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混魂 第六話:喧嘩で刃物を持ち込むな!
作者:亀鳥虎龍   2020/02/04(火) 01:12公開   ID:SITQgi7z/cc
 早朝の午前7時50分、場所は真選組屯所の会議室。

この時間帯は、午前8時に隊士達が会議にを行う筈。

「副長ぉぉぉぉ! 局長が、また女に振られたってホントッスか!?」

「しかもその女賭けた喧嘩で、汚い手を使われたってホントッスか!?」

「女に振られるのは何時もの事だけど、喧嘩に負けるなんてありえねェ!?」

「銀髪の侍って、一体何モンなんですか!?」

騒ぐ隊士達に対し、土方は煙草を吸いながら呟く。

「おい、もうすぐ会議だってのに騒がしいぞ。 第一、近藤さんが負けるワケねぇだろ。 誰だ、そんなデマ吹きこんだ奴は?」

その問いに、隊士達は一斉にジュディスを差す。

「「「「ジュディス姐さんが、沖田隊長から聞いたって言ったんです!!!」」」」

視線を向けられたジュディスは、当然のように答えた。

「私は総悟から、「副長アナタから教えて貰った」って聞いたけど?」

彼女の視線は土方を射抜き、土方はまだ来ていない沖田の顔が横切り、

総悟アイツに話した俺がバカだった」

右手で顔を覆いながら、後悔の表情を隠す。

実は土方は、ベルベットから聞いた近藤の件を、沖田に話してしまったのである。





―喧嘩で刃物を持ち込むな!―





「「「「やっぱりアンタが火種じゃねぇかァァァァァ!!」」」」

「さっきから偉そうに言いやがって!」

「えっ!? じゃあ、あの話しホント!?」

騒ぐ隊士達であったが、まさにその時であった。

「!!?」

土方の背後から、鋭い殺気が感じられたのだ。

「副長、なに余計な事してんのよ?」

「あ…いや…その……」

殺気の正体はベルベットのもので、手には刀が握られている。

「アタシ、言ったわよね? この事は秘密にしてって? 何で総悟に話すのよ?」

「いや…総悟くらいは、話しても良いかなぁ〜なんてな」

冷や汗が流れていく土方であったが、ベルベットの怒りは収まらない。

「真選組局中法度・第18条『機密情報を漏らした者はこれを罰する』。 だからアンタはここで、アタシが粛清するわ」

「オイィィィィ!! ちょっと待てぇぇぇぇぇ!!!」

る気満々の彼女に対し、土方は命の危機を感じた。

だがその時、会議室の扉が開かれ、

「おー。 随分と楽しそうな会議じゃねぇか」

腫れた右頬に、絆創膏を貼った近藤が現れたのだ。

「って、アレ? どうした?」

「………ハァ」

命の危機を脱した土方は、深くため息を吐くのだった。






 午前10時30分の魂郷町の街中。

ベルベットと沖田、そしてジュディスと共にパトロールをしていた土方。

電柱や掲示板には、『銀髪の侍へ、勝負しろ!』と書かれた張り紙を剥がしていく。

「斬る?」

「ああ、斬る」

「まさか、例の侍を?」

「当然だろ」

煙草を一服し、土方はジュディスの問いに答える。

「ウチにもメンツってもんがあるからな。 近藤さんがやられる事は、ウチの看板に泥を塗られる事と同じだ」

「あのね。 私情で喧嘩は売らないでよ」

心配になるベルベットであったが、ジュディスと沖田がこう言ったのだ。

「それなら、銀髪の人を見つければ良いじゃない」

「そうですね。 そうすりゃ、隊士達も納得しやすね」

すると二人は、白髪のホームレス男を連れて来た。

上半身はジャージで下半身はふんどし、顔には瓶底眼鏡をかけていた。

「これなら、上手く誤魔化せるわね」

「ほれ、ちゃんと木刀を持ちなって」

ホームレスに木刀を持たせるが、流石の土方とベルベットもツッコミを入れてしまう。

「爺さん、その木刀でそいつ等の頭をカチ割ってくれ」

「アンタ達、無関係の人を巻き込まない」

