ここは全年齢対応の小説投稿掲示板です。小説以外の書き込みはご遠慮ください。

行き当たりばったりの協奏曲(改訂版) 55 ロボットでゴーゴー
作者:黒い鳩  [Home]  2014/09/27(土) 12:15公開   ID:m5zRIwiWPyc
対策会議、この場合、俺達のする事は二つある。

同時にこなす必要が出てくるため、その前に決めておくこともある。

なのは達はヴィヴィオの事で先日までいろいろあったため、今日ようやくという部分もある。

もっとも、今は時間がない、あまり待つ事も出来ないのだが。


「まず最初に言っておく、俺達の目的は戦争回避、そしてスカリエッティ一味の逮捕。

 戦争を起こすためにスカリエッティ一味が動いている事はほぼ間違いない。

 だが、逮捕のために戦争を起こす手伝いをする羽目になっては元も子もない」

「そやね……でも、そうなると私らの立場も怪しい所でもあるしね」

「ああ、両陣営の緊張はもう爆発寸前だ。その上、俺は犯罪者に近い状態のため彼らが俺の意見を聴く可能性は低い」

「それに関しては自業自得です。マスターは性急に動きすぎました。せめて連携を取っていれば……」

「そうです、主アキト。我々すら置いていくような事をした結果です」

「すまない……」


確かに今回の事は独断を行いすぎた俺のツケという意味合いも強い。

否定するべきところもなかった、しかし、周りの目は思いのほか温かい。

この事に関しては、下手をすると管理局に突き出されてもおかしくないほど大きなミスであるというのに。


「まあ、分かっているならいいんです。これからは気を付けてくださいね」

「私たちで戦争を止めてみせます。ですから今回はゆっくりしていてください義父さん」

「フェイトも最近は強引に……、すずかもうかうかしてらんないね♪」

「うっ、負けませんよ」


シャマルが諭し、フェイトが元気付け、アリシアがまぜっかえし、すずかが乗っかる。

話が別の方向にそれていく、どこか和やかではあるが、俺の事を話題にしているようなので方向を変更せねばなるまい。

今は優先せねばならない事がある。


「戦争を止めると一口に言っても、俺達に出来る事は限られている」

「そうやね、アプローチをかけれるのは連盟側だけ、後はスカリエッティの手ゴマを排除することやろか」

「そうなるな、特に三提督に関してはスカリエッティの手ゴマから守ることができれば管理局側へのアプローチが可能になる」

「となれば、どこに誰を当てるかという事になるな」


三提督の護衛は戦力となるものが行けばいいが、連盟側の説得は政治に通じていなくてはならない。

はやてと俺が別々に回るしかないだろう、もっとも俺は自分が行くことで火に油を注ぐ可能性がある事も考えるといける所が限定される。


「まずはそやね、悪いけど今回アキトさんには動かないでいてもろた方がいいかもしれん」

「そうか……」

「うん、表向きどちらと接触しても今までの事が政治的に裏目に出る可能性があるからね」

「なら」

「スカリエッティ一味との戦闘も出来るだけ避けてほしいとおもっとるんよ。

 下手をするとそっちからつつかれる可能性もあるしね。

 戦うという事自体今は控えて、ここに攻め込まれでもせん限りは」

「わかった、だが政治関係のほう手が回る人間はほかにいるか?」

「一応考えてはあるよ。秘密兵器というかアリサちゃんがね……」


言われて確かにと思う、今回は俺は動かない方がいい、何かと戦っても、何かと交渉しても、全て戦争と関連付けられかねない。

忸怩(じくじ)たるものがあるが、まさか仮面をかぶって別人ですというわけにもいかないだろう。

俺は罰を受けた形で自宅謹慎、出来れば投獄が望ましいな、関連性を疑われないためには。


「表面上は、アキトさんは謹慎という形にします。あまり大きな罰則を与えると後で戻ってこれんしね」

「いや、投獄にしておいた方がいいだろう。関連性を疑われないためにはそれでも弱いくらいだ」

「ふぅ……仕方ないなぁ、リィン、お願いやからアキトさんから目離さんといてな」

「わかりました」

「なのはちゃん、フェイトちゃん、悪いけどこの頑固者を後で牢屋のほうに入れといて」

「あははは……」

「ふぅ、仕方ないですね」

「でものその前に、ひとつだけ連絡事項、攻撃班は3つに分ける。

 管理局側からでは三提督の護衛を出すのが難しいようやしね、スカリエッティの勢力、随分食い込んでるみたいやね」

「……我々としてもできるだけ分散は避けたいところではあるがそうなれば仕方あるまいな」

「そ、護衛する対象は3人、一人でも殺されたら主戦論が一気に加速する。

