「ギジャアアアアーーーーーー!!!!」
「どれだけ攻撃しても倒れなくなってる……!?」
「祈りの弓が効かねぇ……!?俺の最大の宝具なのに……クソっ!!」
アレからというもののインベーダーとデスアーミー迎撃組は、宝具や最大火力を持ってして巨大な怪物たちに挑むがここで最悪の事態に突入してしまう。
「そんな……祈りの弓が取り込まれている……!?」
士郎が召喚したサーヴァントの一人、ムーンキャンサーのBBはロビンフッドの祈りの弓の力をよく知っていたが、生物相手には最高のダメージを与えられインベーダーにダメージが通っていたはずだった。
しかしある時を境にそれは崩れた。祈りの弓が発動した後に取り込まれたのだ。寧ろ前より巨大化しつつあった。
「『進化』し始めたんだゾ……!」
「進化……!?」
「インベーダーはゲッター線っていうのを食べているから、進化をすごく早く出来ちゃうんだゾ!」
ゲッター線……インベーダーが好んで取り込むこの放射線は無機物、有機物問わずに進化を促す。その目的は宇宙の外にいる『●●●』を倒す為に大いなる存在たちが生み出した究極の決戦兵器の片割れ、そして人類はそのためにゲッター線により進化させられた進化する兵器とされる。
その為インベーダーは英霊の宝具すら耐性を持ち始めて遂には捕食まで始めたのだ。今の所は祈りの弓だけだがこのままでは時間の問題だろう。
「宝具が効かないなら……叩き切るって事でしょ!」
建物の残骸を足場にしながら武蔵がインベーダーに切りかかる。スキルで1振りで複数の斬撃を生み出しながら目玉をすべて切り潰すと人型のインベーダーは爆散した。が、爆散した背後から今度はデスアーミーが棍棒を振り下ろしており、回避もままならないままもう鼻の先まで来た瞬間巨大な拳が棍棒を弾き複数のピンク色のビームが次々とデスアーミーへと突き刺さり爆散した。
放ったのは高速詠唱を行いながら飛行しながらビームを放つ魔術式を複数展開したメディアである。
「ごめん!」
「気にしないでちょうだい、けどデスアーミーの反応速度……違うわね知能が発達しているのかしら?」
先程からデスアーミーの動きがあからさまに変化していた……インベーダーと違い攻撃は通る為数は確実に減ったが逆にこちら側がスタミナ切れで押され気味だ。
「相手が知性体なら宝具が効きますが、知性体に見えても性欲が無くては私の宝具も効果ないですね……」
今いる中でも広範囲宝具として侵食能力も無効化かのうな殺生院キアラの宝具だが、厄介なことに性欲をどこかに持つ知性体になら効果があるのだがインベーダーやデスアーミーことゾンビ兵にはそれが無いということなので弾幕を張って応戦するしかない。
「宇宙の怪物とか言ってたが……あの坊主の言い方からだとするとまだ『他にも』あんなのがいるってのかよ…!?」
ベオウルフが息も絶え絶えにし目の前に立ちふさがるインベーダーの姿を見て想像してしまった。しんのすけのあの言い方ではこのインベーダーやデスアーミーのような怪物が他にも複数存在しているという事になる。
「けどやるしかないんだろ?」
シャドウサーヴァントとの戦闘を終えた部隊から、マーリンが杖から放ったエネルギー弾でインベーダーへと攻撃を加えていくもどこからか飛んでくる赤い矢がそれを弾き飛ばしてしまう。
「あの矢間違いねえ、アーチャーの野郎俺たちをここで潰すつもりか!」
「お前、まさかランサーか!?ってまさかアーチャーもいるのかよ!?」
「おう久しぶりだなボウズ。勿論あのいけ好かねえあの赤い弓兵もいる……あいつも大聖杯に近い所にいるから厄介だぞ……!」
「って事は敵か!?」
「まともなサーヴァントは俺だけだ。後は森にいるバーサーカーと……この話は後だ、あの二人のどこか桜の嬢ちゃんに似たサーヴァントの宝具を使わせろ!あの二人の宝具ならなんとかなると思うぜ!」
更にあとからやってきたキャスター……衛宮士郎からはランサーがいたのを見て状況を聞いた。とあるアーチャーがいるのを聞いた後回避を支持していた二人……メルトリリスとパッションリップに対して命令を飛ばす。
「2人とも宝具を解放してくれ!」
「は、はい!」
「わかったわ、アイツら纏めてゼリーにしてあげるわ!」
まずはパッションリップが動く。その巨大な腕を構えてロケットパンチで両腕を発射し残ったインベーダーのうち20体ほど纏めて真ん中に集めるように弾き飛ばしていく。
「まだ、この気持ちはわからないけど……」
マスター……衛宮士郎ともう一人の少年藤丸立花、そして激戦の中駆け回る野原しんのすけ……彼らはどこか懐かしくその心には憧れにも似たものがあった。だが自らのこの気持ちはわからない。愛憎のアルターエゴとして生み出された自身は愛を求めた。それ故に自分の思いだけを突き進めてしまった……今はそれを直して1からまた始めている。
「だけど、今はちゃんと向き合うって決めたから……!」
愛は死んで分かつまで……それ故に逃げていたのだ自らの異常をこの身に宿る危険を。
だけどもう逃げない……もう二度と後悔したくないから、それでも前へと進んだ『あの人』の様に!
