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Devil・partner 第一話「残酷な氷の青年」
作者:ひいらぎ 由衣  [Home]  2011/10/14(金) 15:40公開   ID:/dRxfOtg52o
その日は、雨の音が耳障りに聞こえた。

俺、白川拓真は、大雨の中走っていた。目の前には炎に包まれるビルがあった。

パトカーや救急車、消防車が停まっている。

俺は、中年男性の遺体に駆け寄った。胸を銃で撃たれ、血まみれ。

「父さん・・・父さん!?」

俺は泣き叫んだ。風貌からすると、警察の人間だ。

俺も警察をしているから、よくわかる。

「白川ッ落ち付け、お父様は、犯人を取り押さえようとして、撃たれた
発砲した犯人は捕まった」

この日、このビルでテロ事件があった。

「出てきたぞッ」

俺は振り返ると、警察に腕を掴まれ、手錠をかけたれた男がビルから出てきた。

黒いニット帽をかぶり金髪。ラフで、黒が中心のTシャツと紺のジーパン。

痩せていて、身長は標準の男性よりも少し高い。

顔は、ハーフなのか異国風で、青い瞳。歳は俺と同じ、20代前半のようだ。

パトカーに乗り込む直前、男は俺をちらりと見た。

そして、冷たい眼差しで、ニヤリと笑った。

そして、テログループは、その男以外は取り逃がしてしまった。

その事件は、父を含む死者20名、負傷者100名だったそうだ。




数ヵ月後、一向にテログループは捕まらない。あの男も口を閉ざしたまま。

「まだ、情報は得られないんですか!?もう何ヶ月経つんですか?」

俺はその事件の担当になった。だが、皆聞こうとはしない。

「白川、お前は父を失って、悲しいと思う。だが、俺らだって頑張ってるんだッ」

上司はそう言って、逃げる。

(なぜだ?お前らの仲間、父を殺されたのに悲しくないのか?)

父は警察の中でも、偉い方の人だった。厳しいが優しい人だった。

「そんなに、この事件を解決したかったら、アイツに聞けば?
あの男、お前以外の人間には話したくないって言ってたしな」

そう、父を殺したあの男は、俺にしか口を利かないと言っている。

だが、俺にすれば、それは拷問のようだ。

だが、そいつは裁判で死刑と言われている。早くしなければならない。

「いいだろ?事件を解決するんだったらッ」

「・・・ッ」

(あんな奴に会うのか?冗談じゃない!)

だが、俺は、結局1週間ほど考え、あの男に会った。




面会所で、ガラス越しに会った。あの時から変わらない少し長めの金髪でボサボサだ。

囚人服で、少し痩せたのか、細くなり、眼の下にはクマがある。

それに引き換え、俺は綺麗な紺のスーツを着て、黒い短髪だ。

俺と同い年なのに、服装は、俺とは天と地の差ほどある。

男は、静かに椅子に座り、下を向いている。

「名前は?自分の名前すら、言ってないようだな」

そう、こいつは自分の事すら言わない。警察内部では、同然知っているが聞いた。

「・・・黒崎レイヤ」

ボソッと、答えた。下を向き、瞳だけこちらを向ける。髪の毛で顔はあまり見えない。

「お前の仲間はどこにいる?居場所くらいなら、見当がつくだろ?」

無表情で、俺は聞く。

「可哀そう・・・」

ニヤリと笑う。

「何がだ?」

「あの刑事、お前の父だそうだなッ良く似てるよ。冷静で、優しそうに言葉を交わす・・・偽善者ッ」

俺はその言葉に、怒りを覚えた。しかし、返す言葉が見つからない。

もし、反発をすれば、こいつは面白がるはずだ。

「焦っているな、俺を見てから・・・汗で額が濡れている・・・」

黒崎は、見抜いた口調で言う。怖くなった。自分とこいつに。

「あの刑事は、俺にこう言った『今なら遅くない。警察へ行こう』ってな
ムカついたんだよ、自分はいい人だ。そんな奴がな。だから、殺した・・・」

冷たく笑う。

(そんな理由で、父を殺したのか?この男は・・・)

