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コードギアス 共犯のアキト 第十四話「黒の騎士団」 (前編)
作者:ハマシオン   2010/03/22(月) 23:49公開   ID:M222zxaFAcM
コードギアス 共犯のアキト
第十四話「黒の騎士団」(前編)





「ラピスちゃん、いいの? ルルーシュ君を置いてきちゃって……」

「いいの。最近ルルの奴、私なんかよりも例の女のところに入り浸ってて、片時も離れたくないらしいから」

「ほほう? それは中々興味深いお話ねぇ。ラピスちゃん、そのもっと妖しく淫靡に爛れたお話を克明かつ具体的に私に教えてくれないかしら?」

「会長! ふざけないでください!! それにラピスちゃんもそんな嘘ばっかりつかないでよっ!」

 姦しい四人の女性達の声が車内に響き、周囲の客達が迷惑そうな視線を寄越すが、アッシュフォード学園の生徒会女子メンバーはそんなことにお構いなしとばかりに嬌声を挙げる。
 彼女達が乗っているのは旧日本の高速列車用架線に対応し、改造を施されたブリタニア製の装甲客車だ。未だテロの止む気配が無いエリアにおいては、緊急の時にはナイトメアや戦車を輸送する手段や、砲塔を積んだ武装列車にも転じる事ができ、平時においては安全性の高い客用列車として使用することができる。
 生徒会長のミレイと生徒会メンバーであるシャーリーとニーナ、そしてラピスを加えた面々はミレイに誘われて、河口湖で行われる国際会議と併せて行われるパーティーに参加するためにこの客車に乗っている。
 普段なら参加することすら叶う事のない催しだが、ミレイの家であるアッシュフォード家は衰退したとはいえブリタニアでも屈指の名門でもある上、エリア11の今後を担うであろうブリタニア子息を多く抱えた学園を運営する立場でもあるため、招待状が送られてきたらしい。
 しかしミレイにとっては単に友人を連れて、騒げる理由ができたとしか捉えておらず、こうして観光気分で面白おかしく旅行できるとあってその顔はいかにも楽しげだ。

「ルルーシュくんだけでなくカレンさんも来れたらよかったのにね……」

「おやぁ? ニーナにとってはもう一人の方に来てもらいたかったんじゃないの?」

 勿論そのもう一人というのは、真っ黒のサングラスを常用したルルーシュの執事さんのことなのは言うまでもない。
 ミレイのからかいの問いに真っ赤になり、下を向いてボソボソと何か口ずさむニーナ。そんな初々しい反応に満足し、心の中で安堵する。
 元々ニーナは人見知りがする性格の上、数年前の誘拐未遂によって対人恐怖症を患っている。特にイレブンに対しては強烈な恐怖心を抱いており、今でも一人では租界に出ることが難しいほどだ。
 しかし彼女を助けたアキトに対しては好意的な感情――しかも一人の男性に対する思慕――を抱いており、それのおかげか、此処最近では恐怖心から起きる発作のようなものは起こる気配が無い。
 今回の旅行では、自分と生徒会の面々の息抜きだけでなく、あまり自分から口を開くことのないニーナや一歩引いた位置でこちらと付き合っているラピスらと腹を割って話し合うという目的もあるのだ。惜しむらくは最近生徒会に入った(無理やり入らされたという言葉は記憶の彼方に放置済みだ)カレンとも話したかったのだが、家の用事が入ったのでは仕方ない。
 男性陣も誘おうと思ったが、ルルーシュはナナリーのこともあってこういったイベントはあまり参加したがらない。リヴァル一人だけを誘っても面白くないので今回の旅行は女性陣のみとなっている。

「ま、今宵は女同士で遅くまで語り明かしましょうか。 好きな男の子のこととかねぇ」

「いるんですか? 会長にそんな人……」

「さぁねぇ♪」

 シャーリーの探るような問いに対して意味深げにはぐらかすミレイ。
 そうして四人を乗せた列車はいつしか山間にくりぬかれたトンネルを抜け、車窓に情緒豊かな街と光を反射して煌く湖、そして日本人が見たら確実に眉を寄せるであろう、山肌を半分以上要塞化された富士の山を映し出した。
 しかし生徒会の面々にとっては珍しい景色と映ったのであろうか、感嘆したような声を挙げて物珍しそうに車窓の外に目をやっている。

 めったに出ることのできない租界の外の観光地に期待を顕わにする生徒会の面々。
 しかし彼女らの知らない所で、事態は深く静かに進行していた。





 場所は変わり、トウキョウ租界の倉庫街。
 昼間は国外からの物資を受け入れるために多くの人夫や工員達がせわしなく働く区画から、一区画ほど離れたその場所に彼ら紅月グループはいた。その中にはカレンの姿もあり、彼女は警戒心を顕わに周囲に目をやっている。

