ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

進化の龍よ蒼き航路を超えて 第1話「アズールレーン」
作者:地獄の釜   2022/07/16(土) 21:29公開   ID:L3QNqjUaHSg

地平線の彼方から朝日が昇る。地はなく広がる限りの大海原に映るその光は港を走っていた青年──流拓馬──の顔を眩しく照らした。


「朝か…」


世界を超えてからはや1日、アークチームはこの世界において現状で最も安全な場所で居を構えていた。

昨日…持病が悪化したKAN-SENの1人である天城を基地へと送る為に飛んだゲッターアーク、しかしそんな彼等が見たのは基地とは名ばかりの大規模な民間施設の寄り合い場と言える変わった場所こと【母港】であった。


この世界は元は一つの世界統一軍隊が2つの勢力に別れて争っているという。まずこの世界のシーレーンを支配した遥かなる未来かはたまた異世界から現れたとも言われる人型侵略生命体【セイレーン】。この侵略者の力を優先的に取り入れ力を付けた【レッドアクシズ】。そして侵略者の力を否定し自分たちの力で戦うことを決めた元からあった世界統一軍隊【アズールレーン】。

しかしこの基地は世界で唯一無二の完全中立地帯であり全ての国家と勢力のKAN-SENが所属し、生活している特殊な場所でもある。


「ここ本当に軍事基地なのかよ、本当にあってるんですかアークロイヤルさんよ?」

「間違いなく軍事基地だ。なんの問題もないぞ!」


港と呼ばれる帰還エリアに出迎えに集まった人々がアークの姿を見て口を開けて驚いていたが、天城の症状を確認してからすぐ様治療機関へと搬送していきアークはこの基地の購買所──KAN-SENきっての発明家であり商売人の重桜の工作艦の明石がしきる工房と研究所を兼ねた雑貨屋──の隣にゲットマシン形態に変えて待機させている。


「なんなんだにゃこれは!?何をどうしたらこの戦闘機が巨大ロボットになるのだにゃ!?フレームも構造も支離滅裂だにゃ!?」

「あまり気にしない方がいいっすよ?」


ゲッターチームは以前に異世界からやってきていた少女の1人である新条アカネと名乗る学生から、ユニオン所属の寮の一室が空いているのを教えて貰いそこで1悶着起きたが暫くはそこで寝泊まりする事が決まりその初日はお開きとなった。

拓馬が早朝に港を走っていたのは慣れない環境にいるが故に眠りが浅いのもあるが、此処にも以前に突如として現れた機動兵器が有るのを教えて貰い見に来たのだ。

アークと比べるとあまりにも小さい5m程の緑色で頭部は3種のモノアイが三角状に配置され胴体には機体を浮かべるためのフロートを脚部に推進用ハイドロジェットを、関節部などには浸水防止加工を施した量産性に特化しつつ水辺での戦闘に特化した機体【マーシィドッグ】の姿が港の近くの広場で鎮座していた。


「おや、君は…例の巨大ロボットのパイロット君か!」
「確かあんたは…」
「北方連合所属、7U型駆逐艦-ソオブラジーテリヌイ。この子…マーシィドッグのメンテナンスをしていたんだ」


ソオブラジーテリヌイと名乗ったKAN-SENの少女はお供として連れている機械仕掛けの珍妙なヒヨコじみたロボット【メカ饅頭】と共に、マーシィドッグのメンテナンスをしていたようである。



「この子はね…私が着任する前にこの母港をたった1人で敵から守ってくれた英雄なんだ」
「パイロットはいなかったのか?」
「居たはずなんだけど発見した時には既に…ね。だから私たちはこの子を大事にしたいんだ、皆を助けてくれてありがとうってね。さて今週のメンテナンスは終わりっと…そろそろ食堂も開く筈だし一緒に戻らないかい?」
「そうだな、目的も果たしたし…帰るか」


拓真は鎮座するマーシィドッグを一瞥し、ソオブラジーテリヌイと共に話をしながら帰路に着く。そしてかの英雄へと敬意を持って仲間への土産話とした…小さな鋼の英雄の物語を。


―――――――第1話『アズールレーン』


KAN-SEN達の基地こと母港の朝は早過ぎず遅過ぎずぐらいの時間だ。その日によって食事を作るKAN-SENが日替わりの朝食が作られる食堂もあるが、1部KAN-SENは付き人ならぬ付きKAN-SENによる食事の提供が行われている。

