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混魂 第十七話:花見で飲む酒は格別
作者:亀鳥虎龍   2020/03/18(水) 23:20公開   ID:SITQgi7z/cc
 四月も終盤に差し掛かり、誰もが花見を楽しんでいた。

「はーい、お弁当ですよ」

桜の花びらが散る中、お妙は弁当箱を差し出す。

彼女のほかにも、万事屋メンバーや新八、カロルに神楽もいる。

「いや〜、悪いな。 姉弟水入らずにお邪魔しちまって」

「良いのよ。 それに、私と新ちゃんだけでお花見なんてつまらないわ。 父上が健全の頃は、良く家族みんなでハジけたものだわ。 さあ、遠慮せずに召し上がって」

「そんじゃ、遠慮なく」

そ言って銀時は、弁当箱を開けたのだった。





―花見で飲む酒は格別―





「…………」

弁当箱を開けた銀時であったが、中身を見た途端に黙った。

これは彼だけでなく、ユーリやマイ達も黙る。

何故なら、弁当箱の中身は暗黒物質ダークマターだったからだ。

「あの、コレは何ですか?」

「ごめんなさい。 私、玉子焼きしか作れないの」

銀時が問うと、お妙は玉子焼きだと言い張る。

「いやいや違うだろ? これは玉子焼きじゃなくて、可哀相な玉子だろ――」

「いいから男は、黙って食えや!」

「もごっ!」

それを否定した銀時だが、お妙によって強引に口に入れられた。

「これを食べなきゃ死ぬんだ。 コレを食べなきゃ死ぬんだ……」

「やめなって、神楽ちゃん! 暗示かけなくて食べんでも! 僕みたいに目ぇ悪くなるよ!」

神楽も玉子焼きを暗示を掛けながら食べるも、新八が必死で止める。

「悠さんもユーリさんも、無理して食べなくても良いですからね」

「う、うん。 気を付けるよ」

「いや、誰も食べねぇよ。 つーか、あんなの喜んで食う奴なんざ――」

忠告され、ユーリは「誰が食べるんだよ?」という顔で周りを見渡すが、

「美味しぃぃぃぃぃ!」

「……此処に居やがったぞ」

「えぇぇぇぇぇぇ! ウソォォォォォ!?」

マイが美味しそうな顔で食べていたので、流石の新八も驚いてしまう。

彼の視点から見れば、姉の手料理(という名の暗黒物質ダークマター)を美味しく食べる人間はいないと思ったからだ。

「あ、食べないなら、貰って良い?」

「いや、コレは俺が食べるから、このタッパーに入れてくれ」

皆が食べない分を貰おうとしたマイだが、近藤がタッパーを持った手を伸ばしていた。






「なに、レギュラーみたいな顔して出てきてんだ、このゴリラァァァァ! どっから湧いて出た!!」

「グハァ!」

近藤の存在に激怒し、お妙は彼に鉄拳をお見舞いした。

更に馬乗りし、何度も殴る続ける。

この光景に、銀時は新八に話しかけた。

「おいおい、まだストーカー被害が続いてたのかよ? 警察に相談したら?」

「いや、あの人が警察みたいですから」

「余の末だな」

「悪かったな」

「ん?」

すると、背後から声をかけられ、思わず振り向く。

そこには土方を筆頭に、真選組の隊士達が立っていた。

「おいおい、何処の団体ですか? キノコ狩りですか?」

「そこをどけ。 そこは真選組が、花見をする為の特等席だ」

「なに勝手な事言ってんだ? チンピラ警察24時かテメェ等。 だいたい、場所なんざ何処でも同じだろ」

土方に退くように言われ、銀時は当然のように言い返す。

これに対し、土方はこう返した。

「違ぇよ。 ここの桜を見ながら飲む酒は格別なんだよ。 なあ、皆」

隊士達にも意見を求めるが、彼等の返答はこうである。

「いや、俺は酒が飲めれば何処でもいいですよ」

「場所なんて、どこでもいいですよ」

「酒の為なら、アスファルトに咲く花にもなれますぜ」