「ゼロが指定した待ち合わせ場所はこの辺りのはずだが……」

「なぁ、ホントに大丈夫なのか?」

 リーダーの扇が手に持った横流し品の携帯端末をいじる横で、メンバーの玉城がいかにも不満げな様子で問いかけた。

「今更何言ってるんだよ玉城」

「だってよぉ。こんなあからさまに人気の無い所に呼び出しすなんて怪しくねぇか? この前の埼玉のドンパチでゼロが負けたっていうしよぉ。ブリタニアの罠なんじゃぁ……」

 先のサイタマゲットーでの戦闘の帰結は多くの人間が知る由であるが、ゼロがその戦いに参加し敗北したなどという事は一切報道されていない。しかしブリタニアはそういった噂をそれとなく流すことによって、イレブンの反抗心を挫こうとしている。
 表立って報道されたことなら無闇に信じられないが、噂と言う曖昧な情報を利用することで信憑性を帯び、本当にあったことなのかもと信じ込ませることができる。
 現に玉城もそういった噂を聞いて、ゼロが捕まったのではないかと思い込んでいた。しかし近くに居たカレンはそんな噂を一笑に伏した。

「そんなのブリタニアが流したデマに決まっているでしょ。それに、ゼロの傍には黒騎士が居るんだからそう簡単に捕まるわけがないわ」

「そうだな。第一今の俺達は彼の力をあてにしなければ、なにも行動を起こすことができない。シンジュクの件で俺達はほとんど物資を失くしたんだからな」

 玉城の言葉を否定しつつも、不安そうな表情を隠せずに応える扇に、何か言おうとする玉城だったが、それを遮ったのはもう一人の女性メンバーである井上だった。

「ねぇ、何か近づいてくるわよ……」

 彼女の言葉にグループの面々に緊張が走る。
 やっぱ罠かよと小さく呟く玉城だが、耳に入ってくるのは軍靴の音などではなく、地面を滑るような音と低い駆動音が一つだけだ。
 そうして姿を現したものは、彼らがはじめて目にするモノだった。

「なんだありゃ?」

「グラスゴー……の頭?」

 黄色く塗ったグラスゴーに似た頭に四本の足が生えた奇妙な機械。
 グラスゴーと同じく赤い四つの瞳を瞬かせ、その奇妙な虫のような機械は扇達の前で停止し、暫しこちらを見つめていたかと思うと、踵を返して元来た道を戻っていく。

「……ついて来いって事なのか?」

「ってことは、アレはゼロが?」

 釈然としないものを感じるが、このまま此処にいてもはじまらないと、扇達は前を進む無人機械――対人用小型バッタの後をついていく。
 いくつものブロックを通過し、時折目立たない小道を通り抜け、小型バッタが停止したのは一際大きな倉庫が並び立つブロックだった。
 バッタはその中での倉庫の一つに近寄り、扉の横に設けられた端末に信号を送り扉を開くと、颯爽と入り込みその奥へと姿を消した。

「あっ……おい待て!」

 慌ててその後を追いかける扇とそれに続くメンバー達。
 すると全員が倉庫に入った途端、背後の扉が大きな音を立てて自動的に閉まってしまう。

「と、閉じ込められた!?」

「ちくしょー! やっぱりブリキ野郎の罠だったんだ!!」

 退路を断たれ逃げられなくなったと知るや、メンバーの何人かが騒ぎ立てる。

「周囲の人の目から避けるためだ。そう騒ぐんじゃない」

 しかしそんな彼らに妙に落ち着き払った男性の声が投げかけられた。
 皆が声の方に振り向くが、暗闇のせいで人が居る事は分かるものの、それが誰なのかまでは分からない。

「誰だっ!」

 誰よりも早くカレンが鋭い声を発し、警戒を強める。
 するとメンバーの全員が固唾を呑んで見守る中、僅かに窓から漏れる月明りの下に、その声の主が姿を現した。
 ボサボサの茶色い髪に、顔の上半分を覆う黒いバイザー。全身もこれまた黒いマントで身を包んでおり、月明りがなければ視認することすら難しいだろう。
 しかしメンバーの誰もが感じたのは、途方もない不気味さだった。
 格好だけなら以前合ったゼロの方がまだ奇抜だ。だが目の前の男からは、それこそ物理的な圧迫感さえ感じるほどの濃密な威圧感が感じられる。
 いつもは口うるさい玉城も、目の前の男から発せられるプレッシャーに何も言えずにいた。
 しかしいつまでもこうして口を噤んでいるわけにはいかないと、扇がなんとか声を出す。