そんな中、昨日からこの世界に来たアークチームは食堂の準備に勤しんでいた。


「味噌汁はこんな感じでいいっすか?」
「うん、この位でいいかな。人手が足りないからどうなるかと思ったけど本当に助かるよ」


拓馬は重桜KAN-SENの1人空母瑞鶴や他のKAN-SENと共に汁物の用意に勤しんでいた。本来は昨日倒れた天城がシフトに入っていたものの、和食等に知識がある拓馬が手伝いに入ったのだ。この母港では全く居ない男性の拓馬に驚きながらも準備は片付けられていく。


「拓馬くんは、料理はよくやってたの?」

「俺の家、親父が俺が産まれる前にゲッターに乗り込んで恐竜帝国が使った全てを終わらせる最終兵器【デビラ・ムゥ】を吸収し融合してから地球から火星に飛んじまって消えちまったからな…それでお袋と二人暮しだったんすよ」


拓馬の放った言葉に何人かのKAN-SENや異世界組が固まる。何気なく聞いた一言がSF戦争記の最終戦で、自分が産まれる前に父親が最期に乗っているロボットで世界を滅ぼす最終兵器を吸収し尽くして地球から火星へ去ってしまったなんて聞いてしまえば固まるだろう。


「じょ、冗談じゃない…よね?」

「冗談じゃないっすね。親父…流竜馬は俺が乗ってる【ゲッターアーク】の完成形の【真ゲッターロボ】に乗って…いや『融合して』とんでもない大きさのエネルギー体になって火星へ飛んで消えちゃったよ」

「…凄い現実離れした内容だね」


そりゃあそうだと拓馬は笑うがその後の言葉に瑞鶴は質問をした事に後悔する事となった。


「デビラ・ムゥ自体はありとあらゆる物体を食って融合して終いには、地球の自転を崩壊させて地球の大気を改造しようとしたんだ…誰かが止めなかったら全てが終わる。親父はそれを分かってただけさ…」

「じゃ、じゃあお母さんは…お母さんはそれを受け入れていたの?」

「お袋は押しかけ女房って奴だけど、親父がどういう最期を迎えるのかは何となく分かってた様だけどな…それに、愛してなければ俺は生まれねえよ」


苦笑しながらあまりにも達観した返答はKAN-SENとして生まれてきた瑞鶴には重くのしかかる。だが一つだけ言えることはあった。


「愛されて…いたんだね」
「そりゃあ、そうだな…本当に感謝ばかりだよ」


彼は愛を注がれ生きた、そして今を生きているのだ。そして親しき仲間と出会い今ここにいるというのだ。彼にはもう後ろを振り向くことは無いだろうと、瑞鶴は納得していた。


「っとそろそろ来る時間だったか、瑞鶴さん?」

「あっ、そろそろだね…どうしたの皆?」

「な、何も無いぞ?」

「ゆ、夕立さんと同じく私も何も無いです…本当ですよ!?」


拓馬と瑞鶴があまりにも自然な友人の如く会話をしていたので手を止めてしまっていたのは2人は知ることは最後まで無かった。


「拓馬、デザートと飲み物とおしぼりの用意はできたぜ!カムイの方も下準備は済んだってよ!」


獏は飲み物の補充と手を拭くおしぼりに加え、ヨーグルト等のデザートを用意していた。カムイは厨房でおかずの下準備を整えて何時でも注文に答えられるようにしている。

この日の食堂は開店以来、最大の賑わいだったという。


━━━━━━━━━━━━━━━


母港の中心部には基地司令官が執務を行う場所も含めた大きく白い庁舎があり、その会議室にアークチームの3名は集められていた。彼らを出迎えていたのはKAN-SENの中の所属勢力の重鎮とその指導者という破格のメンバーであった。別室にはカメラ越しに異世界組も何人かが参加していた。何せ異世界から始めて男性が現れたなんて思いもしなかった為に、気にはなるのだ。

慣れない女性だらけの環境というのもあり拓馬は不安そうにしているが、カムイと獏は落ち着きを保ち冷静になっていた。それを見て拓馬は深呼吸を行い遂に会議が始まることとなった。朝食を済ませたばかりで眠いが欠伸を噛み殺し会議を行う。


