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混魂 第十九話:甦ったα/己の内なる声に従え
作者:亀鳥虎龍   2020/04/02(木) 22:59公開   ID:Iagjyn7tR9w
 浄玻璃の鏡を通して、アマゾンアルファの姿を目にした仁。

「何で俺がいるんだ?」

死んだはずの自身を観て、彼はゆで卵を食べながら首を傾ける。

「恐らく、魂郷町で起きている『死人返り』が関係してますね」

鬼灯もそう言って、ゆで卵を口に入れた。

「というかキミ等、何でこの状況で食べてられるの!?」

勿論この光景に、閻魔はツッコミを入れたのである。






―甦ったα/己の内なる声に従え―





 その頃の現世では、アギトが悠の窮地に駆けつける。

「仮面ライダー……」

アギトの登場に驚く悠であったが、マイが彼の元へ駆けつけた。

「悠さん! しっかり!」

頸部の傷にハンカチを当て、出血を抑える。

「……その人を連れて離れて」

「は、はい!」

「うっ…」

悠の腕を肩にかけ、彼を連れて離れて行った。

それを見届けたアギトは、アマゾンアルファと激突したのだ。






 アマゾンアルファはアームカッターで斬り裂こうとしたが、アギトは軽い動作で避ける。

今度はアギトは拳を突き出すが、アマゾンアルファは裏拳で払い除けた。

拳を放てば、拳で防ぐ。

蹴りを繰り出せば、蹴りで応酬。

そのまま激しい攻防戦が繰り広げられ、互いの拳が放たれた。

拳は互いの顔をヒットし、見事なクロスカウンターとなったのだ。

「くっ!」

アギトは構えを取るが、アマゾンアルファは再び胸の傷をなぞる。

「ふっ…コイツは不利だな。 じゃあな」

そう言うと、その場から立ち去ったのだ。

「…仁さん……」

消え去ったアマゾンアルファを目にし、悠は小さく呟くしかなかった。

最後に、デス・ドーパントの声が響く。

「どうだ、仮面ライダー。 コレで私が、死者を自在に操る事が証明された。 これ以上私の関わるというなら、再びあの赤い仮面ライダーを甦らせて見せようぞ」

最後は静寂だけが残り、悠は意識を失うのだった。






 とある草原にて、全身が傷だらけで血塗れのオメガとアルファ。

「迷ってんじゃねぇぞ悠ぁ! 俺が生きてる限り、アマゾンは生まれ続ける!」

「まさか……!?」

「選べ! 俺かお前か、生き残るのはどちらか!」

「仁さん…もう、終わりにしましょう」

互いの体力が限界の中、二人は空に響く咆哮を上げる。

「「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」」

互いに構え、真っ向から走り出し、

「「うおぉぉぉぉぉ!」」

渾身の一撃が放たれたのだ。

アルファのアームカッターは、オメガの頸部を裂く。

しかしオメガのアームカッターは、アルファの腹部を貫いた。

頸部から血を流すオメガは、後ろへとよろめく。

腹部を貫かれたアルファは、口から血を吐いた倒れたのである。

二人のアマゾン、オメガとアルファ――“養殖”と“野生”。

生死を掛けた死闘は、辛くもオメガの勝利となったのだ。






「!?」

悠が目を覚ますと、そこは病院であった。

彼はベッドの上に寝ており、服も患者用の寝間着に替わっている。

上体のみを起こし、悠はアルファとの死闘を思い出す。

「(夢……しかも、仁さんとの決着を果たした……“あの日”の……)」

斬られた頸部に触れると、包帯が巻かれている事が確認出来る。

すると扉が開き、白衣の男が現れた。

彼を治療した医師、九条利喜弥である。

「おっ、目が覚めたのか」

「あ、あの……ナツメさんは?」

「お前の無事を知ってあの子に感謝するんだな。 お前を運びながら、病院まで来てたんだ」

「…そうですか」

「んじゃ、俺は仕事に戻るわ。 何か必要なもんがあったら、気にせずナースコールを使ってくれ」

それだけ言うと、利喜弥は病室を出た。

再び横になった悠は、思わずポツリと呟く。

「流石に……きついな」






 その頃、マイはルイの自宅マンションに来ていた。

「あの、マイさん。 どうかしましたか?」

「あの、ちょっと聞きたい事があっりまして」

「聞きたい事?」

「お姉さんの死で、誰かに相談した事は?」

「いえ、ないと思います」

「カウンセラーの先生に相談は?」

「それもないです」

「本当にですか?」

この問いにルイは、少しだけ考えると、

「そう言えば……」

「ん?」

「教会で姉の葬儀を終えた後、その教会の神父さんと、暫くお話してたんです。 そのお陰で、少し気が楽になりました」

「その教会、今も行ってるんですか?」