「き、君は一体? ……もしかしてその黒衣、まさか君があの黒騎士かっ!?」

「そう名乗った覚えはないが、それで間違いはない……既にここ近辺の索敵は済んでいる。そう身構える事はない」

 その男――黒騎士の答えにメンバーは揃って安堵した。
 夜の闇にまぎれた倉庫街とはいえ、仮にもブリタニアのテリトリーでもある租界の玄関口に呼び出されれば不安に思うことも仕方がない。
 その点黒騎士は開戦初期から日本のために精力的に活動する古参の兵士だ。その彼が安全というからにはここは間違いなく安全だろう。
 少なくとも信頼の置ける相手ということに関しては、彼はゼロ以上に安心できる事は事実である。
 だが、そんなメンバーの中で、驚きに目を見張るカレンの姿があった。

「テ、テンカワさんが黒騎士……?」

「知っているのか、カレン?」

「う、うん……生徒会のメンバーの一人がクラブハウスに住んでるんだけど、そこで執事をやっているの」

 つい先日生徒会に入ったばかりのカレンだが、副会長のルルーシュの執事であるアキトの姿はよく覚えていた。
 黒髪ではないものの、顔立ちや肌の色から間違いなく日本人の血を引いている事が分かる上に、執事服に似合わない大きなサングラスをかけていたことも加えて彼の姿は強く印象に残っていた。
 また彼は、淡々と仕事をこなすだけでなく、ルルーシュや彼の妹であるナナリーに対し、メイドの沙代子と共に献身的に尽くしており、何故ブリタニア人に対してそこまで尽くすことができるのか疑問にも思ったこともある。

 支配するブリタニア人と支配される日本人。
 そこには明確な上下関係が存在するはずなのに、彼らにはそれがなかった。それどころか主人であるルルーシュやナナリーまでも二人に対して真摯に付き合っている様子を自身の眼で見て、ブリタニア人の中にもナンバーズに対する偏見を持たない人間がいるんだと感心したのだ。
 だがその執事は裏でこうしてブリタニアに対する抵抗活動を行っている。
 本来ならこうして日本のために戦っている黒騎士に対して賛辞を贈るべきなのかもしれない。しかしルルーシュとナナリーは他のブリタニア人と違い、ブリタニアだイレブンだのと言うことはなく、誰に対しても一人の人間として付き合っていることが傍目から見てもよく分かる。
 そんな彼らを黒騎士は偽りの仮面をかぶって騙しながら過ごしているというのだろうか?
 それはあの二人に対する裏切りなのではないだろうか?
 黒騎士と共に日本のために戦えるという喜びと、彼らに対する言い様のない負い目の二つの感情の板ばさみにあい、カレンは上手く言葉をつむぐことができなかった。
 そこには自らもブリタニアと日本人のハーフ故に、二つ顔を使い分ける自分自身に対する嫌悪感も混ざっていたのかもしれなかった。

「執事ぃっ!? ってことは、コイツはブリキ野郎の下で頭下げながら働いてんのか!」

 そんなカレンの心証を余所に、玉城が嫌悪感を丸出しにした声を挙げる。
 玉城にとってはブリタニア人に媚びへつらうような仕事についているという点が気に食わなかったらしい。
 だが黒騎士は玉城の言葉に対して、無感情に淡々と返すだけだった。

「俺の事情をとやかく言われる筋合いは無い……それよりついてこい、奥でゼロが待っている」

 そう言って黒騎士は踵を返して倉庫の奥の方へと進んでいった。
 扇やカレン達もそれに続いて奥の方へと歩を進める。唯一玉城だけが文句を言いながら遅れてそれに付いていった。

 今居るこの倉庫は中央を走る壁が倉庫を二つに分けるように仕切ってあるらしく、その仕切りとなる鋼鉄製の扉はナイトメア2機が並んで通ってもまだ余裕がありそうなほど大きなものだ。
 黒騎士はその扉の中央に立ち、扉に併設されたパネルを開くと中にあるキーに指を走らせる。
 すると固く閉ざされた扉が重厚な音と共にゆっくりと開き、同時に隙間から人工的な照明の光が扇達を照らした。
 暗闇に慣れきった彼らは眩い光に眼を瞑り、数秒間目を閉じていたが、次第に光に慣れるとゆっくりと瞼を持ち上げる。

「ようこそ、紅月グループの諸君。君達を歓迎しよう」

 明るい照明の下、倉庫の中央にいるのは、前と同じチェスのキングを模した奇妙な仮面をつけた男――ゼロ。
 ゼロは歓迎するように両腕を広げ、紅月グループの面々を出迎えた。しかし彼らはそれよりも周囲の光景に圧倒され、声を出せないでいた。
 倉庫の壁際にはナイトメア――しかも旧式のグラスゴー等ではなく改造を施された、日本では『無頼』と呼ばれるナイトメア――がずらりと並んでおり、その内の何機かは黒騎士が使っているナイトメアと同タイプのものが並べてある。
 さらにそれよりも目を引いたのは、ゼロの周りを固めるように配置され、此方をつめる四機の虫型兵器――対機動兵器用の大型バッタだ。先程この倉庫を案内した小型バッタと同じ外観をしていることから、同種のものであろうことは分かるが、全高2メートルというその大きさから感じられる威圧感と不気味さに扇達は身を固くした。

