ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

行き当たりばったりの協奏曲(改訂版) 1 魔法に関する所見
作者:黒い鳩  [Home]  2014/08/01(金) 20:49公開   ID:SUURLksaq0Y

「アキト……」

「どうした?」

「……だいじょうぶ?」

「ああ、大丈夫だ……これが終わるまでは、死なないさ……」

「……」

「ラピス……これが終わったら」

「私はアキトの目、アキトの耳、アキトの手、アキトの……」

「……」




俺はラピスの頭を少し強引に撫でる。

ラピスはそれ以上何も言わず、されるがままにしている。

ラピスはまだ11歳程度の娘だが……実年齢は更に幼い。

促成栽培ではないが、作り出された存在ゆえに赤子で生まれてきたわけではないのだ。

できれば彼女の自我をきちんと育ててあげたかった。

しかし、あまり時間があったわけではなく、俺といる時間のほとんどは戦いに彩られている。

まともな精神が育つはずも無い。

そして、俺の命数も尽きようとしていた。

ナノマシンスタンピードの被害は全身に及び、サレナに乗っていなければまともに動くことすらままならない。

IFSのおかげでサレナの内部にいる限りは感覚がつながるが、それも限界に近い。

だが、俺には最後の仕事が残されていた……。





火星の後継者の反乱から2年。

南雲とクリムゾンによる騒乱などといった小競り合いはあったものの。

最後に残った幹部であるヤマサキの行方はようとして知れなかった。

北辰のように死亡確認が取れない幹部もいるが、奴のようなタイプは逆につかみやすい。

なぜなら、草壁の忠臣である以上いずれは草壁の奪還に動くはずだからだ。

時々そういった、動きも見えているらしく、月臣やネルガルSS、連合宇宙軍が連動して押さえにかかっている。

北辰との決着はあの時つけた、恨みが無いといえば嘘になる、しかし、奴ほどではない。

そう、俺とユリカの体を弄繰り回し、ボロボロにしたあの男、ヤマサキほどでは……。



あの男の行方をどうにかつかみ、強襲をかけるためにユーチャリスをアステロイドベルトに向かわせた。

火星と木星の中間に位置する小惑星帯は、

未だに実数が把握し切れていないという隠れるにはおあつらえ向きの場所だ。

俺たちはその空間を丹念に探し、どうにか違和感のある場所を見つけた。

小惑星の質量が見た目に合わない場所がある。

恐らく奴の研究室の一つだろう、奴はもともと木連にいたわけではなく、ふらりと現れて草壁の配下に収まったという。

つまりは、火星の後継者以外の支援者がいる可能性があるということだ。




「だが、それもここまでだ」



ラピスに命じユーチャリスのステルスモードを解除しその姿をさらす。

レーダーなどには捉えられたはずだが、既に遅い。



「グラビティブラスト4連斉射」

「わかった」



ラピスが了解を出し、ユーチャリスの砲撃が開始される。

予想していたことではあったが、バリアが張り巡らされていて、グラビティブラストの4回砲撃でも傷もつかない。

俺はボソンジャンプでサレナをバリア内に飛び込ませる。

内部ではバッタやジョロといった無人兵器、そして六連タイプが数機迎撃に出てきた。



「フンッ、安く見積もられたものだな」



俺は、サレナをトップスピードに乗せてディストーションアタックで打ち抜きながら、カノン砲を四方に見舞う。

体の感覚がダメになった分サレナとの思考タイムラグが少なくなったせいもあり、鋭敏に敵の動きを察知できる。

見る間に数を減らしていく無人機。

俺は、ついでとばかりにバリアの発生システムをカノン砲で撃ち壊す。

そのタイミングを待っていたユーチャリスはグラビティブラストを小惑星に叩き込んだ。

すると小惑星表面に映像が投影される。



『流石にやるねー、このままじゃこの研究所も破棄するしかないな』

「……ヤマサキか」

『実験体027号……いや、テンカワ君だっけ、きみの噂は耳にしているよ。

 廃棄された君が生き残っただけじゃなくて復讐者として我々に牙をむくとはね。

 ちょっと驚いてるよ』

「残りの命はそのために捧げた。もっとも貴様を殺し今日でそれも終わる」

『ふうん、随分思い切ったねぇ、確かに残り少ない命だろうけどさ』




冷めた微笑みを絶やさずヤマサキは言う。

しかし、どうしてこんなに落ち着いていられる?

