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とあるゼロの使い魔??の続き その1
作者:くま   2009/01/12(月) 21:43公開   ID:2WkxvL3EczM
【注意】捏造設定含みます。性格の改変もありえます。

(あくまで私の主観で感じたものを元に書いてますので)

 それでも構わないという方は、先にお進みください。






「よろしいですか?

 儀式を成功させれなかった彼女を進級させるべきではない。

 そうあなた方は言われるが、それはつまり自らの非を認める事になりますぞ?

 彼女は至って正しく、そして伝統に則った手順で儀式を行ないました。

 そこに怠惰や過失は存在せず、

 それでもなお結果としては儀式が成功しなかったのです」


件の儀式の監督をしていたコルベールが、

ぐるりと周りの同僚達を見渡しながらそう告げる。

同僚達は普段の柔らかな物言いとは違う口調に戸惑いながらも、

耳の痛い言葉を発した彼に悪意に寄った視線を向ける。


「あなた方は一年という彼女の年齢にとって重要な時間を費やせておきながら、

 彼女を儀式に成功させれるレベルまで導けなかったという事です。

 しかも彼女は他の生徒たちと比較しても努力家あり、

 何事にも真面目な姿勢で取り組んでいたと聞き及んでいます。

 となれば教師の指導の方法に問題が在ったのではないか?

 一体、彼女を教えた教師達は一年もの間に何を彼女に教えていたのか?

 その考えに至るのはごく自然な流れでしょう。

 …彼女に特別な事情が在ると言うのなら話は別でしょうが。

 オールド=オスマン!

 他人事のような振りをしておいでだが、これは貴方の責任でもあるのですぞ」

コルベールは同僚の教師たちの責めるような視線を平然と受け流しつつ、

今度は学園の最高責任者であるオスマンへとその矛先を向けた。

「いや、だって、ワシ関係ないじゃろ?

 そもそも、儀式の監督をしてたのはコッペル君だしの」

プチプチと鼻毛を抜いていたオスマンは、抜いた毛をふっと吹き飛ばしつつ、

そ知らぬ顔でコルベールの言葉を受け流す。


「コルベールです、オールドオスマン。

 もちろん、私に責任が無いとは言いません。

 ですが、それを言うのなら私を監督に就くように指示したのは、

 オールドオスマン、貴方だったはずですが?

 …ああ、ならば此処は我々二人が責任を取り、

 ヴァリエール公爵夫妻に報告に行くとしましょう。

 私は公爵の方にミスヴァリエールの留年について説明しますので、

 オールドオスマンは公爵婦人にご説明をしていただくということで…」


そう続けられたコルベールの言葉にオスマンの手と表情が固まる。

慌てた様子で頭を振り、コルベールに反論するオスマン。


「いいい、いやいや、普通は逆じゃろ?

 というか、別々に話をする意味だって無いじゃろうに」

「公爵夫人は見目麗しい方と聞き及んでおります。

 故に僭越ながらオールドオスマンのご意向を汲み取らせて頂きました。

 それと私には公爵夫妻のお二人を相手に、きちんと説明出来る自信が在りませんでしたので…。

 無論、知恵者であられるオールドオスマンなら違うのでしょうが…」

「何を言っておるか、コルゴル君、君ならできるとわしゃ信じとるよ」

「コルベールです、オールドオスマン。

 そもそも、生徒の一生のかかった重要な問題です。

 若輩の私などにそのような大役はとても務まりませんよ」

「いや、しかしじゃな…」

「ははは、ご謙遜を…」


こうした監督の教師コルベールと学園長であるオスマンの幾許かのやり取りの結果、
留年かと思われたルイズの進級が条件付で認められる事になった。

その条件とは教師達の監視の元に使い魔召還の儀式を今後も続ける事。

宮廷なんて糞食らえと普段から豪語してやまないオスマンが、

ルイズの母親であるヴァリエール公爵夫人には恐怖した結果でもあった。

その事がルイズにとって幸か不幸かは、まだ誰にも解らない。






















「不幸だ、ぜーったいに不幸だ」


当麻はその鏡のようなものを今日も打ち消しつつそう黄昏た。

あの日、この目の前に現れる鏡のようなモノを壊した日の翌日以降、

幾度と無くその鏡のようなモノが目の前に現れる様になったからだ。

最初の時と同じ様に右手で打ち消すと暫くは現れなくなるのだが、

それはあくまで一時的なものでしかなく、およそ24時間のインターバルを挿み、

次の日には再び当麻の前に鏡のようなモノが必ず現れていた。

しかも、始めの3日は1回、それ以降はその出現回数は徐々に増え、

最初の出現から2週間ほど経った今では、

連続して10回は打ち消さないとインターバルを置かなくなっていたのだ。

今はまだ、夕暮れ時の決まった時間帯に現れているから良いものの、

今後昼夜を問わずこんなものが現れるようになったら、

それは十分に大事であり、随分と頭の痛い事態なるのには違いなかった。

(今夜辺りにインデックスに相談してみるか…。

 というか、あいつに頼る時点で色々と終ってる気もする…)