「ゼ、ゼロ、コイツラは一体……?」

「お前達も聞いた事位はあるはずだ。グラスゴーのファクトスフィアのデザインモデルとなった小型機動兵器――それがこのバッタだ」

 カレンはそれを、ナイトメアの操縦を学ぶ際に何度か聞いたことがあった。尤も聞いたことがあるのはあくまでその存在があるというだけで、どのような兵器なのかは全く知ることができなかったが。
 ともかく、このバッタがどれだけの働きをするのかは今の段階では分からないが、それを抜きにしてもその存在すら知る由のなかった兵器やこれだけの数のナイトメアを一介のテロリストが揃える事は不可能に近い。カレンはゼロの持つコネクションに底知れぬ恐怖を感じた。

「これだけの数のナイトメアと兵器を一体どうやって……」

「考察は後回しにしてもらおう。君達が此処に来たということは、私に協力するということでいいんだな?」

 メンバーの一人である杉山が疑問の声を挟むが、ゼロはその疑問に応えることなく本題へと話を進める。

「あ、ああ。その通りだ……黒騎士がここにいるということは、彼も君の仲間ということなのか?」

「そうだ。彼は私の古くからの知己でね。目的が同じ者同士、こうして行動を共にしている」

 ということは、もしかすると彼の表の事も承知済みなのだろうか。
 カレンが視線を黒騎士に寄越すが、黒騎士もそれを否定するような素振りを見せず黙って頷くだけだった。
 だがカレンには一つ疑問があった。

「ゼロ、これだけのナイトメアと兵器を揃えるだけの力は私達には無い。寧ろここまでの戦力を整える事ができるのなら、わざわざ私達みたいな弱小グループじゃなく日本解放戦線のような組織と協力する事もできたはず。あなたは私達に何をさせたいの?」

 兄が存命していた頃ならいざ知らず、紅月グループは総勢10名以下の小規模なグループに過ぎない。
 これだけの戦力を揃える事ができるのなら、シンジュクと枢木スザク救出の件で義理立てなどせず、日本解放戦線に譲与して協力を要請することもできるはずだ。

「君の疑問も尤もだ。確かに手っ取り早く戦力を整えるのなら、これらの兵器を手土産に日本解放戦線と協力する方がいいだろう」

「だったらどうして――」

「以前にも言ったはずだ。私の最終目標はブリタニアを破壊すること……つまりは日本を取り戻すと言う事は私にとっては単なる通過点に過ぎない」

 カレンはゼロが以前ゲットーで言っていた事を思い出した。
 そうだ、ゼロが言っていたのは――

「私が求めるのは全ての人種を受け入れる全く新しい日本。対して彼らが求めるのはブリタニアを一切排した日本――日本解放戦線とは目指すビジョンは似ているようで全く違うのだ」

 全ての人種を受け入れる平等な国。
 ブリタニアすら受け入れると言う彼の指針は、確かに日本解放戦線には受け入れ難いものだろう。
 ただでさえ民族意識の強い日本人にとって、外の血というのは強い反発心を引き起こしやすい。カレンも小さい頃はハーフというだけで数多くの嫌がらせやイジメにあったことがある。
 また日本解放戦線からもブリタニアのハーフが所属していると言うことで、何度か口出しをされた事もあった。

「それに、既に日本解放戦線は組織としての統制を失いつつある」

「なんだって? それはどういう――」

 ゼロの仮面が横の壁に備え付けられたテレビの方を向き、取り出したリモコンを操作して電源を入れる。
 点いたテレビからはライブ中継のニュースを流しており、キャスターが緊張気味に話す内容はカレン達にとって大きな衝撃を与えた。

『こちらは川口湖のコンベションセンター前です。現在このビルで行われているサクラダイト配分会議において、日本解放戦線を名乗る武装集団がジェームズ議長を始めとする複数の参加者を人質に取っており、人質の中には学生の姿も――』





『犯行グループのリーダーは草壁中佐と名乗る、旧日本軍の軍人です』

 成田にある日本解放戦線の本拠地でそのニュースを見ていた藤堂鏡志郎は、激昂した。

「馬鹿なっ! 血迷ったか草壁っ!!」

 確かに日本人はブリタニアのせいでこの七年間辛酸を舐めさせられてきた。そしてこの植民地支配からの脱却と独立のために無謀ともいえる戦いに何度も身を投じてきた。
 だがこのような行為――罪の無い民間人を人質にとり恫喝するような行為は世論が絶対に許してくれない。もしこれで勝利を勝ち得たとしても、我々に寄越される感情は嫌悪と憎悪以外の何者でもないだろう。
 藤堂はTVで淡々と事件の内容が報道されるのを眺めながら、ただ拳を強く握り締めることしかできなかった。





