「じゃあいってくるね!」
「はいはい、頑張りすぎて怪我するんじゃないわよ!」
「うん!」
スバル・ナカジマはトレードマークとなった額のはちまき(バンダナ?)を絞め、家から出ていく。
休暇をもらい帰っていたが、13歳のスバルは既に管理局の陸士である。
11歳の時になのはに救助してもらって以来彼女にあこがれ管理局の養成学校へ入学、1年で卒業という快挙をみせた。
もともと養成学校が実力主義なところもあったため、彼女は持ち前の記憶力と身体能力で乗り切った。
その時にティアナ・ランスターとも出会い、以来ずっと彼女とコンビを組んでいる。
それがティアナにとってコンプレックスを助長することになっているという面はあるものの、能力の相性がよかったのだろう。
2人で組めば能力不足を補いほぼ完璧な結果を出す事が出来た。
まだ二等陸士とはいえ、将来を嘱望されている新人だ。
それを見送るクイントは複雑そうな顔をしていた。
日に日に過去の自分に似てくるスバルを見て何か嫌な予感がしたのだ。
「あの子……理想と現実がぶつかった時、大丈夫かしら?」
「母さんスバルの事が心配?」
「ギンガ……ええ、そうね。人一倍純粋だから」
「そうね……でも大丈夫よ」
「え?」
「あの子の周りには、いつも支えてくれる子がいるもの」
「ティーダ君の妹さん?」
「それもあるけど、私たちも含めてね。あの子は周りに人を集める才能があるんじゃないかな?」
「……確かに、そういう気もするわね」
スバルは明るく前向きで屈託がない、だからこそその明るさに集う人は多いだろう。
だが、それを複雑に見守るものも多いはず、クイントは柄にもなく心配が先に立っていた。
だがそれも、ギンガの背後から現れたゲンヤを見て急速にしぼんでいく。
「そんな事が起こる前に、私たちで何とかすればいいさ。今はのびのび育ってくれるのが一番いい」
「そうね……」
「まあ、気長にやっていこう」
「もう、こういう時は抱きしめるくらい……」
「いつも仲がいいね♪ 二人とも」
「あうっ」
「一瞬で娘の存在を忘れていたようだね……」
「じゃあ、私も行ってくるね」
ギンガは現在、管理局の外交部門にいる。
アキトに事故から救出されて以来、異世界とのつながりと言うものに興味を持っているのだ。
まあまだ勤めて1年程度なので目に見えた成果はないものの、階級だけなら三尉待遇の役職である。
士官学校をきっちり抜けてきていると言う事もあるが、外交部門はどうしても世襲に近い体制を取っている。
その中に入り込んでやっていると言う事がどれほどの事か、努力のほどが分かろうと言うものだ。
「もう、頑張りやさんね……」
「ええ、こういうのって楽しいんですよ」
「その辺は父さん似なのかしらね。私は事務処理苦手だけど」
「そうですね。門前の小僧じゃないですけど、父さんにはいろいろ教えられました。
でも、スバルも座学の点数はTOPでしたし、血の事も考えると母さんも……」
「何言ってるの、こういうのは環境に左右されるものなのよ」
「そういう事にしておきます」
そうして、ギンガも出ていく、クイントは二人の将来が心配なところもあったが、今さらだと首を振り夫を送り出す。
全員を送り出した後、自分は遅刻だなこりゃと軽く考えながら支度を始めるのだった。
「よしっ、今日もがんばらんとね……」
「はやてちゃん、本気でやるつもりなんですね」
「全力でお手伝いしますけど……、大丈夫なんでしょうか?」
「どのような事があろうとも、俺達の仕事は変わらない」
「そうですけど……」
「まあまあ、二人とも心配なんもわかるけど、あたし……ううん、私は前に進むことにしたんよ」
キューエルシュランクを肩に乗せシャマルとザフィーラを従えたはやてが来ているのは、聖王教会の中心部ともいえる大聖堂。
カリムの案内であるとはいえ、彼女らが来るのは初めての事、威圧されるのもしかたない。
