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正義の紅い魔王
第四話 幕間 聖杯戦争
(カンピオーネ!×Fate)
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 昨日の“まつろわぬ神”との戦いから一夜明けた今日、正史編纂委員会から譲り受けた家の居間に護堂たちと甘粕さんに俺達の担当となった沙耶宮さんが集まっている。

 俺は、聖杯戦争の説明を凛に任せて温め直した人数分の紅茶を居間へ運び――聖杯戦争の概要を語る。

「まず、俺達が参加した魔術儀式の名称は“聖杯戦争”と言う――もっと正確に言うなら、第五次聖杯戦争だな。この聖杯戦争は、サーヴァントと呼ばれる使い魔を用いた――七人の魔術師と七騎の使い魔の殺し合いの儀式だ」

 護堂たちが、新たな言葉――サーヴァントと言う言葉と、殺し合いと言う言葉に反応する。

「サーヴァントの正体は、先の“まつろわぬ神”が言った【英霊】よ。それと、聖杯と名が付くだけ在って――本来なら、召喚不可能な存在である【英霊】をクラスと言う枠に当て嵌める事で召喚可能にしたわ」

 俺の言葉に驚きの声が上がった。

 そして、逸早く我に返った馨が凛に訊ねる。

「つまり、凛君に士郎君。君達は【英霊】にクラスと言う役割を与えて、殺し合いをしていたのかい」

「そうよ、馨。私は、アーチャーを。士郎は、セイバーを。それぞれ召喚して、戦ったわ。それこそ中には、反則級の強さを持った奴だって居たわ」

 凛の答えに、護堂たちがまた驚きの表情を浮かべる。

 恐らく、俺と凛が殺し合いをしていたと思ったのだろう。

「先に言っておくけど、私と士郎は殺し合いをしてないわよ。だって、私達の経験した聖杯戦争は――今までに行われた、どの聖杯戦争より過酷なモノだと思うから」

「如何いう意味ですか?」

 裕理がその言葉の意味を訊ねて来た。

「俺と凛が経験した聖杯戦争では、裏切りに暗躍が横行した」

 恵那と呼ばれた少女が、意味が分からず首を傾げる。

「本来、サーヴァントがサーヴァントを召喚する事は不可能に近い。けれど、俺達の経験した聖杯戦争では――キャスター、魔術師のサーヴァントがアサシン……暗殺者のサーヴァントを召喚し。俺のサーヴァントのセイバーを、自分の宝具を使って従え。凛のサーヴァントであるアーチャーが、自分の目的の為に凛を裏切り。本来、中立の筈の監督役がサーヴァントを従え暗躍。そして、前回から現界を続けていた英雄王――ギルガメッシュが参戦した事で、聖杯戦争が従来通りに行われる事は無かった」

 その言葉を聞き、護堂たちは驚き。甘粕さんと沙耶宮さんは、疑問の表情を浮かべる。

「士郎さん。貴方はギルガメッシュより、権能を算奪された。つまり、人に身でありながら――“まつろわぬ神”と同等の力を持つサーヴァントに挑んだと」

「ええ。ギルガメッシュの宝具――『王の財宝《ゲート・オブ・バビロン》』と、俺の切り札は相性が良く、戦う事が出来ました」

「シロウ先輩、その切り札とは……」

「“Unlimited Blade works”――無限の剣製。今言えるのは、これだけだ」

 エリカの問いに、俺は名前だけを答える。

 いずれバレにしても、今此処で話す必要は無い。それに知っている者が少なければ、少ないほど――切り札と言うのは効果が高い。

「……無限の剣製」

 エリカやリリアナは、少しでもその言葉から推測できるモノを考えているのだろう。

 そんな時、恵那と呼ばれる少女が
「あのさ、紅い王様。もしかして、恵那の相棒だった天之叢雲剣とか作れる?」
 と、訊ねて来た。

『作れる』と言って来たのは、剣製と言う言葉から推測して言って来たのかも知れない。

 俺は、凛に目で如何答えると問う。

 それに対する凛の返事は
「可能な筈よね、士郎」
 だった。

「ああ、可能だな」

 そう言って俺は、一振りの剣を投影する。

 それを見て、護堂が胸を押さえ始めた。

「如何した、護堂!?」

 まさか、投影した天乃叢雲剣が護堂に悪影響を与えたのかと思った。

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