「まず先日は天城が世話になったばかりか、天城の代わりに業務を遂行してくれた事にお礼を申し上げたい」

「ま、待ってくれ俺はそんなに頭を下げられる様な偉いことをした訳じゃあ━━━」


口火を開いたのは見た目は幼いながらも膨大な神秘をその身に宿す天城と同じ狐の要素が色濃く現れた少女だ。しかしてその正体こそ――。


「【レッドアクシズ】重桜代表の長門として、御礼を申し上げたい。彼女は多くの者に親しまれその身に何かあれば悲しむ者も多かった…この長門もその1人だ」


この世界を二分割した片割れの勢力【レッドアクシズ】構成国家の片割れ【重桜】の元首でもある嘗てビッグセブンと呼ばれた戦艦長門その人である。


「長門…日本海軍の連合艦隊の象徴か」
「艦歴としてはそれであってはいるがなカムイ・ショウ殿。今は重桜の民と共に有る1人のKAN-SENではある」
「お…私の名前を。まだ貴方様とはお会いになったのは今日が初めてでは?」
「かしこまらなくてもよい、カムイ殿も既に会っている明石が解析したアレから情報を見ていたから既に把握しておるのだ。それに、そなたらの出身国の日本…この世界では我が治める重桜でもある故に挨拶はしっかりとせねばな」


重桜は並行世界の日本。それはアークチームももしやとは思っていたが長門から語られると事実であると理解はせねばならなくなった。何があったら獣の耳や尻尾が生えるのかは置いておくとしてだ。


「えと…長門さんか、俺たちのためにわざわざ時間を作ってくれるのは有難いけど護衛は付けなくて良かったのか?」

「心配してくれるのは有難いが、知り合いから今日は問題ないと言われてるのでな」

「もしかして未来予知でもしたか?」


獏の発言にビシリと言わんばかりに固まる長門に対して、やっぱりかとまるで知っていたかのように獏は笑うばかりだ。重桜には大和級3番艦の信濃と呼ばれる空母型KAN-SENがいるのだが彼女は【枝】と呼ぶ並行世界を眠りながら認識する事が可能で場合によっては未来予知のような事も可能だ。まさか山岸獏と呼ばれる目の前の青年が似たようなことが可能だとは経験はそれなりに長い長門も思ってなかったようだが。


「重桜の話は終わりかしら、では次は私よ。昨日はシグニットとアークロイヤルが世話になったわね」


次に言葉を発したのは長門と同じ程の少女だ。正にお嬢様という気風を醸し出しているが年相応のやんちゃさも感じさせるも、この場にいる代表たちと同じく異常な力を感じさせている。お付の銀髪のメイドも常に主人を守れるように位置を変えながら待機している。


「あーその本当にすいませんでした!怖がらせる気は無かったんだけど…あんなに怖がらせて…」


シグニットの名を聞いて拓馬が謝罪を行うも、あまり気にしなくてもと言わんばかりに苦笑された。


「まああの娘シグニットが内気だったのもあるけどアレ「ゲッターアークでございます」そうそうゲッターアークだったわね、アークの顔が怖いからまあ仕方ないわよ…私は【アズールレーン】のロイヤル代表クイーン・エリザベスそして━━」

「女王陛下の補佐とロイヤルメイド隊のメイド長を務めさせていただきますベルファストと申します、以後よろしくお願い致します流拓馬様、カムイ・ショウ様、山岸獏様」

「本物のメイドさんって奴か初めて見たぜ!」
「カムイ、恐竜帝国にメイドさんっていなかったよな」
「まあ確かにいなかったが…俺も見るのは初めてだ」


世界を二分割する片割れの【アズールレーン】構成国家最大派閥たるロイヤルの代表クイーン・エリザベスと補佐兼メイド長のベルファスト。ゲッターアークと先日のシグニットのトラブルから流れる様に名乗りを上げたエリザベスはベルファストに注目が集まっているのを見てずっこけそうになるが、アークからの情報でかの世界の状況を知っていた故にまあ仕方ないわねとため息をついた。

なんかベルファストが自慢げにこちらを見ていたが…まあ異性とあまり接点なくて仕方が無いのだろうが。
メイドだからスタイル良いのは当たり前だし…気にしてないし…気にしてはいないと雑念を払いながらも話し合いを続ける為に口火を切った。


「メイドなら他にもいるし先に話を済ませたいわね」

「そうだった…」



今日この場に招かれたのは、自分達の情報の共有となぜこの世界に現れたのかについてだ。ある程度の情報は既に明石から解析はしてもらったがそこから先はプロテクトが突破出来ないので口頭で聞くしかないのだ。


「なら俺たちの目的を先に明かした方がいいな」

「なら俺が説明するぜ」


説明を行うことになったのは獏だった。


「改めて初めまして、俺は山岸獏。元の世界では【グリーンアース教】と【早乙女研究所】に所属していた坊主だ」

「早乙女研究所っていうのがゲッターアークを作った所で、貴方がそっちの世界の宗教の教祖の『メシア・タイール』の弟なんだっけ?そこからは情報がロックされて見れなかったけど」

