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帝光バスケ部マネージャー 謎の女
作者:なな   2013/09/16(月) 18:27公開   ID:AGfAgGElZDM
「私決めたの。あなたに明日から地獄を与えてあげる」

本来ならバスケ部でマネージャーの仕事をやっているはずの時間に呼び出しの手紙をもらって何かと思えば、その女の子は何が面白いのかクスクス笑いながらそう言った。

言っている意味が分からない。
というか……

「お話はそれだけですか?」

「はぁ?」

そんなくだらない事に構っている暇があったら早く部活に行ってマネージャーの仕事をしたい。

すると、女の子は不愉快そうに顔を歪ませた。

「あんた調子に乗ってんの?……まぁいいや。明日、楽しみにしててよね♪」

女の子はそう楽しそうにスキップしてどこかへ行ってしまった。

笑ったり怒ったりスキップしたり。
忙しい人だなぁ。

そういえばあの人の名前なんていうんだ?

というか、これはもう部活に行っていいのか?

「うん。まあ、行っちゃったからしょうがないか」

私は誰に言うわけでもなくそう言ってから体育館へ急いだ。

ガタン

「遅くなりました!」

体育館のドアを開けてそう叫ぶと一斉に部員がこちらを向いた。

こういう時は………

「そんな見つめられると照れるなぁ…………エヘヘ」

すると見事に皆固まった。
ありゃりゃ。気持ち悪かったかな、さすがに。

(本当はエヘヘと言った時の笑顔が可愛かっただけ)

