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進化の龍よ蒼き航路を超えて 第4話「チェンジゲッター!!前編」
作者:地獄の釜   2023/01/19(木) 23:59公開   ID:mc.YSvMBfS.

『ではこれよりアークチームは合体訓練を開始、データ収集を行う為各形態にチェンジしつつ、基礎兵装を使い目標セイレーン艦隊を壊滅してください…本当にこれで良いのですか敷島博士?』

『構わん、VR訓練とか言うのもいいがやはり実戦で訓練としてやらせた方がいい結果が出るわい』


 通信機から聞こえる声。未知の敵が迫る中、拓馬はアーク号のコックピットで出撃の時を待っていた。


 時間を遡ること敷島博士がやってきてから3日後の昼前、ゲッター炉心のエネルギーチャージに必要なゲッター線受信装置の開発と基本的な検査を終えたアークは母港周辺海域において久しく現れてなかったこの世界の敵である【セイレーン】の艦隊が突如として襲来。緊急出撃スクランブルをかけていざゆかんとしたその時、敷島が待ったをかけたのだ。

 敷島は真ゲッターと共通規格が多いが機能や能力に大きく差が付けられたアークを技術者KAN-SENも交え、喜びに溢れながら整備をしたが…押さえ込んでいたいかれ具合の蓋が空いたのかこの襲撃で整備の成果を出させろと言ったのだ。


「博士、私も整備に参加したけど本当にあの数値をもつ機体を”ただの人間”が死なずに乗りこなせるのかしら?」

「まだ疑ってるのかビスマルク?あの3人はゲッター線に呼ばれ、ゲッター線を浴び続けた【ゲッターの申し子】!!まぁ…まだ制作はしておらんがデチューンした【アレ】ならまだお前さん達にもギリギリ乗りこなせるがな」


 参加者の一人である鉄血代表ビスマルクの焦りを混じえた発言にさらりと言葉を返した敷島は周りの視線を無視しながら、通信機へと声をかける。


「拓馬・カムイ・獏、今回の目標は出張から帰還し今現在セイレーンに襲撃されているこの母港の”指揮官”と母港所属の同じ異世界転移者とKAN-SEN達の救援にある。それと同時に整備とエネルギーチャージの完了したアークの性能試験テストも兼ねておる。心して任務に当たるように…以上だ!」


 セイレーンの反応を示すレーダーの中心に浮かぶ反応…姿を見せていないKAN-SEN達の指揮官である青年と新たに迎えたという他の異世界転移者達とKAN-SEN達の搭乗していた任務艦である。この世界にとっての希望そのものにしてKAN-SEN達が愛した人物にしてセイレーンの大敵である存在は替えがきかない為に重大な任務である。


「…この場にいるKAN-SENを代表してゲッターチームへお願いするわ

 願いはただ1つ……彼らを助けて…!」


『『『応ッ!!』』』




母港の港に取り付けられた専用の地下射出口内部では、慌ただしい動きで作業饅頭とKAN-SEN達が射出準備を整え最終シークエンスに入った。


『各パイロットバイタルサイン良好!』

『アーク号、キリク号、カーン号、アイドリングチェック完了!ゲッター炉心出力及び増幅炉は規定値を維持!』

『整備員待避完了!』

『出撃お願いします!』

『みんなを…新しい子たちを…指揮官様の事、よろしく頼みますわ…!』


『出撃ッ!!』



ドワォッ!!



 歪む視界、轟く轟音、あっという間に地下から地上へ…遥かなる地平線を移す蒼き航路を眼下に収め、音を置き去りにして若き命を燃やす弾丸となりゲットマシンは空を引き裂く流星となった。



「...生きてますわね。指揮官様と博士の言っていた話は本当だったようね」


 ゲットマシン専用の射出口の管制室にいる重桜装甲空母型KAN-SENの【大鳳】は自分の指揮官が昔聞かせた話と敷島の話が本当であることを理解し1人小さく呟くのだった。

 死んでいても可笑しくない高Gの中、通信からは悲鳴すら挙げずに集中した呼吸音のみが静かに響いていた。

 ゲッター線に選ばれた者には加護が宿ると。

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 母港から南東方面海域ではヨークタウン級空母からユニオン製の艦載機が飛び立ちセイレーン艦載機と交戦、KAN-SENの主砲が火を吹きセイレーン艦が爆散しその中をKAN-SENとは異なる装備をした1団…異世界転移者達が海面を滑るように駆け抜ける。