 河口湖のコンベンションセンタービルに続く橋の手前には指揮車両となるG−1ベースが配置され、救出作戦の指揮をとるコーネリアはいつも以上に厳しい表情で中央司令室に座していた。

「ホテルに繋がる橋はメインを残して全て落とされ、上空および海中からの接近はいずれも失敗……人質救出作戦を展開するために残されたルートは一つだけです」

「ホテルのライフラインとなる物資搬入用の地下トンネル……か」

 大まかな作戦としては、ホテル内部に人員を投入し、ホテルを支えるメインシャフトを爆破。その後、人質が捕らわれている食糧倉庫が沈む8分の間に、強襲隊が武装カーゴヘリにて直接食糧倉庫に突入後、目標を排除し人質を救出する方法が採用されている。
 日本解放戦線が沈んでいくホテルに慌てる中、その隙をつくようにして強襲隊を突入させれば時間内に人質を全員救助することは可能。
 だがホテル内部のメインシャフトを爆破させる段階が問題で、ビルを垂直にゆっくり沈めさせるにはメインシャフトのみをピンポイントで爆破する必要がある。
 その他の部位にダメージを与えるとビルのバランスが崩れ、あっと言う間にホテルが湖に沈んでしまうため、確実にビルの真下を確保する必要がある。
 そしてこの地下トンネルはそのビルの真下まで延びる、直結の通路。陸・海・空のルートが潰えた今、残されたルートはここしかない。

「この広さならばナイトメアも展開可能です。これまでの敵の兵装レベルを考えると、オーガーを随伴させたナイトメア1個小隊ならば問題ありません」

 その案ならば問題無しと判断、即座に採用され早速実行に移される。
 ウインチに吊られ、3機のサザーランドと1機のオーガーが地下トンネルへ降ろされ、ホテル下部のエリアを確保するため動き出した。
 だが、そんなブリタニア軍の動きも日本解放戦線は予測済みだった。





「敵影補足。予測通り地下坑道を進んできます!」

 ホテルの真下、すなわちブリタニア軍が目指すトンネル最奥部区画にソレは鎮座していた。
 頭部を外された四機のグラスゴーの体を足に見立て、腕部には小口径の機関砲、そして中央には大口径の大砲を添えた異形の兵器。
 それの名を『雷光』という。

「よし、雷光第二起動! 左右四連脚部固定。超電磁式榴散弾重砲、電圧確認!!」

 雷光の後にある、ホテル全体の電気を賄う大出力の発電機から電力を得て、砲塔からは眩い光が漏れだしてくる。
 そして数秒とかからない内に電圧は臨界へと達し、発射の準備が完了した。

「超電磁式榴散弾重砲、発射!!」

 トンネルという密閉した空間ということも相成り、まるで雷が落ちたような轟音を響かせ、地下トンネルに侵入したナイトメア一個小隊に榴散弾が襲い掛かった。
 対ナイトメア用のライフルならともかく、逃げ場の無いトンネルでは超高速で襲い掛かる散弾から逃れようはずも無い。
 左右に展開した2機のサザーランドはたちまち散弾の餌食となり、鋼鉄の躯体を文字通り蜂の巣にされ沈黙した。





「先遣隊応答しろ! 何があった!!」

『敵はトンネル内にグラスゴーを改造したリニアカノンを設置しているようです!』

 G−1ベースのCICもその様子は確認しており、俄かに緊張した空気が漂う。
 備えはあるものと予想はしていたが、敵の備えはこちらの予想以上に強烈だった。
 しかしまだ作戦は終わっていない。

「残存機の被害は?」

「使用された砲弾は散弾だったため、損傷は軽微とのことです。このまま作戦を続行させます」

 戦車砲を正面から受けても跳ね返す程の装甲を持つサザーランド・オーガーにとって、散弾は蚊に刺された程度のダメージでしかない。
 頭部や間接に僅かに損傷はあるものの、作戦行動に問題は無い。残る1機のサザーランドも、正面のオーガーが盾になってくれた事で、このまま作戦続行は可能だ。
 だが、まずは最奥部に構えるリニアカノンを撃破しなければならない。残った2機はオーガーを先頭にした縦陣形を維持しつつ、最奥部にいる雷光をオーガーの主砲射程内に納めるため、そのまま直進を始めた。





「残存機2! 依然こちらに向かってきます!!」

 雷光のコックピット内で仕官の制服を着込んだ軍人はその報告を聞いて内心で呻いた。
 まさか榴散弾重砲を正面から受けて2機も生き残るとは思わなかったのだ。縦陣形で向かってくることからおそらく正面の1機は、例の重ナイトメアだろうと中りをつける。
 このままだと数分もしないうちに敵主砲の射程内に入ってしまうだろう。迎撃用の機関砲を装備しているとはいえ、この雷光の防御力は実質無いに等しい。そうなれば草壁中佐の意思は無念のうちに費えてしまうだろう。
 だが御自慢の装甲を盾にして向かってくるのなら、こちらはそれを貫けるだけの矛を使えばいいだけのことだ。