他の隊士や沖田から、「酒が飲めればどうでもいい」と言われ、

「ウルセェ! 俺だって何処でもいいんだ! けどな、コイツの為に、場所変更すんのが気にくわねェ!」

土方自身も、人を馬鹿にした顔で寝転がる銀時を睨みながら叫ぶ。

「だいたい、山崎は何処行った!? アイツに場所取らせに行かせたろ!」

場所の確保に行かせた山崎に、土方は怒りを露わにしたが、

「ミントンやってますぜ」

「フン! フン!」

沖田が指をさした方角に顔を向けると、バトミントンラケットで素振りをする山崎がいた。

「山崎ぃぃぃぃぃぃぃ!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

土方は怒りを爆発し、山崎は容赦ない鉄拳制裁を喰らう。






 土方が山崎を制裁している中、お妙にボコられた近藤が立ち上がる。

「とにかく、今日は折角の花見日和だ。 悪いが、この場所を去って貰おう。 お妙さんを残してな」

「いや、お妙さんごと消えて貰おうか」

「いや、お妙さんはダメだってば」

制裁を終えた土方が戻るが、銀時はその横暴さに怒りを感じた。

「ふざけた事言ってんじゃねぇよ。 俺達を退かしてぇんなら、ブルドーザーでももってこいよ!」

「ハー○ンダッツ、12ダースもってこいよ」

「フライドチキンの皮もってこいよ」

銀時に続き、お妙と神楽もやる気満々だ。

「案外お前等、簡単に動くんだな」

「少しは落ちつけよ」

そんな彼等に、新八とユーリはジト目でツッコむ。

「面白ぇ、今年は血を見る事になるようだな」

「待ちなせぇ」

「ん?」

刀を構える土方だったが、ここで沖田が制止の声をかけ、

「堅気の皆さんがいるってぇのに、チャンバラたぁ良くねぇぜ。 ここは花見らしい方法で、決着つけましょうや」

頭にはヘルメット、手にはピコピコハンマー持った状態で叫んだ。

「第1回! 陣地争奪、叩いて被ってジャンケンポンたいか〜い!」

「「「花見関係ねぇじゃん!」」」

しかし完全に花見に関係ない勝負だったので、全員にツッコミを入れられた。

なにはともあれ、万事屋と真選組の勝負が始まったのである。






 万事屋vs真選組による、叩いて被ってジャンケンポン対決。

ルールは簡単で、各チームから3人による1vs1の勝負を行う。

先に3戦中、2勝以上を勝ち取ったチームの勝ちである。

「審査員は平等に、両陣からマイ=ナツメさんと俺、山崎退が務めさせていただきます」

勝負の説明する山崎は、勝利後の事を説明した。

「なお、勝ったチームには、此処に花見をする権利プラスお妙さんが手に入ります」

「なんですか、その勝手なルール!? アナタ達山賊!? それじゃ、私達が勝っても得がないですよ!?」

マイのツッコミに対し、山崎はソーセージを見せる。

「じゃあ、キミ達には、この『真選組ソーセージ』だ。 屯所の冷蔵庫に入っていた」

「要するにただのソーセージじゃねぇか、いるか!」

勿論、ソーセージを特典にされ、今度は新八がにツッコミを入れたが、

「ソーセージだってよ、気合い入れようぜ!」

「おう!」

「バカか! お前等バカか!」

何故かやる気を見せた銀時と神楽に、新八が再びツッコミを入れたのだった。






 遂に始まった、叩いて被ってジャンケンポン対決。

第1戦目は、近藤勲vs志村妙。

「あ、姉上。 無茶しないでください。 何なら、僕が行きますよ?」

「ダメ、私じゃないとダメなの」 

姉を気遣う新八であったが、お妙は冷淡に言ったのだ。

「あの人、本当にしつこいのよ。 何度も何度も潰しても、復活してくる。 私、もう疲れちゃった。 …………全て終わらせてあげるわ」

不敵な笑みを見せたお妙であったが、その目を見た新八は察した。