「はい。 手を握ってくれて「また何かあったら、何時でもどうぞ」と言われたものでして」

「最近行った日は何時ですか?」

「確か一週間前です」

「(一週間前……って、ルイさんが死んだお姉さんを見た時期じゃ!?)」

あまりにも偶然過ぎると感じ、マイはある決意を固めた。






 その頃、病院の方では……、

「よう、見舞いに来たぜ」

ユーリが悠の見舞いに来ていた。

「ほらよ、頼んでた差し入れ」

「助かります」

差し出されたのは弁当箱で、中にはゆで卵や鶏肉を中心とした料理が入っている。

「電話で言われた通りに、わざわざ作って持って来たけど、別に病院の売店で買えばよかったんじゃねェのか?」

「いえ、僕の身体は少し特殊なんで」

「いただきます」と言った後、悠は弁当を即座に食べ始めた。

勢いよく食べ始め、弁当の中身は彼の胃袋へと消えていく。

「御馳走様でした」

「お、おう」

食べ終えた後、悠は寝間着から普段着へと着替える。

「おい、怪我は平気なのかよ!?」

「ええ」

首の包帯を外し、ドライバーの入ったバックを背負う。

「(ん?)」

病室を出るとき、ユーリはある事に気付いた。

「(マイの話しじゃ、首に酷い怪我を負わされたって聞いたけど……無いな)」

それはアマゾンアルファに負わされた怪我が、綺麗に治っていたのだ。






 病院を出た時、ユーリのスマホが鳴った。

「もしもし」

すぐに電話に出ると、マイの声が聞こえたのである。

『あ、ユーリさん! マイです』

「おい、どうした?」

『実は今、教会にいるんです』

「教会?」

『私、分かったかもしれないんです。 “死人返り”のからくりが!』

「何!?」

『今から私、一人で乗り込みます』

「お、おい!?」

ユーリが「よせ!」と言おうとしたが、マイは電話を切ってしまう。

「あの、どうしました?」

「マイの奴、独りで敵地に乗り込みやがった」

「っ!?」

「お前のバイク、一応は駐車場に置いてある。 運転はできるか?」

「ええ」

二人はジャングレイダーに跨ると、すぐさま教会へと走り去ったのだ。






 その頃、教会の中では、

「すみません、誰かいますか?」

「おや、マイさん。 どうされましたか?」

マイが中に入ると、ロベルトが姿を見せる。

「あ、神父様。 実は尋ねたい事があるんですよ」

「ほう、それは何ですか?」

不敵な笑みを見せるが、マイがこんな質問をしたのである。

「実は私、ルイさんの様に“死人返り”に遭った方々を訪ねたんです」

「ほう、それで?」

「それで全員、身内の葬儀後にアナタのカウンセリングを受けたと言ってるんです。 しかも、その日の数日後に死んだ身内を見たと」

「………」

「まさかとは思いますけど、神父様が犯人じゃないですよね?」

「何故私が? 私に何のメリットが? それにどうやって、そんな事が出来たというのだ? 私に死者を蘇生する能力があると?」

シラを切るロベルトであるが、マイはこう言ったのだ。

「ガイアメモリです」

「………」

「ガイアメモリの能力を使えば、死者を甦らせる事が出来るハズです」

「……フッ」

すると、ロベルトは笑いだしたのだ。

「フハハハハハハハハ!」

「っ!?」

「まさか、ここまで辿りつつくとはな!」

手に持っていたガイアメモリを腕に挿し込み、彼はデス・ドーパントへと変身した。

デスは鎌を構え、ゆっくりとマイへと近づくが、

「間に合ったぜ!」

そこにユーリと悠が現れたのだ。






「ユーリさん! 悠さん!」

二人の登場に、マイも安堵の顔になる。

「ちっ。 まあ、いい。 コイツにやって貰うか……」

デスは姿を消すと、奥の扉から鷹山仁が現れた。

「よう、悠。 ケリを着けようぜ」

「……仁さん」

鋭い視線で睨む仁だが、悠は拳を強く握る。

「あの戦いの後、僕は宛てのない旅に出た。 もう二度と、誰とも接触しないようにするために……。 でも、万事屋の皆と出会って、その考えは変わった」

互いにアマゾンズドライバーを装着し、アクセラーグリップに手を添えた。

怪物アマゾンとして生まれた僕を、当然のように受け入れた彼等の為に……僕は再び戦う! 狩らなきゃいけないものは狩り、守りたいものを守る! それが、僕の決意だぁ!」

《オメガ》

《アルファ》

「アァ〜〜マァ〜〜ゾォォォォン!」

「……アマゾン」

《エボル・エボ・エボリューション》

《ブラッド&ワイルド! ワ・ワ・ワ・ワイルド!》

赤と緑の爆風は発生し、同時に二人の仮面ライダーが地を駆ける。

アルファとオメガ……二人のアマゾンが再びぶつかり合ったのだ。





 場所は外へと替わり、二人は激しい攻防戦を行う。