「シャイニングブラストッ!!…さっきからやけに火力が上がってないパティ?」

「まるで何かが来る前に私達を仕留めたい…と思えるように見えます…」

「パティの言う通りだ、セイレーンの動きが少しづつだが焦りを持っているようにしか思えん。気を引き締めろライザ」


  3人でチームを組んで行動しているのは多彩な道具とシャイニングブラストと呼ばれる光線を放つライザと呼ばれた女性に、太刀と艤装に取り付けられた主砲を巧みに合わせ斬撃を飛ばすパティと呼ばれた少女、両腕の鉤爪と艤装のアームユニットでセイレーン駆逐艦を粉砕する獣人の女性である。


『数は多少減ったとはいえまだまだ数は多い、3人とも油断はするなよ!』

「む━━、指揮官さん!?」


 3人の上を飛ぶセイレーン艦載機が飛んできた対空砲火により砕け散る。ライザが周囲を見渡すと小型のボートの上でKAN-SEN用の対空機銃【113mm連装高角砲】を改造した物を片手で担ぎながら無線で連絡を取る男の姿を見た。この世界のどこでもない軍服らしく【日本軍】の少佐であると名乗っていたライザ達異世界転移者たちの身元請負人…指揮官である。

 その身なりはシンプルな軍服で色は深緑で統一され、目元深くまで被ったこれまた深緑の帽子を被っている。見た目は太り気味だがその実見た目以上の筋肉の塊でありながら尋常ではない頑丈な肉体を持った異常な身体能力を持つ男性だ。KAN-SENの力を与える艤装を得たライザ達でさえ軽く投げ飛ばされKAN-SENの装備を生身で掃射している怪物だ。

 そんな人物が小型のボートで前線に出てきて戦闘に参加して来るとは思ってもいないので思わず声を上げてしまった。


『へへへ、こんな奴らはインベーダー共よりは楽勝だ。それよりもお前達は一旦下がれ、弾薬や燃料が底をつきかける前に補給をしつつ休んでいろ!指揮は続けてライザが取れ』

「…っ、了解…!」

『パティも言いたいことが有るだろうが、海上戦は見た目以上の疲労が蓄積するんだから早く行け…なあに俺一人でもKAN-SENの3個艦隊分の働きはするさ』


 通信を切るなり、指揮官のボートは対空機銃をばら撒きながらセイレーン艦隊へとあっという間に潜り込み、艦載機まで引き付けてしまった。時折即席のミサイルランチャーをセイレーン艦の砲塔口に潜り込ませ盛大に爆砕していき瞬く間に殲滅した指揮官の行動に納得するしか無かった。


「しかしこいつらなんだって急に……かれこれ5年前から見てもここまでの事は無かったが……?」


 彼はこの世界の人間では無い。しかしながらKAN-SENの力を最大限引き出すことが可能な人間である資格を持っていた。5年前に元の世界で死に果て、天に召される前に仲間たちを鼓舞して満足して消えたはずがこの世界に現れて今に至る。


「ピュリファイアーの奴がちょっかいかけてる訳じゃないし………こいつらを指揮してるのは誰だ?」


 なにかに囃し立てられるように殺しにかかった艦載機の動きに不穏な空気を感じながら彼は機銃を構えた。途端に今の今まで聞いたことがない音を”水中から”感知し即座に船を急速旋回し攻撃を回避した。

 セイレーンの物とは異なる巨大なミサイルが次々と海中を切り裂き彼を潰さんと飛んでくる。更に生物のものであるがあまりにも巨大な触手がその巨体をぶつけようとするもその全てに弾幕をぶつけ、限界まで稼働させて避け切る。


「こ、こいつはぁ……!?馬鹿な、なんでここにいる!?」


 それは竜の頭だ。ただし頭頂部からは蛇のような頭が3つも生えており胸部は装甲を兼ねた火器ユニット、下半身はおぞましいタコのような触手を生やした物でありこの世界のものとは一線を画したバケモノが海中から飛び上がったのだ。だが彼は知っていた、彼とは違う彼の記憶からこの怪物の正体を知っているのだ。


GYAOOOOO!!!

『指揮官様、聞こえますか!?か、怪獣です!怪獣が……!「ありゃ怪獣じゃねえ……!」し、指揮官様!?』


「あれは……メカザウルス・メサ!!




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■作者からのメッセージ
遥かなる因果からこの世界に許されざる怪物が現れる時、運命が動き出す

次回 「チェンジゲッター!!後編」
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