インデックス本人が聞いたら憤慨しそうな事を考えつつ、

当麻は何時もの帰り道に現れた鏡の様なモノ(本日3枚目)を右手で破壊する。


「よォ、随分と楽しそうな面してるじゃねェか?」


不意に背後からかけられた声に、声色からその人物を特定しながらも、

随分とうんざりとした様子で当麻は振り返る。


「…ったく、何の用だよ、一方通行?」


その当麻の視線の先にいたのは、

当麻自身も呼んだとおりに一方通行と称される人物だった。

白い短髪で紅く爛々とした瞳が外見上の特徴をもつ人物で、

能力者としての最高位レベル5の超能力者で、かつ学園最強の超能力者でもあった。


「ンなの決まってんだろうが。

 てめェがまた厄介ごとに巻き込まれたって聞いたんで、

 そのしょぼくれた様子を笑いに来たんだよ」


言葉の通りにニヤニヤとした笑みを当麻に見せる一方通行。

(ああそういやコイツのトコにも、ミサカネットワークは繋がってたな)

と情報経路を思い浮かべ当麻は軽くため息を吐く。

そしてふと何かを思いついのか、ぽんと手を打った。


「おお、なるほど。お前、俺の事が心配でわざわざ来てくれたのか?

 そうか、ありがとな。やっぱ持つべきものは友達だな」


そんな台詞を吐きつつ泣きまねすらしてみせる当麻。

当麻なりのちょっとしておふざけなのだが、その相手が悪かった。


「ちょ、ま、バ、バ、バ、バカ、ン、ンな訳ねーだろうが!

 オ、オレとてめェは、別にと、と、と、友達じゃねーし…」


思いっきり言葉につまり、動揺しまくりの答えを返す一方通行。

照れからか微妙に頬が緩んでいたりもする。

言うまでも無く見事にツンデレだった。

どう見てもバレバレだが、そのツンデレを向けた相手が良かった

…というより悪かった。


「いやま、上条さんとしては冗談にそこまで反応してくれるのは、

 正直言ってかなーり嬉しかったりするのですが、

 別にそこまで怒らんでもと思ったりもしますよ?」


そのツンデレに当麻が全くの見当違いで応えたからだ。

あまつさえその一方通行の態度を怒っていると勘違いする始末。

相も変わらずに素敵に無敵に鈍感な当麻だった。


「…無論冗談だと解ってたし、別に怒ってねーよ」


明らかに不機嫌を泌ませる声で答える一方通行。

一方通行を怒らせた事は理解したが、その原因がまるで解らない当麻は、

誤魔化しの笑みを浮かべて軽く頬を掻いてみせた。

(やっぱ怒ってるじゃん)