 分かってると思うけど頑張ってな、では、発表するから聞いてね。

 第一班はなのはちゃんを隊長、アリシアちゃんを副隊長にした混合の2小隊。

 第二班はフェイトちゃんを隊長、シグナムを副隊長にした魔導師部隊2小隊。

 第三班はすずかちゃんを隊長、ヴィータを副隊長にした混合の2小隊とします」

「第二班にパワードスーツ部隊が割り振られていないようだが?」

「そうでもないんよ」

「……?」

「まぁ、結果がすべてを語ってくれるし、今はないしょって言う事で」

「ああ……」


はやてがいたずらっぽくいう、どうやら何か秘策があるようだ。

それならば問題ないのだろう、実数的に見て24名と隊長2名づつ、26名の部隊を3組送り出す。

残っているのはパワードスーツ部隊24名だけとなるが、ラピスがいれば守りはそれほど気にしなくていいだろう。

多分その事も考えてパワードスーツ部隊を残したのだろうな。


「まあ、アキトさんは今回大人しくしてることです。私らもがんばれることを見ててください」

「ああ、頼む」


はやてはそう言ってほほ笑み、他のメンバーも何故か逆にほっとしたような表情をしている。

俺は今までそれだけの心配をかけていたのだなと思うと少しやりきれないものがあるが、仕方のない事かもしれない。

俺は重力を偏向させた例の拘置用の牢へと向かう事になった。

左右になのはとフェイトが付き後ろにはリインフォースがついている。

形式的にという事ではあるが、署員も数名同行していた。


「それにしても、今回はいろいろと失敗したものだ……」

「独力というものにはどうしても限界があります。それは十分承知していたのではないのですか?」

「そうだな……」

「アキトさんは独走しすぎです。ちょっと目を離すたびに変な事に巻き込まれてるし」

「なのはが言ってもあまり説得力がない気はするけど……本当だよ」

「えっ、私も?」

「うん」


その通りだ、一人では出来る事が限られている。

だからこそ俺は10年をかけて組織を作り上げた。

もちろん連盟ははやてが作った組織であるわけだが、それでも延長線上にあるものであった事は事実だ。

だが、同時にそうして作った組織に汚れ仕事をさせるわけにはいかなかった。

存続していく上で穢れがついた組織など腐敗するに決まっている。

そうでなくてもいずれはそうなるのだから、

出来るだけ長く続けるためにも汚れ仕事は単独でと考えたのが裏目に出たのが今回だ。


「分かっているつもりなんだが、それでもな……」

「そう言うと思っていました、主アキトなら……ですがせめて私は連れて行って欲しかった。

 貴方と同じように罪を償いたい私は」

「そうだったな……、だが回復を待っているとチャンスが失われると思ったのが失敗だった」


リインフォースもまた俺と同じ存在なのだ、ただ俺は自分で殺したのに対して、

彼女はプログラムに対抗できなかったからという違いはある。

だが逆に、殺した人数は彼女の方が2ケタは多いらしい。

等価という事はあり得ない、どちらが悪いという事でもない。

ただ、俺は修羅であり悪鬼だった、彼女は羅刹であり、悪魔だった。

それだけのこと。

その償いなど欺瞞にすぎない、死んだものは戻ってこない。

だが、そんな欺瞞でもせずにおれないのは、死ぬという選択を選ぶ事が出来ない自分に対する言い訳のようなものだ。

だからつい無茶をする、自分の命を軽んじる、それはどうしても痛みから逃れるためには有効だからだ。

そう、死は逃げ場所……ゆえに、俺はけじめだけはつけていきたいと考えている。


「つきました、ここが課長の拘置牢です」

「御苦労」


そういって職員が開けた牢の中に進んではいる。

職員達は目を伏せていた、バカバカしさに見ていられないのかもしれない。

しかし、俺にとってはいい場所ではあった、むしろ安心する。

俺以上にここにふさわしい人間がいるとは思えないからだ。

立場上、そしてラピスら家族のためにも口に出す事は出来ないが、俺という存在を断罪して欲しいという甘えはいつもあった。

他の誰が許しても俺自身が俺を許す事だけは永遠にないのだから。


俺が大人しく牢のベッドに座ると安心したのかなのはやフェイト達は立ち去って行った。

リインフォースだけは牢の前にいるわけではないものの20mほど離れた拘置所の入口前でいるようだ。

目を離さないというのはどうやら本当の事らしい。

とはいえ、特にやるべき事もない。話でもするかと口を開きかけた時隣の牢から声が掛けられた。


「どうしてお前が牢に入る?」

「お隣さんか、久しぶりだな」