次のグラビティブラストが直撃すれば死をまぬがれる事はできないはず。

グラビティブラストにはこんな小惑星など破壊するに十分な威力がある。



「生き残りのための時間稼ぎなら聞かない、もうグラビティブラストは発射態勢にある」

『ふぅん、ここに演算ユニットがあってもかい?』

「!?」



何を言っている……?

演算ユニットは今連合宇宙軍の厳重な監視下にあるはず。

迂闊に近づけばそれだけで死ぬ、ボソンジャンプで近づけたとしても、周辺を警戒している艦隊の集中砲火で一瞬で消し炭にしてくれるだろう。

そんなものをどうやって……。

それともただのハッタリか?



『ああ、不思議なんだね? だけどさ、僕には優秀な部下がいるからねぇ』

「部下?」

『君は知らないんだっけ、まあもう機会もないだろうが次に会ったときにでも教えるよ。

 それよりもさぁ、これを見ても嘘だと思えるかい?』



先ほどのグラビティブラストによって出来た大穴から、カグラヅキ級の木連式戦艦が現れる……。

そして、その上部には演算ユニットを中心とした遺跡そのものが存在している。

これはいったい……。



『何、そうむずかしいことじゃありませんよ。

 これが連合宇宙軍に渡る直前にすり替えただけです』

「すり替えただと!? そんな大きなものをどうやって……いや、まさか……」

『そのとおり、ボソンジャンプすればいいだけですからね。

 本物の消失から偽物の出現までのタイムラグはおおよそ10秒。

 見つかる前でよかった、よかった』

「くっ!!」



奴はあれだけ実験を繰り返していたのだ、ボソンジャンプのノウハウはだれよりも詳しいだろう。

しかし、A級ジャンパーは人工的に作り出せないはず……。



『ドクター準備ができました』

『んっ、もう時間か、折角悪役っぽく決めてたのにいまいちしまらないねぇ』

「……ドクター?」



俺はふと聞きとがめた。奴はヤマサキは博士と呼ばれていた事はあってもドクターと呼ばれたことはない。

もともとの部下は別なのかもしれないが、それにしても不自然だ。

呼んでいる人間の服装、明らかにどこの軍隊でも見かけない青いボディスーツの上からプロテクターをしたもの。

何か危険な匂いがする、せめて遺跡だけでも確保せねば……。


そう考え船にサレナの足をつけたとき、唐突に演算装置の近くから砲撃があった。

見たところレーザー兵器、ディストーションフィールドなら完全に防げるはず。

だが何か言い知れぬ危険を感じ、とっさに相対速度を崩した。



「なっ!?」



レーザー兵器は回避したが、ディストーションフィールドに接触、その部分が融解した。

光学兵器はすべてディストーションフィールドの斥力に捻じ曲げられて届かないはず。

この兵器はレーザーではないのか!?



『どうだい、ちょっとしたものだろう?』

「個人が携帯できる兵器でディストーションフィールドを貫くだと……」

『この世界は魔法関連の技術が無いからね、強力な防御でも防御する必要のないものまでは防御していないだろう?

