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混魂 第十五話:Aの奇妙な事件簿/悲しき復讐者
作者:亀鳥虎龍   2020/03/10(火) 23:41公開   ID:SITQgi7z/cc
 前回のあらすじ。

津上翔一の目の前で死んだ男は、ストリートギャングの構成員だった。

ギャングの構成員が被害者になった事で、真選組が捜査を開始。

そして構成員の一人から、ある情報を入手する。

彼等は一週間前、リーダーの篠田が運転する車でひき逃げ事故を起こしていた。

犯人は事故の被害者関係者による復讐であると断定。

被害者の弟・近衛カケルが復讐を行うが、駆けつけた仮面ライダーアギトがそれを阻止する。

しかし篠田の首を、一体のドーパントが掴んでいたのだ。






―Aの奇妙な事件簿/悲しき復讐者―






「助けてくれぇぇぇぇ!」

篠田が叫び、アギトはすぐさま彼を助けようとする。

だがそれよりも速く、ドーパントの管が突き刺さった。

「うあぁぁぁぁ!」

首に管を刺された篠田は、その場で力尽きてしまう。

「っ!?」

投げ飛ばされた彼を、アギトはすぐさま受け止める。

身体には斑点のような模様、脈すらもない。

完全に命を落としたのだ。

ドーパントの方へと顔を向け、アギトはゆっくりと構える。

「あれが……この事件の犯人…」

「シャァァァァ!」

このドーパントこそ、一連のストリートギャング殺人事件の犯人。

『ウィルスの記憶』を宿す、『バイラス・ドーパント』だったのだ。






 後ろを向き、何処かへと去ろうとするバイラス。

「待て!」

しかしアギトが背後から、その動きを取り押さえようとする。

「グギィィィ!」

「逃がさない!」

だがバイラスは、先程の管を刺そうとし、

「っ!」

アギトは紙一重で回避したが、同時に拘束を解いてしまった。

「しまった!」

気付いた時には遅く、バイラスは既に姿を消している。

「……な、何だったんだ?」

山崎は呟くが、アギトはトルネイダーに跨り、

「あ、あの――」

そのまま走り去ったのであった。






 パトカーが駆けつけ、真選組が件場検証を行っていた。

「そうか…彼が駆けつけたのか」

「ええ」

山崎の説明を受けた近藤は、「う〜ん」という顔になる。

「しかし、仮面ライダーまでもが関わるとは、コイツは厄介な事件だぞ」

「仮面ライダー?」

聞き覚えない言葉に、土方は首を傾けた。

「彼の呼び名だよ。 流石に、“謎の戦士”という名は呼びにくいだろ?」

「確かにそうだけどよ。 何で“仮面ライダー”だなんよ?」

「仮面で素顔を隠し、バイクに乗って駆けつけ、平和を乱す悪に立ち向かうヒーロー――という意味を込めて、仮面ライダーって名付けた」

「まあ、アンタがそれでいいなら…」

内心で呆れながらも、局長の考えに任せた土方。

「とにかく、仮面ライダーが現れたとなれば、今回の犯人ドーパントは非常に危険だという事だ」

「それで、アンタから見た状況は?」

「近衛カケルはドーパントではなかった。 被害者家族の線が消えた事になる」

「という事は、関係者か……」

深く考えるが、ベルベットがこんな事を言ったのだ。

「婚約者の月澤タカシは?」

「それだ。 よし、彼をマークするんだ」






 バイラスを逃がしてしまった翔一は、コンビニで買ったおにぎりを口に運ぶ。

自販機で買ったお茶を飲み、お腹を満たしたが、

「っ!?」

気配を察知し、すぐさまバイクで走り出す。

「変身!」

そして再び、仮面ライダーアギトへと変身したのだった。









 タカシがアトリエに使用している別荘。

そこで彼は、女子生徒に個人指導をしていた。

微笑ましい光景であったが、まさにその時だ。

「シャァァァァ!」

「うわぁぁぁぁ!」

「キャァァァァ!」

二人の元に、バイラスが襲いかかって来たのである。

「ハッ!」

しかし乱入してきたアギトによって、その行く手は阻まれた。






「ここだな」

別荘に付いた土方とジュディス。

「開けるぞ」

「ええ」

ドアを開けようとしたが、まさにその時である。

「うわぁぁぁぁぁ!」

「いやぁぁぁぁぁ!」

「「!?」」

タカシが女子生徒と共に、外へと跳び出したのだ。

「なん――」

驚く二人であったが、今度はアギトが飛び出してきた。

「仮面ライダー!?」

「くっ!」

アギトが視線を向ける先には、バイラスが歩み出る。

「ドーパント!?」

しかしバイラスはその場から逃げ去り、アギトはトルネイダーに乗って追いかけた。

「ど、どう言う事だ!?」

てっきりタカシがバイラスだと考えていたが、その予想は外れたのである。







 真選組屯所の会議室。

局長の近藤を始め、隊士達は頭を抱えていた。

月澤タカシ=バイラス説が、見事に砕けたからだ。

「くそ、どう言う事だ」

「他に犯人に該当するのは……」

誰もが頭を抱えるが、ベルベットだけは非常に落ち着いていた。

正確には、誰よりも深く考えていたのだ。

「(近衛カケルは犯人じゃなかった。 そして月澤さんも犯人じゃない……。 でも、必ずいるハズ。 近衛マキさんと接点があり、ホワイトフレイムを殺したい程憎んでいる……)」