「(マズイ、あの目は……る気だ!)」

「それでは、叩いて被って……」

「ジャン!」

「ケン!」

「「ポン!」」

しかし勝負は始まり、ジャンケンは近藤が勝つ。

「おっと、セーフ!」

近藤はすぐさまヘルメットを取ったが、ここで新八が叫んだ。

「セーフじゃない! 、近藤さん!」

「へ?」

思わず見上げた近藤は、とんでもないものを目にする。

そこには、何かの呪詛を唱えているお妙が、ピコハンを持った手を大きく上げていた。

「あ、あの…お妙さん!? もう、ヘルメット被ってるから――」

「おらぁぁぁぁぁぁぁ!」

近藤の叫びも虚しく、ハンマーは容赦なく振り下ろされる。

ドゴーン!という轟音と共に、近藤は再起不能となってしまった。

ピコピコハンマーを使ったとは思えない一撃だった為か、ヘルメットはクレーターが出来るほど凹んだ。

コレを見た誰もが、内心で呟いた。

ルール、関係ねぇじゃん――と。






「局長ォォォォォ!」

「テメェ! 何すんだ、クソアマぁ!」

近藤の心配をする中、隊士の一人がお妙を怒鳴るが、

「あん? やんのかコラァ?」

「「「すいませんでしたぁぁぁぁぁ!」」」

お妙に睨まれ、全員が土下座した。

「新八君、キミも大変だね」

「もう、慣れましたよ」

この光景にマイは、新八に労いの言葉を掛ける。

同時に新八も、何処か遠い目をした。

「え〜、局長が戦闘不能になったので、この勝負は無効試合とさせていただきます。 2戦目の人は、最低限のルールを守って――」

気を取り直し、山崎は2戦目の準備を促そうとしたが、

「うおぉぉぉぉぉ!」

「「えっ?」」

「もう、とっくに始まってんぞ!?」

「速ェ! もの凄く速ェ!!」

既にユーリvs沖田の勝負が始まっていたのだ。






 高速でジャンケンを行い、ヘルメットとハンマーを高速で手に取っている。

常人の目では、簡単にはついていけない。

この光景に観客も、その場で大興奮となる。

「あまりの速さに、二人ともメットとハンマーを持ってるように見えるぞ!?」

沖田と互角の勝負が出来るユーリに、土方はここから評価した。

「ほう、総悟と互角渡り合えたァ、何もんだあのロン毛? アイツは頭は身体が、剣の腕は真選組最強と謳われる男だぞ?」

「互角だァ? ウチのユーリが負けるとでも思ってんの? アイツは剣の腕なら、俺に匹敵するほどの実力なんだぜぇ? 凄いんだぜぇ?」

そんな彼に、銀時がユーリの実力を教える。

「んだと? だったら、ウチの総悟はなぁ」

「だったらウチのユーリはなぁ」

遂にヒートアップし、子供でもやらないようなダサい口喧嘩を始めた二人。

「おい、ダサいから止めろ! 「俺の父ちゃん、パイロットだ」って言ってる子供並みにダサいよ!」

これには新八もツッコミを入れたが、二人は酒を飲み始めた。

「って、何で飲んでるんですかアンタ等!?」

「んあ? 勝負はとっくに始まってんだよ。 次、テキーラ!」

「上等だ!」

「……もう、勝手に飲み比べ始めてるよ」

新八は内心で、「もう、勝手にやってろ」という気持ちになり、

「そういえば、ユーリさんは……」

沖田と勝負をしていたユーリの方へと顔を向けるが、

「ハァ……ハァ……ちょっ、タンマ」

「ゼェ……ゼェ……同感でさぁ」

「いや、どんだけ勝負してたんですか!?」

長期戦で体力が消耗したのか、ユーリも沖田も息を切らしていた。






 息を切らしながらも、ユーリと沖田は互いに顔を合わせる。

「や…やりますね、ユーリの兄貴。 久々に熱くなっちまったぜ」

「へっ、そいつは同感だ。 だが、今は休憩だ。 それが終わったら、勝負の続きだぜ」

「臨むところでさぁ」