はやてがここに来たのには理由があった。
以前、彼女は言った事がある、人を守ることだけが人を幸せにすることではないと。
しかし、シグナムとヴィータが管理局に引き抜き工作を受けている状況を前に、何かせねばと思う事も事実だ。
それらの事で暫く頭を悩ましていたはやてだったが、
ようは管理局という組織そのものがあまり横暴な事が出来ないようにするしかないと気がついた。
アキトが作り出したのもそのための組織だ、しかし、アキトの作りだした組織はあくまで地球を守ることしかできない。
政治的なベクトルが個人に向いていないのだ、もちろんアキトはいろいろ悪あがきをしてそれで個人も守っている。
だが根本的な解決にはなっていないのではないかというのがはやての出した結論だった。
『アキトさんが作り出した組織は水際で管理局を食い止める組織、でも、本当に必要なのは管理局と肩を並べられる組織』
『それは、管理局と互角の力を持っている必要があると思います』
『そやね、きっちりじゃないにしろ戦争でも起こしたら自分が大打撃を受けると思わせる程度やないと駄目や』
『聖王教会の組織は確かに大きい、しかし、管理局とは比べるべくもない上に、上層部がかなり管理局に取り込まれている』
『でも、そうなると頭数を揃えるのが難しいんじゃ……』
『それも含めて考えた案が一応あるんやけどね、ま、その辺はやってみてのお帰りかな』
前を行くカリムに聞かれないように、自分たち専用の念話回線を使用して話す4人。
聖王教会だけでは不足であることははやてにも十分すぎるほどわかっていた。
そして、他に管理局にくみしていない組織は小さなものばかりであるという事も。
もっとも、まだ知られていない異次元に行けばもっと巨大な組織もあるかもしれない、
しかし、そんな事をすれば戦争になる可能性もあるし、何より巻き込んでしまう事になる。
となればもう、ないものであるとして、これから作り出すしかない。
『2年……シグナムやヴィータかてそれくらいやったら待ってくれる、やから……』
『はやてちゃん……』
管理局の危うさが気になるという意味で動き出したという事ではあるが、やはり家族の事が気になる。
はやてにとっては、血のつながりこそないものの家族といえば騎士達であり、リインフォースだ。
表向きの理由とは別にどうしてもそこに考えが行ってしまう。
別に管理局に就職しても死ぬわけでもないし、待遇もわるくないだろう。
しかし、はやては管理局という組織に対する信頼を持っていなかった、
闇の書事件の事もそうだし、その後の対応も力を取り込む事に執心するばかり。
地球外対策局を見てきたせいもあるだろうが、外部から見る管理局は力任せという印象ばかりの目立つ組織だった。
だからはやてがこう言う動きに出たのは当然だったのかもしれない。
「つきました、謁見の間にて猊下がお待ちです。でも、いいのですか? 貴方は私たちの力を否定していたのでは?」
「人を救うために力を振りかざすという事が正しいのかは今でもわかりません、
でも……振るうためではなく、拮抗状態を作り出すためになら……」
「拮抗状態?」
「……行きましょう、はやてちゃん」
カリムが怪訝な顔をしたのを受けて、シャマルがはやてをうながす。
カリムは敵対者というわけではないが、先に済ませてしまった方が精神衛生上も、機密保持のためにもいいだろう。
それに時間をかけて下手に警戒されるのもよくない。
シャマルはさっとそういう計算をしたようだった。
謁見の間はアキトが行ったときと同じように、大きく、また多くの騎士が詰めており。
法王への謁見が簡単なものではないのだと言外に言っているかのような威圧感を放っていた。
実際拝謁が出来るのは管理局でも提督クラスか聖王教会の上級騎士(管理局で提督位をもらえるほどの実力者)、
管理局統治下の国やそれ以外の国となれば最高権力者でもなければそうそう会う事は出来ない。
