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混魂 第二十四話:Mが映す絶望/烈火の剣士
作者:亀鳥虎龍   2020/05/28(木) 10:44公開   ID:Iagjyn7tR9w
 いつもの通り、布団から起き上がったベルベット。

いつも通りに着替え、いつも通りに会議に参加。

いつも通りに食事を行い、いつ戻りに仕事に励む。

それが、真選組での彼女の日常である。

しかしこの日常は、突然壊れてしまう。

『絶望』という名の、幕開けと共に――。







―Mが映す絶望/烈火の剣士―







 屯所を出たベルベットは、いつものように巡回に行く。

「今日も平和ね」

街の人々の賑やかな声を聞き、彼女は不敵な笑みを見せる。

「っ!?」

しかし、背後から気配を感じ、

「(また尾けられている)」

気付かないフリをして、再び人の気配のない場所へと向かう。

「(なんか連続で、妙に変な奴に尾行されてるわね……)」

そう思いながら、彼女は街を離れたのだった。







 とある森の中。

ベルベットは振り返り、尾行者へと叫ぶ。

「もう良いでしょ? いい加減に姿を見せたら?」

この叫びを聞き、尾行者は木陰から姿を見せる。

ピンク色の長い髪に茶色いスーツ姿で、どこか凛々しさを感じさせる女性だ。

「何者なの?」

睨みながら問いだすと、女性はゆっくりと口を開く。

「私はシグナム。 お前を探していたのだ」

「アタシに?」

「そうだ…」

まさにその時だ。

女性の身体が光り、服がスーツから家中の様な姿に変わった。

そして手に持った剣を向け、ベルベットに言い放ったのだ。

「災禍の顕主。 我々の仲間を襲った報い、死を持って償って貰うぞ!」







「災禍の……顕主……!?」

シグナムの口にした言葉に、ベルベットは思わず反応する。

「その呼び名を何処で!?」

「やはり貴様か!」

地を掛けたシグナムは、容赦なく剣を振るう。

後ろへ跳んだベルベットは、即座に回避。

だが右頬が切れ、傷口から血が流れる。

「――っつ!」

「はぁっ!」

再びシグナムが剣を振るう、右手の刺突刃で防いだ。

ガキィンと、刃と刃が火花を散らす。

「くっ!」

「まだまだ!」

高速で振るわれた剣技に、ベルベットは必死に防ぐのが精一杯。

「(コイツ、相当な達人ね! 眼で追うのがやっとじゃない!!!)」

そんな事を考えていたが、まさにその時だ。

「隙あり!」

ドガッ!と、腹部に蹴りを打ち込まれたのだった。

「がっ――」

蹴り飛ばされたベルベットは、背後の木にぶつかってしまったのだ。






「ゴホッ!」

口から血が吐き出すほど、ベルベットは相当なダメージを負ってしまう。

顔を上げると、シグナムが立っており、

「ほう、意外とタフだな」

彼女の眼前に、愛刀『レヴァンティン』の切っ先を向ける。

「答えろ、災禍の顕主。 ヴィヴィオは何処にいる?」

この問いに対して、ベルベットは首を傾げた。

「ヴィヴィオ? 何の事?」

「とぼけるな! お前が攫った少女の名だ」

「アタシが…攫った?」

「そうだ。 あの子の自宅に奇襲を掛けたのは、既に調査済みだ」

「ちょっと待って! アタシはその時、屯所にいたのよ! そんな事が出来るハズ――」

「この期に及んで、シラを切る気か! コレを見ろ!」

シグナムは懐から写真を出すと、それをベルベットに見せる。

そこには異形の片腕の女が、一人の少女を小脇に抱えている姿が写っていた。

「コレを見て、まだ自分じゃないと言い切れるか?」

写真に映っている人物は、明らかに背格好からしてベルベット。

彼女は驚愕しながらも、自身の無実を訴える。

「待って! 確かにアタシは屯所にいた! まず、この女の子の事は知らない!」

「そうか。 なら、力づくで聞くだけだ」

全く聞く耳を持たない感じのシグナム。

剣を構え、斬りかかろうとする。

今度こそ斬られる――。

そう思ったベルベットの中で、何かが爆発した。

「ふ……ふざけるなぁぁぁぁぁ!」

この咆哮に合わせるかのように、左腕の包帯が吹き飛び、異形の左腕を振るったのだ。

「うあぁぁぁぁぁぁ!」

「っ!?」

咄嗟に後ろへ跳んだシグナムだが、左肩が切り裂かれてしまう。

「くっ!」

傷を抑えながら、彼女はベルベットの姿を見るが、

「……逃げられたか」

そこには既に、彼女の姿がなかった。






 息を切らしながら、ベルベットは森の中を駆ける。

「ハァ…ハァ……」

自身を狙う襲撃者・シグナム。

彼女の圧倒的な剣技を前に、流石の彼女も恐怖した。

「とにかく、ここを離れないと!」

今はまず、この場を立ち去る事を優先だ。