「それだけじゃないですぜ」

「こうやって、眼鏡を外せば」

「「ほれ、武蔵」」

「「なに、その無駄なカッコ良さ!?」」

しかしホームレスの眼鏡を取るとイケメンだったので、再びツッコミを入れてしまった。





 ホームレスと別れた4人は、再び街中を歩いていた。

「でも侍はともかく、白髪や銀髪の人なんて結構いるわよね? そこから、近藤局長を倒した人を見つけるなんて難しいわよ?」

ジュディスの言う事はもっともで、沖田も同意するように頷く。

「第一、仮にも近藤さんを負かす奴に、どう勝つつもりですかい?」

「………」

一言も言わない土方であったが、ベルベットが彼の襟に左手を伸ばす。

「危ない!」

「ぐえっ!」

思いっきり襟を引っぱられた土方であったが、同時に木材が落ちて来たのだ。

同時に屋根の上にいた男が、気だらくな声で話してきた。

「おーい、大丈夫か?」

土方を後ろに放り投げたベルベットは、男に向かって怒鳴る。

「ちょっと! 危ないじゃない!」

「ワリー、ワリー。 一応、「危ないぞ」って言ったんだけどな」

「もっと大声で言いなさいよ! 全然聞こえなかったわよ!」

「うるせーな。 人に声の大きさをどーこー言われる筋合いはねぇんだよ」

梯子から降りて来た男は、彼女達の前でヘルメットを外す。

だがその顔を見て、驚きを隠せなかった。

銀髪の天然パーマに死んだ魚のような目、そして気だらくな雰囲気。

万事屋の所長、坂田銀時であった。






「お前は、池田屋の時の!?」

池田屋ホテル以来の再会を果たした土方達。

正確に言うとベルベットは、お通のライブ会場以来の再会である。

「そういえば、お前も銀髪だったな」

「ん?」

土方に気付き、銀時も彼に近付く。

「あれ……もしかして、大串君?」

否、全然気づいていなかった。

「久しぶりだね? 元気してた?」

「銀さん! 早く来て下さい!」

「おーう。 じゃあ、俺忙しいから。 じゃあな、大串君」

銀時はゆっくりと梯子を登り、沖田は土方に声をかける。

「行っちゃいましたぜ。 どうしますか、大串君?」

「誰が大串君だ! あの野郎、人の顔を忘れやがって……」

「それで、どうするの?」

「……アイツには引っ掛かる事がある。 総悟、ちょっと刀貸せ」

沖田から刀を借り、土方は梯子を登るのだった。

「……はぁ、嫌な予感がするわ」

そんな彼に対し、ベルベットが不安を募ったのである。






 とある建物の屋根の上にて、銀時がマイと修理をしていた。

「ちゃんとやって下さいよ。 久々の仕事なんですから」

「分ァってるよ」

「じゃあ、私はあっちの修理しますね」

マイが持ち場へ向かい、銀時も自身の持ち場で作業する。

すると、背後から男の声が聞こえた。

「爆弾処理の次は、屋根の修理か? 酔狂な野郎だぜ」

“爆弾”という単語を聞き、銀時は声の主の正体を思い出す。

池田屋ホテル件で揉み合った、真選組副長の土方だ。

「爆弾!? お前、あん時の!?」

「ようやく思い出したか。 テメーには、聞きてぇ事があったからな。 あんな事が出来る奴ァ、ウチの隊士にはいなかった」

ゆっくりと歩み寄る土方は、近藤の事を聞きだした。

「近藤さんを負かした奴がいると聞いたが、テメェならありえねぇ話しでもねぇ」

「近藤さん?」

「女を取り合うほどの仲なんだろ? そんなに良い女なら、今度紹介してくれや」

「お前、あのストーカーゴリラの知り合いか? 何しに来たんだ――」

投げ渡された刀を受け寄った銀時であったが、まさにその時である。

「っ!?」

土方が斬りかかり、思わず刀で防いだのだ。

しかし反動に耐えられず、後ろへと転がってしまう。

「ゴリラだろうがストーカーだろうが、あの人は真選組オレたちの大事な大将なんだよ。 そして、再び俺にこいつを握らせてくれた、戦友なんだ。 あの人の顔に泥を塗る奴ァ、誰であろうと……ぶった斬る!」

