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凛々の明星Diamond 第1話:杜王町のなんでも屋
作者:亀鳥虎龍   2019/01/14(月) 23:30公開   ID:SITQgi7z/cc
 日本にある地方、S県S市にある街『杜王町』。

人口は約53000人で、東北地方の中心都市の郊外にある大規模なニュータウン。

この街に、一軒の事務所が経っている。

事務所の名は『凛々の明星ブレイブヴェスペリア』。

報酬次第であらゆる依頼を解決するなんでも屋である。

事務所のリビングで、ソファーに寝そべっている青年がいた。

彼の名はユーリ・ローウェル。

長い黒髪で、上下黒の衣が特徴の青年である。

「ふぁ〜」

欠伸をしながら、彼はゆっくりと起き上がり、

「ラピード、散歩に行くぜ」

「わん!」

愛犬のラピードと共に、外へと出たのだった。






―杜王町のなんでも屋―






 ユーリは街へ出ると、たくさんの人達から声をかけられる。

「おっ、ユーリ!」

「今度、ウチで飯でも食ってけよ」

「おう。 ヒマが出来たらな」

この街に越してきたのは、少し前の事だ。

異国の土地で仕事をしてみたいと、仲間達と話し合ったのがキッカケであった。

自分の住んでいた国とは、全く異なる異国の土地。

知らない場所へと不安よりも、異国に対する好奇心が上であった。

杜王町に事務所を立てたのは、この街がとてものどかな場所だったからである。

実際、引き受ける依頼は危険とは遠いものだ。

ペットの迷子探しや、店の人員補助といた感じなのだ。

しかし、ユーリはそれで満足していた。

この街での仕事は、やりがいがあると感じたからだ。






 暫く歩くと、ユーリは三人の学生に出会う。

「あ、ユーリさん」

「こんちわッス」

「ちーす」

「よう、お前等。 学校の帰りか?」

「そんな感じッス」

独特のリーゼントヘアーの少年にガラの悪い少年、そして小柄な体格の少年の三人。

リーゼントの少年の名は『東方仗助』、ガラの悪い少年は『虹村億泰』、小柄な少年は『広瀬康一』。

彼等はこの街にある『ぶどうヶ丘高校』の生徒である。

「ユーリさんも散歩ッスか?」

「そんな感じだ。 最近、仕事の依頼が来ないからよ。 来たのは、岸辺露伴のマンガ取材の手伝いくらいだった」

「それ以降の依頼は?」

「全然な。 まあ、気楽にやってるさ。 じゃあな。 気ぃつけて帰れよ」

「「うっす」」

「さよなら」

仗助達と別れ、ユーリは足を進めるのだった。






 夜、万事屋の事務所にて、

「今日も依頼が来なかったな」

「いや、そう簡単にあると思う?」

欠伸をするユーリに、スカーフを巻いた少年が呟く。

彼の名は『カロル・カペル』。

事実上、『凛々の明星ブレイブヴェスペリア』のリーダーである。

「まあ、生活は困ってるワケじゃないし、別にいいじゃないかしら」

そう言って、青い髪でうなじに触角の生えた美女がカップに口を付けた。

彼女の名は『ジュディス』。

古代から存在した種族『クリティア族』の末裔である。

事務所で時間を持て余していた三人であったが、まさにその時だった。

「ようやく見つけた!」

「ん?」

扉が開くと同時に、額にゴーグルを付けた少女が入って来る。

「おう、リタじゃねぇか。 暫くぶりだな」

少女の名は『リタ・モリディオ』。

15歳という若さで科学者であり、世界中の魔術師から名が知れ渡っている魔道士。

「アンタ達がニッポンに越したって聞いたから、探すのに苦労したわよ」

「ソイツは悪かった」

「とりあえず、お茶でもどう? 立ち話もあれだし」

「………お邪魔するわ」

ジュディスに誘われ、リタはリビングへと向かうのだった。






