4年……長いようで短いものだ、俺の任期も今年で終わる、そうなると次の大使を決めておかないといけないわけだが……。
やりたい奴らは多い、地球にいて政治に携わる者なら大抵魔法や管理世界に興味を持っているだろう。
上手くいけば地球に対する魔法の輸入の際美味しい思いが出来るからだ。
それだけじゃない、軍事力としての魔法は携帯火力が戦車に匹敵するという部分もある。
もちろん素養は必要だが、戦車を持ち込むよりは一人の魔導師を派遣するだけでカタがつくことも多いだろう。
つまりは、地球にとっての魔法は夢のエネルギーのようなものという受け止められ方が大半だということだ。
実際、使節団が何度か派遣され、魔法文化について勉強する会議がひらかれたりもした。
しかし、最大の難点は地球人の9割近くが魔法力を持っておらず、残る1割もFランク〜Cランクと今一ぱっとしない。
それを超えるBやAは地球において一万人を切る程度だろうと予測されている。
予測というのはまあ、実際に全員測定もできないという点に尽きる。
因みに大都市では密かに測定が進んでいるらしい。
そういった観点もあり魔法の一般公開はまだまだ協議中であるらしかったが、政府関係者では公然の秘密となりつつあるらしい。
となればNASAの宇宙人ブーム程度には並行世界や魔法についても話題になっている可能性があるな。
既に10か所に領事館が設置されることが決定している。
つまり、そこを拠点に商売を始めるものもいるということになる。
逆に管理局からも地球側に大使を送り込む予定があるとか。
レジアスあたりの力が働いている可能性もあるな。
そういった事を忙しく処理していたせいもあり、次の大使を選ぶのが遅れているというのが現状だった。
実際外交能力や危機管理能力で選ぶならグレアムが優れている事は間違いない。
元管理局の人間だし、英国政府の息もあまりかかっていない、現在の地球外対策局をうまくまとめてくれてもいる。
しかし、いかんせん以前の経歴の問題もある、俺がOKを出しても国連は承知しないだろう。
「ままならないな……」
「何がですか?」
「ん? ああ……やはり、会いにいかないといけないだろうなとな」
「マスターはそういう事を気にしすぎます。もっと図太くないと外交は進みませんよ?」
「ははは……その通りだな」
今、俺を乗せたリムジンが走っている街並みはバロック様式とでもいうのか、古いヨーロッパの街並みを思わせる。
<ベルカ自治領>
聖王教会本部が置かれている、宗教が政治を行う国だ、地球のバチカン市国をイメージすればさほど違いはない。
聖王教会は管理世界と呼ばれる何十もの世界の大部分で信仰されているらしい。
管理局において国教と位置してもおかしくない、そういう宗教だ。
管理局の理念を考えるなら本来敵対するべき宗教のはずだが、管理局が折れる形で今は蜜月状態にある。
ただ、問題なのは神をあがめているわけではなく過去にベルカに存在していた聖王とその血族を信仰する宗教であるという点だ。
神ならば利益がなくても何らおかしなことではない、言葉巧みに神は現世利益をなさないという事にすればいいのだ。
しかし、生きている人間が信仰の対象に含まれる宗教というのはその対象の思惑次第で簡単に色を塗り替えてしまう。
しかも、規制の緩さが信仰しやすさとして受け入れられているとすれば、それは単なるファン心理のような部分が付きまとう。
何が言いたいのかといえば、平の信徒達が思考停止を起こしやすいということだ。
それだけに、上位の存在である騎士や、血族の達の性格に影響される。
そんなややこしい立場の一人に会わねばならない事も、大使の件と並んで頭が痛い……。
「お久しぶりです。テンカワ大使、使途リニス」
「カリム様こそお久しゅうございます」
「いや、それほど久しぶりと言うわけでもないと思うが?」
「そうでしょうか? 私は一日千秋の思いでお待ちしていましたわ」