兵士達はともかく、20人以上の上級騎士達が近寄らせてはくれない。
先代とはいえ夜天の王であり、実力も上級騎士に匹敵すると言う事で特別に拝謁が許されたに過ぎないはやては、
頼み事に興味を持ってもらえるかどうかが生命線に近かった。
実際ここで早々にこければ彼女の考えは10年遠のく。
「騎士はやてよ。面をあげよ」
「はい」
「こたびは、そなたを騎士として迎え入れることができ行幸に思うぞ」
「法王猊下に拝謁賜りました事、身に余る喜びです」
「そうかしこまらずとも好い、我は狭量ではない故な。
して、こたびは願いあってまいったとの事」
「は、巨大な獣の檻を作るために、力をお借りしたく存じます」
「……その獣、あまりに巨大ゆえ、我にもな……」
「ですが、周りを囲んでしまえば、そう動く事も出来ないかと」
「囲む……なるほどな、しかし、我が協力するはその囲みが出来てからとなるが構わぬか?」
「……はい、ありがとうございます」
「うむ、では今日はこれで失礼しようか、待たせている者がおる故な」
法王はそう言うと、供の者を従えて歩き去った。
膝をついてそれを見送ったはやては自らも退出する。
背後で控えていたシャマルやザフィーラ、となりで控えていたカリムも同時に退出する。
流石に緊張が抜けないのか、はやては少し肩を回すような仕草をした。
「緊張した?」
「はい、それもですけど。私、標準語で話すのは久しぶりで……」
「えっ……ああ!」
「はやてちゃん、その……」
「魔法による翻訳をしている彼らにそこまでのニュアンスは伝わらない」
「え?」
「関西弁とか標準語とかまで気にする必要はないという事ですよ」
「そうなんか……ボロがでえへんように必死で標準語してたのに……」
はやてはがっくりと肩を落とす。
カリムやシャマルはそれを見て微笑ましいと感じたようだ。
口元を覆いながらもどこか笑いの気配が漂う。
はやてはそれを見て頬を膨らまし、
「どーせ、私は知識がすっぽ抜けてますから、独学みたいなもんやしね」
「まあまあ、はやてちゃん。これから知っていけばいいじゃないですか」
「そうです。何事も一度で上手く行こうというのは難しいものです」
「むぅ〜」
完全にむくれてしまったはやてを、シャマルはどうなだめようかと必死になっているが、
カリムははやてのそれがシャマルに対するあまえのようなものだと看破していた。
ザフィーラも俯瞰した立場で見ている、踊らされるのはシャマルばかりという事になるだろうか。
「まあまあ、マイスターはやてはよくやっていると思いますよ。
実際、予備知識もない状態から法王様に計画の追認を頂ける所までもっていったんですし」
「キューちゃんありだとうな」
このままでは、先に進まないと思ったのかキューエルシュランクははやての肩から励ますように言う。
もっとも、実際その通りだ、一般人に過ぎないはやてが立案した事が聖王教会に受け入れられたのだ。
これは大きな一歩だと考えて間違いはない。
「っとともかく、うまくいったわけですし、今日はお家で鍋パーティでもしましょう」
「それもそうやね、シグナムもヴィータも帰ってると思うしちょうどええわ。
そや、カリムさんもお時間あるんでしたらきます?」
「あらあら、お誘いは嬉しいのだけど。私はまだ仕事が残っているのよ。今度またお邪魔させてもらうわね」
「それは残念です。いつでも来てくださいね。ちょっと騒がしいですけど」
「うふふ、そういうのはうちのヴェロッサも同じですし。気になりませんわ」
社交辞令的な会話を無難にこなしながらはやて達は聖王教会を後にする。
実際問題として、本格的に動くための免状をもらったにすぎない。
それも、あくまで他の所がうまくいったら協力してくれるという不確定感の強いものだった。
しかし、はやては悲観しているわけではない。
