あるところに、『田中さん』と呼ばれるマスコットのような可愛らしい小人が住む田中星があります。
今日はそんな田中星の1人の田中さんのお話……。
第1話『田中サンタ』
田中星にも地球と同じようにクリスマスがあります。
そんなクリスマスシーズンになると大忙しの田中さんがいます。
それはーーー。
「田中サンタさ〜ん!」
「はぁい?」
こんにちは。
私は田中サンタです。
「大変です!たくさんの人のプレゼントの変更がありました!」
「何だって!?」
私の仕事は地球のサンタと同じで、田中トナカイさんと一緒に皆にプレゼントを配ることです。
「よし、じゃあ行こうか。田中トナカイさん!」
「はい!」
田中星は地球とは違って春に子供たちから欲しいプレゼントの書いた手紙が送られてきて、1人1人のために種をまいてプレゼントの木をつくります。
だから、プレゼントの変更があると大変なのです。
シャンシャンシャンシャン
私は田中トナカイさんに乗って空を飛んて森へ向かいました。
家のすぐ上の空からもたくさんのプレゼントの木が見えます。
ザザァ
家を出発してからわずか1分でプレゼントの森へ着きました。
「田中トナカイさん、プレゼントの変更内容は?」
「はい、まずはCDと文房具を頼んでいた子がゲームのカセットに変わりました」
私は急いでその子の木へ向かいました。
「この木だね」
疲れた私は息切れをしながら田中トナカイさんに聞きました。
「はい。その木です」
ピッカーン
私は毎年のように魔法を使いました。
これで完成です。
「次は?」
「次はーー」
私はこの作業を繰り返しました。
フニャフニャン
「フゥ。疲れた〜」
プレゼントの変更を全部終わらせて疲れた私はその場に座り込みました。
他にもクリスマス1週間前になるとプレゼントの収穫もあります。
こんな感じでクリスマスシーズンは忙しいのです。
でも、忙しいのはクリスマスシーズンだけではありません。
よく、どうせ働くのはクリスマスシーズンだけなんでしょ。
と言われますが、そうではありません。
さっき言ったように1人1人のために木を育てるためにたくさんの木に水をあげて肥料をまいてとやっていると朝早くから初めてもあっという間に日がくれてしまいます。
普通の人よりも自分の時間が少ないです。
でも子供たちの笑顔のためだと思えば苦ではないのです。
そして一番忙しいクリスマス当日。
「田中トナカイさん行きますよ」
「はいはぁい」
この日は一番星が出たと同時に家を出発します。
ピーンポーン
「サンタで〜す!」
田中星のクリスマスは地球とは違って家によってはサンタが直接渡すこともあります。
「メリークリスマス」
「サンタさんだ!」
私が家に来ると子供たちはとても喜んでくれます。
「はい、プレゼントだよ!」
パッ
ビリビリ
さっきまで私ばかり見ていたのにプレゼントを渡すと私の事などまったく興味を示さなくなりました。
これが私の職業ならではの悲しいことです。
でも
「嬉しい!サンタさんありがと」
最後に笑顔でお礼を言ってくれるととても嬉しくなります。
たまにお礼を言わない生意気な子供もいますが、プレゼントを喜んでくれるならそれでいいです。
子供たちが笑顔でいてくれる。
それが私の幸せなのです。
このように田中星には魅力的なキャラクターが住んでいます。
しかし、まだ人間は田中星を発見していません。
もしかしたら田中星発見は遠い未来の話かもしれません。
だとしたら私は、田中星が発見されるまで田中さんたちを紹介し続けましょう。
いつまでも
いつまでも