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混魂 第十四話:Aの奇妙な事件簿/暴走車を追え!
作者:亀鳥虎龍   2020/03/03(火) 23:04公開   ID:SITQgi7z/cc
 今から一週間前。

一人の女性が、横断歩道を歩いていた。

しかし、その時である。

「!?」

暴走した車が、女性へと走って来たのだ。

避ける余裕もなく、彼女は車に轢かれてしまう。

車はそのまま走り去り、女性はそのまま意識を失うのだった。






―Aの奇妙な事件簿/暴走車を追え!―






 現在、時刻は21時30分。

この日は暴風雨。

店仕舞いの準備をする翔一であったが、まさにその時だった。

「た、助けてくれぇ!」

「ん?」

一人の男が、車に追いかけられていたのだ。

「うわぁぁぁぁぁ!」

この姿を見て、翔一は助けに向かおうとする。

しかし、その時だった。

車は男の身体を透過したのだ。

「なっ!?」

男は倒れてしまい、車は走り去る。

「し、しっかりして下さい!」

駆けつけた翔一は声をかけるが、男に反応がない。

生死を確認するため、脈に手を添える。

しかし脈は無く、男の死亡が確定されたのだ。

「もしもし、警察ですか!? 人が死んでまして……」

そして翔一は、すぐさま警察に電話したのだった。





 午後22時20分、真選組屯所の取調室。

「え〜と……津上さんだったな。 アンタの話しによると、ホトケさんは車に追いかけられてたんだな」

「はい。 でもその車…男の人を轢いたというべきか………というより、透過したと言うべきか……」

説明が上手気出来ず、翔一は頭を掻くしかなかった。

取り調べをしていた土方も、深くため息をする。

すると、ノックする音が聞こえ、

「トシ、今良いか?」

扉が開くと、近藤が顔を出した。

「近藤さん?」

「司法解剖の結果がでたそうだ。 あと、津上さんは帰して良いぞ」

「おう、分かった。 山崎、車で送ってやれ」

「分かりました」

山崎と翔一が取り調べ室を後にし、近藤と土方はその姿を見送ったのである。





 近藤と土方は、解剖室に入ると、

「お、来たな」

アロハシャツの上から白衣を羽織った男が待っていた。

彼の名は九条くじょう利喜弥リキヤ

魂郷町の大学付属病院に勤める医師で、仕事によっては司法解剖も行う。

「おう、九条先生」

「結果はどうだ?」

「ほい」

利喜弥は診断書を差し出し、土方はそれを受け取る。

「解剖の結果、ウィルスの感染による病死だと分かった」

「「…………え?」」

診断書の内容を目にし、土方と近藤は唖然となった。

「これ、マジか?」

「事実だ。 それと、コレも」

さらに写真を手渡し、近藤がそれを受け取る。

写真には被害者の左上腕部が写っており、腕には炎のような刺青が描かれていた。

「その腕の刺青。 “白い炎ホワイトフレイム”の構成員のだ」

白い炎ホワイトフレイム……巷で名の知れたストリートギャングの名称。

暴走運転や暴力事件ですら、日常的に行っている。

「ホトケさんと犯人の関連性を知りたいんなら、ホワイトフレイムを当たってみな。 んじゃ、俺はコレで」

利喜弥が立ち去ると、近藤と土方は顔を見合わせ、

「トシ、すぐさま被害者の身元を洗い出せ。 明日はホワイトフレイムの所在地に向かうぞ」

「了解」

すぐさま調査を開始したのだった。






 翌朝、ベッドから起きた翔一は、大きな欠伸をする。

「ふぁ〜……」

今日は店の定休日である為、彼はゆっくり過ごす事にした。

新聞を見ると、自身が目撃した事故の事が書かれている。

「あの車…まだ見つかってないのか……。 でも流石に、今日は眠い…」

新聞を仕舞うと、再び寝室へ戻って寝たのだった。






 その頃、真選組はホワイトフレイムの溜まり場となっているバーに来ていた。

店内に入ると、土方は一人の男に声をかける。

「ホワイトフレイムのリーダー、篠田タケオだな?」

「あん?」

オールバックの黒い髪に、如何にもガラの悪そうな男。

彼こそがホワイトフレイムのリーダー、篠田タケオである。

「真選組だ。 ちょいと聞きてぇ事がある」

「ほう、真選組のお巡りさんが、俺に何の用だ?」

「品川ユウジ。 お前んトコの下っ端だったな?」

「ニュースで観たよ。 交通事故だってな?」

「ほう、ニュースを観るくらいの頭はあったみたいだな」

「そんで? 何しに来たんだ」

篠田が問うと、土方は鋭い眼光で睨む。

「品川の遺体を調べた結果、ウィルスの感染による病死だった」

「病死?」

「目撃証言だと、品川は相手の車と接触した際に感染した。 犯人は、ガイアメモリの所有者――つまり『ドーパント』に変身できる可能性がある」

「何だよ、そこまで分かってたのかよ? でもよ、何で俺を訪ねてきた?」

「なら、単刀直入に聞くぜ? お前、なにをしでかした?」

土方が問うと、篠田はとぼけた口調になる。

「何の事だよ?」

「とぼけんな。 下っ端とはいえ、ホワイトフレイムの関係者を狙うなんざ、一般の人間でも出来やしねぇ。 つまり、犯人を文字通りの『化物』に変えるほど、お前はその怒りを買った事になる」

