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進化の龍よ蒼き航路を超えて プロローグ「進化の光よ蒼き航路へ」
作者:地獄の釜   2022/05/09(月) 22:13公開   ID:mc.YSvMBfS.
ゲッター線という物はご存知だろうか?遥か彼方の世界から世界へと渡り続け、進化の可能性を求め太陽系の地球へと降り注いだ意思持つ放射線。

人の姿を持つ器たる鋼の巨人ゲッターロボと選ばれし者が揃う時、時代に変革を・・・運命を超える為にかの世界にて激しい戦いをくりひろげたそれは火星にて最期の火蓋を切った。


「過去も…未来もクソ喰らえだ、未来は・・・俺達の未来は━━!!」


選ばれし3機の最後の器は運命の3人の子供たちを乗せて、火星にて顕現した巨神【ゲッター天】の目の前で空高く舞い上がり声高らかに叫ぶ。


『『『俺達の手で作るんだ!!チェーンジ・ゲッターアークッ!!』』』


最期の器は1つになり【ゲッターロボアーク】となり、若き3人の命を燃やしゲッター天にへと飛びかかった。ゲッターアークはゲッター天と比べても豆粒でしかないがそれでも彼は自らへと挑む彼らに対峙し激突した。


閃光が世界を覆い尽くす。翡翠の輝きが火星を・・・変わり果てた赤き地獄の星たる地球を照らし━━━━。




この世界から彼らは消えた




もう1つの赤き星の根源たる【ゲッターロボ】も同時に姿を消してしまった。何故とは言わぬ。ゲッター線は気まぐれなもの、理解するには悠久の時が必要なのだ。

しかしひとつ疑問なのは2つの赤き星の片割れ・・・かつての青き人類の母星たる地球に存在していた2体の片割れ・・・そうだ、嘗て神隼人がその命と引き換えにこじ開けた『地獄の釜』から這い出てきたアレが、アレが姿を消してしまったではないか!?

火星に佇むゲッター天はただ考えた、先程咄嗟にアレが何処かへと飛んでいく瞬間に彼らを遥かなる因果をつむぎアークがアレを追って時空転移できるように細工をして異空間へと飛ばした。

本来ならゲッターアークだけ平行世界への旅にでも行かせて、これからの未来への糧にでもしてもらおうと考えたがまさか地球のアレが・・・本来ならば動くはずがないアレが平行世界へと飛んでしまうとは・・・何故だ・・・。


 お前は何処へ行ったゲッター聖ドラゴンッ!?











「うぉぉおおおお、どうなってんだこりゃ、獏、カムイ無事かぁ!?」

「とりあえず体勢を整えるんだ拓馬!!」

「計器はどれも安定しない、今はこの光の先を目指すことを優先しろ!」

「当たり前だ。俺達は抗わなきゃなんねぇ、あの恐ろしき未来も待ち受ける運命も…そして俺たちのケジメもつけなきゃなんねぇ!!その為にこんなところで死んでたまるか・・・!」


翡翠の閃光の中、真紅の巨人ゲッターアークがきりもみ回転しつつ出口を求め空を駆けていく。アークを動かす短い黒髪の青年『流拓馬』、体勢を整えることを進言する坊主頭で拓馬の幼なじみの青年『山岸漠』、長めの金髪で人と異なる異種族【ハチュウ人類】とのハーフである『カムイ・ショウ』の3人は先ほどのゲッター天が何かをしたのを理解しているがなんの為にこのような真似を行ったのかは理解出来ていなかった。


「ストーカー、いやアンドロメダ流国の仕業って訳でもないなだろうな・・・マクドナルドもいない、百鬼帝国残党もこの世から滅んだはずだ、俺の手で・・・!」


流拓馬は嘗て未来から時空を超えて、災厄のゲッターロボ【ゲッターエンペラー】の生まれる可能性を消し去るために現れた侵略者ストーカー──ゲッターエンペラーによって圧殺された惑星ダヴィーンの生き残りUFOによって生み出され改造された地球人の集団【百鬼帝国】の残党党首マクドナルドとその主たる諸葛亮孔明と遥か宇宙に股をかける大帝国アンドロメダ流国を母体としたグループ──は以前に壊滅し流国も動きを見せないため候補から外した。


「一つ聞かせてくれ獏、お前はあの時アークに乗ってなかったが何処にいたんだ?」

「あーそれか、俺と拓馬はマクドナルドが操るアトランティスの遺産の魔獣ウザーラを倒した後にスターボーダーに慌てて入ったらエンペラーに拾われてな。エンペラーの意志と遭遇した後に俺は暫く・・・いや何年もいたのかも分からないがエンペラーに残ったんだ、その後エンペラーから火星に移住がある程度終わった時に合流したって訳よ」

