻かれていた。

人間が進化を遂げた“神秘”の戦士、『仮面ライダーアギト』が参上したのだ。





「うおぉぉぉぉぉ!」

ジャガーは襲いかかるが、アギトは軽い動作のみで攻撃を避ける。

「ハッ!」

さらにそこから、拳を叩きこんだのだ。

「うぐっ!」

怯んだジャガーに、さらに回し蹴りを叩きこむ。

この光景に、近藤や土方は驚きを隠せない。

隊士達を圧倒した怪人を、謎の人物がたった一人で圧倒していたのだ。

「ふん! ハァ!」

アギトは拳を二発叩きこみ、正拳突きで殴り飛ばす。

「ぐがぁ!」

吹き飛ばされたジャガーであったが、すぐさま立ち上がり、

「うおぉぉぉぉ!」

再び襲いかかったのだった。





 同時刻、アマゾンオメガはクロコダイルと激突していた。

「ウラァ!」

獣の様な動きで翻弄し、鋭い爪で引き裂く。

その鋭さは、クロコダイルの強靭な身体に傷を付ける。

「がぁ!」

攻撃を受けたクロコダイルであったが、拳を振るって反撃をした。

だが、アマゾンオメガに受け止められ、

「うおぉぉぉぉぉぉ!」

豪快に投げ飛ばしたのだ。

「ウガァァァァ!」

投げ飛ばされてしまい、クロコダイルの体力は限界を迎えていた。

この隙を見逃さず、アマゾンオメガは右腕の刃『アームカッター』を伸ばす。

そして左手で、ベルトの左グリップ『アクセラーグリップ』を捻り、

《バイオレントパニッシュ》

「ウオォォォォ!」

突進と共に、必殺技の『バイオレントパニッシュ』を放った。

「ぐあぁぁぁぁぁ!」

必殺の一閃をすれ違い様に放たれ、クロコダイルはその場で爆散する。

そして元の男に戻り、排出されたメモリが砕けたのだった。





 場所は替わって、真選組屯所の敷地内。

突進してきたジャガーに対し、アギトは頭部の角『クロスホーン』を展開させる。

2本から6本へと角が展開され、紋章状のエネルギーが足元に出現する。。

ゆっくりと構えを取っていくアギトに、遂に突進してきたジャガーが近付き、

「フン!」

跳び上がったアギトが、右足からのキックを放ったのだ。

「ハァ!」

ジャガーの胸部にキックが命中し、ジャガーは吹き飛んで行く。

キックの反動で後退し、アギトは地面へと着地する。

彼がゆっくりと後ろを向けると共に、立ち上がったジャガーは苦しみ、

「ウガァァァァァァ!」

最後はその場で爆散したのだった。

男は元の姿に戻り、メモリもその場で砕けたのだ。

そしてバイクの『マシントルネイダー』に跨り、アギトはその場で走り去った。

「お、おい!」

土方は呼び止めようとするが、近藤がそれを制止する。

「行かせてやれ」

「近藤さん!?」

「俺達は彼に助けられた。 ここで呼び止めるのは、流石に無粋だろう」

「……ハァ、分かったよ」

走り去るアギトを見届け、近藤は不敵な笑みを見せたのだった。





 クロコダイル・ドーパントを撃破し、変身を解いた悠。

「………」

一度は沈黙した彼であったが、肩に手を置いたものがいた。

「オメェ、やるじゃねぇか」

「あんな奥の手があるたァ、見直したぜ」

それは銀時とユーリで、二人は不敵な笑みを見せる。

「銀さん…ユーリさん……」

「オメェに、何であんな能力があるかは聞かねぇ」

「別にウチは、そんなもんは気にしねぇからな」

「………」

その優しさに触れ、自然と笑みを見せてしまう。

「(ああ、僕はここにいて良いんだ)」

「ほら、早く行くぜ」

「マイを病院に連れてくぞ」

「はい!」

こうして彼等は、マイを病院へと連れていくのだった。

「というか今の時間って、病院って開いてるか?」

「………」

「流石にこの時間は……」

「え〜……。 背中の傷、深くないですけど、凄い痛いんですよ」

「喋れる元気がありゃ、十分だよ」

「そんなぁ〜」

仮面ライダーアマゾンオメガと仮面ライダーアギト。

AMAZONΩとAGITΩ。

“Ω”を名に持つ二人の戦士。

彼等が対面するのも、遠くないかもしれない……。


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■作者からのメッセージ
 というワケで、アマゾンオメガとアギトの登場でした。

アマゾンオメガの英語表記は『AMAZONOMEGA』だと思うんですが、僕的には『AMAZONΩ』がカッコイイかなと思ってます。

銀時「それ、お前の自己満足だろ」

ユーリ「それを言うなよ」
テキストサイズ:10k

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