「弾種変更! サ式徹甲弾装填!!」

「了解! サ式徹甲弾装填!!」

 弾種を榴散弾から、弾頭を青く塗った徹甲弾に変更する。そして電圧を先程よりもより高く設定し、発射準備を整える。
 そして小さな照準レティクルを外部カメラに映し出すと、その枠内に近づいてくるオーガーの姿を捉えた。

「電圧臨界! 発射準備よし!!」

「超電磁式加速徹甲砲、発射!!」

 先程よりも大きな轟音を立て砲口から飛び出した弾丸は、パイロットが知覚する時間すら与えず、オーガーの正面装甲を易々と貫き、更には後ろに控えたサザーランドすら貫通。なおも勢いが衰えることなく、トンネルの端まで到達した。
 トリガーを引き、飛び出した弾丸がオーガーへと到達するまでの時間は僅か0.05秒。
 秒速3万メートルという驚異的な数値を叩き出したソレは、平行世界の200年先において使われた、レールガンを模したものだった。
 使用した弾頭は、超長距離滑空の摩擦熱にも耐えられる、特殊加工を施した硬化サクラダイト弾頭。
 ほとんどの乗物や銃器で使われたことで培われた超伝導技術と、サクラダイトという特殊な鉱石によって成し得た成果だった。





「全滅!?」

 オーガーを含めた先遣隊がリニアカノンによって全滅と知り、ダールトン将軍の顔が驚愕に彩られる。
 密閉空間とはいえ、いや密閉空間だからこそ突破は可能と考えていたはずが、最強戦力のオーガーすら撃破されるという状況に、参謀達にも動揺が走った。中には解放戦線の要求を呑んで政治犯の釈放を、と言う者も居たがコーネリアはそれを切って捨てる。
 それは当然の決断だ。
 前回のクロヴィス皇子の件でただでさえブリタニア本国が揺れているだけに、今回再びテロリストの要求を呑めば、世界規模で誘拐劇が起こるのは間違いない。普段のコーネリアなら例え人質が捕られていようと、強攻策に打って出るのだが今回ばかりは事情が違った。

(ユフィッ……!!)

 今回の事件では、偶然会議に居合わせた妹のユーフェミアが人質となっている。
 両親以外の唯一の血縁、そして幼い頃から溺愛してきた妹だけにいつもの強攻策を行使するのは戸惑われた。
 そんなコーネリアの焦燥の念を察知し、ダールトンが声をかける。

「姫様の件に関しては心配ないかと。会議には立ち会うだけの予定でしたので、メンバーリストにも乗っていませんし……もしもの場合が起こったとしても、護衛の純血派が身を挺して姫様を守ってくれるでしょう」

 しかしそんな慰めの言葉も、ジェレミアの性格を思い出してしまい、コーネリアには寧ろ更なる不安の材料を与えてしまったのではないかとダールトンは言った瞬間後悔してしまった。





「救出作戦には参加させてもらえないんですか?」

「申請はしているんだけど、ウチは命令系統の違うイレギュラーだからねぇ」

 一方、そのユーフェミア護衛隊の一人、枢木スザクは河口湖のほとりで、特派のロイドとセシルと共に湖に浮かぶホテルを眺めていた。
 会議に立ち会うユーフェミアの護衛として付いていく事ができたのは、純血派の三人のみ。スザクは社交界の人間が集う中にイレブンを入れさせることはできないとホテル側から入場を拒否され、仕方なく外延部の警備に当たっていたのだ。
 しかし日本解放戦線は会議が始まる以前から入念に準備をしていたらしく、事を起こして数分も経たない内に橋を落としてあっと言う間にホテルを占拠したため手の出しようが無かったのである。
 それはともかくとして、ここでスザクも何かしらの行動を起こさないと、護衛隊の存在意義が無くなってしまう。

「それは特派としてでしょう。でしたらユーフェミア副総督の護衛隊としてなら――」

「どちらにしても、参加は無理だと思うよ? コーネリア総督はナンバーズをきっちり区別される方らしいし」

 だが、現状でスザクはあくまでナイトメアを操縦するだけの一兵卒。
 例えユーフェミア直属の護衛隊としても、勝手な行動を起こすことは軍人としてできることではない。
 何もできない自分に対して自責の念に駆られる一方、ロイドはコーネリアの方針に対して違った見方をしていた。

(寧ろあれは区別というより、イレブンを毛嫌いしている節があるけどねぇ……)

