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コードギアス 共犯のアキト 閑話「ディートハルトの憂鬱」
作者:ハマシオン   2011/05/01(日) 00:59公開   ID:HIEB5U2sqkU



 私の名前はディートハルト・リート。
 元ブリタニアのテレビ局「HiTV」のプロデューサーを務めて数々の番組を世に送り出してきたが、ゼロの黒の騎士団宣誓の演説に魅せられ、迷うことなく職を辞し、黒の騎士団に入隊した。
 だが私は別にブリタニアを倒すとか共産主義者という下らない理想に殉じているわけではない。私は純粋に、一人の報道者としてゼロという類希なカリスマの象徴を撮り続けたいだけなのだ。
 そのために私は常にゼロの側にいるべく、テレビ局に務めていたコネを利用し、黒の騎士団――ゼロに貢献してきた。
 その甲斐もあってか、今では黒の騎士団の情報を一手に担うほどに信頼され、諜報・広報活動の権限すら任されるほどになっている。
 このままいけば、いずれ私は名実共にゼロの側近として認められ、彼の変革を直ぐ傍でこの目に焼き付けることが出来ただろう。

 そう、あの「桃色の悪魔」さえいなければっ……!!





 閑話「ディートハルトの憂鬱」





 話は二週間前に遡る。

「今日から黒の騎士団に入ることとなった、ラピス・ラズリだ」

「よろしく」

 彼女が騎士団に入隊したのは、あのマオとかいう得体の知れない男を退けて直ぐのことだった。
 初めて彼女をみた時は妖精のような儚げな容貌に魅せられ、心の隅でカメラのレンズを通じて彼女を撮りたいと思ってしまったほどだ。
 今思えばなんと愚かなことを考えていたのか……。

「ラピスは今までも影で黒の騎士団を支くれていたが、本人の要望もあり今後は正式に隊員として迎えることとなった。彼女の手腕は私も頼りにさせてもらっているほどだ。皆遠慮なくこき使ってやってくれ」

 ゼロの言葉に他の団員が驚きの声を上げるが、私も少なからず驚いた。ゼロがこうして他人を紹介する時に、手放しで誉めることは少なくとも私の記憶にはなかったからだ。
 彼女の態度から察するに、ゼロとの付き合いはもしかすると我々以上に長いのかもしれない。尤も、あのような容貌であるから彼女を気遣っている可能性もあるが。

「おいおいゼロ、こんな嬢ちゃんが何の役に立つってんだ? 俺達は子守が出来るほど暇じゃねえんだぞ」

 やはり案の定というか、団員からそのような声があがった。
 そして声の主は皆の予想を裏切らず、やはりあの玉城だ。まぁあの男が騒ぐことはいつものことだと皆が無視していたが、少女――ラピスが静かな目で玉城を射抜くと、鈴を転がすようなよく通る声を発した。

「玉城真一郎……皇歴198○年○月○日生まれ。政治家を目指すも挫折し高校を中退。極東事変後、紅月グループに参加してレジスタンス活動を行い、その流れで黒の騎士団に入隊。生存率は抜群に高いもののナイトメアの腕は悪く、シミュレーションの戦績は撃破数2、生還率1割5分。後輩の面倒見は良いが金遣いは荒く、手にしたお金のほとんどはお酒や交友費、ゲットーの風俗店「ヌプヌプ」の――」

「わーわーわーっ!! な、なんでお前がそんなことまで知ってんだよ!?」

「情報収集はお手のもの」

 周囲の驚きの視線を余所に小さく胸を張るラピス。
 玉城は金遣いの荒さで有名ではあるが、その用途や店の名前、さらには過去の遍歴についてまで調べあげるのは容易ではない。
 私も黒の騎士団の主要幹部の情報についてはゼロを除き、ある程度集めてはいるが、あの玉城が政治家を目指していたのは知らなかった。
 それと隣に立つゼロが、何故か仮面に手を添えて頭を小さく振っているのが気にかかるのだが……。

「……とまぁそういうわけで、ラピスはディートハルト、お前の下につける。こいつの無駄に高い能力を存分に使い潰してやってくれ」

「ハ、了解しました」

 私はゼロに対してそう返事をしたが、この件に関しては正直乗り気ではなかった。いくら腕がよくとも、子供の面倒を見る暇など私にはないのだ。
 まぁ、子供一人では何もできないだろうし、情報部もちょうど人手が欲しかった所であるから、使いものになるまでは部下に面倒を見させておくとしよう。