最初からうまく行くとは考えていなかったし、協力する約束は免状として書面で受け取ることになっている。
権威が欲しい人間を釣るにはいい、彼女は既にそういう計算をする事が出来るほどに政治を理解していた。
「兄さん……」
「ん、なんだい?」
ティアナ・ランスターにとって兄ティーダはある種絶対的な存在だった。
両親とは早くに死別したため、彼女はその存在をあまり覚えていない。
気がついた時には、ティーダが仕事をし、料理をし、彼女を育ててくれた。
特に仕事に関しては、管理局でもエリートと言っていいところまで上り詰めていた。
だが、ティーダは管理局をやめる羽目になった、犯罪者を深追いし、重傷を負ったためと言われている。
しかし、今の彼女は分かる。ティーダは仲間のためにその犯罪者をどうしても捕まえる必要があり、
だがそれを果たす事が出来なかったのだと。
兄が間違っていなかったのは分かる、しかし、管理局がそれを許さないだろう事も理解はできた。
だから、未だ完全に回復できず病床にある兄にかける言葉がない。
「ううん、リンゴむこうか?」
「いや、もうかなり良くなってきているから。自分でその程度は出来るよ」
「もう、兄さん。そんな事で遠慮しないの!」
「ああ、すまない」
「謝らないでよ……」
「そういえば、今日はお友達は一緒じゃないのか?」
「お友達って、スバルの事? 単に同じチームで動くことが多いだけよ。どうしても現場じゃ女の方が少ないからさ」
「それはかわいそうだろ、彼女は生涯のパートナーです。とか言ってたぞ?」
「ぶっ、あのね……あの子は天然なんだからいちいち本気に取らないでよ!」
「そういうお前も顔赤くして言ってたら世話ないな」
「恥ずかしいだけよ!!」
ティーダはクックックと口元に手を当てながら笑う。
ティアナは恥ずかしさで俯きながらも、逆に気を使われてしまったと感じていた。
お互い、表向きはともかく、気を使いすぎるきらいのある兄弟だ。
ただ、ティーダは一つだけ忠告しておく事を忘れなかった。
「ひとつ言っておく事がある」
「え?」
「今まで僕が担当した事件は裏でいくつかつながっていた。
そして、テンカワ・アキトという男がそれに関わっていた。
彼が犯罪者というわけじゃない、彼はそういう存在を呼び寄せる体質なのかもしれないな。
どちらにしろ、テンカワ・アキトという男には関わるな、事件に巻き込まれたくなければな」
「……そんなに危険なの?」
「ああ……今はまだいい、だが彼はいずれ一連の事件の根本と対決することになる」
「それも、呼びよせる体質だから?」
「それもあるだろうし、彼自身何もしないままでいるには力が強すぎる。
自分から根本へと向けて動き出すだろう」
「でも、個人で出来ることなんて……」
「彼は個人であり組織でもある。いずれは管理局とぶつかるかもしれないような。ね?」
「兄さんがそんなに本気なんて……うん、わかった。できるだけ気をつけるね」
「ああ、くれぐれもな」
幸い、何度か見舞いに来た事があるアキトとティアナははち合わせしていない。
そしてティーダがいま言った事は本当だが、同時にまだ言っていない事もあった。
すなわち、あの男はいつの間にか女性を引き付けるという事を。
ほっといても女に囲まれる、そういうやつなので、関わってほしくないというのが一番の理由だという事を。
だが、これだけ念を押したにも拘らず、この約束は2年後破られることとなる……(不可抗力ではあるが)。
そこは、地下にある薄暗い研究室。
ここ数年のボソンジャンプ研究を終えたスカリエッティは残ったナンバーズと合流し、
ガジェットの蒐集してきたデータを見聞していた。
しかし、どこか上の空でそのデータの見聞をしているように感じたウーノが声をかける。
心配事でもあるのかと思ったからだった。
「博士?」
「ん? ああ、すまないね。少し考え事をしていたよ」