 もしかすると、昔旧日本に送られて殺された皇子と皇女が関係しているのか等と考えたが、結局の所はコーネリア皇女殿下本人に聞いてみないと分からない。
 寧ろランスロットを動かせる機会が無いのが残念でならないと、ロイドは救出作戦の動向を他所に、そんな事をつらつらと考えるのだった。





 その頃、ゼロとアキトを含めた紅月グループの面々は、どこからか調達してきたトレーラーへと乗り込み、河口湖へ向かっていた。
 目的はホテルに捕らわれた人質を救出するためだ。

「ゼロ、人質を救出すると言う方針は理解したけど、具体的には一体どうするんだ?」

「既にブリタニア軍と日本解放戦線の動向は判明している。細かい内容は追って伝えるので、君達は指示通りに動けば問題はない」

 なんでもないようにゼロはそう言うが、こらから行く所は姫将軍コーネリアが率いたブリタニア軍の真っ只中だ。
 当然、ホテルにいる日本解放戦線を逃がさないように、又外からも猫の子1匹入り込ませないために、厳重な警備網を敷いていることだろう。
 ナイトメアや満足な兵器すら持たずに敵陣に突っ込む等正気の沙汰ではない。

「不満か?」

「ったりめーだ!! 仲間になった途端、敵のど真ん中に突っ込むとかイカレてるとしか思えねーぞ!! しかもその理由がブリキ野郎を助けるためだ? フザケんのも大概にしろよ!!」

「では聞くが。玉城、お前は軍人でもなんでもない民間人が日本解放戦線にむざむざ殺されるのを良しと思うのか?」

 そのゼロに言葉を聞いて体を震わせたのは玉城だけではなかった。
 扇やカレンもあえてそれを考えないようにしていたが、改めてその可能性をゼロに突きつけられて黙り込んでしまう。

「に、日本解放戦線だってそんな馬鹿な真似はしないだろうよ!」

「テレビの中継を見て玉砕しかない、といったのはお前だろう。その際に民間人が無事に解放されると、お前は本気で思ってるのか?」

 テレビ中継を見ていた際、誰の目にも明らかな日本解放戦線の結末を目にし、そう零したのは確かに玉城だ。
 追い込め、追い詰められた解放戦線が憎きブリタニア人相手にどんな行動に出るか分かったものではないし、自分だってそうするだろう。
 頭のよくない玉城にもそれは分かっているため、それ以上何もいえなくなり沈黙してしまった。
 アキトが運転するトレーラーの中は沈黙に包まれ、暫くトレーラーの駆動音のみが鳴り響く中、それを破ったのはやはりゼロだった。

「どんな綺麗なお題目を掲げようと、民間人を無闇に巻き込めばそれは社会に混乱をもたらす害悪――すなわちテロリストに他ならない」

「ゼロは日本解放戦線が……いや、草壁中佐達がそうだというの?」

「少なくとも彼らのやり方では、日本の独立を勝ち取ることは不可能だろう」

 民間人を取引に使うようになれば、民衆からの支持は得られなくなる。
 日本解放戦線はブリタニア勢力を日本から完全に追い出し独立を勝ち取るつもりのようだが、もしブリタニアを退けても次にやって来るのは中華連邦だ。
 日本のサクラダイト埋蔵量は地上供給量の90%を占めるほどであり、超伝導技術には必要不可欠といわれるこの世界において、日本の土地は喉から手が出るほど欲しいものだ。今も各地の抵抗勢力の一部が中華連邦の支援を受けているらしいが、それも日本におけるサクラダイトの利権を見越してのことだ。
 ブリタニアが日本から退けば、利権に目敏い中華は直ちに日本に牙を向き、ブリタニアを退けたことで土地も民も疲弊しきった日本では中華に勝てるはずも無い。
 だからこそ我々はブリタニアの民衆やナンバーズを抱き込み、新しい国家建設に向けて動くべきなのだ。
 ブリタニアの過激な強硬政策に反発する国や勢力、企業を抱き込みエリア11の利権を最大限に活用し、民衆の支持を得ることができれば自ずと結果は付いてくる。
 今はその下準備の段階なのだ。
 ゼロが若干熱の篭った声で力説し、紅月グループの面々が静かにそれを聞いている中、運転席に居たアキトから連絡が入る。

「どうした、黒騎士」

「ゼロ、今情報が入ったが、どうやら現場の情勢が変わったらしい」





「何? 純血派からの連絡だと?」

「ハイ。テロリスト共から逃げ仰せた後、彼奴等の目を掻い潜って今は無線機で連絡を取っています」

 事件発生から5時間。辺りは既に闇夜に包まれ至る所で照明が炊かれている。
 その間、一向に状況が変わらない事に業を煮やした日本解放戦線は、人質を30分毎に一人ずつホテルの屋上からみせしめとして突き落とすことで、ブリタニアに揺さぶりをかけてきていた。
 一向に事態解決への光明が見えない中、G−1ベースに犯人以外からの連絡が入ってきた。
 コーネリアは回線を開くよう参謀に命じ、連絡を入れてきた者とコンタクトを取る。