『鬼の副長』の威圧が、店内の客を恐怖させた。

だがその時、構成員の一人・狗飼ケンジが叫んだ。

「ま、まさか篠田さん!? 一週間前のあのが!?」

「喋るな!」

「っ!」

しかし篠田が怒鳴った為、狗飼は声を紡いだのである。

「どうやら、心当たりありみてェだな」

「ウルセェ!」

店を飛び出した篠田であったが、土方は部下に「追え!」と命じた。






 午前10時25分、真選組屯所の取調室。

土方は現在、狗飼の取り調べを行っていた。

彼の背後には、沖田とジュディスが立っている。

「お前等……一体何しでかした?」

この問いに対し、狗飼は震えながら答えた。

「一週間前……いつもの様に、車を爆走させてたんです。 そん時…信号が赤で、女が横断歩道を渡ってたんです」

「……で、その女をどうした?」

「撥ねました。 車を運転してたのが篠田さんで、助手席に俺が座ってました」

「成程な。 事故の被害者が復讐してきたって事か……。 確かに、お前等を襲う理由も頷ける」

すると扉が開き、ベルベットが入って来たのだ。

「副長、ちょっと良い?」

「ああ。 総悟、ジュディス。 アイツの取り調べを頼むわ」

「へい」

「了解」

取り調べを沖田とジュディスに任せ、彼はその場を後にしたのである。






 取調室を出て、土方は視線をベルベットに向ける。

「何か分かったか?」

「ええ。 連中がやらかしたっていう、一週間前の事故だけど。 これ、捜査資料」

「おう」

資料の入った封筒を受け取り、土方はその中身を見る。

今から一週間前、某企業に勤めるOL『近衛マキ(25歳)』が、相手の信号無視による交通事故に遭う。

病院に運ばれるも、意識不明の状態である。

「この被害者の女性、結婚を控えてたらしいわ。 今からアタシ、婚約者の家に行って来る」

「そうか。 このガイシャ、家族はいたのか?」

「両親を亡くしてるけど、確か大学生の弟がいるそうよ」

「よし、俺はそっちを当たる。 何かあったら連絡してくれ」

「分かったわ」

ベルベットはすぐに行動を開始すると、沖田が取調室から出て来る。

「土方さん。 とりあえずコイツ、どうしやすか?」

親指で狗飼を指すと、土方は煙草を一服しながら呟く。

「道路交通法違反及び、殺人未遂の容疑で逮捕しとけ」

「了解」

こうして土方は、すぐさま調査に向かったのである。






 午前11時15分、魂郷町のとあるマンション。

ベルベットはマキの婚約者、月澤タカシに接触していた。

「真選組の刑事さんが、どうしてウチに?」

「一週間前の事故で重傷を負った、近衛マキさんの事を窺いたくて」

「マキの事ですか?」

「ええ。 何でもいいので、話してくれますか?」

マキの事を問われ、タカシは思っている事を話す。

「彼女は、とても素敵な女性でした。 僕の本業は大学の美術教師で、僕の描く絵が「好き」だと言ってくれましてね。 結婚も控えていた時に、あの事故で……」

「念の為聞くけど、一週間前の事故があった日はどちらに?」

「確か、友人の泊っているホテルに行きました。 フロントの方に聞けば分かります」

「じゃあ、昨日の午後21時半頃は、どちらに行きました?」

「昨日は、午後20時半に友人とレストランで食事をして、21時半に車で友人を家に送ってから家に帰りました」

「成程ね」

メモを取るベルベットに、タカシは首を傾げてしまう。

「あの、何故そんな質問を?」

この問いに対し、ベルベットも言葉を選んで答える。

「マキさんを轢いた犯人が、何者かに殺害されたの」

「なっ!?」

「彼女を轢いた犯人は、運転手とその同乗者。 それで警察は、一週間前の被害者――マキさんの関係者に疑念をかけているの。 でも、アナタには犯行が不可能だと言う事が分かったわ」