「はやての件でほんの3日前に大使館を使ってただろうが……」
「あら、一日千秋ですもの、3日あれば三千秋ですわ」
「……まったく、食えないな」
「褒め言葉として受け取っておきます」
目の前にいるのは、カリム・グラシア、いつもは部屋の中央に陣取っている事が多いのだが、今日はわざわざ出迎えてくれている。
理由は単純で彼女が今回俺が会う人物のところへ案内してくれるからだ。
彼女くらいの階級でなければ会えないというのはつまりは、血族の一人ということである。
俺としても管理世界の重要人物とのコネを作っておくにこしたことはないということで呼ばれるままに来たが、
なぜそんな重要人物が俺に会う気になったのかは不明だった。
「しかし騎士カリム、その人物の名前すら俺は知らないのだが」
「カリムで結構ですよ。アキトさんと私の仲じゃないですか」
「確かに、はやての件ではいろいろ世話になっているが……」
「あらあら、はやてさんの保護者はあなたではないですよ?」
「マスターは 子 供 好 き ですから」
「あらあらそうなの〜」
「はい、実はこの前も……」
「頼む……話を進めてくれないか……」
「それもそうでした……。
猊下の事をよく知っている方は少ないかもしれません。
名前を出して何かをなさることも少ないですし、殆どの雑事は我々騎士の仕事ですから」
「それはいる意味があるのか?」
「血族を絶やさないため、というと、まるで飼殺しのようですが……そういう面もあるのは事実です。
ただ、血族の方は代々強大な魔力を有しています。そのため、実力も伴っているのもまた事実です」
「なるほどな……」
つまり、実権は騎士階級などが握っているが、象徴として血族が必要であるということなのだろう。
カリムはその事を冗談めかして言っているが、どこか心にくすぶるものがあるように見える。
しかし、カリムもここ数年で背が伸び始めた、実際今では高校生に見えなくもない。
逆にいえば中学生に見える事の方が多いのだが……。
暫く広大な敷地を歩いていると、正面から走って近づいてくる影があった。
「姉さん!」
「ちょっと待ちなさいロッサ!」
「あらあら……」
その影は二つ、一つはそこそこに背の高いやせ型の男、髪の毛はライトグリーンという地球ではまず見かけない色だ。
昔リョーコちゃんが染めていた事はあったが、元々は黒髪だった。
それを考えると、やはり異世界という感じはする、とはいえ、この世界の住人はいろいろな髪の毛の色を見せてくれているので
特別珍しいと言うほどのものでもないのかもしれないが……。
微笑ましく見守っているカリムを見るに、姉さんとはカリムの事なのだろう、
見た目は明らかにヴェロッサという青年の方が年上なのだが……。
もう一人は見た目からすればカリムやヴェロッサと比べると大人の女性と言っていい年齢の女性だ。
修道服を着ているところからすればシスターとでも言うべきか、短く刈り込んだ赤紫の光沢をもつ髪と、素朴そうな顔立ちをしている。
カリムのような華やかさはないが、落ちついた感じのする女性ではある。
とはいえ、見た眼のそう言った感じを裏切るように格闘家のような足運び、筋肉のつきかたもそう感じさせる……。
「ああ、失礼。こちらの御仁はどなたですか? グァ!?」
「コホン、私は騎士カリム付きシスターの一人でシャッハ・ヌエラと申します。
もう一人は、管理局査察官ヴェロッサ・アコース様、今は任務を放り出して遊びまわっているところです」
「きっついなー……」
「俺は国連地球外対策局大使テンカワ・アキトという、
引き継ぎが近いので場合によってはもう会う事もないかもしれないがよろしく」
「おお、君が有名な……」
「ロッサ!!」
「おお、済まない……(年下趣味の人間の中では神のごとき存在だからね……)」
「?」
何か不穏な勘違いをされているような気がしたがあえて無視する。
