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混魂 第二十三話:Mが映す絶望/解かれた左腕
作者:亀鳥虎龍   2020/05/15(金) 23:04公開   ID:Iagjyn7tR9w
 ベルベット・クラウ

性別:女性

身長:170cm

体重:非公開

スリーサイズ:非公開

種族:???

所属:政府特別武装警察部隊『真選組』

階級:副長代理

コレは真選組の資料に記載されてた、ベルベットに関する情報である。

他に特徴があるとすれば、左腕を手袋や包帯で隠す事が多い。

その理由を尋ねた隊士には、「子供の頃に、痕が残るほどの大怪我を負ったから」だそうである。

しかしそれは、あくまで本人がそう言っただけだ。

実際、彼女が左腕の肌を人前に晒した事は無い。

誰もが恐らく、「左腕の怪我を見せたくないからだろう」と思ったからだ。

だが、誰もが知らなかった。

彼女自身に振りかかる、悲しい事件が起こる事を……。







―Mが映す絶望/解かれた左腕―








 それは、とても暗い夜の事であった。

「うっ……」

体中が傷だらけで、立ち上がる事の出来ないベルベット。

そんな彼女の目の前では、土方が誰かに斬られた。

「がは……」

「どうして…総悟……」

殺害したのは、一番隊隊長の沖田総悟である。

「土方の死体が4015人…」

「ぐあっ!」

「土方のアホ面の死体が4016人…」

「うぐっ!」

「土方のバカの死体が4017人…」

「やめて…」

何度も土方を斬り殺す沖田に、ベルベットは涙目で叫んだ。

「やめてぇぇぇぇぇ!」






 真選組のとある一室。

寝間着姿のベルベットが、布団の上でうなされている。

「う〜ん…やめて……」

「土方の死体が……」

「羊を数えろぉぉぉぉ!」

彼女の枕元で催眠誘導をする沖田に、土方が背後から刀を構えていた。

「なんですかい一体? 寝付けない姐さんに、数え歌を歌ってたってぇのに。 見てくだせぇ、かなりうなされてますぜ」

「当たり前だぁ! そんなグロテクスな数え方じゃ、余計にうなされるわぁ!」

「で、何しに来たんですかい? 4018号」

「誰が4018号だ! それとベルベット、お前は早く起きやがれぇ!」

こうして土方は、ベルベットをすぐに起こしたのだ。






 着替えを済ませ、会議室の襖を開けたベルベット。

「お、来たか」

近藤を筆頭に、多くの隊士達が座っていた。

彼女がゆっくりと座ると、近藤はニカッと笑い、

「では、本日の会議を始める!」

こうして真選組は、朝の会議を始める。

何事もない、ありふれた日常。

会議が終わり、隊士達は持ち場へと向かう。

しかし、今日ばかりは違った。

この日だけは、ベルベットの運命を大きく帰る事になったのだ。

だがその事を本人はおろか、誰も知らないのだった。







 黒いローブに身を包んだ人物が、水晶玉でベルベットの姿を眺めていた。

そして不敵な笑みを浮かべ、こう言ったのだ。

「ようやく見つけた……災禍の顕主」

懐から一本のUSBメモリを手に取り、表面には鏡合わせになったMの文字が……。

果たして、この人物の目的は?






 街が賑やかになった魂郷町。

ベルベットはパトロールで、その中を歩いていた。

「今日は平和ね。 コレくらい平和なら、警察なんていらないんじゃないかしら」

呑気にそんな事を言うが、何者かの気配を気配を感じる。

「っ!?」

視線だけを向けると、背後にはローブに身を包んだ人物が歩いていた。

「………」

気のせいかと思ったが、彼女はわざと人の気配のない場所へと歩きだしたのだ。






 場所は工場跡の廃墟。

「さて、ここでいいわね」

深くため息をすると、ベルベットは後ろを振り向く。

そこにはローブ姿の人物が立っている。

「それで、アタシを尾行したのは、どういう目的?」

問いただすが、ローブの人物は右手にメモリを持っており、

《ミラー》

それを左手に挿し込むと、全身に鏡の破片が無数に付いたような怪物へと変貌した。

『鏡の記憶』を宿した怪人、その名はミラードーパント。

コレを見たベルベットは、右腕の刺突刃を構える。

「流石に、放っておけないわね」

そして二人は、正面からぶつかり合うのだった。






 ミラーは爪を立て、容赦なく襲いかかる。

攻撃をかわしながら、ベルベットは刺突刃を振るう。

しかしミラーはそれを交わす。

「しつこい!」

ベルベットは蹴りを放つが、再びミラーはかわした。

「この!」

「残念!」

俊敏に動き、爪で切り裂くミラー。

右頬を切ってしまい、傷口から血が出るベルベット。

「――くっ!」

「おいおい、どうした? もう終わりか?」

「………」

頬の血を拭い、ベルベットは左腕の包帯に目を向ける。

「……使うしか…ないわね」

彼女は右腕で左腕の袖を上げ、そして包帯を外す。

「言っておくけど、どうなっても知らないわよ?」

晒された左腕は、黒く右腕とは対照的な異形であった。






 包帯から解放された、ベルベットの左腕。

コレを見たミラーは、不敵な笑みを浮かべる。

「クククク…。 面白い…コレを持ってたんだ!」

突進し、拳を真っ直ぐに放つ。

「そらっ!」

しかしベルベットは避け、懐に潜り込み、

「残念、アタシの勝ちよ」

左手の爪で切り裂いた。

「グギャァァァァァ!」

身体を切り裂かれ、悶えてしまうミラー。

「安心なさい、再起不能で済ませるから」

ゆっくりと近づくベルベットだったが、ミラーはゆっくりと立ち上がり、

「ククク…良い一撃だったぜ。 あばよ!」

「なっ! 待て――」

その場を立ち去ったのである。

「………何だったのよ、アイツ?」






 ベルベットから逃げ去ったミラーは、何処かの路地裏に座り込んでいた。

「クククク…。 遂に、遂にやったぞ! 後は、この能力を活かす時だ!」

不敵な笑みを浮かべ、その姿は別の姿へと変わる。

ガラスに映る自分を見て、ミラーは不敵な笑みをすると、

「フフフフ、完璧ね」

その場から姿を消したのであった。

果たして、その目的は一体?






 屯所に戻り、ベルベットは寝室へと戻る。

包帯で隠した左腕を眺めながら、深くため息を吐いてしまう。

「ハァ……まさか左腕コイツを使う羽目になるとは」

寝間着に着替え、布団を敷いて行く。

「もう、寝るか」

すぐさま横なり、ベルベットは眠りについたのだった。






 あらゆる時空世界を管理する組織、その名は『時空管理局』。

この組織が存在する世界『ミッドチルダ』の、とある一軒家にて……、

「……くっ」

一人の女性が、目の前の相手を睨みつける。

その姿は黒い髪に黒いコート、そして片腕が異形の女性。

更に小脇には、少女が抱えられていた。

「アナタ…何者なの!?」

女性の問いに、相手は答える。

「我が名は、災禍の顕主。 高町なのは、貴様の娘は預ける。 助けたければ、管理世界『○○●』に来なさい」

それだけ伝えると、姿を消したのであった。








災禍の顕主編――開始!

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 今回から、長編を書きます!
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