「そ、そうですか…。 だとすれば……」

「どうしたの?」

「いえ、ただ……カケルくんならやりかねないと思って…」

「確か、マキさんの弟さんよね?」

「はい。 僕等の結婚を、誰よりも喜んでいましたから」

「ありがとう。 協力、感謝するわ!」

マンションを後にしたベルベットは、すぐさま土方に連絡をするのだった。






 同時刻、魂郷町のとある大学。

「休校?」

「はい。 昨日から学校に来られていません」

土方は学校の関係者に追い合わせると、カケルは休校になっていた。

「くそっ。 自宅を訪ねるしか……」

すると携帯電話が鳴り、すぐさま電話に出る。

「もしもし」

『副長、ベルベットだけど。 マキさんの婚約者なんだけど』

「どうだった」

『午後20時半に友人とレストランで食事をして、21時半に車で友人を家に送ってから家に帰ったそうよ』

「犯行は不可能か……だとすれば」

『どうしたの?』

「近衛マキの弟だ。 今日は大学に来ていない」

『えっ!?』

「すぐに篠田を探せ。 恐らく弟がクロだ」

『………そのようね』

「ん? どうした?」

『いえ、なにも』

ベルベットは電話を切り、土方は首を傾げてしまう。

「何だ一体?」

すると、再び携帯電話が鳴り始める。

電話に出ると、山崎の声が聞こえた。

『副長ですか!? こちら山崎です!』

「どうした?」

『篠田を見つけました。 今、36番地の廃工場にいます』

「よし、分かった。 俺もすぐに行くぞ」

『分かりました――ってわぁぁぁぁ!?』

「っ!? どうした、山崎!? くそ!」

山崎の叫びが聞こえ、土方はすぐに電話を切ったのだ。






 その頃、AGITΩの方では、

「っ!?」

何かの気配を察知し、すぐさまベッドから起き上がる。

そして外のガレージへ向かい、バイクへと跨った。

アクセルを噴かせ、彼はその場から走り出し、

「変身!」

同時に仮面ライダーアギトへと変身したのである。






 場所は替わり、廃工場の方では、

「うわぁぁぁぁ!」

篠田が、一台の乗用車に追われていた。

その運転席には、一人の青年が乗っている。

ひき逃げ事故の被害者・近衛マキの弟、近衛カケルであった。

「姉さん、もうすぐだ……」

恨みと憎しみ、そして復讐心が暴走。

その結果、彼はメモリの能力で病死させるドーパントと化す。

「クソが! 来るんじゃねぇ!」

逃げ惑う篠田であったが、まさにその時であった。

壁を突き破り、彼を護るように、

「あ、アレは!?」

仮面ライダーアギトが、颯爽と駆けつけたのだ。





「……逃げて下さい」

「っ!」

アギトに促され、篠田はすぐさま逃げ出す。

「何故邪魔をする! そいつは俺の姉さんを!」

カケルは叫ぶが、アギトはこう言った。

「例え悪人でも、一人の命に変わりはない。 それに、今のキミを見て、本当にお姉さんが喜ぶのか?」

「……まずはお前からだ!」

カケルの車が突進し、アギトもマシントルネイダーを走らせたが、

「はっ!」

アギトが跳び上がった瞬間、トルネイダーがスライディングボードの状態に変わる。