実際、この後もスケジュールがつまっている。
第6管理世界への表敬訪問が明後日には決まっていた。
そんなわけもあり、ヴェロッサ達の話を早々に切り上げて現法王の待つ場所へと急ぐ。
「すみません、引きとめるような事になってしまって」
「いや、こちらこそ済まないな。スケジュールにもう少し空きがあればよかったんだが」
「そう言っていただけると助かりますわ、次の表敬訪問でもご一緒なのですし」
「?」
「詳しい事は猊下からお聞きになってくださいな」
にっこりと微笑んだままカリムが言う。
法王は俺に何かをさせようとしているのか……、どちらにしろ会って見るだけの事だ。
権威の象徴だろう、巨大な大理石の門から謁見の間に出る。
謁見の間には騎士と思しき数名を従え、玉座のような場所に座る法王と言うしかない格好をした壮年男性が一人。
両脇には女官が付いており、更には左右の壁に寄り添うように各々20名ほどの神官兵のようなのがいる。
久々にこういう旧式な権威の形を見た、初対面の人間に威圧を与えるのが目的だろうが……。
するすると音を立てず先導するカリムについてゆったりと歩を進める。
こういった場では、余裕がない方がやり込められると相場が決まっている、
だからこそ作法などは分からないなりに落ちついて相手を見定めた。
段差のある場所まで来たカリムは自然と片ヒザをつき、挨拶を始める。
俺はそのままで表情を整え視線を上に向ける。
「猊下、テンカワ大使をお連れしました」
「ふむ、騎士カリムよ御苦労であった。さて、テンカワ・アキト地球大使呼びつけて済まぬな」
「はじめてお目にかかる」
「よいよい、かしこまらぬでも。汝は今や夜天の王でもある、我らの系譜に連なるものゆえ」
見下ろすその目は俺を見定めようという意気はない、冷たいというよりは意思が希薄に思える。
一見だけで決めるのもどうかとは思うが、お飾りの印象がぬぐえない。
それに……むしろ、となりの女官の一人が鋭い視線を向けているのが気になる……。
「汝の活躍は聞いておる、辺境の次元世界を管理世界に認めさせるため尽力しておると」
「まだまだ程遠い道ではあるが……」
法王は鷹揚にうなずいているが、実のところ俺の目的はあくまで管理世界という危機が地球に舞いこまないための布石だ。
つまり、最悪二度と地球に干渉しないならそれでもいいのだ。
まあ、実のところ望み薄なので公言しているのはおおよそ法王の言ったようなものになるのだが。
「そこでだ、騎士カリムが予見した事であるのだが、汝の行く第6管理世界にて事件が起こる」
「未来視か……」
「その通り、そして今回の事件はベルカの謎に関わる重大なものとなる可能性がある」
「彼女が来る事で何かが変わると?」
「それもあるが、騎士カリムが見ておくことが重要であるのだ」
「……こちらのメリットは?」
「夜天の王に関するあらゆる権限をそなたたちのものとしよう、管理局にも手出しはさせんよ」
「それは……分かった、引きうけよう」
「うむ、頼むぞ」
今まで夜天の書に関する所有権はかなりうるさかったのだ。
実際リインフォースの能力はSランクを超えるだけでなく、長い間の魔法の蓄積による知識もすさまじかった。
つまりは、彼女一人でも管理局や聖王教会にとってはのどから手が出るほど欲しいものなのだ。
更に、はやてに引き継がれた能力や、守護騎士達といった強力な存在まで含めるなら、
夜天の書の関係者だけで一軍に匹敵するということになりかねない。
それをあきらめるばかりか、管理局にも働きかけてくれるとなれば、第6管理世界で起こることが大変なことだと感じる。
そんな事を考えている間にも、法王は謁見の間から引き上げていく、女官達や騎士達も続き残されたのは俺達と神官兵達だけだ。
人数はさほど減っていないが圧力は殆どなくなった。
俺達も用件が終わった事もあり謁見の間を退出する。