それ以外の事は、後から考えれば良い。

こうしてベルベットは、森の中へと消えて行った。







 その頃、街の方では、

「ふぅ…コレで良いですか?」

「ありがとね、助かったよ」

悠が仕事依頼で、夜店の支度を手伝っていた。

「じゃあ、僕はこの辺で」

「気を付けてね」

仕事を終え、ジャングレイダーに跨るが、

「ん?」

見た事のない、スーツ姿の男達を目迎する。

数は二人で、辺りをキョロキョロ見渡す。

「(見ない顔だな?)」

男達は車へ乗り込むと、そのまま発信する。

コレを見た悠は、すぐさま尾行したのだった。







 尾行をしてから約30分。

「よし、着いたぞ」

車を止めた男達は、ゆっくりと降りていく。

ジャングレイダーを少し離れた場所に停めた悠も、慎重に後を追った。

男達が歩く先は、一軒の古城。

この古城に入った姿を確認し、悠も中へと入る。

男達はリビングと思われる部屋へと、ゆっくりと扉を閉める。

コレを目にした悠も、音をたてないように扉をゆっくり開けた。

そして中を覗きこむと、縄で縛られている少女が囲まれていたのだ。

「っ!?」

驚きを隠せない悠だが、誤って音を立ててしまい、

「誰だ!?」

男達に見つかってしまう。

「貴様、怪しい奴め!」

「それはこっちの台詞です。 女の子を縛ってまで、何をする気ですか!?」

「ちっ、どうする?」

「決まってるだろ! 口封じだ」

「だな」

男達は懐から、一本のメモリを取りだす。

《バインド》

《グラビティ》

「ガイアメモリ!?」

メモリを首に挿し込んだ瞬間、その姿は変貌する。

一人は紫のボディで筋肉質の怪人、もう一方は鎖や縄が体中に巻かれた怪人。

『重力の記憶』を宿したグラビティ・ドーパントと、『拘束の記憶』を宿したバインド・ドーパントへと変貌したのだ。

悠もアマゾンズドライバーを腰に巻き、アクセラーグリップを捻ると、

《オメガ》

「アマゾン!」

仮面ライダーアマゾンオメガへと変身したのである。







 2対1という状況の中、二人のドーパントと相見えるアマゾンオメガ。

拳を突き出し、グラビティを殴り飛ばす。

「うぐ!」

「この!」

背後から襲いかかって来たバインドは、回し蹴りで怯ませる。

最初は長期戦を覚悟していたアマゾンオメガだが、思ったより相手が弱すぎた。

「(アレ? 思ったより強くない?)」

思わず首を傾げてしまうが、グラビティが立ち上がり、

「くそがぁぁぁぁ!喰らいやがれ!」

手から紫色の光弾を放つ。

「っ!」

アマゾンオメガは回避し、彼の背後にいたバインドに命中する。

「ぐえぇぇぇぇ!」

その瞬間、バインドの身体が押しつぶされたように地に伏せた。

「成程…あの光弾を喰らうと、重力が倍になるのか…」

少し呆れてしまったアマゾンオメガだが、アクセラーグリップを捻ると、

《バイオレントパニッシュ》

「ハァァァァァ!」

そのままグラビティへ目掛け、必殺技の『バイオレントパニッシュ』を放つ。

すれ違い様に放たれた、必殺の一閃。

「グガァァァァア!」

グラビティは爆散し、元の男の姿へと戻った。






「よし、あと一人――」

残ったバインドへと振り向いたアマゾンオメガだが、まさにその時だった。

「!?」

突如身体を、リング状のエネルギーで拘束されていたのだ。

「掛かったな! 俺のメモリは『拘束バインド』! 相手の身体を縛る事が出来るんだよ!」

「くっ!」

「さ〜て、さっきの仕返しだ。 たっぷり甚振ってやるよ!」

「ウググググ……」

バインドがゆっくりと近づくが、ここで予想外の事が起こる。

「ウオォォォォォォ!」

何とアマゾンオメガは、力任せに拘束を解いたのだ。

厳密には、リング状のエネルギーを引き千切ったのである。

「な、何ぃ!?」

驚愕するバインドであったが、アマゾンオメガはアクセラーグリップを捻り、

《バイオレントストライク》

「ハッ!」

跳び上がって、ドロップキックを叩きこんだ。

「グギャァァァァァ!」

必殺キック『バイオレントストライク』が決まり、バインドはその場で爆散。

そして、元の男の姿へと戻った。







 変身を解いた悠は、少女の元へと駆け寄る。

「大丈夫?」

その少女は金髪で、両目がオッドアイ。

「(まずは、ここから連れ出すか…)」

彼は少女を抱えると、その場を後にしたのである。

しかし、悠は知らなかった。

この少女の存在が、新たな事件の『鍵』となる事を――。

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 次回、近藤の身に危機が!?
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