■一覧に戻る
■ページ指定
■別話を閲覧する
■感想を見る・書く
はぐれ勇者の鬼畜美学〜はぐれ勇者と魔弾の射手〜
第二話『自室での出来事』
(はぐれ勇者の鬼畜美学×PARADISE LOST(一部設定))
  [→]  【PAGE 1/4】
時刻は午前六時を回りました。ニュース06のお時間です♪

テレビから軽快な音楽が流れるのを聞きながら、修二は朝のコーヒーを飲んだ。

「――――うん、久々の味だな」

最高級品のブルーマウンテンの香りが、ここが元の世界の自分の部屋だと改めて教えてくれる。
ソドムではコーヒーが無かったわけではないが、ここまで高品質のものは無かった。
召喚される前は毎朝習慣として飲んでいた修二にとってこのコーヒーはある意味現実世界の象徴ともいえる。

「さて、これからどうしたもんかね」

ぐるんと、部屋を見渡す。
畳20畳はある洋風の部屋だが、あるのは無駄に大きいキングサイズのベッドと100インチの薄型テレビ、自分が今座っているオーダーメイドの椅子と机。そして、超高級品のコーヒーカップに大きなトランクとそれを覆うように掛けられた赤いコート。部屋の隅のクローゼットの中のブランド品の服が幾つか。

「・・・・とりあえずシャワーでも浴びるか」

考えてみれば結構汗臭い。
昨日こちらの世界へ帰ってきた時、意外と疲れていたのかすぐにベッドの上で眠ってしまったのだ。
―――――思えばしばらく寝てなかったな。
そんなことを考えつつ、部屋に備え付けてある風呂場のドアを開く。
脱衣所で服を脱ぎ浴室へ突入。
相変わらずでかい浴室の大理石でできた床を歩きながら、シャワーを取り頭から熱いお湯を浴びる。
当然、シャンプーやボディーソープで汚れを落とすのを忘れずに行い、浴室を出た修二は棚に入っていたバスローブを着る。
タオルでぬれた頭を拭きながら元の場所に戻った修二は、おもむろにトランクを掴みダイヤル式と指紋式の二重ロックを外す。
中にあったのは、修二が愛用していた拳銃をはじめとしたソドムから持ち帰った所有物だった。

「――――さすがジャックだな。≪異界の門≫まで騙すとは恐れ入る」

本来異世界に移動する際は一切の持ち物を持っては行けない。
現にソドムへ召喚された時は修二は全裸であった。
しかし、自分の愛用品を手放したくなかった修二はソドム一のメカニックにして情報屋のジャックにどうにかならないか相談していた。
その結果、どんな方法かは知らないが現実世界へ持っていける大きなトランクと修二愛用の服と同じデザインの物を作ってくれたのだ。
――――まあ、相当吹っかけられたがね。
苦笑しながら修二はトランクを閉める。
とりあえずは自分の荷物に異常は無かったので、これで本当にやることが無くなってしまった。
手持無沙汰になった修二は、暇つぶしにテレビへと顔を向ける。

時刻は7時を回りました。目覚まし07のお時間です♪

それを見た瞬間、修二は面白いことを思いついた。
まずはベッドの掛布団を膨らませ人がいるように見せかける。
次に入口のドアの横にへばり付くように身を潜める。
・・・・そろそろだな。
次の瞬間、部屋のドアがゆっくりと開く。
現れたのはメイド服を着た長い黒髪の美少女。
修二よりも一つ二つほど上だろうか。
整った顔立ちは日本人形を思わせ、西洋のメイド服とはミスマッチだが不思議とよく似合っている。
修二は彼女の事をよく知っていた。
四年ぶりに見るが相変わらずの美人だ。
といっても、あちらからすれば一日しか経っていないのだが。
気配と足音を消してベッドへと歩いていくメイド少女の後ろをゆっくりとトレースする。
自分と彼女の間隔は五十pも無い。
にも関わらずばれないのは、修二がソドムで培った技術の一つだったりする。

「修二様、お目覚めの時間ですよ。早く起きてください」

メイド少女はベッドの前まで来て口を開く。
全くの無表情で事務的な感じがひしひしと感じられる。
昔は何も感じなかったが、今となってはここまで優しさの欠片もないのは流石にどうなんだろうと、修二は思った。
メイド少女は何度かモーニングコールを続け、それでもピクリとも動かない掛布団の中身に対し眉を顰め、

  [→]  【PAGE 1/4】

■感想を見る・書く
■別話を閲覧する
■ページ指定
■一覧に戻る