「ウザーラを倒した後にエンペラーに拾われただと・・・!?そうか、そんな事があったのか。俺はマクドナルドからバグのデータを受け取ったあと戦闘の余波で宇宙に投げ出されたがゲッターザウルスに回収されその後は・・・知っている通りだ」

「そっちはそんなことになってたんだな。親父や神司令が唯一倒せなかったって話のウザーラ、とんでもない相手だったぜ…ん?どうした獏」

「・・・やばい、今までで1番やばい気配がビンビン来てるぞ」


 思い出話をしていた時、獏が特異体質による予知能力により危機を知らせた途端に続けてセンサーに巨大な反応が背後からすれ違うように現れたことを警告した途端、それを見た拓馬とカムイはその名を呼んだ。


「「ゲッタードラゴン!?」」

「本当にゲッター聖ドラゴンに進化してたのかよ…」


地球での最後の戦いの際に地獄の釜から這い出てきた──【恐竜帝国】との終局時に完成し百鬼帝国との戦いで活躍した後に【真ゲッターロボ】の補給装置となり挙句の果てに暴走した第2世代ゲッターロボ【ゲッターロボG】の変わり果てた異形の姿をした超弩級の怪物──それを見た2人は青い顔をしたが獏の発言に顔色を戻しながらもその聞きなれない名前に疑問符を抱いた。


「エンペラーの中で知ったんだが、ゲッタードラゴンは本当なら真ゲッタードラゴンを経由してそこから場合によって進化するのがアレらしいんだよ。まあ真ゲッタードラゴンも条件は分からないが2種類に進化するらしいんだが・・・そんで聖獣なんて渾名をつけられるアレは地球から時が来るまで火星に来ないんらしいんだけどよ…」

「聖ドラゴンって・・・全然有難みもない名前だな」

「だがはっきりしたな、この空間に入ったのがドラゴンが火星どころかわけも分からない場所へと飛んだのが原因だということ。それに関与したのがあのゲッター天である事もだ」


【ゲッター聖ドラゴン】と呼ばれるその怪物を追跡させる為にゲッター天が自分たちの今の状況を作り出したのは気に食わないが、生命がまともに生きられない環境を作り上げるあの聖ドラゴンは何としても取り押さえなければならない。

ゲッター線の輝きが薄れ徐々に白い光に包まれていく、カムイはその光に昔気まぐれに読んだ小説で異世界に飛ばされる物があったのを思いだし考えすぎだなとため息をついていた。








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「なんて考えていたんだがな・・・」

「青い空、広がる限りの大海原ってとこか」

「陸地が全く見つかんねえな」



ゲッターアークは現在、地球の太平洋上空と思われる場所へと浮かんでいた。ゲッター聖ドラゴンはその巨体どころかその膨大なゲッターエネルギー反応すら消失させていた。見えるのは遥か上空に見える入ったと思われるワームホールだがゲッターアークは弾かれて入ることが出来なくなっていた。


「さっきから出てくるのは変な戦闘機みたいな奴ばかり、小さいし脆いしなんなんだこれは」

「確かにそうだけどよ、人間サイズの・・・昔の戦闘機だよな?」

「恐竜帝国でもこんなものは作れん、この世界の・・・異世界の技術で間違いないだろう。しかしこれはどう見てもイギリスのバラクーダだな」


ワームホールに弾かれること数回、暫くするとどこからとも無くかつての世界大戦で活躍していた人間サイズの戦闘機が次々に現れたがアークに無勢、捕まえようとしたが全て握りつぶしてスクラップに変わっていた。驚くべきはこんな小さな物でありながら本来の性能を維持している点であろう、遥かに高度な技術を持つ恐竜帝国でも作れはしないとカムイは認めこの世界は自分たちの常識が通用しない異世界だと認めるしか無かった。

気がかりなのは戦闘機が元の世界にもあった英国の戦闘機、【バラクーダ】である事だった。


「それに・・・だ、見たか獏?」

「ああ、確かに見た」

「これが、この世界の戦力・・・」

「「「女が海の上を走ってる」」」


遠くからこちらを見て反転していく女性たち、有り得ないその移動方法に3人は目を丸くして呟いた。姿は人間サイズの女性で6人組で船の主砲のようなものを身につけて行動しているのはまだ理解出来た。