走行形態であるバイクの『ビークルモード』から、飛行形態の『スライダーモード』に変形したのだ。

互いに正面から走り出し、アギトは横にすれ違う際、

「ハァ!」

トルネイダーによる体当たりで、車を転倒させたのだ。





 倒れた車のドアを引き剥がし、中にいたカケルを引きずりだす。

「や、やった!」

驚きながらも、アギトの勝利に喜ぶ山崎。

しかしそ、の時であった。

ガシャン!と、車がひとりでに起き上がったのだ。

「っ!?」

アギトは即座にカケルを抱えて跳び上がり、山崎の方へと到着する。

「彼を頼みます」

「え!? あ、はい」

車は運転手無しで走り出し、外へと逃げた篠田を追いかける。

バイクの形態に戻ったトルネイダーに跨り、アギトもその後を追った。






 運転手無しで動き出す車であったが、アギトが先回りして前に立つ。

アギトはオルタリングの右腰を押した瞬間、姿が変化したのだ。

胸部は金色から赤に変わり、右腕の全体が赤い籠手に覆われる。

そしてベルトの中央部から、一本の刀を取りだしたのだ。

実はアギトには、相手に応じた姿に変わる『フォームチェンジ』と呼ばれる能力を持つ。

普段は『超越肉体の金』と呼ばれる基本形態『グランドフォーム』による、徒手空拳を中心とした肉弾戦を行う。

そして今は、『超越感覚の赤』と呼ばれる剛力形態『フレイムフォーム』に変身したのだ。

鍔の角部分が展開し、アギトはゆっくりと構えを取る。

車が猛スピードで走り出し、正面から向かっていく。

そして次の瞬間、アギトも動いたのだ。

「ハァァ!」

手に握っていた刀『フレイムセイバー』を振り下ろし、すれ違い様に車を真っ二つに切り裂く。

二つに裂かれた車は倒れ、その場で炎上したのだった。






 炎上した車を見つめながら、アギトはグランドフォームの姿に戻った。

フレイムフォームは本来、炎の力と剣術による接近戦を得意とする形態。

しかしスピードだけは、グランドフォームの時より落ちてしまう。

その代償と引き換えに、高い聴覚と視覚で相手の動きや位置を察知する能力を持っている。

よってこの能力で、必殺技の『セイバースラッシュ』を放つ姿は、まさに一刀両断なのだ。

「や、やったのか?」

山崎もカケルに肩を掛けながら、その光景を眺めていたが、

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

「えっ!?」

「っ!」

突然の悲鳴に彼は反応し、アギトも悲鳴のした方角へ顔を向ける。

「た、助けてくれぇぇぇぇ!」

「シュルルルル……」

そこには一体のドーパントと、首を掴まれている篠田の姿があった。


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■作者からのメッセージ
 今回は翔一=アギトが主役のエピソードです。

元ネタは『仮面ライダーW』の第11話で、後編は第12話をベースに書く予定です。
テキストサイズ:10k

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