そして土方は、再び銀時へ襲いかかったのである。






 刀を振り下ろした土方であったが、それを避けた銀時は、

「いきなり刀振りまわしてんじゃねぇよ!」

土方の顔に飛び蹴りを放った。

蹴られた土方は、反動で吹き飛びそうになるが、

振るった刀で、銀時の左肩を斬ったのである。

「ぐっ!」

斬られた左肩からは血が流れ、銀時は片膝を着いてしまう。

「今の音!? 銀さん! 何かあったんですか!?」

遠くの持ち場から、マイが大声で叫ぶ。

彼女が身を案じて近付こうとしたため、銀時がすぐに叫んだ。

「来るな、マイ! オメェは警察呼べ、警察を!」

「ククク…俺が警察だよ」

「あ、そうか。 じゃあ、世の末だな」

「違ぇねえ」

ゆっくりと起き上がり、土方は内心で呟く。

「(しかしコイツ、どうも読めねぇ。 近藤さんの時は、汚ぇ手を使ったとは聞いてたが、俺にはそんな素振りはねぇ。 まさか、俺に気を遣ってんのか?)」

首にかけていた手拭いを左肩の血止めに使い、鞘から刀を抜いた銀時。

そんな彼の姿に、土方はニヤリと笑う。

「(ようやく抜いたか…それじゃ、始めようぜ。 楽しい喧嘩をよ!)」

土方は駆け寄り、刀を豪快に振り下ろす。

「オラァァァ!」

一瞬、何かが斬れた感触があった。

「(取った!)」

しかし彼が斬ったのは、銀時が遣っていた手拭いだ。

既に銀時は、背後に回っていた。

「(しまった! 斬られ――)」

刀は振り下ろされ、土方も斬られる覚悟をした。

しかし銀時は、彼の刀を叩き折ったのである。






「はい、終了」

刀をその場で落とすと、銀時は背中を向ける。

「マイ〜、ちょっと病院に行ってくるわ」

ゆっくりと梯子の方へと向かう彼に、土方は呼び止めてしまう。

「待て!」

「ん?」

「何で斬らなかった? 俺に情けでもかけたつもりか?」

「情けだ? そんなもんをかけるくらいなら、ご飯にかけるわ」

「何?」

「お前が真選組を護るために戦ってるように、俺も自分の護るもんを護っただけだ」

「……何を護ったんだよ?」

その問いに対し、銀時はこう言った。

「俺の武士道ルールだ」






 銀時が立ち去る姿を見届ける土方。

その様子を、沖田とジュディスが眺めていた。

「あら、中々やるわね」

「そうですね。 今度は俺が相手になりやしょうか」

すると背後から、近藤が近付いたのである。

「あまり侮るなよ。 アイツはそう簡単にやられる奴じゃない。 勿論トシも、あの程度でヘコむ様な奴じゃないしな」

見られている事も知らず、土方は屋根の上で寝そべった。

「悪ィ、近藤さん。 俺も負けちまったよ」

しかしその顔は、どこか楽しそうであった。

「何が、「俺も負けちまったよ」なのよ?」

「へ?」

だが同時に、彼はあるものを見てしまう。

それは鬼の様な形相をしたベルベットで、手には刀が握られていた。

「あ…あの……ベルベットさん?」

「アタシ、言ったわよね? 私情で喧嘩は売らないでって」

「あ…いや……」

「覚悟は、良いかしら?」

「いや、ちょっと待ってぇぇぇぇぇ!!!」

今にも命の危機が迫る土方の姿に、ベルベットは容赦なく斬りかかる。

「やっぱ、ベルベット姐さんは敵にしたくないですね」

その様子を眺めながら、沖田は必死で笑いを堪えたのだった。

後に土方は、ベルベットから『一週間マヨネーズの使用禁止令』を言い渡されたのである。


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銀時「え、マジで!?」
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