問題はそんな6人組は海の上を滑るように走ってるのだ。拓馬と獏は知らないがカムイは嘗て見た資料で氷の上を刃が着いた靴で滑るスポーツのスケートを連想してこんな感じなのか?と考えていた。その女性たちは口を開けて困惑していた、恐らく先程からの戦闘機は彼女たちが警戒の為に出したものと思われるからだ。それがアークの手のひらでスクラップになっているのを発見した為喧嘩を売ってしまったのではないか?と思うのだろう。何せゲッターアークは歴代ゲッターロボの中でも一際顔が怖いことで有名だ。


「おっと少しばかり失礼するぜ」


そのまま反転する女性たちに回り込むゲッターアーク、その速さは彼女たちとは比べ物にならない速さである。50m程の圧倒的巨体が凄まじい速度で回り込んで来るのは恐ろしいのだろう、泣き出しそうな者まで出始めていた。というか殆どアークのその顔面が恐怖を引きたてたのだが。


「ま、待ってくれ!」

「信じられないようだが、俺達はこの世界の人間じゃないんだ」

「君たちを恐れさせたのであればすまなかった、俺達は敵ではない…それだけは信じて欲しい」


アークからの慌てた3人の声には驚いたのだろうか、固まった6人組は警戒をしつつも落ち着きを取り戻していた。ゲッターアークもまた、多少距離を離して海面付近に浮かび上がる。


「敵・・・じゃないんですね、よかったぁ・・・」


6人組の中では年が上の方であろう水色の髪の女性が安堵した声を上げて一息ついた。装備としてはソナーや対空砲を多く配備した様なものを使用している。


「信じてくれてありがとよ、俺はゲッターアーク担当の流拓馬」

「んで俺が拓馬の古い馴染みでゲッターカーン担当の山岸漠だ。んでこっちが」

「カムイ・ショウだ。ゲッターキリクを担当している・・・しかし、直ぐに敵じゃないと判断するには軽率じゃないか?」


ゲッターアークのコックピットを開きその掌に降り立った3人は各々自己紹介を済ませた。カムイはこんな所で警戒を外した青髪の少女に対して疑問を呟く。


「まあそうだけどさ、この世界の人間じゃないんだって言われたら警戒は外すさ。これまでにも何回か異世界の人達が来たからね。最近も来たんだよ」

「・・・マジかよ、異世界ってそんなにほいほい行き来できるもんかよ?」


返答した淡い金髪のボーイッシュな少女の発言にカムイは納得はしたがなんとも言えない顔をして、拓馬は獏に疑問を流した。


「行けるわけないだろう、あのゲッター艦隊でさえ時空間の移動には制限をかけているんだから・・・いや平行世界や異世界なら行けるのか?って話が脱線しちまったな、まだ嬢ちゃん達の名前を聞いてなかったな」

「そうだったね、私はクリーブランド。ユニオンの海の騎士さ!」

「私はヘレナ、クリーブランドと同じユニオン所属で後ろで隠れちゃってるのが・・・」

「ろ、ロイヤル所属のししシグニット!ウチは食べても美味しくないよォ!?」


獏が拓馬に返答しつつも女性たちの名前をまだ聞いてなくそれに対してまず3人が返答した。ボーイッシュな少女はクリーブランド、青髪の少女はヘレナ、そしてその後ろで怯えながら返答した白髪の少女はシグニットと名乗る。


「クリーブランド、ヘレナ、シグニット・・・?確か・・・前に習った昔の軍艦の名前だな」

「つまり・・・だ、俺たちの世界では既に存在しないかつての軍艦が人の姿をとった世界がこの世界の正体か」


獏とカムイは彼女たちの装備や名前からこの世界の特徴を読み取った。拓馬は興味深くその装備を眺めガタガタしているシグニットにやりすぎたか?という感想を出した。周囲への警戒を解いた残りの3人──先の3人と比べ大型かつアークが握り潰してしまった戦闘機を打ち出す装備を持つ人達──が感嘆を感じさせながら話しかけてきた。


「KAN-SENと呼ばれているわ、あと私はウォースパイト…ロイヤル所属の騎士よ。こんなに大きな物を操縦できるなんてすごいわね」

「同じくロイヤル所属のアーク・ロイヤルだ、3人ともよろしく頼むぞ。しかしプロペラも無いのにどうやって飛んでるんだこれは?」


続けて名乗った2人の内ウォースパイトと名乗る少女は自分たちがKAN-SENと呼ばれる存在である事を明かし、アーク・ロイヤルと名乗る女性がシグニットへといかがわしい目線をしながら名乗りを上げた。ウォースパイトの姿を見た3人は目線を逸らし、気づいたウォースパイトは察したのか顔を覆った。