「あの、アキトさん勘違いなされているかもしれないので申しておきますが」
「ん?」
「今回私が見に行くのはきっかけです。事件は起こると思いますが大規模なものかどうかは分かっていませんので」
「それは、安心しろということか?」
「いいえ、ただ大事件を私が調べに行くとかそう言う事じゃないと言う事だけは言っておかないと警戒されそうですから」
「……否定はしないがな」
「それでは、よろしくお願いしますね」
「ああ……よろしく」
カリムとは自治領で別れ、一度大使館に戻ることにした。
実際連れて行くのはリニスとリインフォースだけの予定だったのだが、フェイトも付いてきたがったので連れて行くことにする。
事件が起きる可能性が高いことを言い含めると余計意固地になってしまったのだ。
しかし、フェイトも13歳……そろそろ別の事に興味が出てきてもいいころなのだが……。
実際、歌なんかもかなり上手い、アリシアと二人でアイドルデュオで売り出せばかなり売れそうに思うくらいに。
アリシアは今すずかと何かやっているようだが、俺には教えてくれない、しかし、出張についていこうとは言わなかった。
ラピスは本格的にナデシコ級の建造を開始するための基礎構造チェックや構造材の選定などを行っているためこちらには来ていない。
お隣さん達を連れて行くバカもいないので、今回一緒に行くのは俺、リニス、リインフォース、フェイトの4人だけだ。
最近アルフは体型を子供化していて、フェイトの負担を軽くしようとしている。
時折無限書庫に行きユーノと会っているようでもあるが、何かやろうと考えているのだろう。
そうこうあって今俺は第6管理世界にいるわけだ。
準備に丸一日使ったせいで、今日は移動が忙しかった、もうすぐ日が暮れそうだが、時差の関係かもしれず、よく分からない。
とはいえ、ミッドチルダにいても24時間についての違和感はなかったし、やはりこれらの星は異次元の地球ということなのかもしれない。
まぁ、並行宇宙理論を持ち出すなら地球の大きさや太陽に対する距離なんかも違う地球があるはずなのだが、
そんな事をいちいち考えていたらきりがない、ともかく夜遅くに到着して先ずはこの星の政府筋に挨拶に行く必要を感じている。
政治というのはうざったいものだが、それでも人の世を動かすものである。
それを行うには兎に角、面識、印象といったものが大事だ。
印象の薄いものだったが、とりあえず3日後に政府の外交官と会う事を決めて領事館へと向かう。
領事館は本来通商のためのものだが、準備段階なのであるのは館だけだ、
領事を送り込んで現地スタッフを雇わなければまともな仕事はできない。
それでも俺達が泊まるには問題がいないので、領事館を宿代わりにすることにした。
「私もご一緒してよろしかったのですか?」
「カリムか、部屋数は余っているんだ、好きにするといい。ただし、ホテルのようなサービスは出来ないがな」
「ふふっ、それではご厚意に甘えさせていただきますわ」
去っていくカリムを見ながらこれは疲れることになりそうだと額に手をあてているとフェイトがやってきた。
13歳になって第二次性徴期に入ったからだろう、背も伸び体のラインも女性らしくなってきた。
ルリやラピスの事を思うと少し泣けてくる話でもあるが……。
そんな抜きんでつつあるフェイトが真っ赤になって俺に話しかけてくる。
「あの……義父さん……」
「ん?」
「わ……私……ま……枕が変わると眠れないんです……」
「それは、すまないな。気がつかなかった」
「いいい……いいえ、いいんです……ただ、その……」
「ん?」
「いっ……いっ……いっ!」
ひきつけを起こしているようだ、よっぽど言いにくいことなのだろうな。
とはいえ、赤飯は1年前にたいたはずだし……男の俺にはいまいち分からないな……。
「一緒に寝てくれませんか!?」
「……」
フェイトは言いきった達成感と同時に恥ずかしくて顔がゆだっている。