 そう考えていた時が私にもありました……。





「ラピスちゃん、今日届く予定の医薬品や消耗品はどうなった?」

「3時間前に倉庫に搬入して、各隊の物資担当に通知済み」

「おーいラピスの嬢ちゃん、ナイトメアの予備パーツが足りないんだけど〜」

「4番倉庫に無頼のパーツをストックしてある。持ってくならその書類に必要事項を記入して」

「ラピスさん大変です! 38番の拠点にブリタニア軍の査察が!!」

「既に30分前に拠点には待避の連絡を入れている。端末の情報は5分前に消去済み」

「ラピスちゃん――」

「ラピスさん――」

「ラピス様――」

 こ、これは一体どうしたことか!?
 私がほんの2、3日他の仕事に気を取られている間に、情報部員のほとんどがラピスを頼りにして仕事を進めているではないか!
 しかも補給・軍事・諜報の3つの仕事を同時にしかも完璧にこなしているとは……。

「あ、ディートハルトさん! ラピスちゃんってばスゴイですね! 彼女一人で100人分の仕事を消化してるんですから!」

「100人? いくら何でもそれは……」

 情報部の団員の一人である女性が笑顔でそう口にするが、私はそれをやんわりと否定した。
 だがそう言いつつも私は自分のデスクにある端末を立ち上げ、メールボックスやスケジュール表に他の団員が書きこんだメモをざっと読んでいく。
 先延ばしになっていた拠点への物資輸送。国外ルートを利用したナイトメア部品の搬入路の確保。数ヶ月のスパンで決められた団員の訓練スケジュールの調整。その他諸々の処理が既に完了していることを知り、私の頬に一筋の汗が垂れる。
 正直予想以上……いや、それ以上の成果と認めざるを得ない。

(こ、このままでは私の立場が……!?)

 団員の反応を見れば彼女の有能さと人気は明らかだ。幾分の素っ気なさはあるものの、それが逆にまたイイと、人気に一役買っている。
 流石に私自身がお役後免になることはないだろうが、このままでは面白くない。なんとかして団員たちの信頼を取り戻さねば、私の沽券に関わる!

(そういえば、ゼロから団員達の慰安について話があったな……)

 端末を見てもそれに関しては全くの手つかずの状態だ。
 ならばこれはいい機会だ。最初は部下に適当に決めさせるつもりだったが、私直々にイレブン好みのプランを組み上げてみせよう。
 そして、黒の騎士団の情報部の地位を確かなものとするのだ!





 ――そして二週間後。

「へ〜っ、まだこんな温泉旅館が日本に残ってたとはなぁ!」

「凄いな……日本占領前でもこんな所には来たこと無いぞ」

 騎士団の玉城と扇が感嘆の声を上げて、目の前に立つ旅館を眺めている。
 私達黒の騎士団がいるのは、日本中部に位置する保養地の一つだ。
 度重なる戦いに団の誰もが疲弊しているだろうから、団員の慰労のために、ゼロがポケットマネーで幹部や主立った団員達を連れての慰労会を企画していたのだ。
 前々からこのようなイレブン好みの旅館は確保していたが、私の人脈をフル活用してゼロが要望したよりもワンランク上の旅館を確保した。
 団員達の反応は見ての通りで、幹部だけでなくゼロや藤堂、そして黒騎士も小さく感嘆の声をあげているのを耳にし、思わず笑みがこぼれる。

「クロヴィス皇子は美術・芸術関係だけじゃなく、こういう文化的なものにも理解がある人物でしたからね。それにこういった保養地は、日本人だけでなくブリタニア人もお忍びで訪れることもあるようです」

「そんな所に私達みたいなレジスタンスが来て大丈夫なの?」

「心配無用です。こういった老舗の旅館は客の事情について漏らすなどということは決してありません。また今日は我々黒の騎士団の貸し切りですから、他の人間に鉢合わせすることはありえません」

 他の団員達はそれを聞いて歓声を上げた。
 レジスタンスという立場である我々にとって、他の人間の目を気にすることなく騒げる機会はそうそうない。これで団員の私に対する信頼度は格段に上がることだろう。

(フフフ、ラピス・ラズリは仕事はできるが、こういった気配りは無縁の事らしい。今日の慰労会で黒の騎士団の情報部には存分に楽しんでもらい、私の立場を再認識してもらいましょう)