とは思っても口にはしなかったが。


「チッ、まあいい。間抜け面も拝めたし帰るか」


当麻をじろりと睨みつけ、踵を返す一方通行。

怒らせてしまったとは言え特に争いになるわけでもなく、

無事に済んだ事に安堵しかけた当麻だったが、

一方通行の踏み出した先に、例の鏡のようなモノが突如現れた事で、

その表情は引きつった。


「止まれ、一方通行!」


と声に出した時には既に遅かった。

踏み出した一方通行の右足が半分、鏡の中に飲み込まれていたからだ。


「なンだ、こりゃ?」


一方通行は飲み込まれた右足を引き抜こうとするが、頑として右足は動かない。

そしてその半分飲まれた右足に、当麻がしがみついた。


「?!?!」


突然の事に右足が飲まれたこと以上に混乱する一方通行。

当麻はぐいぐいと引っ張り、一方通行の右足を引き抜こうとしながら口を開く。


「こいつは使い魔を召還するためのゲートらしい。

 簡単に言えば、引きずり込んで何処かへ連れて行こうとする罠だ」


当麻は言いながら全身の力を使い一方通行の右足を引き抜こうとする。

右手で鏡のようなモノを壊すと言う選択肢は脳裏に浮かんだが、

そうしてコレを壊した場合の一方通行の右足がどうなるかが解らなかった。

だから今は、一方通行の右足を力任せに引き抜くと言う行動に移ったのだ。


「そんなに強引に引っ張ったら足が痛てェだろうが、バカ!離せ、バカ!」


ゴスゴス。

一方通行の拳が振るわれ、鼻っ柱にそれを受けた当麻の手が緩む。

同時に引き抜こうとしてもびくともし無かった一方通行の右足が、

鏡のようなモノからあっさりと抜ける。

中空で軽く身を捻り、鏡のようなモノから2mほど下がった場所に、

トンと軽々着地する一方通行。

原理さえ解ってしまえば、一方通行がその鏡のようなモノから離脱する事は、

その能力特性からして実に簡単な事だったのだ。

引きずり込もうとするなら、そのベクトルを180度変更してやれば良い。

そうすれ引きずり込むのと同等の力で吐き出されるからだ。

他方の当麻は一方通行の拳の後に、何かに追撃を食らった鼻っ柱を押さえつつ、

その半身を起き上がらせていた。

涙目になり滲む視界の半分に映るのは桃色の髪の毛だった。

自身の腹部から下半身にかけて感じる重さからすると、

こちらに頭頂部を向けている人物に圧し掛かられているのだと当麻は理解する。

小萌先生?

髪の色で思い浮かべたのは担任の教師だったが、すぐにその考えを打ち消した。

ローティーン以下にしか見えない幼い外見をした担任の教師よりも、

目の前にある髪の毛の長さが随分と長かったからだ。

腹部に感じる胸部の感触からすると大差ないはずなのだが。

ぱっと見、見知らぬ誰かに抱きつかれている当麻の様子を見ていた一方通行は、

すぐにその場を去る事を決断する。

上条当麻+見覚えの無い少女=厄介事。

この場に停まればそれに巻き込まれるのが容易に想像できたからだ。

ある意味当麻がそうしているのは、

先ほど行なった自分のベクトル変換に原因があると気付けば尚更だった。


「…じゃ、俺行くわ」


軽く片手を挙げて当麻に告げた一方通行は、当麻の返事も待たずにその場から離脱した。

能力すら使い可能な限りの早さでだった。

ポカンとその一方通行を見送った当麻だったが、

ぐったりとしたまま自分に圧し掛かっている人物の事に思い至り、

取りあえず声をかけてみる事にした。


「おい、あんた、大丈夫か?」


ぐったりとしたまま返事を返さないその人。

取りあえず自分の上からどかし、当麻はその人を地面に横たえてみた。

背丈は当麻自身よりも頭一つ程低く、

軽くウエーブのかかった桃色の髪を肩まで伸ばしていた。

黒いマントという一部に奇妙な処はあったものの、

上質そうなその服装からしてこの人物が女性というか少女であると理解した。

軽く胸部が上下していた事から、死んでいる訳ではないは解ったが、

当麻が何度か呼びかけても返事は無かった。

眠っているというよりも気を失っているらしい。

そう判断した当麻は、少し考え込み結論を出す。

(取りあえず彼女を自室へと連れて行こう)

よっこいしょと掛け声をかけ、当麻は彼女を背負ったが、

その彼女の手から何かが地面に落ち軽い音を立てる。


「ん?タクト?」


当麻には指揮棒にしか見えなかったが、

背負った人物の私物らしきもの落としたままにする訳にも行かず、

彼女を背負ったままそれを拾い、当麻は自分のズボンの右ポケットにその棒を突っ込んだ。

そして当麻が寮の自分の部屋へと向かいながら考えたのは、

同居しているインデックスの事だった。

此れまでの経験から、この少女を連れ帰った時のインデックスの反応を軽く思い浮かべてみる。

『ただいまー』

『おかえりー、とうま。っていうか誰なのかな、ソレ?』

『いや実はだな『とうま!(怒)』

ガブ!

『イテー!』

聞く耳も持たずに噛みつかれる様を想像し、当麻は軽く落ち込んだ。

(あいつも居候なんだから、少しは遠慮ってものを…

 …期待すること自体が無理だな。

 というかあいつの飯が減る訳でも無いだろうに、何で怒るのかが全く理解できん)
 そんな朴念仁的な思考をしながら、当麻が口にするのは何時もの言葉。


「…不幸だ、やっぱり不幸だ…」


自身の身に降りかかるであろう居候からの仕打ちに気分を沈めながらも、

当麻は背中の少女をしっかりと背負いなおし自分の部屋へと戻って行くのだった。


続くかも?

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