ニヤリと笑い合うが、その目には“獲物を見つけた獣”の様な眼光になっている。

「これじゃあ、2戦目も勝負がつかないなぁ」

「そうですね」

「しょうがない、最後の勝負で決めるしかない。 銀さん――」

山崎とマイは2戦目も決着がつかないと判断し、同意した新八も3戦目に賭ける事にした。

土方と飲み比べをしていた銀時に、声をかけようと振り向いたが、

「「オェ〜〜〜」」

「んが!」

二人は飲み過ぎで嘔吐し、その情けない姿に新八はズッコける。

因みにプルルートは、銀時の背中を優しく擦っていた。






 良い歳した大人の情けない姿を目にし、新八のツッコミが炸裂した。

「おい! 何やってんだテメー等! 結局、勝負が着かねぇよ!」

彼の怒号に気付き、銀時はゆっくりと口を開く。

「へっ、心配すんじゃねーよ。 俺ァ、まだやれる。 白黒ハッキリ付けようじゃねぇか?」

「上等だコラ」

「だが、このまま始めてもつまらねぇ。 ここはどうだ? 真剣使って、“斬ってかわしてジャンケンポン”にしねぇか?」

「「えっ!?」」

「上等だコラ!」

だが銀時の提案に、新八も山崎も驚くが、土方は当然のように同意(?)した。

「オメェ、さっきから「上等だ」しか言ってねぇぞ? 俺が言うのもなんだが、大丈夫か?」

「上等だ、コラァ!」

互いに二人は立ち上がり、土方は山崎に叫ぶ。

「山崎、コイツに刀を!」

「え!? あ、はい!」

「えっ!?」

山崎は自身の刀を銀時に投げ渡し、受け取った銀時は刀を抜く。

「刀なんか渡したら、ダメじゃないですか!!」

「えっ、だって…」

慌てる新八と山崎を他所に、遂に第3戦目が始まった。






 とうとう“斬ってかわしてジャンケンポン”が始まり、銀時と土方はジャンケンを始める。

「いくぜぇ!」

「上等だ、コラァ!」

「「せーの!」」

「斬って!」

「かわして!」

「「ジャンケンポン!」」

ジャンケンの結果、銀時がチョキ、土方がパーを出し、

「獲った!」

銀時が即座に刀を振るったのだ。

「安心しろ、峰打ちだ。 ヒック…これに懲りたら、もう俺に喧嘩売るんじゃねぇぞ」

「ポン! テメェ、さっきからグーしか出してねぇじゃねぇか! 舐めてんのか!!」

しかし斬ったのは桜の木で、土方は一匹の犬とジャンケンをしていた。

この犬の名は『定春』。

神楽の愛犬で、人を乗せるほどの巨体である。

どうやら酔っている所為か、銀時は木を土方と、土方は定春を銀時と間違えていたようだ。

「ハァ…お互い、妙な上司を持つと大変ですね」

「そうですね」

その光景に、山崎とマイは互いにシンパシーを感じたのだった。






 勝負は決着が着かなかった事にし、皆で花見を楽しむ事にした。

「(父上。 こんなに楽しい花見は、父上が生きていた時以来です)」

新八は内心で呟き、桜の花びらの舞う青空を見上げる。

こうして花見は、夕方まで行われたのだった。

そして時が過ぎて、時刻は19時半。

「Zz〜……」

ゴミ箱に頭から突っ込んで寝ている土方。

「アレ、ここどこ?」

そして自販機の取り出し口に、何故か頭を突っ込んでいた銀時。

花見が終わっても、皆から忘れられた二人なのであった。


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■作者からのメッセージ
 投稿日は3月ですが、お花見回をやりました。

銀時「因みにこの小説、第一話の時点で4月って設定らしいぜ」

ユーリ「メタいな」

銀時「次回からは『5月編』をやるそうだ」

カロル「というか僕、名前だけ出て、一言も喋ってない気が……」
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