 そして私は団員を引き連れ、意気揚々と旅館の暖簾を潜った。





「諸君、我々の日本解放のための戦いは今後増々激しくなっていくだろう! だから今夜は明日に続く戦いのために存分に楽しんで英気を養ってくれ! それでは……乾杯!」

「「「「「「「「「「乾杯!!」」」」」」」」」」

 ゼロの音頭とともに団員達は思い思いに飲み食い、そして声を上げて騒ぎ始めた。
 流石に一流旅館にもなると宴会の席の料理も一流で、新鮮な海の幸や、山菜と美しい赤みの肉がふんだんに盛られた鍋が席に並べられている。出される酒もビールだけではなく、芳醇な香りの日本酒が並べられているが、ほとんどの瓶が瞬く間に開けられ空となってしまっている。

「あの、ゼロ……仮面を被ったままでは飲むことも食べることもできないのでは?」

「フ、心配ないカレン。こんなこともあろうかと、口元だけを開く機構は備え付けてある!」

「……無駄に凝ってあるんだな、その仮面」

「それならば、酌もして大丈夫だな……ゼロはいける口か?」

「嗜む程度にだが、奇跡の藤堂の酌とならば受け取らないわけにもいくまい」

「藤堂さん、その、彼はまだ未成年ですから、あまり大っぴらに酒を勧めるのは……」

「扇さん、今日だけはそう固いことは無しにしましょうよ。あ、ゼロ、もう一杯どうぞ」

「うむ、ありがとうカレン」

 宴会が始まって少しした後、ゼロに挨拶に伺おうとした所、カレンや扇、そして奇跡の藤堂がゼロと語り合っているところを目にし、いつもなら決して目にしない馴れ合いに私は眉を顰めた。
 あの会話は日頃ゼロと黒騎士が話している親しみやすさに近いような……まさか彼らはゼロの素顔を知って――

「おい、ディートハルト」

「む、何の用でしょうC.C.さん」

「ピザはないのか?」

「……旅館の宴会の席にそんなものあるわけないでしょう」

 この女性は最近になって騎士団のアジトに顔を出すようになったが、ゼロと近しい女性と言うことしか知らない。
 しかしゼロはなんだかんだいいつつこの女性やラピスには非常に甘く、団員の皆も扱いには慎重であり、加えて事ある毎にピザを要求してくるため手を焼いている。
 しかしまさかこんな席でもピザを要求してくるとは……。

「明日になればまた食べれるのですから今日くらいは我慢してください。ほら、この山菜の天麩羅など絶品ですよ」

「そんなものはいらん。私はピザが食べたいのだ」

「ディートハルト、私もピザ欲しい」

 さらに横からラピス参戦。
 二人の女性のおねだり(強請)にどんどん私の立場が不利になっていく。

「くっ、それなら仲居や他の団員にでも頼めばいいでしょう!?」

「他の団員は酒が入って頼みごとなんてできないし、旅館の人もそのお世話で手がいっぱい」

「第一お前がこの慰労会の幹事だろう。なのに貴様は淑女の頼み一つ聞けないのか?」

 淑女ではなくて魔女でしょうが、という声が喉元から出かかるが寸でのところでそれを飲み込む。そんな事を口にしようものならどのような報復が返ってくるか分かったものではない。

「分かりました。今すぐに配達を頼みましょう」

「ああそうだ、店はピザハットでないと駄目だからな」

「これ、メニュー一覧。各種類のピザLLサイズを一枚ずつね」

「そんなに食べるのですか!?」

 メニューを見ただけでもピザの種類は30近くありますよ!?

「せっかくの宴会だからみんなで食べるに決まっている」

「全く、お前はゼロに似て気が利かない男だな」

 おのれ、ゼロを引き合いにして私を馬鹿にするとは卑怯な。
 第一そのピザを買う資金はあなたではなく、いつも私達が出してるではないか!
 だがそのようなことを言っても、彼女らにとってはそよ風の如き雑音でいつも飄々と受け流され、更なる罵倒を返されてしまうだろう。
 仕方なく私は懐から端末を取り出し、最寄りのピザハットを検索する――くっ、この旅館はやはり配達区域の対象外か。

「……どんなに早くしても一時間はかかってしまいますが」

「ならお前が車を動かしてでも受け取りにいけ」

「時間までには戻ってきてね」

 もはや文句を言う気力も無くなり、嫌々ながらも私は車を出しに行く。もしや私がまだ酒に手をつけていないのを見計らって、私に言ったのだろうか?(乾杯の音頭の時には写真を撮っていた)
 しかし彼女等のわがままはゼロも苦慮しているようだし、どうにかしなければならないだろう。
 そう考えて旅館を出ながら電話でピザを注文する。こうしておけば向こうに着く頃にはピザが出来上がっているだろう。
 そう考えて私はそそくさと宴会場から退出する。そのせいで、私はあの桃色の子悪魔が影でにっこりと微笑んでいるのを目にすることができなかったのである。





