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混魂 第十八話:甦ったα/真紅の野生
作者:亀鳥虎龍   2020/03/27(金) 22:03公開   ID:Iagjyn7tR9w
 5月序盤――それは、ゴールデンウィークの最中。

「ふぁ〜……ヒマだ」

ソファーに横になりながら、銀時は欠伸をしている。

「ヒマなら、なんか仕事でも捜せば良いだろ?」

「え〜、めんどくせぇ」

「……ダメだこりゃ」

するとピンポーン!と、インターホンが鳴った。

「は〜い」

マイが玄関に向かい、扉を開ける。

そこには、一人の女性が立っていた。





―甦ったα/真紅の野生―





 リビングのソファーに腰掛け、銀時達は目の前の女性と対面する。

女性の名は『花崎ルイ』。

双子の姉『花崎ライ』とともに歌手活動を行っていた。

3年前、ライが交通事故で命を落としてしまう。

そのショックでルイは、歌手活動を休止したのである。

今から一週間前、街中を歩いていた時であった。

「え?」

人ごみの中で、姉の姿を目撃したのだ。

「姉さん!」

思わず人ごみの中を掻き分けた。

しかしそこには、姉の姿がなかったのだ。





「姉と私は一卵性双生児で、私は右目の下、姉は左目の下に泣き黒子があります。 あの時見た姉が本人か、それとも姉と良く似た顔をした別人か……お願いです! どうか姉を見つけてください」