 彼女の砲撃は結構な種類を撃ち分けできてね、エネルギーを食らう砲撃なんて面白いと思わないかい?』

「魔法だと、ばかな事を……」

『そうかな、例えば……こんなのはどうだい?』



次の瞬間俺は目を疑った、ヤマサキは艦橋から外に出てきたのだ、それも宇宙服も身につけず。

だが、真空にさらされたはずのヤマサキは窒息もせず、凍りつかず、空気を体中から噴き出してつぶれもしなかった。



『さっさと捕獲するとしよう、もう少し悪役っぽさを演出するのもいいんだど、あまり時間がないからね』




その言葉が終るか終らないかの間に、ヤマサキが指をパチンと鳴らす。

宇宙空間では鳴り響くはずがないのだが、法則じたい通用しないらしい。

それだけじゃない、奴の姿は解けるように消えて、そこには新たな姿が現れる。

紫の髪を無造作に垂らした、その男は自信から来るのか傲然とした表情でサレナに対している。

確かに、いつまでも呆けていられない。

俺はサレナを加速しヤマサキのふりをしていた男に突撃をかけようとした。



「!?」



いつの間にか、サレナのコックピットに侵入者が出現していた。

もっとも、それすらコックピット内カメラの映像を通して知っただけで、俺自身はほとんど知覚できていない。



『君がこの船に足をつけたときに侵入したのさ、そのセインは無機物に潜行する能力を持っているからね』

「……馬鹿な」



それはもう、完全に物理法則を無視した存在だ、確率的には物質を透過することはありうるらしいが、任意にそれを行うことは不可能だ。

下手をすると原子核が衝突して大爆発すると聞いたことがあるが……。

どちらにしろ、現実にそれが起きたことは見たことがない。



「まあ、おとなしくつかまる事っすね。アンタの事は聞いているっす。全身ボロボロで自分では動くこともできないんでしょ?」

「……」



女は無造作に俺の手をIFS用のパネルから外す。

これでサレナは無力になった、確かに俺はもう何もできないだろう。

しかし、どうして捕獲なんだ?

俺はもう廃棄された、つまりは必要のない存在のはず。

今なら殺すのは簡単だ。



「ドクター、機体は必要っすか?」

『ああ、絶対必要というわけではないが、面白い。もらっておけ』



俺は考えていた、このまま奴のモルモットとして一生を終えるのは御免だ。

奴がヤマサキではないのだとしても同じこと。

ならばいっそ、いざというときのために奥歯に仕込んだ爆弾で……。


(ダメェーーー!!!)

!?

(アキト、死んじゃダメ!!)

ラピス……。

(私はアキトの一部、アキトが死んだら生きていけない!)

それは違う……今はわからないかもしれないが……。

(アキトが死ぬぐらいならいっそ……)

何!? やめろ……。



「やめろラピス!!」

「えっ!?」



俺がそう叫んだ瞬間、ユーチャリスは全力攻撃に移った。

グラビティブラストを砲身が焼けつく勢いで連射しながら、バッタやジョロを大量展開。

更に、ユーチャリス本体も突っ込んでくる。

もう、遺跡演算ユニットの存在など完全に忘れたかのような総力突撃。

これいは奴らもめんくらったらしい。



「なっ、馬鹿っすか!? 遺跡を破壊したらボソンジャンプが無かったことになって歴史が変わるっすよ!

 そうでなくても、損傷でもすればどんなことが起こるか……」

『だが、悪い手じゃないね、君たちのネックであると同時にこれは僕たちのネックでもある』



俺はその隙を逃さずIFSのパネルをタッチしサレナのユニットをパージ、

その勢いで跳ね上がるテンカワSPのなかでバランスを崩す女を一時的に開いたハッチから放り出す。

俺自身の力はだめだが、機体制御に関しては今俺以上の存在はいまい。

そのまま放り出された女に向けてディストーションフィールドを展開しようとするが、一瞬迷ってしまった。

この女も実験の結果生まれた存在ではないかと……。

しかし、次の瞬間考え直す、例えそうだとしても俺には救う術などない、やらねばやられる……。



『遅い!』



俺はもう一人の存在を失念していた、最初にディストーションフィールドを貫かれたというのに。

次の瞬間テンカワSPの足が撃ち抜かれちぎれ飛ぶ。

あのバズーカのような武器からの威力とは思えない出力だ。

さらに次の装填をする女をカノン砲の射程にとらえる。

しかし、女は遺跡演算ユニットの影に隠れ、砲身だけを出してこちらを狙おうとする。

だが、この船のディストーションフィールドをユーチャリスが打ち破り、更に艦ごと突撃をかけてくる。



「ラピス、下がれ! これ以上接近すれば艦どうしの正面衝突になるぞ!」

(ダメ! アキトを救うまでは止まらない、今の状態だとまた囚われる……)