 出されたお茶を飲みながら、一息吐いたリタ。

「それで、なにしに来たんだ?」

「仕事の依頼に来たのよ」

ユーリの問いに彼女は、分厚い封筒をテーブルに置く。

「コイツは依頼料よ」

「え〜と、何の依頼?」

「フォルトゥナに行って欲しいの」

「「「フォルトゥナ?」」」

思わず三人は、首を傾げてしまうのだった。

城塞都市フォルトゥナは、とある大陸沿岸部に存在する街。

近代化はされているものの、元来閉鎖的、排他的な気質を持ち、住民の服装や建物の意匠は中世のような様式となっている。

今から2000年前、『スパーダ』と呼ばれる魔剣士が存在した。

彼は悪魔でありながら、魔界から人間界を護ったという伝説を持つ。

スパーダは遥か昔、フォルトゥナ都市の領主を務めたという逸話が存在する。

この話を今でも信じる住人達は、現在でも彼を神として崇めているのだ。

「何でそんなとこに?」

「教団の騎士が絡んでるからよ。 魔剣教団の事は知ってる?」

カロルが尋ねると、リタはとある宗教団体の事を説明した。






 魔剣教団とは、魔剣士スパーダを神とし、それ以外の悪魔を排することを教義とした宗教団体。

悪魔が頻繁に出現するフォルトゥナの土地柄から、住民の大半は教団に入信している。

教団騎士は、フォルトゥナの住民を悪魔から守るために魔剣教団がようする騎士団。

『スパーダは一振りの剣を用いて魔界を封じた』という伝説に基づき、銃火器のような近代兵器は卑しいものとされ、主な武装は剣や槍のような刀剣類となっている。

「まさか、悪魔を神様として崇拝してんのが気に喰わないってのか?」

「連中が何を神様にして崇高してるかは勝手よ。 問題は教団の方なのよ」

リタは科学者という本業柄、各地に眠る霊装や魔具の解析や研究を行っている。

「なんでも、各地の遺跡に現れては、魔具を集めてるみたいなの。 お陰で私も、仕事先の遺跡を荒らされたのよ」

それを聞いたユーリ達は、「成程…」という顔をした。

どうやらリタは、仕事先の遺跡現場を教団に荒らされて不機嫌になってるようだ。

「でもさ、魔具なんか集めてどうするんだろう?」

「博物館……なわけないよな?」

「質屋に売るというワケでもなさそうだし…」

「それだけじゃないのよ。 なんか連中、悪魔や妖魔も生け捕りにしてるらしいのよ」

「生け捕り? 退治じゃねぇのか?」

これにはユーリも、思わず首を傾げてしまう。

悪魔から人々を護る騎士が、何故に悪魔を生け捕りにするかと――。

「流石に、悪魔で動物園を作るワケでもないわね」

「それはそれはで嫌だよ」

「そんな微笑ましい話しじゃない筈よ。 これは推測だけど、嫌な予感がするのよ。 アンタ達にやって欲しいのは、魔剣教団がやらかそうとしてる事を突きとめる事よ」

リタから依頼の内容を聞くと、ユーリはニヤリと笑うのだった。

「まあ、退屈しのぎには丁度良いか」






 港で船に乗り、フォルトゥナに到着したユーリだが、

「ここがフォルトゥナか…」

人の気配がなく、彼はポツリと呟く。

「――ったく、無茶ぶりな依頼を寄越しやがって」

頭を掻きながら、辺りを見渡すと、

「ん?」

片手や片足に刃を付けた異形が、複数現れる。

「はぁ…仕方ねぇ」

彼は風呂敷を取り、鞘から愛刀の『ニバンボシ』を引き抜く。

「そんじゃ、行くとしますか!」

そして彼は、異形達に立ち向かうのだった。


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■作者からのメッセージ
 もう一つの連載作品です。

この話のユーリの活躍は、『学園都市Golden』で見てください。

ユーリ「いや、こっちでやらないのかよ!?」
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