「よし、分かった!」

「あん?」

何かを思いついたのか、近藤はこんな事を言った。

「犯人は轢き逃げされた本人・近衛マキだ!」

「は?」

それを聞いた土方は、「ふざけてんのか?」という顔になってしまう。

「恐らくマキさんは、あの事故の所為で、自分を轢き逃げしたアイツ等に復讐しようと、幽体離脱をしたのだ」

「あのな〜…。 そんなメチャクチャな推理で……」

土方を始め、隊士の誰もが「流石にそれは無理がある」と考えた。

だが同時に、ベルベットが立ち上がる。

「局長……今、何て言ったの?」

「へ?」

「……だから…何て言ったのかって聞いているの?」

明らかにヤバイ雰囲気になってしまい、近藤が苦笑しながら答えた。

「え、だから……轢き逃げされた本人が、復讐しようとしてると…」

その瞬間、ベルベットは会議室をでたのだ。

「え〜と、どうしたの?」

「近藤さんが変な推理するから、ベルベット姐さんがキレちまったんじゃないでしょうか?」

「確かに…。 あの人、ああ見えて真面目だからな」

「流石に幽霊の所為にしようとした局長に、怒りが募ったんじゃないか?」

土方や沖田を始め、隊士達が思わず呟いてしまう。

「………マジで!?」

これには近藤も、「真面目に考えれば良かった」と後悔したのであった。






 会議室を出たベルベットは、携帯電話を手に取ると、

「あ、すみません。 魂郷大学付属病院の方でしょうか? 私、真選組のベルベット・クラウと言います」

『はい、何でしょう?』

「実は、一週間前の事故で入院している近衛マキさんの担当医をされた方にお話しをしたいのですが……。 今は病院に?」

『少々お待ち下さい。 え〜とですね…近衛マキさんの担当医は……九条利喜弥先生ですね。 今日は出勤されていますが、お呼びしましょうか?』

「お願いします」

『あ、丁度おられました。 先生、真選組の方からお電話です』

『はい。 お電話替わりました、九条です』

「あっ、九条先生。 頼みがあるんだけど」

『頼み?』

「近衛マキさんの事なんだけど」

『近衛さん? 彼女がどうした?』

「彼女の身体の事で、調べて欲しいんだけど」

『ん?』

ベルベットが何かを伝えると、利喜弥は少し黙った後、

『…分かった。 ちょいと調べてみる』

「ありがとう。 アタシもすぐにそっちに向かうわ」

電話を切ったベルベットだったが、背後からジュディスが声をかける。

「私も手を貸すわ。 何をすれば良い?」

「じゃあ、月澤タカシの周辺をお願い。 彼がドーパントに襲われた理由を知りたいから」

「了解」

こうして二人は、すぐに行動を開始した。






 場所は変わり、魂郷大学付属病院。

魂郷町に存在する大きな病院で、九条利喜弥の勤め先である。

「すみません、真選組の者です。 九条先生をお呼び出来ないでしょうか?」

ベルベットが受付嬢に問わせるが、捜し人は自ら現れた。

「丁度良かった。 そっちに向かおうと思ったんだ」

「先生! どうだった、頼んでたやつ!?」