「なら話はそこからだな、実は兄貴と俺は超能力者なんだよ。能力は未来予知で兄貴の方が非常に高いが」


兄弟揃って未来予知ができたのかと先程の発言を思い出した長門は兄の名前が出た所で影を感じた事から、コンプレックスがある事を察知した。クイーン・エリザベスも同じことを感じたようだ。


「まあ、話は戻すと…俺たちの目的はこの世界に飛んでしまった【ゲッター聖ドラゴン】の回収だ」

「もしかして…あの赤くて変な物体の事かしら?」


赤くて変なのとドラゴンの事をそう呼んだのは、非常に長い長髪でありながらもゲッターチームに匹敵する長身を持つ赤と黒を基調としたドレスを着たKAN-SENである。長門とクイーン・エリザベスとは別次元とも言うべき力の流れを感じた獏は唾を呑み込んだ。


「(で、でっけえ…!)あ、あんたは?」

「初めましてね坊や。私は【レッドアクシズ】の鉄血指導者『ビスマルク』の代理で参加させてもらっている【特別計画艦】のフリードリヒ・デア・グローセ…よろしくね」

「あ、どうも…坊やなんて初めて呼ばれたな」

「こんなにでっかい女は始めて見たぜ」


【特別計画艦】…本来の歴史には存在しない文字通り特別計画と呼ばれる計画にて生み出された規格外の戦闘能力を持つKAN-SENの事である。その中の一人がこのフリードリヒ・デア・グローセである。

ゲッターチーム一の巨漢である獏とほぼ同じ程の高身長を誇るフリードリヒは続けて言葉を放つ。


「そのゲッター聖ドラゴン…そう呼ばれる物体が現れたのは今から半年程前ね。あの大きさのワームホールから現れたとは思えない巨体は、太平洋上空を暫く旋回した後ハワイアントラフの深度5500mに潜り込んで眠りについてるわ」

「5500mか、その深度ならアークでも何とかなるな…けど寝てるって事は今は起こすわけには行かないな」

「拓馬、行くんだったら【ゲッターカーン】で行くのがいいぜ。3形態の中で耐圧と水中戦に優れてるからな。それにまだ試してない機能があってな…」

「深海での活動はカーンなら適任だろう、緊急離脱なら【ゲッターキリク】に任せてもらおうか」

「機動力ならアークより優れてるからな頼むぜカムイ!…ってどうしたんすかフリードリヒさん?」

「調べるなら潜水艦を調達しようと思っていたのだけれど・・・単独で活動できるのね」


フリードリヒはドラゴンが眠る深海5500m地点に行くのならこの会議に出ている北方連合から潜水艦を借りて行動する予定を立てていたのだが、ゲッターが単独で潜水艦の能力を上回る機能がある事が発覚しまた計画の練り直しが確定して遠い目をした。


「追いかけていたのは同時なのに、飛び出たのに半年も時間のズレが出てるとは…個人的には頭が痛い数字だな」

「カムイと同じだよ。しかしまあ寝てるってのならかなりの長期作業になるな…長門何かあるのか?」

「寝てるのなら多少は動かせるのではないのか?」

「「「それが一番ヤバいんだよ」」」


長門の疑問に対して3人が揃ってヤバいと答えた。それに対してアークチームは嘗て起きた悲劇を語る。

3人が揃って産まれる前に開発された第三世代機【真ゲッターロボ】、そしてそのエネルギー補給装置となっていた第2世代機【ゲッターロボG/ゲッタードラゴン】。この2機を破壊するために現れた遥かなる未来にて【ゲッターエンペラー】の生まれる可能性を根絶やしにするために過去に現れた惑星ダビィーンの残存艦隊が地球ごと滅ぼす為に特攻をしようとした。しかしその時は前回の襲撃でドラゴンは暴走しパイロットである車弁慶を吸収した後遥か地下に沈み、混乱のさ中にあった。

その時不可思議な事が起こった。嘗て初代ゲッターチームの1人で非業の死を迎えた『巴武蔵』、嘗てゲッターチームによって壮絶な死を迎えた恐竜帝国帝王『ゴール一世』と百鬼帝国皇帝『ブライ大帝』らが共に死んだ部下達と共に蘇り真ゲッターを出撃させドラゴンを破壊せんとする巨大戦艦に追いつく。