深く頭を下げるルイに、ユーリは不敵な笑みを見せる。

「いいぜ。 その依頼、引き受けた」

「ありがとうございます」

喜びの涙を流し、ルイは再び頭を下げた。

因みに銀時は、話しを聞いて顔を青ざめ、そのまま気を失ったのである。

しかし、彼等は知らなかった。

この依頼が彼等に――特に悠にとって、最大の悪夢となる事を……。





 万事屋メンバーは、情報収集の為に街をでる。

その中でユーリは現在、ジュディスと共に警察署に来ていた。

勿論これには、ちゃんとしたワケがある。

「全く、何でこうなるのかしら」

「悪いな。 警察の許可がなきゃ、見れねぇ資料ってのがあるからな」

「言っとくけど、一つ貸しだから」

警察でないと見れない資料が存在するので、真選組であるジュディスの協力を得て来たいるのだ。

資料室に着くと、二人は3年前の事故の資料に目を通す。

「資料の内容には、特におかしなところは書かれてないわね?」

「そうみたいだな」

頭を掻きながら、ユーリは再び資料に目を通したが、

「やっぱ、特にないな」

資料を戻し、資料室を後にしたのだ。





 その頃悠とマイは、ライの墓がある教会に来ていた。

二人は墓前に手を合わせ、ゆっくりと黙祷をする。

すると、一人の男性が歩み寄って来た。

「御友人かな?」

黒髪でカソック服を纏い、首にはロザリオが提げられている。

その外見から悠は、この教会の神父だと察した。

「いえ、近くを通りかかったので」

「それは立派な事だ。 出会った事もない人間の為に来るとは、しゅもさぞかし感心されよう」

「え〜と……」

「失敬。 私はこの教会の神父を務めるロベルト小島だ。 父が日系アメリカ人なので」

「水澤悠です」

「マイ=ナツメです」

ロベルトが不敵な笑みを見せながら、口元にロザリオを近付ける。

「最近この街で、“死人返り”という事件が起こっているのをしているかな?」

「え?」

「死んだはずの人間が、突如遺族の前に現れるという……あまりにもあり得ない話だ」

「………」

「では、私はこれで」

ロベルトが立ち去ると、悠とマイも立ち去った。






 場所は変わり、魂郷町の名所『魂郷大橋』。

「――という話しなんですが」

『死人返りね……』

悠は電話で、ユーリに死人返りの話しをしていた。

「本当に事実なら、ルイさんの他に経験者がいるかもしれないですね」

『分かった。 一応、調べとくわ』

「ところで、銀さんは?」

『………「絶対ェに行かねぇ!」って言って、事務所から出てないぞ』

「………幽霊…苦手なんですね、銀さん」

『まあな』

電話を切り、次の行動に移ろうとしたが、

「っ!?」

悠は何かの気配を感じ取る。

「悠さん?」

「静かに」

「え?」

「……何か来る」

風向きが変わり、悠は気配のした方角へと体を向けた。

そこに立っていたのは、一人の怪人である。

髑髏が盾に連なった顔にボロボロのフード、そして右手には大鎌を握っていた。

その姿はまさに、死神そのものである。





 怪人の姿を見て、マイと悠はドーパントだと気付く。

「まさか、ドーパント!?」

「みたいだね」

悠はアマゾンズドライバーを装着すると、その場でアクセラーグリップを捻り、

《オメガ》

「アマゾン!」

《エボル・エボ・エボリューション》

仮面ライダーアマゾンオメガへと変身し、目の前の敵『デス・ドーパント』の前へと立つ。

「まさか、仮面ライダーだったとは……」

「仮面ライダー?」

この言葉にアマゾンオメガは、ある事を思い出す。

魂郷町で起こっているガイアメモリ事件で、主犯であるドーパントに立ち向かう戦士の存在が発覚した。

その姿を目にした真選組が、彼の事を『仮面ライダー』と呼んでいた――と、新聞やテレビで噂になっていたのだ。

「……僕はそんな大層な存在じゃない。 ただ、狩るべき相手を……狩るだけだ!」

こうして、アマゾンオメガとデスの戦いが始まった。





 地を蹴り、アマゾンオメガはデスへと攻撃する。

爪により引っ掻きや、アームカッターによる斬撃を放つ。

「フン!」

デスは豪快に鎌を振るうが、アマゾンオメガはそれを避け、

「ハッ!」

拳による一撃を叩きこんだ。

「ぐぅ!」

殴られた腹部を抑え、デスは自身の不利を察する。

「つ、強い。 こうなれば……」

「逃げる気か!」

「逃げる? いや、違うな。 私は死神、死者を自由自在に操る事が出来る。 その人物にとって、最も愛する者や……最も恐れている者ですらな」

その瞬間、デスは発生した突風と共に消え去った。






「消えた!?」

辺りを見渡したアマゾンオメガだが、足音がカツン…カツン……と聞こえる。

足音が聞こえた方角へと振り向くと、そこには一人の男が立っていた。

「誰?」

マイも首を傾げてしまうが、彼は上着のフードを外す。

金色のメッシュの入った黒髪で、口周りには無精髭。

その姿は、何処か“野性”という言葉が似合っていた。

「っ!?」

男の顔を見たアマゾンオメガは、驚愕をせざる負えなくなる。

「そんな…あり得ない………」

対称的に男は、腰に一本のベルトを巻き付けた。

偶然か否か、そのベルトはアマゾンズドライバー。

ただし中央部のパーツ『コンドラーコア』が釣り上がった形状のアマゾンオメガとは違い、垂れ下がった形状という相違点がある。

「まさか…アナタは……仁さん!?」

仁と呼ばれた男は、その場でドライバーのアクセラーグリップを捻った瞬間、

《アルファ》

「……アマゾン」

赤い爆風が発生し、その姿を変えたのだった。

《ブラッド&ワイルド! ワ・ワ・ワ・ワイルド!》

全身は赤く、頭部はピラニアに似たフォルム。

銀色の胸部に、四肢には鋭い刃の着いたグローブとブーツ。

全身には無数の傷跡があり、垂れ下がった両目が緑色に光る。

“野生”を体現した赤き戦士『仮面ライダーアマゾンアルファ』が、地獄から甦ったのだ。






 動揺するアマゾンオメガに対し、アマゾンアルファが襲いかかる。

正確無比に放たれる拳を、オメガはすぐさま回避した。

しかし回し蹴りを脇腹に喰らい、その場で怯んでしまう。

「ぐっ!」

「悠さん!」

攻撃を受けたオメガに、マイは加勢に入った。

「でやぁぁぁぁ!」

朱弾ガリアスフィラを構え、真正面から突きを放つ。

しかしアルファは軽い動作で避け、片手で朱弾ガリアスフィラを掴む。

「なっ!?」

「おらぁ!」

そして力任せに押し、マイを容赦なく吹き飛ばす。

「きゃっ!」

「マイさん!」

「よそ見してんな、悠!」

「くっ!」

マイの安否を案じたオメガだが、アルファの猛攻が許さなかった。






 かすり傷一つも付かず、胸部の傷跡をなぞるアルファ。

対してオメガは傷だらけで、全身が血だらけとなる。

息を切らしながら、オメガはアルファに言った。

「ハァ…ハァ……どうして……」

「ん?」

「仁さん、どうして生きてるんですか!? アナタは…アナタはだ!」

「ああ、確かに俺は死んだ……」

アクセラーグリップを捻り、ゆっくりと構えたアルファは、

「お前にぁぁぁ!」

《バイオレントスラッシュ》

地を蹴ると同時に滑空し、すれ違い様にアームカッターで切り裂く。

そしてザシュンと斬られ、オメガの頸部から血が噴き出したのだ。

「ぐあぁぁぁぁぁ!」

変身が解けてしまい、悠はその場で倒れた。

「悠さぁぁぁぁん!」

マイは叫び、悠は意識が朦朧となる。

「ふっ、じゃあな!」

トドメを刺そうと、アルファが右腕を振り下ろそうとした。

「ハァ!」

「!?」

しかし金色の装甲を纏った戦士が現れ、アルファは即座に中断する。

その姿を見たマイは、思わず呟いてしまう。

「まさか、仮面ライダー……」

マイと悠の危機に、仮面ライダーアギトが参上したのだ。






 その頃、地獄の方では、

「コレは……」

「ほ、鬼灯くん! コレってどうなってんの!?」

鬼灯と閻魔は、浄玻璃の鏡で現世の様子を観ていた。

慌てる閻魔とは対照的に、鬼灯は表情を全く変えない。

「しかし彼は今……」

鬼灯が何かを呟こうとしたが、一人の男が現れる。

「よう、閻魔さまに鬼灯さん」

男はゆで卵を口に入れ、モグモグと咀嚼していた。

「丁度良かった。 来て下さい、鷹山さん」

「へ?」

鷹山と呼ばれた男は、二人の方へと歩み寄る。

浄玻璃の鏡で現世を覗くと、男は「アレ?」という顔になった。

「なあ、鬼灯さんよ。 ?」

現世にいるアマゾンアルファの姿を見ながら、ポロっとそう言ったのである。

男の疑問に対し、鬼灯も閻魔も「当然だ」と思いながら頷く。

何故ならこの男こそが、アマゾンアルファの変身者……『鷹山仁』だからだ。

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■作者からのメッセージ
 今回は『MOVIE大戦2010』のW編を元にしました。

銀時「ライダーネタ、意外と使いよな」

ユーリ「それは言うなよ」
テキストサイズ:7825

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