「……」

「何、俺がへまをやらかしただけさ。君の姉妹は優秀なようだ」

「当然だな……しかし、お前をやりこめたとなると力押しじゃないだろう?」

「そうだな、嵌められた」

「だとすれば、私の知る限りでは博士本人と合わせても3人しか心当たりはないな」

「ほう」


どうやら隣の銀髪、片目の少女、チンクは俺から情報を引き出したいようだ。

姉妹の安否などが気になるのだろう、先んじて情報をくれるあたり太っ腹ではある。

だが、俺もさして知られて困る情報でもない、少し語ってみる事にした。


「俺が見たのは長髪、紫色の髪をした妙齢の女性だったと思うが」

「なるほど……ならば行ったのは管理局か」

「その通りだ」

「それなら時期が前倒しになるかもしれないな。皆戦争を起こそうとしているはず」

「そうだな、だが、俺達が止める」

「簡単に言うな……」

「あいつらなら出来るさ、お前が姉妹を信頼するように俺も彼女らを信頼している」

「そうか……」

「だが、一つだけ異なる点がある」

「ん?」

「お前たちが敗北した場合、世界の敵として認知されることになる。

 そう、管理局、連盟、その他問わずだ。

 その場合、お前たちに逃げ場はない」

「……それは」


もちろんそうなってしまえば、世界の敵である以上一人残らず殺されるだろう。

管理局は力をもつものに甘い傾向にあるが、それでも世論が許すとは思えない。

政府に敵対したなどという簡単なものじゃない、全次元を巻き込んだ戦争を起こそうとしているのだ。

その罪はすべての政府、国民らに問われることになる。

スカリエッティ本人はもう最終段階まで来ている研究さえ終えられれば死んでもいいのだろうが、

彼女らは使いつぶされることとなるだろう。

それらは何もナンバーズだけではない、スカリエッティの下にいると思われるプレシア、ゼストらも同様。

つまりは、この作戦そのものが彼女らの乾坤一擲の作戦となるのだ。


「そして、戦いに勝っても恐らく運命は変わらないだろうな」

「否定はしない……元々私たちはそう作られたものだから」


究極の生命の創造、スカリエッティの頭にはそこまでしかない。

その先はない。

つまりは、それ以後はすべてが破棄されると考えていい。

チンクは俺が考えている間まるで唇をかみしめているように沈黙していた。

恐らく口で言うほどには割り切れていないのだろう。

スカリエッティは何故彼女らにそこまでの自我を与えたのか、それもなんとなくわかる。

つまりは、彼は個性というものについても研究していたという事なのだろう。

聞けば特殊能力とそういった性格は無関係ではないらしい。

反吐が出る、興味本位でそんな事をする無邪気とすら思える行動に。


「救われたい、そう思った事はないか?」

「……さあな」

「まあ、あと少しは時間もあるだろう。その時まで考えているといい」


恐らく、世間を混乱させた勢い、また今ちょうど手薄になっているこの状態。

これを逃しはすまい、必ずナンバーズはアクションを起こす。

助け出すためか、あるいは口を封じるために……。

今はそのアクションを待つしかないというのは歯がゆいが、そのあたりを考えて俺の拘置をここにしたはやてには感謝したい。

一通り会話を終えた俺は、ベッドの上で横になり目を閉じた。
















第17管理世界、現状ほぼ管理局の統治下に近い形をとっている星である。

現在ここでは伝説の三提督の一人である、ミゼット・クローベル女史が足止めをくっている。

理由は、門の不調であり、同時にテロ組織による何度かの襲撃もうけていた。

今のところ怪我などもなくすんでいるものの、日に日に襲撃は激しさをましている。

現地政府からの護衛もついていたが、管理局の人員はほとんどおらず、むしろ幸運で助かっているといっていい。


「この年になってもてもてなんて嬉しいわねぇ。

 でも、こちらは忙しいの。日を改めて出直してらっしゃい」


そんな風に半ばおどけながらも的確に護衛を指揮し、撃退している。

だてに長年重要人物と目される地位に居続けたわけではないらしい。

しかし、いかんせん護衛の人員には限界がある。

現地政府からは好意的にいろいろ手を回してもらっているが本人がじっといしていない以上危険は常に付きまとう。

彼女らには、いや世界には時間がない。

管理局と連盟、この2大勢力がぶつかれば泥沼の次元大戦に突入する。

三提督のうちだれか一人は最低でも本局に戻らねばならない、もちろん死ぬわけにはいかない。

死ねば引き金にされる事は目に見えていた。