これが全ての始まりにして逃れられぬ運命の始まりになるとは誰もがこの時理解することはできなかった。



地下に沈み混んだドラゴンはマグマや周辺の空間すら吸収、融合を果たし宇宙をも喰らおうと巨大化していたのだ。惑星ダビィーンの巨大戦艦も融合…否…喰われていく中自爆も無意味となり最終的にはこの戦艦が通っていった真ゲッター以外の全てはこの時ドラゴンに全て取り込まれ終ぞ片手で数える程の運の良かった者以外は皆ゲッター線に取り込まれ消えてしまった。この後ドラゴンは浅間山地下超高濃度ゲッター線封印領域こと通称【地獄の釜】に封印される事となった。

そしてこの世界に来る2年ほど前、カムイと拓馬は遥かなる未来で暴威を振るう【ゲッターエンペラー】による蹂躙を垣間見た際に異なる道を選びカムイは世界改変最終兵器【バグ】で地球を制圧し人類の進化を封じる事を選び人類殲滅を、拓馬はゲッターにてゲッターの運命を超えることを選び激突,ゲッターアークは中破しバグに破れさらんとする中突如ドラゴンは【ゲッター聖ドラゴン】へと進化を果たしバグを粉砕しながら地球をゲッター線汚染を引き起こし赤き死の星へと変貌させたのだ。

しかしカムイの行動は一様に責められる内容ではない。元をたどれば未来世界…遥か2500年以上先にて現れたゲッター艦隊の武蔵司令らの地球人類絶対至上主義とその悪辣としか言い様がない汚い死ダークデス砲による星を腐らせ1億もの異星人を文明ごと殺し、最悪の侵略者となった人類の行動を見続けた人間と恐竜のハーフであるカムイであるが故に、この最悪の未来からハチュウ人類を守りたかったという事を考えさせてしまった故の結果なのだ。そして助けたかった人間の母親が自らを守る為に死んでしまったことが、カムイを凶行に走らせてしまったのだ。


長門達KAN-SENはこの話で顔が青ざめ口が開けられない状況となってしまった。実は聖ドラゴンに対して可能ならば確保せよとそれぞれの本国に通達があったのだが、蓋を開ければこの仲の良い3人を引き裂き文字通り星を滅ぼしかけ汚染尽くした災厄の権化である事が語られたのだ。
何より世界改変最終兵器を一方的に破壊尽くした物を制御しろなんてこの世界には可能にする技術は無い。


「俺が地球人類を壊滅させ虐殺しゲッター地獄を作り上げてしまった原因であるのは事実。拘束し監禁されるのも受け入れよう」

「それを受け入れることは出来ないわ。そもそもあんたが未来の人類に絶望して何もかも1人で背負って正常な判断が出来ない状態でいたのが事の始まりでしょう?少しは仲間を頼りなさいよ!」

「我等KAN-SEN、そして我等が指揮官はカムイ殿を拘束する事は好まん。それにカムイ殿が事を起こしたのはカムイ殿の世界の話、この世界で引き摺る事では無いはずだ」

「私たちが望むのはあの聖ドラゴンを貴方達に引渡し、世界の脅威を取り除く事よ。ケジメをつけるなら貴方が行動で示しなさい」


カムイ・ショウを捕え監禁するなぞ出来るはずもない、レッドアクシズとアズールレーンの両勢力から、この世界は貴方を受け入れるのと同時にドラゴンへの対処でそのケジメを付けろと言われ無言の礼をしカムイは席へ座る。


「話を戻すぜ。ドラゴンを動かしちゃあならねえのは事実だが、提案するとなると…動かないなら活性化するまで待てばいい」


続けて獏が言葉を走らせる。ドラゴンがゲッター線汚染を引き起こしたのは覚醒に伴う異常活性で無理やり叩き起した物によるもので休眠状態から安定期に移行すればドラゴンとの接触は安全な物だ。特に開発系統か直径で繋がるゲッターロボアークであるなら尚更だ。


「今はともかくそれしか無いわね…エンタープライズもそれでいいわね?」

「無論だ。現状コンタクトを取るにはそれしかないのだからな…アークチームが出してくれた情報を元に観測チームも用意しよう」


無言を貫いていた【アズールレーン】構成国家の1つであるユニオン代表を務める空母型KAN-SENエンタープライズが既にデータを回して観測チームの発足を開始していた。アークチームには複雑な視線を向けているが何処か同情する様な目を感じ3人は礼を返した。


こうして会議が終わり解散となった。


■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
次回「来るべき変人」
テキストサイズ:16k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.