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名の無い町  1話 都市伝説
作者:零   2011/11/02(水) 18:03公開   ID:J9iDlNyU4e6
この町には名前は無いが、都市伝説ぐらいならある。

 例えば、表稼業から裏稼業、どんな以来でも引き受ける、何でも屋集団『バーズ』。
 例えば、どんな情報でも持っている、情報屋集団『サイレント』。
 例えば、町の治安を維持するために結成された、治安部隊『罪滅ざいめつ』――。
 
 他にも、まだまだこの町には都市伝説が存在する。
 その中でも一番有名なのは、先ほどでも紹介した治安部隊『罪滅ざいめつ』。
 
罪滅ざいめつ』は、数年前ほど前から存在していた都市伝説だ。
 しかし、最近その都市伝説は現実味を帯びて町の人々に語り継がれている。
 
 ここで、罪滅ざいめつについて少し説明をしておこう。

 罪滅ざいめつは、基本的に隠密集団である。目立つような事件などは警察に任せて、見えないところで活躍するという、ヒーローのような存在である。
 罪滅ざいめつは、14歳からじゃないと入れない集団だ。これは、小さい子どもが危険な目に遭わないための決まりである。
 罪滅ざいめつは、2つに分かれている。頭脳労働組と肉体労働組に分かれている。
 

 罪滅ざいめつの噂は今日も語り継がれている。
 たとえ、偽りの噂でも――。


  
 季節は夏。曜日は日曜日。時間は午後の1時。
 猛暑で学生たちが汗をかきながら自転車をこいで塾へ向かったり、朝練帰りの学生。
 様々な種類の人々が町を行き来している。


 ここは町外れにある4階建ての学校。そこが罪滅ざいめつの拠点だ。
 元は中学校だったらしい。
 見る人から見れば、有名な心霊スポットか何かだと見間違えられてもおかしくないほど
の不気味さだ。
 業者も取り壊そうとしたが、予算が無いということで中止になった、言わば廃校舎でる。 
 そんな、心霊スポットになる条件が満載な場所だからなのか、周りには人っ子一人いな
い。

 中は意外ときれいになっており、最近掃除したあとも見られている。
 罪滅ざいめつのメンバーたちが溜まっている場所は2階にある『級長会室』だ。
 ここはもともとクラスの級長たちが集まって会を開く教室なのだが、広いという理由で
使用している。
 もっとも、文句を言う者は誰1人としていないのだが。
 中には数十人の人影があり、それぞれのグループを作ってワイワイガヤガヤとお喋りに
夢中になっている。

「だから、『と○る魔術の禁書目録』で一番可愛いのは御坂○シリアルナンバー10032だろ
うが!」
「いいや違うね、五○だ!」
「ふっ、それこそ違う、一番可愛いのは木○秀吉だッ!」
「それはカテゴリーから違うだろーがっ!」

 バキッ

「ヘボバッ!」

 と、何ともほのぼのとした会話が響き渡る。
 他にも会話を楽しんでるグループはいくつかあった。
 グループを作っていない者たちも、各々好きなことをしている。

 例えば、学校の宿題一生懸命やっている。
 あるいは、机に突っ伏して居眠りをしている。
 あるいは、まどから空をボーッと見ている者などがいる。
 
 ふいに、「バンッ!」と、音が聞こえた。
 一部の者たちを除いてのほとんどが音のなった方へ向いた。
 向いた方向には、髪の長く、巨乳な女が教卓に両手を着けて俯いている。

「貴様らはここがどこだか分かっているのか?」

 答える者いなかった。
 
「貴様らは遊びに来たのか?」
 
 また、答える者はいなかった。

「答えられないなら、腕立て300」
 
 だが、答える者はいなかった。

「今から、腕立て400だ」
「いや増えてるしッ!」

 一人が突っ込んだ。無視されたが。

「ドベだったものは、さらにペナルティーだ。用意、始めッ!」

 いきなり言われ、戸惑う者、即座に対応し床に両手を着き腕立てを始めたもの、多種多様な動きが見られる中、4人だけ明らかに場の空気にあってないものたちがいた。
 
 一生懸命宿題をしている者。
 ボーッと窓から空を眺めている者。
 なぜか来週号の週間少年ジャンプを読んでる者。
 机に突っ伏して、居眠りをしている者――。

「とりあえず、貴様らはペナルティーだな」

 4人に向かって、放った言葉のはずだが4人からの返答が無い。

「おい」

 一瞬で、居眠りをしている者の前に立ち、かかと落としを叩き込んだ。
 
 べギィ!

 と机が破損する音が聞こえた。いや、音しか聞こえなかった。

「危ないなー。死ぬところだった」

 いつの間にか、女の真横にいた。

「まあ、俺だからよけれたものを――ッて、いってーーーッ! いきなり殴るとは常識が無いのかあんたはッ!」
「ほう、寝たふりをして腕立てをやり過ごそうとした奴に言われたくないがな。なあ、神無月裕斗(かんなづき ゆうと)。」
「グッ!」

 図星だったのだろう。言葉が詰まっている。

「貴様ら、私について来い」

 4人に向かって言った。今度は4人全員が席を立って(1人はすでに立っているが)女の後についていく

「あと、まだ腕立てをしている者もだ」

 腕立てを終わらせていない者はまだ10数人人いた。
 その者たちも、顔を不満気にさせながらも付いていった。

「ペナルティーってなにするの?」
 
 神無月裕斗は聞いた。

「なぁに、簡単なことだ」

 女は一息置いて言った。


「悪行退治をしてもらう」 


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