利喜弥のもとへ駆け寄ると、彼は調査報告を伝える。

「アンタに頼まれた、『近衛さんの身体にコネクタのような痣がなかったか』ってやつだろ?」

「ええ。 それで、結果は?」

「大当たり。 右腕の前腕部にあったよ」

「……やっぱり。 彼女がドーパント」

「しっかし、昏睡状態の人間が、どうやってドーパントになるってんだ?」

頭を掻く利喜弥とは逆で、ベルベットは再び考えていた。

「(この事件の犯人ドーパントがマキさんなら、彼女が婚約者を狙う理由は?)」

すると、彼女の携帯電話が鳴り始め、

「ゴメン、助かったわ」

すぐさま病院の外へと出たのである。






 ベルベットが病院に行っていた同時刻。

「月澤タカシの事?」

「ええ、何でも良いの。 彼に恨みを持つような人間はいないかしら?」

ジュディスは知り合いの探偵、城戸満にタカシの情報を聞きだしていた。

「まあ、答えても良いけど」

そう言うと満は、タカシに関する情報を教えたのである。

「彼、“超”が付くほどの女たらしだよ」

「女たらし?」

「ええ。 気に入った女性を見つけては、その子にお金を貢がせてるって話し。 彼の被害に遭った子が、ウチに身辺調査をいらしたから、まず間違いないわ」

「はぁ、女の敵って事ね」

「しかも相手次第じゃ、結婚詐欺までやってるそうよ」

「っ!?」

タカシの本性を知り、ジュディスは事務所を後にした。

「ありがとう、助かったわ」

外に出ると共に、彼女はベルベットへと電話をしたのである。






 その頃、月澤タカシは……、

「ほら、此処だよ」

「うわぁ、素敵」

詐欺のターゲットに選んだ女性に、結婚後の新居を見せていた。

勿論本人には、結婚するつもりはない。

この女性から、結婚費用を奪う為だ。

内心で女性を嘲笑っているが、その時だった。

「シャァァァァ!」

窓からバイラスが、奇襲してきたのだ。

「うわぁぁぁぁぁ!」

「キャァァァァァ!」

タカシと女性がは驚愕するが、タカシは女性を置いて逃げる。

「ちょっ、ちょっと!」

涙目の女性であったが、バイラスは彼女をスルーして行った。






「っ!?」

バイラスの気配を察知し、翔一はバイクへと跨る。

「変身!」

すぐさま走り出し、彼は仮面ライダーアギトへと変身した。

トルネイダーを走らせ、気配の察知した方角へと向かう。

果たして、間に合うのか!?





 その頃、ベルベットは街中を走っていた。

「(全ては……月澤が……あの男が原因だった!)」

ジュディスからの電話で彼女は、タカシが結婚詐欺師の女たらしだと知ったのである。

それによって、全てのピースが揃ったのだ。

マキはタカシと付き合い、結婚も間近に控えていた。

しかしとあるホテルで、雨宿りをしていた時だ。

偶然タカシを目撃したが、そこである光景を目にした。

それは彼が、他の女性に指輪を見せている姿が見えたのだ。

ここでマキは、タカシの本性を知ったのである。

騙されたショックと、彼への恨みが心の中で募っていたが、

――近衛マキさんですね?

