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機動戦士ガンダムSEED against destiny 第二十話 攻略作戦
作者:ぴら日   2013/12/21(土) 22:52公開   ID:bMO4ajNV8n2
シンはオーブの空を飛んでいた。かつては日常として見上げていたその空を、今は戦火で焦がすために飛んでいる。
しかし、シンの表情に曇りはない。それはシンの、平和に対する決意を表していた。
「くそっ!あいつ、どこへ!?」
現在、シンは一機のMSを追っていた。先程、突如出現したその金色のMSは、シンとの戦闘を中断し、現れたのと同じ突然さで逃げ出したのだ。
しかも、あろうことかそのMSは、デスティニーのビームを跳ね返したのだ。
装備やその外見の特殊性から、指揮官クラスの機体に違いない。そう判断したシンは、金色のMSを最優先の目標と定めたのだ。
「いた!アイツ、あんなところに!」
ようやく敵機の姿を捉え、一気に肉薄しようとするシンだったが、その向こうにライガットのザクを認め、一旦機体を止める。
『ライガット、気を付けろ!そいつ、ビームを弾くぞ!』
『シンか。ビームのことは分かってる。俺も弾かれた!一体どうなってやがんだ!』
ライガットが戸惑ったように訊いてくる。一体全体どうやったらビームを跳ね返すなどという事ができるのか、シンがその仕組みを説明してほしい気分だったが、今はそんなことを言っている場合ではなかったし、なによりライガットは訳も分からず知っているかもしれないシンに訊いただけなのだろう。
なのでシンも、今考えられる最善の策を提案する。
『ライガット!いくらそいつがビームを弾けても、実体なら効果があるはずだ!叩き斬るぞ!』
シンの声にライガットも力強く応じ、デスティニーとザクは同時に動き出す。
デスティニーは"アロンダイト"を、ザクは"サクラ"をそれぞれ抜刀し、金色のMSに斬りかかる。
MSは辛うじてかわすが、空中で大きく体勢を崩す。
シンとライガットは素早く体勢を立て直し、ビームブーメランとミサイルダートで追撃をかける。
敵は未だに体勢を戻せずにいる。シンもライガットも勝利を確信した。しかし…
空から降り注いだ数条の光が金色のMSに向かう攻撃の全てを打ち落とす。
「これは…まさか…!』
ライガットは空を見上げながら呟く。
今の攻撃はビームとレールガン。そして未だに肉眼では確認できない距離から小さな対象を狙い打つ技術。
ライガットの不安に答えるように、上空の機影が徐々に大きくなり、その背中の蒼い翼が目に写る。
『そんな…フリーダム…!』
シンが驚愕の声を上げる。無理もない。フリーダムはシンが墜とした…はずだったのだ。
その時、レイから一度艦に戻るよう連絡が入る。確かにあのフリーダムが本物なら、シンとライガットだけで相手するのは厳しかった。


ライガット達はミネルバに戻り、例のフリーダム、そして共に降下してきたジャスティスにはシンとレイで当たる旨を確認した。
ライガットがザクの出撃準備をしていると、アルフレードが話しかけてくる。
「フリーダムにジャスティス…だって?だとしたら、もしかして…?」
ライガットにもアルフレードの言わんとしていることは理解できた。
「あぁ、もしかしたら…アスランかも知れない。それに彼らが本物なら…今回の戦いに、何か俺達の知らないことがあるのかも知れないな…」
再び出撃したライガットは、フリーダムとジャスティスをシン達に任せ、オーブの有するマスドライバー、カグヤを目指す。
これも先程のブリーフィングで確認したことだ。
オーブがザフトによる攻撃を受けたことで、ジブリールが宇宙への脱出を考える可能性は高い。そこでライガットとルナマリアで、二方面からカグヤにアプローチをかけ、もしジブリールが宇宙への脱出を図った場合、彼の乗るシャトルを速やかに拿捕、最悪撃墜するというものだった。
この作戦にかけるライガットの意気込みは強かった。ジルグがジブリールと行動を共にしているなら、一緒に脱出する可能性が高い。
そして、ライガットがカグヤの姿を捉え、さらに接近しようとしたその時、カグヤのレールの根元付近から轟音と共に煙が上がった。
「まさか…!」
ライガットの予想は悪い方に的中した。
発進したシャトルはゆっくりと加速しながらレールを昇っていき、空へと放たれた。
ライガットのザクは何とかカグヤまではたどり着いたが、シャトルを下から追う形になる。
スラスターを全開にし、放たれた矢のようにシャトルを追うザクだったが、そのレーダーが敵影を捉える。
「くそがっ!シャトルの護衛か?!」
このままでは厄介だが、敵に対処しようとすれば減速をかけなればならない。しかし、それではシャトルに追い付けない。ライガットは迷った。その時…
ライガットのザクに並ぶように飛んでいたムラサメの一機が射ち墜とされた。飛来するインパルス。
『ライガット、ここは私が引き受ける!行って!』
ルナマリアの通信と共にインパルスはムラサメを撃墜していく。
ライガットはそれを受け、既に全開のスロットルをさらに踏み込む。
「くそが…!上がれぇぇぇ!」
ライガットの気合いを吸ったかのようにザクが加速する。
ライフルの射程まであと少し、エンジンだけを狙い打てれば…
ライガットの指が緊張で強ばり、レティクルを見つめる目が細められる。
ついに射程にシャトルを捉え、ライガットがその指に力を込めようとしたその時、軽い衝撃と共にディスプレイの中のシャトルが凄い勢いで遠ざかっていった。
機体の外では、ルナマリアがインパルスのコックピットから、背中から黒煙を吐き出しながら墜ちていくザクを見つめていた。

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