「やっと来たか、神崎」

沈黙を破ったのは主将の赤司だった。

「ごめん、ごめん」

「まぁいいが、理由は何だ」

赤司にジッと見つめられ答えるしかなかった。
やっぱり赤司の威圧感は同じ中2とは思えない。

「いや、何か呼び出しくらって」

「授業中寝てたのか?」

そう言ってきたのは青峰だった。

「青峰じゃあるまいし違うよ」

「なんか失礼だな、それ」

だって本当の事だし。

「やっぱり告白ですか?」

「琴音っちそうなんスか!?」

テツがそう言うと涼太まで食いついてきた。
あぁ、面倒くさい。

「違うよ。女子に呼び出されたの」

「ねえそれより、こっちんお菓子持ってない?」

敦タイミング悪いな。
そう思いながらもポケットから今日作ったクッキーを出して渡した。

「ありがと〜、こっちん」

「はいよ〜。じゃなくて」

あやうく敦のペースに乗せられる所だった。

「なんか知らない女子に呼び出されて『明日からあなたに地獄を見せてあげる』って言われた」

「「「ハァ(はい)!?」」」

なんか改めて自分で口に出して言ってみると、わけ分かんなくなった。

「まぁ単なる変な脅しだろうし気にする事はないと思うけど」

「そうとも限らないのだよ」

「え、いつからいたの!?」

「最初からなのだよ!!」

おぉ、それは失礼。
なんかかえってテツより緑間の方が影薄く感じる。

「失礼なのだよ!」

「それはテツに失礼なのだよ!」

ちょっと緑間の真似してみた。
ていうか

「エスパーか!」

「全部声に出ているのだよ」

「呆れて何も言えないです」

マジか!?
ていうか

「テツにまで言われるとショック!」

「……もうツッコまなくても良いですか」

あれ、また声に出てた?
もうどうでもいいや。

「ハァ………神崎の話は気になるが今は部活中だ、後でにしよう。さぁ練習に戻れ」

見事に赤司がまとめた。
すごいな赤司。

「……何をしている。神崎もさっさと支度しろ」

「あ、はい!」

おー怖い怖い。
早くジャージに着替えてドリンク作らなきゃ。





「よし今日はここまで。解散」

夜7時。
赤司の指示で部活が終わった。

早く制服に着替えてマジバにでも寄ろっと。

「神崎」

「はい?」

赤司に呼ばれてくるりんと振り向いた。

「さっさと着替えて門集合だ」

「え?あ、うん」

「緑間、青峰、紫原、黄瀬、黒子もだ」

「分かったのだよ」

「おう」

「んー」

「了解っス」

「分かりました」

どうかしたのだろうか。
キセキのメンバー全員で門集合なのは初めてだ。

個人個人とならしょっちゅうだけど……。

まぁ、とにかく急いで着替えよう。




「お待たせ〜」

門へ行くともうほとんど集まっていた。
あとはテツだけっぽい。

「あ、良かった。最後じゃなかった」

「ん?もう全員そろっているぞ」

「え」

よーく見ると青峰と涼太の間にテツがいたのが分かった。

緑間、悪い。
やっぱりお前よりテツの方が影薄かった。

「失礼です」




「なんでこうなるの!?」

私は思わず叫んでしまった。

「お前の家が一番最適だからだろ」

「マジバあんじゃん!」

「…………………まぁとにかくお邪魔するのだよ」

「ちょっと待って今の沈黙は何?今の沈黙は何!?」

「うるさいよ、こっちん」

「いいじゃねえか別に。減るもんじゃねぇし、ケチくせぇ」

「そうっスよ」

たく。
お前らがくると食費がやばいんだよ。
中学生男子。しかも部活帰り。
食う量ハンぱねぇだろー!!

「………しょうがない。今日はいいよ。って………」

いつの間にか周りには人がいなかった。 

「こっちんどうしたの〜?早くしなよ」

あいつら有無も聞かずに人の家に勝手に入りやがったな!!

「まぁ、落ち着け。神崎」

「誰のせいで!!」

「てか俺、琴音っちの手料理食べたいっス!」

「やだね」

「こっちん、お腹すいた」

「僕もです」

「ちょっと待っててすぐ作るから」

「ひどいっス、なんか扱い違くないスか!」

なに作ろうかな?
まぁいいや。
パパっとハンバーグ定食でも作るかな。

そう思ってキッチンへ向かうと

「手伝います」

とテツがついてきてくれた。
マジ天使。
影薄いとか言ってごめんね。

「何を手伝えばいいですか?」

私がエプロンをつけているとそう聞いてきた。

「うん。ハンバーグ定食でも作ろうと思うから、ハンバーグのたねをつくるのを手伝ってもらえる?」

「はい、分かりました」

冷蔵庫から食材を出し、なんとか材料がそろっているのを確認した

量も青峰や敦とかよく食べるやつらがたまに家に食べにくるもんで、こないだの肉の安売りセールで大量に買っといたため、なんとか足りそうだ。

「よし作るか」




「お待たせ」

「おーうまそうっス!」

リビングへ料理を運ぶと涼太が嬉しそうに声を上げた。

クッ。
あいつに尻尾が見える。

「皆どんくらい食べるか分かんなかったからセルフサービスにしといた」

そう言って皆の前に箸やお椀などの食器を置いていった。
どうせ個別に盛ると残す奴とかお代わりするやつとかいるだろうから、この方が手っ取り早いだろう。

「「「「いただきます」」」」

モグモグ

ムシャムシャ

ガツガツ

みるみるうちにご飯が無くなっていった。

よく食うなぁ。

そして食べ初めてわずか20分であの大量にあったご飯を平らげてしまった。

お前たちの胃はブラックホールか!
って言ってもいっぱい食べたのは青峰と敦だけだけどね。

テツとかあれで足りたのかな…?

「さて、今日の目的は神崎の家で夕食をご馳走になる事ではない」

あ、違ったんだ。

「さぁ神崎、もう一度今日部活に来る前にあった事を詳しく教えてくれ」

「え?うん」

私は言われた通りに話した。

「うん。これでもう確実のようなものだ」

「?」

どういう事だ?
周りを見ると他の人も意味が分かっていない様だった。

「神崎は明日からかなりの確率でイジメにあう」

あ、そうですか。
………って

「「「えぇ〜!?」」」

見事に私は涼太と青峰とハモった。

「おそらくその呼び出した女子はバスケ部の誰かに好意を寄せ、バスケ部員と一緒にいられるマネージャーつまり神崎に嫉妬をして嫌がらせをする。そんなとこだろう」

いやいや。そんなところだろうって、そんな簡単に片付けないでよ!
まぁ女子の嫌がらせなんて怖くないけど、さすがにイジメられてうれしい涼太みたいなMじゃないしさぁ。

「俺はMじゃないっス!」

おぉ、また声に出てたか。

「という訳だ。バカな黄瀬なんかは噂に左右されやすそうだから、あらかじめ言っておきたかっただけだ」

「なんかさっきから俺の扱い酷くないっスか!?」

私がイジメか……。

ポン

「大丈夫だよこっちん。いざとなったら俺がヒネリ潰してあげるから」

「うん。ありがとう……」

明日からどうなるんだろう。
私は少し不安を覚えた。

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