ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

AMNESIA 壊れてしまった(中編)1話
作者:パープル   2013/03/09(土) 20:29公開   ID:QRbk/cNYdaA





どうして気づかなかったんだろう。

私が気づいてあげれれば、私もトーマも幸せだったのに。

でも、ごめんね。

私はーーーーが好きだから。

わがままで、ごめん。



8月1日の今日。
私は、トーマと久しぶりに会う約束をしている。

待ち合わせ時間は10時で場所は、私のマンションの前。

しばらくお互いの大学で忙しかった私達は、やっと夏休みに入って落ち着いて会える日が来た。

久しぶりのトーマを想像すると思わず顔がにやけてしまう。

私はいつも、トーマは私のお兄ちゃんみたいって言っていたけれど本当に今、久しぶりにお兄ちゃんに会う様な感覚だ。

「おぉ、悪い!」

時計の針が9と8を指した頃。
トーマがやって来た。

「久しぶり、トーマ」

いつもの様にニッコリ笑うと

「あぁ、久しぶり」

とトーマも笑ってくれた。

「ていうか、まだ40分で後20分もあるのにもう待ってたの?」

「うん、早くトーマに会いたかったから」

私がトーマに素直に言うと、トーマは「そっか」と言って頭を撫でてくれた。

私は、トーマに撫でて貰っている時間が大好きだ。

思わず気持ちよさに目を細めると 

「お前、変わんないな」

と言われてしまった。

確かに私も変わっていないけど、トーマも変わっていないみたいで安心した。

「じゃあ、行こうか」

そう言って私は、トーマの手を握って歩き出した。

トコトコ

家から約20分。
街中までくると、やはり騒がしくなってきた。

「キャー、イッキ〜!」

しばらく歩くと聞きなれた名前を聞き、思わず足を止めた。

すると、やはりそこに居たのはイッキさんとFCの人達だった。

「あれ、おはよう」

イッキさんは私達に気付き、挨拶をしてくれた。

「おはようございます」

私が笑顔で挨拶をすると、それに釣られたのかイッキさんも笑顔になった。

「今日はトーマくんとデート?」

イッキさんは冷やかすようにそう言った。

「な!違いますよ。トーマはただの幼馴染みです」

私がそう必死に言うと

「ふぅん。ま、楽しんでおいで」

「はい」。
そう言おうとした時だった。

「行くよ」

トーマに強引に引っ張られてしまった。

「ちょ、トーマ。待ってよ」

私がトーマのペースに合わせれなくなって叫ぶと、トーマは我に帰った。

「あぁ、ごめん。つい」

さっきまでトーマの周りを暗くしていた物が消えた。

「映画館、ここだよね」

どうやらいつの間にか映画館についていたらしい。

「じゃあ、チケット買ってくるね」

早速映画館に入ると、トーマはチケットを買いにいってくれた。

こういう時「頼りになるなぁ」と思う。

お兄ちゃんがいたらこんな感じだったのかなって。

「お待たせ」

しばらくすると、トーマが帰ってきた。

「よし、行こうか」

そう言ってから映画を見て、映画館を出て街をぶらぶらしながら雑貨をみたり、洋服をみたりした。

変なキャラクターを見るたびにお互いにお互いにそっくりとか言ったり、近くにあったクレープ屋さんのクレープを半分こしたり。 

1年分くらい遊んだ。

「楽しかったね」

すっかり日もくれて、私たちは家に向かっていた。

すると

「危ない!」

そうトーマが叫んで私を押した。

その瞬間パリーンと大きな音がして、植木鉢が落ちてきた。

トーマが居なければもしかしたら直撃していたかもしれない。

「なんで……!?」

もし直撃していたら。
そう考えたら震えが止まらなくなった。

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
こんにちは、パープルです。
シンLOVEです。なのにダイヤの世界の話。
あんまり甘い話にはならないと思います。
応援してくれると嬉しいです!
目次  

テキストサイズ:2657

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.