こんなセリフをフェイトが自分で言うとは思えない……そもそも、俺と出会う前は枕が安定したことはなかったろう。
間違いなく、誰かさんの入れ知恵だろうな……。
とはいえ困った……。
「リニスじゃダメなのか?」
「リニスはその、今日中に館の掃除を済ませるって張り切ってて……」
「ああ、そういえばそうだな……ではリインフォースではダメか?」
「うぅ、やっぱり駄目なんですね……」
「!?」
涙目で見上げてくるフェイトに思わず言おうとしていた言葉が止まる。
うるんだ瞳と、訴えかけるような視線、悲しみに垂れた眉がひしひしと感情を伝えてくる。
これも入れ知恵なんだろうと予想はつく、しかし……。
分かっていてもこれには勝てなかった……。
「一晩だけだぞ……」
「うん!」
隣の部屋でリニスがガッツポーズをしているのが演算装置ではっきりとわかる。
正直やられたと思うが、悪い気はしない。
フェイトが本当にうれしそうにしているのを見れば……。
それから数日、いろいろあったがとりあえず事件と言えるほどのものに出会う事もなく近隣の訪問へと出ることになる。
通商を行うようになったとき、危険な思想や武器(魔法)を持っている者がいたら商売や観光客の危険につながる。
それに、そういう危険物を地球に持ち込まれてもまずい。
そういったものの確認をするのも領事の仕事であるといえる。
まあ、領事が来たら任せるのだが先に俺が見ておいた方がいい、
魔法に関しては知識で知っているにすぎない領事が来る可能性が高いからだ。
「今日の訪問は少数部族か」
「ル・ルシエと呼ばれる竜神信仰の部族ですわね」
「カリムさんも熱心ですね」
「ええ、でもそれだけじゃなくて楽しんでもいます。知ることはやはり楽しいですわ」
「高山地帯に住んでいるんですね、義父さんは大丈夫ですか?」
「問題ないさ、車椅子だったころと同じというわけじゃない、最近は調子がいいからな」
「ならよかったです」
「もし、体調に不安があるようでしたら、私とユニゾンしていただければ……」
「心配ないさ。それよりも、出来るだけ魔法を使わないでくれよ。資料によると、彼らは強い力を恐れるそうだからな……」
「はい、魔力を抑える護符も張っていますし、問題ありません。マスターを除いてですが……」
「俺はCランクだしな……」
まあ、寂しい話ではあるが、俺が普通程度の魔力しか持っていないため、恐れられる所以はない。
他の全員がAAA以上、つまりは恐れられる対象であるのと比較するとなんともはやと言うやつだ。
その後、ル・ルシエの長老と話をし、通商に関する話をして訪問の目的はほぼ達成した。
この星で会わねばならない長はル・ルシエを除けばある程度規模の大きな組織が多く20か所も回れば一通り終わってしまう。
地球の場合200くらいの国家が存在するのだから数の少なさが知れるというもの。
「この調子で最後までいってくれるといいんだがな……」
「それはあり得ないと断言しますわ」
「……お前は不幸になりますと断言された気分だ」
「そうです、何事もなく終わるようにするのが私たちの仕事なんですよ?」
「主アキトに対し挑発行為が過ぎるようであれば、報告と言う形で帰って頂く事も出来るのだが?」
「ふう、好かれていますねアキトさんは」
「どうも、しかし、確かに何事もなくとはいかなかったようだな……」
そう、いつの間にかフェイトが視界から消えていたかと思えば、彼女は4歳児位の桃色の髪をした幼女を抱きかかえて戻っていた。
俺は叱るべきなのだろう、しかし、フェイトの必死さが俺をためらわせた……。
「フェイト、いったいどうしたんだ?」
「あの……この子をうちの子にしてはいけませんか?」
ああ、なんというか厄介事がやってきたらしい。
それでも手を貸すことになるのだろう……フェイトがこんなことを言うのに理由がないわけがないからだ……。