しかし今度は、オメガの方が圧倒していた。

顔面へのストレートが決まり、アルファは大きく吹き飛ぶ。

「うぐ……」

ゆっくりと近づくオメガに、慌ててアルファは叫ぶ。

「ま、待て悠! また俺を殺す気なのか!?」

「………確かにユーリさんの言う通りだ。 アナタは仁さんじゃない」

アクセラーグリップを捻り、ゆっくりと構えるオメガ。

教会へ向かう最中、彼はユーリのアドバイスを思い出す。

――本物を知る奴は、偽物には絶対ェに騙されねぇ。 次に戦う時、様子を窺って観察してみな。

「本物の仁さんは決して、命乞いをするような人じゃない!」

《バイオレントストライク》

「ウオォォォォォォ!」

そして大きく跳び上がると、ドロップキックによる一撃を放った。

「グガァァァァァ!」

必殺技『バイオレントストライク』を喰らい、アルファは再び吹き飛んだのだ。

「がはっ! あ……」

その瞬間、アルファの姿がデスへと変わった。





「そういう事か。 死者を甦られるんじゃなく、なり済ます事で相手を困惑させていたのか。 ……ん?」

デスを警戒したアマゾンオメガであったが、ある事が起こったのだ。

「うう…っ…あ!?」

デスの姿が、変な怪人へと変わったのである。

外見はまるで、銀色ののっぺらぼうであった。

「これって!?」

「そういう事か……」

怪人の姿にマイは驚き、同時にユーリは納得した顔になる。

「悠、アイツのメモリは『デス』じゃねぇ! アイツのメモリは『ダミー』だ」

「ダミー……って、『偽物』?」

「ああ。 ダミーの能力で、相手のイメージになったヤツに化けてたんだよ。 例えばソイツにとって“一番合いたい相手”や、“最も恐れている相手”とかな」

更にユーリは、ダミー・ドーパント――ロベルトの犯行動機を推測した。

「そんでもって、恐らくだが動機は、悩みの依頼料を着服して贅沢三昧がしたかったんだろ?」

「うぐっ!」

図星を突かれ、ダミーはぐうの音も出なくなり、

「なら……今度こそ、狩る!」

《バイオレントストライク》

アクセラーグリップを捻ったアマゾンオメガは、再びバイオレントストライクを放つ。

「うおぉぉぉぉぉ!」

大きく跳び上がり、足の刃を踵落としの要領で振り下ろしす。

「ウギャァァァァァァァ!!」

吹き飛ばされたダミーは、その場で爆散。

そしてロベルトの姿に戻り、メモリも砕けたのだった。






 ロベルトは逮捕され、事件は無事に終わる。

事件の後、ルイは再び歌手の世界へと歩む。

姉の為に、もう一度歌いたい――その思いを胸に秘めて……。

「これで、一件落着だな」

銀時が嬉しそうな顔になるが、ユーリはジト目で彼を睨み、

「ラピード、噛め」

「ワン!」

命令を受けたラピードが、容赦なく頭に噛みついた。

「ギャァァァァァァァ!」

「今回オメェ、幽霊にビビってなんにもしてねぇだろ」

この光景にマイは、横で寝ているプルルートを撫でながら苦笑する。

そんな中、悠は窓の外を眺めていた。

理由はただ一つ、ダミーが化けた仁の事だ。

ダミーの能力は、自身や相手のイメージから読み取った姿に化ける事。

ルイにとってライは、彼女の“もう一度会いたい人物”のイメージなのだろう。

なら悠にとって、鷹山仁はどんなイメージの人物だったのだろうか?

「(僕にとって仁さんは……“二度と敵にしたくない相手”………なのかな?)」

そんな事を思いながら、思わず笑ってしまうのだった。

しかし同時に、彼自身はこう思った。

水澤悠にとって鷹山仁は……“敵対者であったが、死んで欲しくない存在”だったかもしれない。






 その頃、地獄では……、

「見事に事件解決だね」

「まさか、聖職者が着服を行っていたとは」

浄玻璃の鏡で、万事屋の様子を窺っていた鬼灯達。

「でも、面白いモンを拝ませてもらったぜ」

仁はニヤリと笑い、食べ掛けのゆで卵を口に入れる。

すると鬼灯は、仁にこんな質問をした。

「鷹山さん、一つ訊ねて良いでしょうか?」

「ん、何だ?」

「貴方にとって、水澤悠さんはどういう存在ですか?」

「………」

少し考えた後、仁はこう答えたのだった。

「悪いが、企業秘密だ」

不敵な笑みを見せ、彼はそのまま立ち去ったのである。

その後ろ姿に、鬼灯は呟く。

「ホント、何を考えてるのやら…」

「それ、キミが言える事?」

思わず、閻魔は呟いたのだった。


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■作者からのメッセージ
 次回は……考えてません。

銀時「いや、考えろやぁぁぁ!」
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