「くっ……全部焼きあがるだけで一時間近くもかかるとは計算外だった」

 旅館へと向かう帰り道で私はそうぼやいた。
 私以外の注文もあったのか、流石に30枚以上のピザが出来上がるのに店側もかなりの時間を要していた。こうして私が車で受け取りに行かなければもっと時間を食っていただろう。
 しかしここまで時間がかかってしまっては、もう宴会も終わりに近づいているかもしれない。このエリア11で和食を食べる機会はそうそうない。
 そのため今回の慰労会は私自身も楽しみにしていた事もあるので、正直あの魔女達のわがままには、かなり立腹している。

「ゼロにあの二人の配置転換を願い出てみましょうか……」

 それが無理でもせめて好き勝手されるのだけでも止めてもらいたいものだ。そうボヤキながら旅館の駐車場に車を停め、30枚近いピザ箱を持って宴会場へと向かっていく。
 ピザの香ばしい匂いが鼻孔をくすぐるが、アジトで何度も嗅ぎなれた匂いな為、正直食欲は沸いてこない。それよりも私の分の食事が残っているかどうかが心配だ――

 ♪♪♪〜〜♪♪〜〜♪〜〜!!

「?……なんだ、このメロディは」

 宴会場に近づくと、なにやら耳慣れない音が聞こえてくる。それと同時に団員達の歓声や叫び声らしきものも耳に飛び込んでくる。
 なにやら単調かつ古くさいメロディだが、どこか体を熱くさせるような音楽だ。
 不思議に思いながらも宴会場に到着し、両手が塞がってるので足で襖を開けると、大音響の音楽と共に――



「「「「「「「「「「レッツ・ゲキガイン!!」」」」」」」」」」



 ――という声が飛び込んできた。
 宴会場の奥にいつのまにか設置された巨大なスクリーンには、古く同時に暑苦しいまでのアニメ絵がデカデカと映し出されており、トリコロールカラーのロボットが悪役っぽいロボットと戦っている様が流れている。しかもそんなアニメにいい年した団員達のほとんどが夢中になっているのだ。
 私は目の前の光景に思わず硬直してしまっていた。

「いや〜なんだかなつかしい感じのするアニメだなぁ!」

「ちくしょ〜〜っ、なんだかココロにビンビンくるぜぇっ!!」

「馬鹿な……ロボットアニメの悉くを知る僕が知らないアニメがあるなんてっ……!!」

「朝比奈……お前、そんな趣味があったのか」

 扇や玉城といった騎士団の幹部は勿論、朝比奈や卜部といった四聖剣の人間までも夢中になっている。

「と、藤堂さん。杯が空になってますよ――」

「素晴らしい! 熱血・勇気・友情! 今の日本が失った古き良き精神がこの映像に詰まっている!! 千葉、君も目に焼き付けたまえ!!」

「え、あ、はい……」

 ……しかもあの奇跡の藤堂すらも夢中になってるし。千葉さん、あなたはそこで頬を赤らめずに、もっと積極的になって下さい。
 呆然として頭の中でそうツッコミ、私は気を取り戻すと真っ先にゼロの元へと駆け寄った。