俺は我慢が出来なくなった。

「貴様ッもう一度言って見ろ!父は勇敢な人だ。お前みたいなクズッ死刑になればいい!」

怒りに身を任せ、怒鳴り散らした。椅子から立ち上がり、ガラスを叩き始める。

ガラス越しでなければ、殴っていただろう。

周りにいた監守が俺を押さえる。

「止めろ!面会は中止だッ」

「離せッ黒崎!」

引きずられ、面会所を出されそうになった時。

「いいぞ、あいつらの居場所を教えても・・・だけど、次は一人で来い」

黒崎は、小声でそうつぶやいた。




数日後、俺は、黒崎の最後の言葉が気になり、一人で面会所へ行った。

周りの監守は省いた。

ガラス越しに、俺はこの間の怒りを抑え、こう切り出した。

「この間の言葉は本当か?」

「あぁ、本当だ。やはり気になったんだな、ちゃんと約束も守って・・・」

周りをキョロキョロする黒崎。少し警戒しているようだ。

「ただし、条件がある」

前を向き、俺をじっと見つめる。

恐怖を俺に与えるかのように笑う。

「何だ?」

俺はひるまず、問いかけた。

心の中では、その恐ろしさに逃げたい気持ちもあった。

「俺をここから出せ」

小声で、俺に言った。

こいつが考えている事は、言わずともわかる。

「何を言っているッ出来るわけがないだろう?」

俺は瞬時き答えた。

「フン、言うと思った。だが、俺は本気だぞ?白川」

黒崎は俺の名前を口にした。

(なぜ?なぜ、俺の名前を知っている・・・他の刑事が教えたのか?)

「なぜ、俺の名前を・・・」

体が汗でグッショリになった。

「お前の事なら分かる。別に他の刑事から聞いたわけではない」

「じゃあ、なぜ?」

再び、笑い始める黒崎。

「さぁな、俺もそこまでは教えられない。どうだ?俺に話に乗らないか?」

俺は、肩だが石になったかのように固まった。

黒崎の青い瞳に吸い込まれそうになる。

息苦しい。恐怖と黒崎の言葉に頭が壊れそうになる。

心臓の鼓動が徐々に早くなるのを感じた。

「お前は・・・一体何を考えている・・・」

息を切らしながら、きっぱりと言った。

だが、黒崎は動じず、ニヤニヤと笑った。

「お前の捜査に協力する。それだけだ、俺がいればきっとあいつらは捕まる」

意味のわからない事を言い出した。

(こいつは、逃げたいだけなのか?調子のいい事を言って、最後には逃げる気だ)

「お前の考えには乗らない。お前は一人脱獄したいだけだろう?」

そう言い返すが、黒崎は、満面の笑みだった。

「なぜそういいきれる?」

黒崎はそう言った。

(なぜ?かって・・・それは・・・)

「俺が犯罪者だから?」

(そうだ・・・それだけだ。他に何がある?)

膝の上で、握りこぶしを強く握り、血が出そうに痛い。

下を向き、下唇を噛みしめ、汗がボタボタと落ちる。

「俺にも助けたい人間がいる」

黒崎は、今まで聞いた事のない真剣な口調で言った。

それに、以外過ぎる一言で俺は黒崎の方を見た。

「助けたい?そんなのウソだろ、どうせ・・・」

騙されない一心で、そう決めつけた。

「ウソじゃない。本当に助けたい。そいつはあいつらに捉えられている」

今までのふざけているような、笑った顔はなかった。

真剣そのものだった。

「誰何だ?それは・・・」

「今は言えない。協力してくれれば、言ってやる」

俺はその瞬間、頭が真っ白になった。

黒崎を信じるか、それとも刑事としての地位を守るか。

黒崎の目を見ると、期待と悲しみの包まれている。

その時の時間は、ほんの数分のはずなのに、信じられないほど長く感じた。


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■作者からのメッセージ
ハウズオウ様

最終回の感想ありがとうございます

原作をもとに作ったのですが、自分的にこういうのがいいかな?と思って作ったので、ラストにうなされました。

願いは、人さまざまで面白いですね(笑

原作には、人には光と闇があり、光があるから闇がある闇があるから光がある

そんな事が書かれていました。闇を消すためにチョコレートを食べて

光を奪われ、闇に堕ちるものと、光の道へ這い上がる者がいると書かれていました

結構意味深くて、面白いですwww

今回のオリジナルは、つい最近サスペンスドラマを見ていて、突如思いつきました

犯罪者と刑事が手を組むっていいかな?と、言うように(苦笑

それが、どちらの方向にかは、すごく迷った末、次回で分かると思います

変なお話ですが、感想お待ちしています!
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