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泊提督 短編
作者:えふぃん   2024/03/27(水) 00:48公開   ID:7lPpwPOtI/Q
泊提督の日々
 



沖縄、泊港。
本来では離島や海外からの旅客船が往来する港だったが
とある日、深海棲艦とやらの謎の勢力により
港としての機能を失い放置されていた。


……なんやかんやで大本営と浦添軍港、中城軍港の艦娘の奮闘により
泊港は漁船や離島への旅客船停泊地としての機能を取り戻しつつあった。

だが深海棲艦の脅威は完全に取り除いたわけではない為、
数名の駆逐艦を配備し護衛する任務を受諾。
それで私が提督として着任することとなったのである。


いや、そこら辺の一般ピープルでしたが
ティンときた!とのことで抜擢。
それでいいのか、海軍。と思いつつ、本日も日課としている日誌を此処に綴る。


「司令官さん、任務完了の報告なのです」
おっと、艦娘達が護衛任務から帰ったようだ。
護衛といっても深海棲艦の流れが出てくるのは時々で
基本的には無事何事もなく、である。

「本日もご苦労様。誰も怪我はないかな?」
「はいなのです!今日は海も静かで深海棲艦の姿も見えませんでした」

それは何よりである。
艦娘といっても私が指揮している艦娘はどう見ても小学生の女の子である。
それも駆逐艦4隻である。護衛任務もかなりぎりぎりのペースで行っていて
大人としては毎度心配するものである。

ここで所属艦娘の紹介をしておこう。
特V型駆逐艦「暁」「電」「雷」「響」
よくわからないが、長女、次女、三女、四女という扱いらしい。
今報告してきた子は電である。

「いつもなら暁が率先して報告すると思うけど、今日はどうかしたのかい?」
「えっと、たまには電に譲ってやるわ!なのです」

レディでお姉ちゃんなんだから!って幻聴が聞こえてきそうだ。
彼女らの中では私への報告任務も艦娘としての喜び?になるらしいので
こうしてローテーションを組んでいるのだろうか。
いや、詳しくは聞いてないが……多分そういうことだろう。
と報告書を眺めつつ本日の業務を終わらせようと再び筆を持ったところ
何故か電がもじもじしながら、でも抵抗感なく私の片膝に座ってきたではないか。

「……どうしたの?
「お、お手伝いなのです」

お手伝いね。ありがたいが今貰った報告書に印鑑を押して
海域の様子や深海棲艦の兆候などを大本営に送信するだけなのだが……
まぁ好きにさせてあげよう。私にできることは艦娘のご機嫌を取るだけなのだから。

「ありがとう。でも今日はもう終わりだから……お茶菓子でも食べてゆっくりしようか」
「わぁ!では準備するのです」

すっと膝から降りるとお茶請けの用意をせっせと行う電。
これを狙っていたのかと勘ぐってしまったが、あの電がそういう事はしないだろうと頭を振る。

「どうぞ、なのです」
「あぁ、ありがとう」

ソファに移動してお茶を啜ると今日も平和だったなぁとか
昔は大変だったなぁと思いに浸る。

「今は落ち着いていますけど……前は大変でしたね、死ぬかと思いまいした」

どうやら彼女も同じことを考えていたらしく感慨深く呟いた。
そう、昔はここも大変だったのだ。
あ、反艦娘団体の野次ではなくてね。

3〜4度沖縄海域や南沙諸島。台湾沖が攻め込まれ大本営が「◎◎作戦」とな打って
深海棲艦との大決戦に巻き込まれたことが数回あるのだ。

「大本営の動きが遅かったら危なかったねぇ」

そんくらいやばい時期があったのだ。
と、そんなこんなでお茶菓子もなくなり会話も尽きたので
本日はお開きとしよう。

「では司令官、おやすみなさいなのです」
「あぁ、電もおやすみなさい」

戸が閉まる音を聞きながらまだ少し考える。

「うちにももう少し艦娘配備されないかなぁ。駆逐艦以外」

そう、うちには駆逐艦しかいないのだ。



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