「この年になってこんな事になるなんてね……一番管理局の事を知らなかったのは私達なのかしら」


ミゼットはそうひとりごちる。

しかし、このままではらちが明かない事も確かだ、現地政府に働きかけて出来ることにも限度がある。

それに、現地政府にもどうやら敵対勢力の手が伸びているのを感じてもいた。

この場合の敵対勢力とは戦争を引き起こそうとしている側の事だが。

何度目かの門の使用交渉をするべく向かう途中の襲撃、今回はガジェットや金で雇われた殺し屋だけではないようだ。

粘り強く攻撃を仕掛けてくる相手がいる。

痺れを切らせて幹部クラスが出てきたという事だろう。

ある意味上手くいっているわけではあるが、それでも戦力的に不利である事は間違いない。

乗っていた車両は大破し、今は壁に隠れて護衛達と応戦している最中だ。

護衛達は現地政府から借り受けたものではあるが、それなりに取捨選択はしている。

信用を置けない人間を護衛につければ重要な時に裏切られる可能性がある。

ただ、そのせいで護衛の人数はどうしても少なくなってしまい、今の苦戦の原因になってもいる。


「まったく、こういう時こそ正義の味方の出番だっていうのにねぇ」


半ば冗談として言いながら、護衛達を叱咤し、各個撃破しつつ撤退を始める。

敵の幹部はどうにも強力であるし、ガジェットの使うAMFはそれだけで脅威だ。

だが、門(といっても野外にある魔法陣)が突然光を放ち始める、それは門を通って誰かがやってくる証。

どちらの勢力も戦いをやめそちらに視線を移す。

出現したのは管理局の一軍だった。

おおよそ100人前後、魔導師中隊の規模だ、一般の中隊よりは人数が少ないが、その辺りは戦力の差を表している。

それは兎も角、護衛達はその姿を見て安心したようだった。

実際管理局の提督がこちらにいるのだから、管理局の兵はこちらにつくと思うのが普通だろう

しかし、その期待は最悪の形で裏切られることになった……。
















「我らに特別任務が与えられた」


六課から逃げだし、管理局に戻ったティアナとスバルはすぐさま新たに任官する事になった。

階級はニ等陸士から一等陸士にあがっている、貴重な連盟の情報を提供したからとなっていた。

しかし、それでも視線は語った。

曰く、裏切り者、信用できない、隔離しておかねばならない。

実際、その後彼女らは名目上厳めしいが全く任務のない特殊調査部へと回された。


その後はなにもしていないというのが正解だろう。

二人、特にティアナは日に日に暗くなっていった。

スバルも最初はティアナを必至に励ましていたが、最近は無駄と悟ったのかあまり口を開かない。

たまに六課の話をしようとして口をつぐむ事を繰り返していた。


そんな日々になれ始めていた時に突然の呼び出しである。

ティアナもスバルも気合が入っていた。

何より、ここで功績を挙げれば別の部署への転属願いも通してくれるという事らしい。

張りきらねばむしろどうかしていた。

しかし……。


「あの……ミゼット提督のいる所に攻撃を加えるって……」

「質問を許可した覚えはないが、ティアナ・ランスター一等陸士」

「いえ、申し訳ありません……」


言われなくても大体理由は分かった、反戦派の要となる三提督の足止め、もしくは殺害は開戦派にとっては急務と言えた。

彼らが死ねばその責任を連盟にかぶせて開戦の口実にできる。

逆に今の評議会に出席されればかなりの確率で開戦を封じられる。

管理局でも権力志向の強いものは、謎の評議会による押さえつけも、支援国家による足の引っ張り合いにもうんざりしていた。

連盟を潰せば、連盟の領土を管理する名目で直接統治ができる。

そうなれば、収益も人員の確保もかなり融通がきくようになる。

支援国家の意見を伺わねば動けない現状を打破したいと考える者にとっては今がチャンスなのだ。

だから、危ない橋でもわたろうとする、そう、ばれれば三提督暗殺の責を取らされる、そんなリスクよりも実を取ろうとする。

結果、極めて危険な任務が発生したということのようだ。

つまり、権力闘争の道具にされたのだとティアナは理解する。


「近くに犯罪者などがいても今回は無視しろ、あくまでミゼット提督の保護を我々が行う事に意味がある」


それでも、隊を率いる大尉は殺せとは言わなかった、士気にも関わるためあまり強く出られなかったのだろう。

捕まえた後、結局監禁されるか、殺されると分かっていても自分たちの手を汚さないだけでも安堵する。

しかし、ティアナは余計に葛藤するはめになった。

ティアナは自分が何をやっているのだろうかという煩悶がだんだんと頭を絞めてきているのを感じる。