「・・・私はこれが正装だから、決して忘れたわけじゃないわ・・・本当だからね!?動きやすくていいからね!?」


カムイだけはウォースパイトのとある逸話がKAN-SENのウォースパイトにこの格好──下はスカートやズボンどころかパンツ一丁──に成り果てたのかと呆れながらも納得してしまった。


「最後になりますが、私は重桜所属の天城と申します。これからよろしくお願い致しますわ」

「あ、はいよろしくお願いします!」

「尻尾・・・尻尾だよな」

「ああ、狐の耳もある。本当に異世界である事が実感してきたな」


最後の6人目、拓馬と獏の祖国である日本のかつて存在していた海軍の戦艦と同じ名を受け継ぐ大きくフサフサした複数のしっぽと狐の耳を生やした女性・・・天城を見て反射的に挨拶を返した拓馬はなんでだろうなと思いつつも怒らせちゃいけないタイプの人だと本能的に察したのだった。


「天城殿、エリザベス女王陛下とは通信は取れただろうか?」

「ええ、観測されていた反応の「ゲッターアークだ」そうそう…げったーあーくの事は連絡して後はも──ッ!!」


突如として激しく咳き込む天城、倒れかけた天城を支え背中をさするアーク・ロイヤルの姿を見て拓馬はただ事ではない・・・何らかの病気か何かであるのを察知した。

「えと…ウォースパイトさんよ、天城さんは持病でもあるのか?」

「天城は私たちKAN-SENの誕生に関わる『メンタルキューブ』の不具合で生まれつき不治の病にかかっているわ…最近は体調良かったのに・・・」

「・・・あんたらの基地はどっちだい?」

「どうする気?」

「基地に向かえば治療はできるんだろ?それならアークに乗せて行けば早く済む…違うか?」


違くはないけど果たして他の2人は許すか?そう進言しようとしたアーク・ロイヤルは獏とカムイがアークの体をよじのぼり何時でも動かせるように待機し始めていたのを見て杞憂だったかと苦笑を浮かべる。


「重桜に恩を売るのもありますが、女王陛下も緊急事態には目をつぶってもらえるはずですが・・・」

「そうね、陛下もこういう事なら認めてくれるはずだからお願いするわ」


待ってましたと言わんばかりに笑顔を浮かべた拓馬は他の二人のようにするすると装甲をよじ登りアークのコックピットへと潜り込む。アークの両目に光が灯され瞳孔が浮かび上がる。飛行により適した状態なのか背中に生えた幾数本の角の様な物が角度を広げ展開された。


「すまねえな獏、カムイ・・・」

「気にすんなよ。あんな状態になってるのに見過ごせるかってんだ!」

「これから友好関係を結ばなければならないんだ、必要な処置とすればいい。アーク・ロイヤルと言ったか基地の方角は?」

「カムイ殿だったか、方角ならここから南西へと向かってくれ、とりあえず掌に乗せてもらえばいいのか?」

「方角の設定は完了した、アークの掌に乗ってもらう・・・速度は低速で頼むぞ拓馬」

「おうよ、ゲッターアーク…発進ッ!!」


下半身を水面下に沈め、両腕に6人を乗せてアークは少しずつ上昇していく。生身のKAN-SEN達への負担を考え普段よりはかなりの低速で空を舞う。KAN-SEN達からは普段より遥かに早く、空を飛ぶ未知の体験となったのだが・・・。


「「ひゃああ!!??」」

「あはは高いしはやーい!」

「め、目が回りそう・・・」

「加減はしてくれてるだろうがすごい速さだ、天城殿もう暫くの辛抱だぞ」

「ゲホッゲホッ…ごめんなさい、私が迷惑かけて…」

「気にすんなよ!困っていたらお互い様って言うだろ?」


ゲッターアークは空を舞う中、獏は微かに海面に聖ドラゴンの顔面の形をしたオーラのようなものがこちらを見つめていたのを視認し改めて現在地を確認した。


「(こ、ここはストーカー01の中心点だった場所か!?ドラゴンはここを目指していたってわけか?くそ、訳が分からないが…後で皆に話すとするか。けど確信した・・・ドラゴンはここの深海の海底にいる!)」


現在地は元の世界での地球で最も巨大な太平洋侵攻エリア【ストーカー01】の中心点、そこになぜ聖ドラゴンは時空を超えて現れ目指したのかは分からない。

ただ、彼らは飛ぶ。この蒼き大海原を・・・世界を超えて飛び上がるだけなのだ。


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■作者からのメッセージ
次回、『アズールレーン』
テキストサイズ:13k

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