「お疲れなのではないですか?」
「まぁ多少はね。でもこれをやってから寝ることにするよ」
膨大な量のデータを一度に見聞しているスカリエッティを見て、ウーノはやはりこの人は凄いと感じた。
自分の創造主である事と同時に、マスターでもあるその博士は子供のように無邪気な人間だ。
唯一つ、与えられた使命である究極の生命の創造をするために必要な幾つかの枷を外されて生まれてきた。
即ち倫理感や怠惰の心、偏見といったものだ。
不思議に感じるかもしれない、倫理感は兎も角、後はいいことのように感じるだろう。
それに、倫理感や偏見は後天的な素養だと感じるかもしれない。
だが、そういう後天的な素養は培養液にいる間に圧縮学習であらかた覚えこまされている彼女らにとっては当然だ。
主であるスカリエッティも同じ存在なのだからそれも間違っていないだろう。
また、全て研究の対象であるという意味で偏見がなく、研究をあきらめるという事がないように怠惰の心は抑え込まれている。
スカリエッティとはそういう存在だった。
ウーノが考えこんでいる間に、セインがスカリエッティの隣まで来て話しかけていた。
「ああ、楽しかったねぇ……うんうん、思う存分管理局を気にしないで人体実験が出来た」
「博士こっちでも気にしないでやってるじゃないっすか?」
「こら、セイン! 口を慎まないか!」
「ふえーん、ウーノ姉さまごめんなさい」
「まあまあ、ウーノ、私は気にしていないよ。
とはいえ、そうだねぇ。物量においては桁が8つくらい違う組織だし、質で多少勝っててもね……。
正面から管理局とやりあいたくはないね。
だからばれないように一回に数人くらいに絞ってやってるのが現状さ」
「その割には、私らみたいな戦闘機械人は多いですよね?」
「ああ、君達のようにクローンや培養遺伝子は話が別だよ。
いくらでも作れるからね。でも、君達くらいに完成度の高いものはそうできないけど。
まっ、F計画はいろいろ助かってるよ」
そう言うとスカリエッティは子供のように微笑む。
実際、研究の事を話すのは楽しいのだろう、
ナンバーズという組織、能力の事は別にしても性格はある程度後学習で均一化もできる。
それなのに、現在稼働している10人の性格はみなバラバラだ。
意図的なのか、偶然なのかはわからない。
しかし、彼も寂しいのではないかとウーノは感じていた。
『入室許可願いたい』
「チンクか、はいってくれ。いろいろ聞きたい事もあるしね」
『了解しました』
チンクが入室してくる、ウーノはチンクを見ると少し眉をひそめた。
ナンバーズが全員女性なのは、いざという時スカリエッティのクローンを産み落とす苗床という役目があるからだが、
彼女だけは、どう考えてもそれが出来るとは思えなかった。
8年前から稼働しているが見た目は10歳の状態で停止しているのだ、女性としての機能もまだ出来ていない可能性が高い。
チンクそのものに含むところがあるわけではないが、その事は心配だった。
「なるほどね……彼らは二人っきりで出て行ったのか。
まあ、それもいいだろう。それなりに使い道はある」
「すみません、管理不行き届きでした……」
「気にしなくていいよ。それよりも。あっちの方はどうなっているんだい?」
「レリック捜索の方は現在……」
「そうじゃない、あっちだよ」
「!! 培養槽での肉体復元がほぼ完了しました。ですが、手術に耐えられるとは思えませんが」
「大丈夫、彼はそんなヤワじゃないよ。僕の知る限り、最も強い存在だと思うしね」
「そんなに!?」
「後は、やる気の問題だけだ。それは直接伝えないとね……」
ウーノは一瞬呼びとめようかとも考えたが、気分転換にでもなればいいと考えてやめる。
しかし、スクリーンには既に全てのデータを閲覧し終わった証拠である決済済マークが付いていた……。
それを見たウーノは、逆にスカリエッティの事が心配になるのだった。