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仮面ライダーW -Unlimited Desire- 2.『疑惑のD/戦いの序章』
作者:ムック12世   2011/09/17(土) 19:36公開   ID:xeD7hw9LafY



事務所の一室・・・

とは言っても、すぐには分からない場所には違いない。

帽子掛けの壁の奥に、俺たちのもう一つの顔がある。



「おかえり、翔太郎」

「ああ・・・」



普段、俺たちがいる仕事場を一言で表せば、“昭和風”っぽい雰囲気だ。

一転して、もう一つの顔の仕事場は、重機が点在していたり、ホワイトボードとかがあったりと、まぁ殺風景って言っても問題ない。

その部屋の中央で、いつものように本を片手に佇んでいるフィリップが、いつものように出迎えてくれた。



「その様子だと、収穫はなかったようだね」

「さっぱりだ。何しろ、今ではその数自体激減してるガイアメモリを、それもかなり特殊な奴を見つけろっていうのは、この風都の中だけっていっても厳しいな」

「なら、“検索”するかい?」

「そうだな」



フィリップが目を閉じ、両手を水平に広げる。

端から見れば、何を始めるかは分からないだろうな。

けど、俺たちは毎回“これ”のおかげで、いくつもの事件を解決してきた。

「地球(ほし)の本棚」と呼ばれる、地球の記憶のデータベースと直結して、様々な情報を閲覧する、フィリップの能力の一つだ。



──“検索”を開始する

──キーワードは・・・『ガイアメモリ/Gaiamemory』・『名前が無い/Nameless』



今、フィリップの精神世界では、膨大な量の本棚がその大半を占めている。

キーワードを入力するたびに、その量がどんどんと減っていき、最終的に必要となる一冊だけが残るという形だ。



──ふむ、数が絞れないな・・・

「今でどのくらいまで絞れたんだ?」

──本棚一つ分というところだね。他に何か情報はないかい?



そう聞かれても、今回の捜査では、パッとしたものは見つけられなかった。

強いて言えば、依頼人のハルカちゃんを捜してる変な男に会ったくらい・・・



「・・・駄目元だが、キーワードの追加だ、フィリップ。キーワードは、『龍の入れ墨/Dragon tatoo』」

──・・・ほぉ、面白いキーワードだね



フィリップが目を開いた。

“検索”を終了したらしい。



「何か分ったか?」

「実に興味深い情報が残った。あの子が持ってきたガイアメモリは、通称『D-4メモリ』と言うらしい」

「D-4?どういう意味だ?」

「“D-4”とは、“Defective-4”の略称で、4つのメモリが揃わないと、本来の効力を発揮しない特殊なメモリらしい」



“Defective”・・・確か、「不完全」って意味だったはず。

大道克己の持ってたのは、「T2メモリ」だったはずだが、何か関係でもあるのか?



「・・・フィリップ」

「聞きたい内容は把握しているよ?生憎と、“T2メモリ”とは別に開発されたようだ。事実、ミュージアムも財団Xも、この“D-4メモリ”の開発には関与していないようだ」

「それで?どこで開発されたかはわかるのか?」

「・・・・・・・・・」



珍しいな、フィリップが言葉を濁すなんて。

何か言えないことでもあるのか?