「貴様の名は?」

『ハッ、ジェレミア・ゴッドバルトと申します!』

『同じく、純血派のキューエル・ソレシィであります!』

 コーネリアはその名前を聞き、彼らがユーフェミア直々に召抱えた純血派の人間だと思い出した。

「ユフィ――副総督はどうした? 貴様等は副総督の護衛であったはずだ。よもや職務を忘れて逃げ出したのではないだろうな」

『ご安心を。ユーフェミア様のお傍には、騎士ヴィレッタ・ヌゥが付いております。男性の我々より女性の者のほうがテロリスト共に警戒されにくいので……』

 護衛とはいえ今回の会議にはあくまで立ち会うだけの予定だったため、純血派もいつも来ている軍服ではなくフォーマルなスーツに、ヴィレッタはドレスを着ている。そのため、解放戦線の人間からも未だ軍人とは気付かれていないはずなので、ユーフェミアの存在も知られていないはず、とのこと。
 また、彼らがユーフェミアの傍を離れて独自に行動しているのも彼女の命令であると言う。
 最初は皇族の傍を離れる事をよしとせず、考え直すようユーフェミアに進言したジェレミアらも、一刻も早く事態の収拾を望んだユーフェミアの意を汲み、またユーフェミアの名の下に命を下されたため、こうして行動しているらしい。

『我らはユーフェミア様の命の下、テロリスト共の情報を探りつつなんとか総督へと連絡を取ろうと思ったのですが、思った以上に警備の目が厳しく、ここまで遅くなってしまいました』

「……事情は分かった。では貴様らが得た情報について教えろ」

 妹の安否が分かりほっとするのと同時に、人質に捕られている妹自らが事態の解決に動いていることに感心した。
 ならば自らも動かなければなるまい。
 そうしてジェレミアからの報告を聞いたコーネリアは、眉をしかめていく。
 テロリストは地下トンネルだけでなく、屋上やホールにもナイトメアを配備して警戒しているらしい。空中からの接近が阻止されたことから備えはあると予想していたが、携帯式の対空ミサイルだけでなくビルの自衛機構も作動させて警戒しているようだ。
 内部情報は無いよりもマシだが、依然厳しい事態に変わりは無い。どのようにして攻めるべきかと思案していたその時、参謀の一人が息せき切ってコーネリアの元へ報告に来た。

「総督! ゼロですっ、ゼロが現れました!!」





『確認しました、ゼロです。狙撃しますか?』

「待て、そのまま待機しろ」

 TVの中継車を奪い、堂々と姿を晒したまま軍の傍へとやってくるゼロ。
 武器の類は一切見当たらず、ほぼ丸腰の状態での行動はあまりにも無謀としか言いようが無い。
 コーネリアは親衛隊を伴いグロースターを駆ってゼロの前に立ちはだかった。

「なんのつもりで此処に来た、ゼロ。今は悠長に貴様に構っている暇は無い。悪いが時間が無いのでな……貴様の身柄を拘束させてもらう!」

 できることなら戦場で手を下したかった所だが、今はそれよりも優先されるべき事がある。
 そう考えて、腰の儀剣銃の切っ先をゼロへと向けるコーネリア。
 だがゼロはそれに全く臆することなく、言い放った。

「交渉事は上手くいっているのかな、コーネリア? 副総督の御身のためにさぞや慎重な対応が必要となっているのだろう」

(っ!! 何故知っている!?)

 ゼロのその言葉を聞いて、驚愕に目を見張るコーネリア。
 まさか奴は日本解放戦線と繋がっている? だとしたらコイツを奴らと接触させるべきではないと引き金にかかった指を引こうとするが――

「いつもは攻め気一辺倒のあなたがこうまで慎重になっているということは、貴方にとって大事な人間が人質となっている可能性が大。そしてそれは先に副総督に就任したユーフェミア皇女殿下……違うか?」

 どうやらゼロはこちらの想像以上に、ブリタニアの事情に詳しいらしい。
 忌々しいが事実なだけに何も言い返すことができず、顔を歪ませるコーネリア。
 だがこちらの事情を見透かされたからと言って、ゼロを見逃す道理は無い。配下に即刻ゼロを捕らえる様命令するために、口を開きかけるが、それより早くゼロがとんでもない事を言い放った。

「あなたの心情は察するに余りある……ならばこの一件、私が解決して見せよう」

 ……今コイツはなんと言った?

「何を言っている、ゼロ」

 確認の意味を込めて、今一度名前を呼ぶコーネリア。
 ゼロはそれに対して、再び自信と威厳に満ちた声で答えた。

「救って見せよう、私が!!」






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