腕を構える、スキル【トラッシュ&クラッシュ】により空間を……インベーダーやデスアーミーを纏めて押し潰し圧縮する。それに向けて全力で飛び腕を上下で挟み込む。
「行って、
死がふたりを分断つとも!!」
トラッシュ&クラッシュという空間圧縮処理能力を利用したこの宝具は北欧のワルキューレの一人ブリュンヒルデが記憶を消され別の女性と結婚したかの英雄を悲しみの中殺害した事をモデルにされた宝具と同じ名前だったが、パッションリップのモノはたとえ死んで分かれることとなっても、それでも大切な人々を守るために使うという特性へと変化したためこの名前となった。
最初にデスアーミーが砕けて潰れていく中、インベーダーは最期まで暴れるもパッションリップの方が競り勝ち遂には3mほどの正方形へと姿を変えられた。
「メルト!」
「思いっきり空に投げなさいリップ!」
次はメルトリリスだ。その両足から生える刃から水が溢れ出し湖面を滑るように一瞬で空へと投げられた正方形へと接近する。刃から溢れ出したのはメルトリリスの1部であるものであるが、メルトリリス自体は生きた対界宝具でありこの水も相手の神経まで甘く溶かしてスライムにしてしまうという特性を持つが今は物理的な補助に回している。
「身も……あるかどうか分からないけど心もそのすべてを溶かしてあげる」
すれ違いざまに蹴りを一撃、旋回してさらに一撃、それが次々と直撃していくと溢れ出した水はついに激流となり巨大な水の柱を形成していく。その中をメルトリリスが舞い踊りながら遂には柱の上から躍り出た。
「行くわよ行くわよ行くわよ行くわよ行くわよ!!」
記憶は無いだけどあの3人のマスターとはどこかで知っていた気がする。この人類が破滅した世界でまた新しく歩み始めるのも悪くないと思い始めた。だからこそ見せつけよう、この身が宿すこの力を!
「消えなさい、
弁財天五弦美琴!!」
最後にトドメのフィニッシュローリングソバット!全力のローリングソバットを喰らった正方形は真っ逆さまに堕ちた……が。
「うそ……壊せない!?」
「皆様お下がり下さい!」
突如として正方形が震えてスライムのような状態になれば、健在だったインベーダーやデスアーミーを取り込み骨が折れるような音と共に融合していった。
「おいマスター!アレはどういう事だ!」
「アレはメタルビーストっていうキメラだゾ!」
「お、大きすぎます……!」
インベーダーの進化個体……メカと合体し融合したメタルビーストのその30mはあろうかというその全身に目玉とインベーダー特有の黒い肉を溢れ出させた筋肉質な体をしたデスアーミーにマシュは懸念を零す。
メタルビーストは全身から触手を一斉に吹き出させ指揮官であるマスター達へと差し向けた。守れるのはマシュだけ……とっさに体が動いたまま盾を展開し更に巨大な青い術式が描かれた結界が地上を覆って防ぎきった。
「フッ、仮とはいえあの攻撃を防ぐか!」
「けどあのままだと持たないな」
イーターのサーヴァントである雨宮リンドウが現状の危険は残ることを言うと、ふと思い出すように呟く。
「だから……出番だぜセイバー」
その名を呼ぶと一人の青年が突如としてマシュの隣に現れその黄金の剣を構えた。激しい暴風を巻き起こすその剣を構えた青年の姿にギルガメッシュが驚きの目で見た。
そして青年はつぶやく。宝具を解除した瞬間に離脱して欲しい……と。
それを聞き入れたマシュはすぐに解除、それに加えてパッションリップがロケットパンチでマシュを捕まえて離脱させる。そして結界が消えた瞬間に暴風は解放された。
「
風王鉄槌ァァァッ!!!」
一閃。暴風は刃となりメタルビーストを切り刻んだ……しかし表面を微かに凹ませただけだったが青年……セイバーにとってその隙が狙いだった。
「来い、リョウマァァァァァァァッ!!!」
轟音が冬木を揺らした。その真っ赤な体にバタバタと靡く真紅のマント、そしてその両目が光ると巨人が叫ぶ。
『このインベーダー野郎……まだ生きてやがったのかぁぁぁぁぁぁ!!!!』
鼓膜を突き破らんとするばかりの男の声に驚き耳を塞ぐ中、しんのすけだけは目を輝かしてその声の主を呼んだ。
「竜馬のおじさーん!!オラのことがわかるー!?」
『……お前、しんのすけか!?久しぶりじゃねえか!ってまだやる事があるな』
建物の瓦礫を突き破りメタルビーストが棍棒を振り下ろすも、巨人は肩からポールが飛び出しそれを振りかぶった。
『ゲッタートマホーク!!』
棍棒とぶつかるもその巨大な斧が2本瞬間的にXの字に切り裂かれ、そのままメタルビーストから人間と変わらない真っ赤な血が吹き出した。明らかに苦しんでいるメタルビーストに向けて、巨人はピンクと翠の混ざった光を腹から解き放った。
『ゲッタァァァァァ…ビィィィイイイムゥゥッッ!!!』
その瞬間音が世界から消えた。衝撃と熱に竦む中またもやしんのすけはしっかりとその光を見ていた。懐かしむような目をしていたのを見たギルガメッシュはこの巨人もまたサーヴァントの一種であることと、しんのすけに縁があることで現れたのを理解して笑った。
「雑種、あの巨人は何者だ?」
「あの赤いロボットはゲッターロボ!そして中の人は……流竜馬だゾ!」
ゲッタービームを放出した後のにはメタルビーストの姿はなく完全に消滅させられたと見られる。そして口元のコックピットが開きそこから現れたのはボロボロのコートをはおり首元には赤いマフラーを付けて立ついかにも凶暴そうな野獣のような男。
「
異常狂戦士流竜馬だ、ここが次の戦場か?」
世界を変える赤き進化の風、ゲッターと共に生きる進化の最果てを行く男それがこの男……流竜馬である。