「ゼ、ゼロ、これは一体何事ですか!?」

「む、ディートハルトか。ピザの買い出しご苦労だったな。貴様の分の膳は仲居に言ってキープしてあるから後で食べるといい」

「ああ、感謝します。今宵の宴会はそれが楽しみでしたので……じゃなくてっ!!」

 いかん、思わぬ事態に頭がついてこない。この私がノリツッコミなどという真似を晒してしまうとは。

「あの映像は一体何なのですか!?」

「ああ、あれはラピスが持ってきたアニメでな。今まで皆に見せる機会がなかった言って上映会を始めたのだ」

「またあの娘ですかっ……ゼロ、いい機会です。ここは一つあの魔女達にガツンと言って団の引き締めを――」

「所でラピス、ゲキガンガーもいいが『牙面ライダー00(ダブルゼロ)』は上映しないのか? 私はあれの方が好みなのだが」

「ゼロォォーーーッ!?」

 ――ディートハルトは知る由もなかった。既にゼロ……ルルーシュはラピスの手によってこの手のアニメに調教済みだと言うことを――

 くっ……こうなったら誰でもいい! この事態を止められる人間は黒の騎士団のエースの二人やラクシャータしか――

「いけーーリクガンガー! そこで輻射波ど……ドリルアタックだ!」

「うん、真ゲキガンガーもいいが、やはり元祖ゲキガンガーが一番だな」

「合体に変形機構か〜。荒唐無稽だけどいい刺激なるわねぇ〜」

 駄目だこいつら、完全にはまってやがる。
 最早周りにはこのゲキガンガーなるアニメに夢中になっているものしかおらず、私の存在は完全に置いてけぼりにされていた。
 唯一あの魔女達が私ーーというよりも私が持ってきたピザを取りに来て、礼とねぎらいの言葉をかけられたのだが、最早それに応える気力はなかった。
 私はフラフラと歩きながら、旅館の仲居にキープされた膳を受け取り、嫌に耳に残るアニメのイントロを呟いていた。

「夢が明日を呼んでい〜る〜……ああ、刺身が美味い」





 ディートハルトのそんな呟きを横で聞いていたラピスは、ニヤリとほくそ笑んだ。

(ゲキガンガー世界制覇計画、第二次段階完了)

 元の世界で絶大なブームを巻き起こしたゲキガンガー。
 ブリタニアに居た時に見せた皇子・皇女達だけでなく、堅物のルルーシュですら嵌まった元の世界のアニメや特撮はやはりこの世界の人間も熱中しやすいようだ。
 一種の宗教にまで発展したこのアニメを使えば、もっと平和的に世界を掌握できるのではないか。ラピスはそう考えてルルーシュにも内緒でこの計画を陰で推し進めていた。
 第一次段階となるルルーシュ達アッシュフォードの人間は既に攻略済みであり、今宵第二次段階の黒の騎士団の攻略に成功している。
 ゆくゆくは日本(第三次)、ブリタニア(第四次)を席巻し、世界を燃えと萌えで制覇して見せると意気込んでいた。

『燃えと萌えが満ち溢れる世界でありますように』

 ラピスの途方もなく馬鹿馬鹿しい計画は、深く静かに浸透していくのであった。





 この後、黒の騎士団のナイトメアライダー達が戦闘の際に「ゲキガンライフル!(只のアサルトライフル)」や「ゲキガンシュート!(只のスラッシュハーケン)」等と叫ぶようになったのは言うまでもない。
 そして一番影響を受けたのが、あの藤堂鏡士郎で、今まで以上に攻撃に名前を付けて叫ぶ事が多くなったのであるが、それは完全にどうでもいいことであった。





 おわる


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■作者からのメッセージ
 此処最近小説を書く意欲が湧かなくなったので、気分転換のためにこの話を書きました。
 本編を期待していた方、申し訳ありませんorz
 いやまぁ、発売したスパロボに夢中になっていたという理由もあるのですが(汗
 紅蓮強いよ紅蓮! ガヴェイン強いよガヴェイン!

>>フェリさん
 原作は二人の主人公と銘打っていたので、この作品では原作とは違う方向性でそれを目指しております。
 うまく書ききれるかどうか分かりませんが、これからもよろしくお願いします!

>>マヤさん
 ドロテアさんのキャラは作者の妄想が暴走した産物ですが、アキトに対する良きライバルとなっていますので多分ずっとこんな感じになるでしょうねw

>>まさるさん
 あ〜…最後の大型ナイトメアに関しては、ガヴェインやモルドレッド等のナイトメアを指すので、まさるさんの想像するものとは違うかもしれません。
 ですが、その指摘でまた違う妄想ができたので、いずれ違った形で出てくるかもしれませんねw

>>青菜さん
 相変わらずの鋭いご指摘流石ですw
 編成についてはアキトと藤堂の機体以外は全て同じ、と考えていただいてOKです。流石にガチ軍人の藤堂相手だと、アキトも苦戦するでしょうしね。
 ナナリーに対するフォローについては次話以降……かな?

>>カガミさん
 ナデシコ技術が全て使われると、正直ブリタニアは勝ち目がありませんからさじ加減が難しいですよね。
 ですがこれまで出番のないそんな技術も、どこかで必ず日の目を見ますのでお楽しみに!

 さて、次のお話こそ本当に本編を書きます。
 スパロボも一段落したので、お話のボリュームはこれより多くはなると思いますw
 それではまた次回〜
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