スーツの男が、ガイアメモリを売って来たのだ。

メモリを購入した彼女であったが、弟と人生をやり直そうとも考えた。

しかしそこに、ホワイトフレイムの暴走車が走り出し、

《バイラス》

咄嗟にマキは、バイラスメモリを使ったのだ。

マキは轢き逃げに遭うが、彼女の肉体からバイラスが出現する。

精神のみがドーパントと化し、肉体から離れたのだ。

この事故の一週間後、今回の事件が起こったのである。

まず彼女は、自分を轢いたホワイトフレイムへの復讐。

そして今、自分を騙したタカシへの復讐を行っているのだ。

「お願い……間に合って!」

すると横を走るパトカーの窓から、土方が顔を見せた。

「副長!?」

「乗れ。 話しはジュディスから聞いた」






 場所は変わり、とある広場。

「ハァ…ハァ……」

女性を置き去りにし、タカシは息を切らす。

「…見つけた」

「っ!?」

前方から声が聞こえ、顔を向けてしまう。

そこには、マキの姿があった。

「マキ…?」

「裏切り者」

彼女はバイラスへと変貌し、タカシが腰を抜かしたのだ。

「うわぁぁぁぁぁ!」

絶叫するタカシであったが、まさにその時だった。

アギトが駆けつけ、トルネイダーで体当たりをしたのだ。

バイラスは大きく吹き飛び、アギトはゆっくりと降りる。

遂に、バイラスとの決着が始まったのだった。






 襲いかかるバイラスに、アギトは拳を打ち込む。

「もう、止めてください。 そんな事しても、貴女自身の為にならない」

「煩い…煩い煩い煩い煩い!」

説得を試みたが、バイラスの耳には届かない。

今の彼女には、復讐だけが全てになっていた。

「……説得はもう…無意味か」

拳を強く握り締め、アギトは決意を固める。

オルタリングの右腰を押し、フレイムフォームへとチェンジした。

フレイムセイバーを手に取り、バイラスへと駆けだす。

「フン! ハッ!」

刃を振り下ろし、更に横薙ぎを放つ。

「ぐっ!」

怯んだバイラスに対し、アギトは必殺技を発動した。

鍔の角が展開し、刃に炎が纏う。

「ハァっ!」

下から斬り上げ、最後に薙ぎ払った。

同時にアギトは背後を向け、バイラスの身体が爆散。

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」

マキの精神は消滅し、肉体から排出されたメモリは砕けたのだった。





 バイラスを倒したアギトは、その場を立ち去り、

「ハ……ハハハハハ! ザマァみろ、化物! 消えてせいせいしたぜ!」

タカシは自分を棚上げしながら叫ぶ。

「じゃあ、アンタは牢獄のホテルに来なさい」

「へっ?」

背後からの声に、彼は顔を向ける。

そこにはベルベットや、真選組の面々が立っていたのだ。

「月澤タカシ。 結婚詐欺の容疑で、逮捕する」

「アンタの被害に遭った女性達の証言も取れてるわ」

「言っときますが、言い訳は聞きませんぜ」

こうしてタカシは、お縄についたのだった。





 その後日、『CAFE AGITΩ』では、

「すみませ〜ん! パンケーキ下さい」

「私はサンドウィッチ」

「かしこまりました」

元の平和な日々に戻り、何時も様に仕事をする翔一の姿があった。

世の中には、『善』と『悪』の区別が分からない事がある。

バイラス・ドーパント=近衛マキの起こした事件は、決して許されない事だ。

しかし彼女もまた、被害者の一人である事を忘れないで欲しい。


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■作者からのメッセージ
 次回は、万事屋に新メンバーが加わる予定です。

銀時「またかよ!?」
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