だが、そんな事を考えていれば自分が殺される可能性もある、首を振ってどうにか落ち着きを取り戻そうとする。


隣ではスバルもまた暗い顔で考え事をしていた。

彼女はもっと純粋に、ミゼットを助けたいと考えている。

言葉をそのまま鵜呑みにするならテロリストから彼女を救うという事なのだが、我々がというところが引っかかる。

とはいえ本当に管理局の人間がそのために大恩ある三提督を切るようなまねはしないと考えてもいる。

だが、それでもどこか不安はあるのだろう、彼女は不安そうにティアナをチラチラと見ながらまた考え込む。


それでもティアナは管理局の人間だった。

上官に意見をするには、沢山の書類を書き、より上層に働きかけるか、自分が上官より偉くなるしかないと割り切る。

そしてスバルはそんなティアナについていくことを決めていた。


そして、封鎖されているはずの門から転移し、彼女らはミゼット提督を確保するために動き出す。












はやてに言われて、なのは達2個小隊(機械化及び魔道師小隊であるため各12名と彼女らで26名)

がやってきたのは魔道飛行船の離発着場だった。

そこではやての名を出し声をかけるとなのは達は飛行船用の大きな倉庫の一つに案内された。

そこには、飛行船の倉庫に不似合いなほど小さな船らしきものがある。

だいたい全長25m全高12m全幅10m程度の大きさ。

200mを超える大きさのものすらある飛行船と比するには小さすぎた。

その小さな船の近くで一人の士官が敬礼を送っている。

なのは達はそちらの方へと向かった。


「新型次元航行突撃艦インテグラSJへようこそ高町なのは一尉」

「はい、よろしくお願いします。ええっと……」

「真吉備・梁少尉であります!」

「真吉備少尉ですね、それで、この船……次元航行突撃艦とは……どういったものなんでしょう?」

「ハッ! この艦は大型化しがちな次元航行システムを取り付けた門によらない次元移動を可能とする艦です」

「管理局における次元航行艦隊のようなものですね」

「少し違います。次元航行艦隊の艦船では大きすぎ大気圏の外でしか次元移動できませんでした。

 しかし、この艦は大気圏内でも問題なく次元移動が可能です。

 ただし、消費魔力の大きさからどうしても一回の次元航行を行うと一日は補充が必要になります」

「……それじゃあ帰ってこれないんじゃ?」


なのはは思う、それでは帰ってくるまでに一日経過してしまう。

それだけ時間があれば相手に逆襲撃をかけられるのが目に見えている。

奇襲向きではあるが、特攻以上何ができると言うのか。


「いえ、それに関しては何とかできるようにしてあります。

 ようは補給する代わりにエンジンごと換装してしまえばいいので、予備エンジンを備え付けました」

「なるほど、じゃあ行きと帰りの2回だけなら問題ないんですね?」

「はい、ただ、この艦は試作艦であるため、完璧を保証する事は出来かねます。

 出来うる限り迅速な行動をお願いします」

「了解しました」


なのははアリシアと目でコンタクトすると早速乗り込んでいく。

この艦は以前から試作していた艦でもあった、ナデシコタイプの艦も次元航行が出来なければ意味がない。

それゆえ、ナデシコタイプにもつけられる次元航行システムということで作っていたのだ。

それが今やこれだけの小型化が出来るようになっている。

日本とミッドチルダの共同開発、いや忍の功績なのかもしれない、どちらにしろ今はありがたかった。


「戦争を止めるためにこんな兵器を作るっていうのも矛盾してるかもしれないけど……」

「そんなこと気にしちゃダメだよなのはたいちょ。あたし達が使う以上そんなことはさせない。

 そう思っていれば大丈夫」

「アリシアちゃんはいつも割り切りが早いね。私はそこまで出来ないよ……」

「まあ今は時間もないしそれで納得しておこうよ」

「うん……そうだね」


そうして、乗り込み終わってすぐに座標を第17管理世界へと合わせる。


そこに、かつての部下も向かっているとは知らずに……。

■作家さんに感想を送る
■作者からのメッセージ
作者からのメッセージはありません。
テキストサイズ:17k

■作品一覧に戻る ■感想を見る ■削除・編集
Anthologys v2.5e Script by YASUU!!− −Ver.Mini Arrange by ZERO− −Designed by SILUFENIA
Copyright(c)2012 SILUFENIA別館 All rights reserved.