「残念ながら、開発に関する内容のページは、破り取られていた」

「破り取られていた?だって、園崎家が滅亡した今じゃ、地球の本棚に外側から関与できる奴なんて・・・」

「そう、いない筈なんだ。少なくとも、僕たちの知る限りでは、ね」



フィリップが、地球というデータベースと直結できる理由。

それは、フィリップは本来、「データから再構成された人間」だからだ。

過去に、“ガイアベース”っていう、ミュージアムの中枢にあった場所に落ちて死んだんだが・・・

その時に、“地球の本棚”の力を得て、肉体そのものがデータから再構成されたっていう経緯がある。


以前なら、園崎家の一人、園崎若菜も、“地球の本棚”に外側から関与することができた。

だが、その園崎若菜も今ではいない。

他に、俺たちが知る限りで、地球と直結できるような人間はいない。



「まぁ、知らない以上は仕方ないな。それで、フィリップ。他のメモリのありかは?」

「・・・残念だが、その部分に関しても、閲覧ができない状態だ」

「・・・となると、例の奴から聞き出すしかない、か」

「心当たりがあるのかい?」

「まぁな」



………………
…………
……



バイクを走らせ、さっき来た公園に再び足を運んだ。

随分と事務所にいたらくて、すっかり日が沈んで、辺りは真っ暗だ。

こりゃ、人一人探すのも難儀だな・・・



「左!」

「ん?おお、照井」



バイクを止めたところに、来ているジャケットと同じ赤いバイクに跨った、照井がやってきた。

何か情報でも持ってきてくれれば嬉しいんだが・・・



「何か情報は得られたか?」

「一応な・・・照井の方はどうだ?」

「手がかりになるとは思えないが・・・一つ、気になる情報がある」

「気になる情報?」



いやそれ以前に、照井がそこまで信用のできないっていうのはなぁ・・・

仮にもこいつは警察の人間だ。

しかも、エリートクラスの・・・

言い方は悪いが、警察の情報を好き勝手にみられるとは思うんだが・・・



「・・・それで?どんな情報なんだ?」

「とある人間の、捜索願が出されている。出された日時も、出した人間も異なるが──」

「対象となっている人間が同じ、か?」

「そうだ。捜索願を出した人間は3人だが、どう見ても血のつながりがあるようには見えない」

「・・・写真とかないのか?」



俺の問いに、照井は懐から写真を3枚取り出してよこした。

そのうちの1枚に、俺の目が留まるのは早かった。



「こいつ・・・!」

「知っているのか?」

「あぁ・・・昼間、ここで会って──って、捜索願が出されている人間って・・・!」

「“ハルカ”という少女だ」



間違いない、俺の依頼人の少女だ。

でも、確かにほかの2枚の写真に写ってるやつらも、ハルカちゃんと血のつながりがあるとは思えない。

捜索願を出す程って、どういうことだ?



「何がどうなってるんだ?」

「どうした、左?」

「いや・・・照井に頼んだ例のガイアメモリ、その“ハルカ”って子からの依頼なんだ」

「何だと?」



照井も表情を顰める。

まぁ、無理もない話だ・・・



「それで!昼間会ったと言うこの男に、そのことを話したのか!?」

「いや・・・仮にも依頼人だからな、その情報を見ず知らずの人間に話すつもりはねぇよ」

「・・・そうか」



しかし、どういうことかさっぱり分からない。

一応、フィリップの連絡を入れておくべきか?



………………
…………
……



「──っ!左、構えろ!」

「な、何だ?!」



照井が急に声を荒げる。

写真をズボンのポケットに押し込みながら、周囲を警戒する。

間を置かずに、街灯の光のあたらない場所から、不気味な音声がいくつも聞こえてきた。



──『マスカレイド/Masquerade』──



「ドーパントだと?しかもあれは、ミュージアムの・・・?!」

「ちっ!このメモリまで、転売されてるのか!・・・フィリップ!」



懐から、“ダブルドライバー”を取り出して腰に装着する。

この瞬間から、フィリップとは電話とかを使わなくても、意思の疎通が可能となる。



『あぁ、久々だけど、準備はできているよ』

「OK・・・風都の仮面ライダー、久々のご登場だぜ!」

「左、油断はするな」



そう言いながら、照井も“アクセルドライバー”を腰に装着する。

そして俺は黒いメモリを、照井は赤いメモリをそれぞれ取り出す。



──『サイクロン/Cyclone』/『ジョーカー/Joker』──

──『アクセル/Accel』──



「『変身!!』」

「変...身!」



………………
…………
……



「あれが、この街の“仮面ライダー”・・・」

「ま、お手並み拝見といきましょうかね」

「ん〜、どっちの子も、パッとしないわね」

「・・・お前たちの相手としては、役不足かもしれないな・・・ククク・・・」

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■作者からのメッセージ
更新がものすごく遅れました、申し訳ないです。
なんとか、週に一本のペースでやりたいなぁ…とか思ってても、出来ないものですねぇ(汗
あと、どうしても描写をさぼるのは私の癖のようなものでして…
なんとかしていこうという気はあるんですけど、如何せん、文才が乏しいので…
とりあえず、徐々に良くなっていくようには努力しますので、ご容赦願います(汗


とりま、返信の方を…
こんな駄文にコメントくださいまして、本当にありがとうございます!

>黒い鳩様
コメントありがとうございます。
いやはや、レベルが高いといわれて非常に恐縮です。
まだまだ表現力には難がありますが、生温かい目で見ていただけると幸いです。
次回からはバトルシーンも入ってきますので、なおのこと胃が痛いです(汗


>13様
コメントありがとうございます。
描写に関しては、自分でも痛感してるつもりではありますが、まだまだ文章書いて日が浅いもので…(汗
回を追うごとに良いものになるように努力していきますので、今しばらくはご容赦願います(平に〜
あと、Wはぜひ見てくださいな、面白かったので(笑


>ハナズオウ様
コメントありがとうございます。
ジョーカーもアクセルブースターも、登場させようかは非常に悩んでいます。
一応、オリジナルのライダーは出そうですけど、正直反応が怖いので、それすら未定という状況です(汗



なんとか、読んでいただいている方々に読みやすいものを、と尽力していきます。
今後ともお付き合いくださいますと、非常にうれしいです。
駄文・長文になりましたが、また次回に
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