「くっ!」

『結構粘るねぇ、ラピスちゃんかな、彼女の能力も興味深い。どちらも以前からは考えられない能力だ』

『ドクター、そろそろ門が開きます』

『なんと、それは残念だね、今日は楽しかったよ。

 本当ならその能力の秘密やこの演算ユニットも欲しかったけど、君たちの粘りに敬意を表してこちらに置いて行くよ、

 それじゃあ、さようなら』



俺は何を言っているのか意味がわからなかったが、ここから離れることだけは本当のようだ。

だが、敵がどこへかと消えていったその時、テンカワSPは急速に遺跡に吸い寄せられるように近づいていく。

いや、違うこの船が加速している!?



「ラピス、ユーチャリスを引き離せ、衝突するぞ!!」

(ダメッ、もう近すぎる!?)



言う間にユーチャリスは遺跡を乗せたこの船に衝突する、幸い破壊されたのはこの船の方だが、加速は続いている。

これはつまり……奴の置き土産か!?

ラピスに頼んで周囲に爆発物がないかスキャンしたところ、この船には反物質が積まれているらしい……。

つまり、下手をするとすべてが蒸発してしまうということだ。



「くそっ! 八方塞がりか!?」

(爆発物の反応はあるけど、反物質は5分後に爆発するみたい)

「解除……サレナパーツをパージしていなければ……」



サレナパーツのテイル部分には細かい作業用のマニュピレーターが装備されていたのだが、今の状態から再接続までにはかなり時間がかかる。

一度ユーチャリスに戻って予備を装備することも考えたが、それでは間に合わない。

何とかして、遺跡を運び出し、ユーチャリスに積み込む。

それとて間に合うかどうかは微妙だが、今はそれにかけてみるしかないだろう。



テンカワSPのバランスの崩れた機体でどうにか演算ユニットをつかむ。

本来C・Cかジャンプ装置で補助しなければジャンプは出来ないのだが、演算ユニットがここにある以上サポートは不要だ。

俺は演算ユニットごとユーチャリスのハンガーデッキに飛ぶ。



「後何分だ?」

(3分……)

「全速で脱出できるか?」

(ダメ、ユーチャリスのエンジンが焼きついてる。私の責任……ごめんなさい)

「謝らなくてもいい、ジャンプ装置は生きているか?」

(それはなんとか、でも何度も衝撃が走ったから演算そのものが狂っている可能性がある)

「……しかし、演算ユニットだけでのジャンプなら、いや……危険だな。ラピス、急いでここまで来てくれ」

(わかった)



1分ほどで、ラピスがハンガーデッキまで走ってくる。

実際、俺達に残された時間は短い。

このままではただの無駄死にになってしまう……。



(きたよ……)



ラピスが息を切らしながらリンクで知らせてくる。

ラピスは声を出すことをあまりしない、俺以外の人間と話すことがほとんどないためだろうか。

そんな心配も一瞬よぎったが、俺はラピスに頼む。



「俺を演算ユニットに連れて行ってくれ」

(うん)



