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転生レポート
作者:エフィン   2012/05/28(月) 23:24公開   ID:Ooy4qxvl4SY



辺り一面白色の世界。
上下左右、全て白。何の気配も感じられない、無の世界。

そこにいるのは、周りをきょろきょろと見渡す青年と、
光に包まれた謎の老人。

『君はトラックに轢かれて死んだ』

「え? じゃあ、今此処にいる俺は……?」

いきなりとんでも無いことを言う存在に、青年は疑問の声を挙げる。
それもそうだろう。
死んだと言われているのに、己はここに存在して声を発しているのだから。

『生前の姿を取っている魂とでも言えばわかりやすいかの』

老人は、青年の疑問に答えると同時に
いつの間にか用意されていたスクリーンに、とある漫画の1シーンを映し出して説明を補う。

「なるほど……」

具体的に言えば、界○様のところで修行している孫○空。

『で、君がここに呼ばれた理由だが……最近流行の転生と言えばわかるかの?』

「……転生!?」

『そうじゃ。本来放っておいても勝手に転生するようにはなっているのだがの』

驚きを隠せない青年に答えながら、これまたいつの間にか用意されていた用紙を手にし一読した後頷き、再び青年に目を向けると、
そこには先程までとは打って変わり、何か期待した様子の青年が老人を見上げていた。

『言わずともわかってるようじゃの。
 では説明するが、君が転生する世界は【魔法先生ネギま!】の世界。
 転生するにあたって特典を・・・』

「まじで!?  じゃあ、魔力量を世界最強で!」

『あー……まぁ、よかろう。承認』

青年のありきたりな希望を用紙に記入し、ぽんっと印鑑を押すように手を押しつけると
突然青年の体が光り輝く粒子へと変わり始め、驚きの声をあげる。

「うわっな、なんだ!?」

『安心せい、転生が始まるだけじゃよ。
 では、次に目が覚めるときは転生は完了しておる』

その言葉が聞こえたのか、慌てていた青年はホッとした表情を浮かべた後、
その姿を完全に消したのであった。























放課後の校舎。
夕日は沈みかけ、一部校舎に残っていた生徒も一人一人帰路に就きはじめる。
今日は珍しく勉強会を開いていたクラスメイトが全員帰宅したのを目にした少女は、
ほぉっとため息をつく。



―― 寂しい。



去年、あの娘らが入学して同じクラスになってから
その思いは日に日に強くなっていくのを、少女は自覚していた。
いつ頃か諦めていた想いがふつふつと蘇ってきているのだ。
あの輪に入りたい、と。
だがそのような願いは叶わないのだ。

―― ザァ

「幽霊じゃなかったらなぁ」

彼女は既に死んでいるのだから。

「もし、生きてたら……」

―― ザァァ 

談笑しながら校舎から遠ざかるクラスメイトを眺めながら、
あの中に自分が居る光景を想像するが、その次には歪んだ笑みを浮かべる。

「そんな事あるわけないけどね。……あれ?」

―― ザァァァ

そう呟きの後、ふと木の葉が風に揺れるような音が少女の耳に聞こえる。
校舎の中では聞こえるはずもない。
だが、どこかで聞いたことのあるような不思議と懐かしい気分になる音だ。


「この音、どこで……ってええぇ!?」


音の出所を探そうと、教室内を見回すと
何かが現れようとしているのか、教室の中央に光の柱が立っていた。

この世には魔法が存在する、というのを幽霊ライフで知っていた少女だが
このような現象ははじめての事らしく驚いた様子だ。


「な、ななんだろう……。でも」

あの光の柱に触れなければならない。呼ばれている気がする。
何故かそう思った彼女は一歩一歩近づき、それに手を伸ばし……

―― ……お

世界に光が弾けた。



























「みなさんおはようございます!
 えっと、急ですけどみなさんにお伝えしたいことがあります」

教壇に立つ赤毛の少年、ネギの言葉に騒がしかった少女らが興味を示したのか
教室内が静まりかえる。

「では、入ってくださいー」

扉が開かれ、静まりかえった教室に少女の足音だけが響きわたる。
そして自らに注目している少女らを見渡し、ニコッと笑みを浮かべるのであった。



ありえないと思っていた光景が、彼女の眼前に広がっていた。
理由は知らないが、世界樹が望みを叶えたらしいのだ。

夢、幻想かもしれない。
そんな考えが浮かぶが、それでもいいかと思う。
それなら醒めるまでに今を楽しもうと、
先生方が考えたカバーストーリーを思い出しつつ彼女は思いきって口を開くのであった。









「相坂さよ です!
 長い間入院してて学校には行ってなくて……あの、お友達になってください!」



間を置いて、教室中に様々な声があがるのであった。




















(何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故
 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故
 何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故!?)

日が暮れた教室内で揺れ動く人影。
全身が闇に包まれ暗く性別はわからないが、禍々しい雰囲気を振りまく存在がそこにいた。

(おれれれてんせぃしtァァァhあ?)

「これは、ここにおいておくのは拙いですね」

「うむ……。すぐ対処した方が良さそうじゃの。
 高畑君、腕利きの魔法先生を召集してくれたまえ」

2人の男の内、高畑と呼ばれた男はその言葉に頷くと走り去っていく。
それを確認したもう一人……学園長は苦い顔を浮かべるとため息をつく。

「まったく……世界樹が突然活性化したと思ったらよくわからない現象で
相坂君が蘇って大変じゃというのに、その後にこのような物がでるとはのぅ」

そう呟くと、学園長は窓から見える世界樹を眺めると再びため息をつく。

「今年は色々起きそうじゃのぅ……。ま、それもこれをどうにかしてからじゃの」

禍々しい気配を増してきた影に、気を張りつめる学園長であった。





















『……観察終了。次のケースへ移行』

老人は……いや、老人の姿をした何かはそう呟くと、
とある世界を映したスクリーンを閉じるのであった。




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■作者からのメッセージ
オリ主らしき存在が転生したあとの台詞がほぼないという。

むしろこの場合、神様らしきものがオリ主じゃないかと終わってから気づいた。


トリップ忘れちゃった

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