俺は自分でも立とうとするが、手足の感覚がほとんどないため、ふらふらと体のバランスを崩す。

そこをラピスが支えてどうにか前に進める状況だった。

テンカワSPのアサルトピット(コックピット部)からおぼつかない足取りでどうにか演算ユニットの場所までだどりつく。

ラピスに方を支えられたまま、俺は演算ユニットに触れた。

長距離を飛ぶ場合は質量が小さいほどいい。

俺はジャンプするものを俺とラピスと演算ユニットの3つだけとした。

そして、イメージを集中し……。



「ジャンプ」



その言葉が終らないうちに、爆発が起こる。

間に合わなかったのか、俺が驚愕を覚えた瞬間ジャンプが発動したらしく、爆煙とともに、闇の中へ消えた……。






















歴史……。




情景、場面、風景、生きている、死んでいる、そこにある、今はない。




時、流れる、逆行する、同じ人、違う人、存在、等価、それは無と同じもの。





見る……。




ミクロ、マクロ、400憶光年、素粒子、逆転、違うようで同じもの。



計算、演算、全てを犯し、あらゆるものを定義する。



表は裏に、裏は表に、しかし、価値は変わらず、無は無、有は有。





終わり、始まり、その隙間に……。



ただひたすら続けられる永遠の計算。



それに意味はあるのか、意味を求める事は間違いなのか……。



いや、そもそも、それを考えている事そのものが……。























そこは、とある公園のベンチ。

森というには少し狭い森林に囲まれた規模の大きな公園。

そこは、三人の子供にとっていつも通る道の横にあるというだけのもので、あまり思い入れがあるわけでもない。

だが、時々は立ち寄り何かをして遊ぶこともある。



「それにしても、最近は物騒よねぇ、停電とか地震とか」

「あははは……きっとすぐそんなのなくなるよ」

「そうだね、なのはちゃんが言うと本当なんだなって思うよ」

「なに、すずかったら。なのはの言うことは聞くんだから」

「別にそんな事はないよー」

「でもま、確かにそうかもね」



子どもたちは特に気にせずその公園を通り過ぎた。

しかし、一人そのことに気づいた少女がいた。

少女はおもむろに、残る二人に切り出す。



「あの、ちょっと忘れ物しちゃったみたい、先に帰っていてくれますか?」

「それは構わないけどさ。一緒にいこうか?」

「うん、すずかちゃんが忘れ物なんてめずらしいし」

「いいえ、ご迷惑はかけられませんし。それに自分のことですから」

「うっ、うんじゃあ先にいってるね」

「絶対追いかけてきなさいよ」

「うん、じゃ、いってくるね」




すずかはなんとなくではあるが、それが人であると同時になにか人ではない気配を持つものであると看破していた。

自身がそういう血筋のもとに生まれた者であるため、それをひた隠しにしているため。

逆にそういう部分が鋭敏になっているといえる。

だが、恐怖や負の感情からそこに興味を持ったのではない。

何故かはわからないが、必要なことではないのかと感じていた。



「確か、公園のベンチあたり……」



そう、そこには二人の人間が重なるように倒れていた。

一人は黒づくめの二十代の男、黒いマントに黒いボディスーツ、黒いバイザーをつけ、黒い革手袋と黒いブーツをしている。

しかし、黒髪の下の顔立ちは日本人にみえなくもなかった。

もう一人はすずかと同い年か少し年上くらいの少女、白いマントに水色のワンピース、その下に白いボディスーツのようなものを着ている。

薄桃色の髪の毛と病的なまでの白さ、北欧系なのだろうがそれでも少し変わっている。

どちらにしろ、日本で見かけるたぐいの人間ではないことは確かである。



「うーん、命に別状は無いみたいだけど……」



二人が息をしていることを確かめてからそう呟くすずか。

実際どうしていいのかわからない。

助けるべきだという思いはあるが、そもそも助けを必要としているのかすらわからない。

しかし、少し考えてから起してみようと考えた。

普段の彼女からすればそれはかなり大胆な行動である。

もしかしたら、単に好奇心に負けたのかもしれない。



「あの、大丈夫ですか? もしもし、大丈夫ですか?」



寝ている人にもしもしもないものだが、

あまり派手な起こし方を知らない彼女は頬をぺしぺしとやりながらそうするくらいが限界だった。

ほんの些細な行為と好奇心。

日常というには少しだけ刺激的な現実。

彼女が望んでいたのはそんなものなのかもしれない、元々非現実に位置する存在を知っている彼女だから危険性を考えてもいた。

しかし、それは全く異質なものであったのだ。

そのことによって彼女の運命は大きく変わることとなる。


それがよかったのか悪かったのか……今はまだ、だれも知らない……。

ただ、すずかはその日なのはやアリサと合流することはなく、心配して電話をかけてくるまでその事に気が付かなかった。



■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
改訂版を作ってみましたw以前のは削除しています。
また、先ほど投稿失敗しましたorz
おじゃまな部分は時間がかかるかと思いますが、きちんと消しておきます。
お許し下さいorz
テキストサイズ:15k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.